ブリッジレポート
(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.10

(2157:JASDAQ) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.10】2013年8月期第1四半期業績レポート
取材概要「カーブス事業が好調を持続しており、カラオケ事業も他社が苦戦を強いられる中で健闘している。東日本大震災後に高まったレジャーの「安・近・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年2月5日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
群馬県前橋市大友町1-5-1
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年8月 33,746 4,077 4,096 2,279
2011年8月 29,093 3,356 3,336 2,877
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(1/16現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,160円 9,477,401株 20,471百万円 31.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
40.00円 1.9% 274.58円 7.9倍 844.56円 2.6倍
*株価は1/16終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
コシダカホールディングスの2013年8月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4分野で「既存業種新業態」戦略(後述)を推進している。連結子会社8社と共にグループを形成し、安定成長を続けるカラオケ事業と認知度の向上で事業が急拡大しているフィットネス(カーブス)事業を二本柱に、上場以来、増収・増益を続けており、新規事業として温浴事業の育成にも取り組んでいる。
 
【沿革】
1954年に都内で飲食店として創業し、64年に現在本社のある群馬県前橋市に移転。67年に(有)新盛軒として法人組織に改組した。会社が大きく変わり始めたのは、現在、社長を務める腰{|博氏に実質的な経営権が委ねられてから。博氏のリーダーシップの下、90年にカラオケボックス事業に参入。レーザーディスクを使ったスナックやバー等でのカラオケから通信システムを活用したカラオケボックスへ需要がシフトする流れをつかみ事業を軌道に乗せた。95年8月の腰{|博氏の社長就任以降は、不況等で廃業するカラオケボックスを利用する出店モデル(居抜き出店)を開発し業容を拡大。2000年3月に(株)コシダカに組織及び名称を変更した。
 
06年3月には(株)カーブスジャパンのフランチャイジーとしてフィットネス事業に進出。07年6月のJASDAQ上場を経た08年10月には(株)カーブスジャパンを子会社化(実質持株比率90%)し、現在、グループでFC(フランチャイズチェーン)本部の運営とフィットネスクラブの直営店展開を行っている。
 
10年9月には純粋持ち株会社へ移行し、(株)コシダカホールディングスに組織及び名称を変更。併せて、ボウリング事業を手掛ける(株)スポルトを子会社化した。中長期的にグループシナジーを出し難い事と経営資源を集中させる必要もあったため、(株)スポルトは黒字化に目処を付けた後に売却(12年10月)。現在、よりグループシナジーが期待できる温浴事業の育成や海外展開に向けた基盤整備に取り組んでいる。
 
【事業セグメントとグループ】
(1)事業セグメント
事業は、「カラオケ本舗まねきねこ」(郊外中心)やひとりカラオケ専門店「ワンカラ」(都心や地方都市の繁華街で展開)を運営するカラオケ事業、“女性専用30分健康体操教室”として中高年齢層をターゲットに女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」を展開するカーブス事業、新規事業として育成中の温浴事業(各種の温浴設備を備えた施設の運営。「居抜き出店方式」のノウハウを活用し店舗展開)、及び不動産管理事業等のその他に分かれる。12/8期の売上構成比は、カラオケ事業54.9%、カーブス事業33.5%、温浴事業2.1%、ボウリング事業8.8%(12年10月に撤退)、その他0.7%。
 
(2)グループ
グループは、純粋持株会社である(株)コシダカホールディングスと、カラオケ事業、カーブス事業、温浴事業、及び不動産管理や知的財産管理を手掛ける連結子会社8社。カラオケ事業は(株)コシダカが国内で326店舗を、(株)韓国コシダカが韓国ソウル市内で2店舗を、それぞれ運営。カーブス事業は、中間持株会社(株)カーブスホールディングスの下、連結子会社(株)カーブスジャパンが女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」のFC本部の運営と直営店展開を手掛け、連結子会社(株)北海道コシダカ及び(株)シュクランがフランチャイジーとして直営店を多店舗展開している。また、11年11月に多店舗展開を本格化した温浴事業は(株)コシダカが新規事業として育成中の事業であり、7店舗を展開している(店舗数は、いずれも12年11月末)。
 
 
 
【強み】
同社の強みは、成熟した国内市場にあっても高い成長を可能にする業態開発力と、今後の更なる成長が期待できるアクティブシニア層向けマーケットでの実績。カラオケやフィットネスと言った既に社会に存在し誰もが知っている業種において、視点や取り組み方を変えると共に新たな顧客層をターゲットとする事で新しい業態を開発し(新たなサービスや運営手法を生み出し独自のビジネスモデルを確立)、08/8期以来、増収増益を続けているのはその証左である。また、地域密着の事業展開が、アクティブシニア層の開拓はもとより、ファミリー層等の取り込みにつながっており、そのノウハウや経験が大きな財産となっている。
加えて、カラオケ事業の成功の一因でもある「居抜き出店」の実績を積み上げてきた事で、施設の再生や企業の再生といった面でもノウハウと経験の蓄積が進んでおり、育成中の温浴事業や黒字化に目処を付けた後に売却(12年10月)したボウリング事業においては、こうした「再生」ノウハウが地域密着による顧客開拓手法と共に活かされている。
 
この結果、業績はきれいな右肩上がりの曲線を描いており、03/8期に20億37百万円だった売上高が今期359億54百万円に、99百万円だった営業利益が49億85百万円に、それぞれ拡大する見込みだ。
 
 
 
2013年8月期第1四半期決算
 
 
前年同期比5.8%の増収、同0.5%の経常減益
売上高は前年同期比5.8%増の76億27百万円。会員数・店舗数共に順調に伸びたカーブス事業の売上が増加した他、前期に事業を本格化した温浴事業も店舗数の増加で売上が拡大。ボウリング事業を売却した影響(6億59百万円)を吸収した。
利益面では、カーブス事業の利益が5割強増加したものの、新規出店や新業態開発等の先行投資が負担となりカラオケ事業の利益が半減。新店の立ち上げ負担で温浴事業も損失が拡大し、営業利益は6億10百万円と同4.2%減少した。ただ、為替差益12百万円の計上(前年同期は4百万円の損失)等による営業外損益の改善や税効果会計の影響で四半期純利益は4億15百万円と同64.9%増加した。
 
 
カラオケ事業
売上高は前年同期比0.3増の41億円、セグメント利益は同53.8%減の1億63百万円。3店舗の新規出店を行った結果、第1四半期末の店舗数は326店舗と前期末比3店舗増加した(前年同期末は319店舗)。東日本大震災後に高まったレジャーの「安・近・短」志向が一巡し売上が伸び悩んだため、新規出店や新業態「ワンカラ」の多店舗展開と業態販売に向けた実証研究等の費用が負担となった。
 
カーブス事業
売上高は前年同期比29.5%増の30億27百万円、セグメント利益は同51.5%増の6億57百万円。第1四半期末の国内カーブス店舗数は前期末比35店舗(2.9%)増の1,232店舗(うちグループ直営店44店舗)、会員数は30千人(5.9%)増の533千人(前年同期末は1,079店舗、435千人)。加盟店とフランチャイズ本部が一丸となり会員サービスの一層の充実と会員獲得ノウハウの開発・蓄積に取組んだ結果、1店舗当たりの会員数が順調に増加。会員の増加で経営状態が安定した加盟店の追加出店が増加する好循環が続いている。会員によるプロテインの定期購入の増加で通販売上も増加した。
 
温浴事業
売上高は前年同期比406.9%増の3億37百万円、セグメント損益は1億63百万円の損失(前年同期は30百万円の損失)。同社グループが培ってきた「居抜き出店方式」のノウハウを活用して、温浴施設の再生による多店舗展開を進めており、第1四半期は7番目の店舗となる「イオン志摩湯処まねきの湯」を11月に福岡県に開設した(前年同期末は3店舗)。
 
 
事業売却や、配当及び法人税等の支払で第1四半期末の総資産は196億40百万円と前期末比4億03百万円減少した。科目別では、借方で、配当や法人税等の支払により現預金が減少した他、ボウリング事業の売却で固定資産も減少。一方、貸方では、未払法人税等(9億99百万円→2億65百万円)や純資産が減少。この結果、自己資本比率は41.9%と同2.0%改善した。
 
 
2013年8月期業績予想
 
上期及び通期の業績予想に変更は無く、通期で前期比6.5%の増収、同21.7%の経常増益予想
上期予想は、売上高172億38百万円(前年同期比8.8%増)、経常利益22億02百万円(同2.5%減)。予想に対する進捗率は、売上高44.2%(実績ベースの前年同期の進捗率45.5%)、経常利益29.1%(同29.3%)と、ほぼ前年同期並みで進捗している。
 
通期予想は、売上高359億54百万円(前期比6.5%増)、経常利益49億85百万円(同21.7%増)。ボウリング事業の売却が29億61百万円の減収要因となるものの、認知度の向上に加え、会員募集のノウハウ蓄積が進んでいるカーブス事業の売上が同15.8%増と伸びる他、新規出店とリニューアル効果でカラオケ事業の売上も同8.9%増加。店舗数の増加で温浴事業の売上は同3倍弱に拡大する見込み。利益面では、カラオケ事業、カーブス事業共に増収効果で利益率が改善。先行投資負担が重い温浴事業も大型施設の運営軌道化等で損失が縮小する見込み。配当は1株当たり5円増配の年40円を予定している(上期末20円、期末20円)。
 
 
 
 
今後の注目点
カーブス事業が好調を持続しており、カラオケ事業も他社が苦戦を強いられる中で健闘している。東日本大震災後に高まったレジャーの「安・近・短」志向の一巡で、カラオケに限らず、アミューズメント等も苦戦しており、同業他社との比較では、ブームに左右され難いカーブス事業を有する同社の強さを感じた。尚、第1四半期は閑散期に当たり売上・利益共にボリュームが年間で最小となる。どちらかと言うと、第2四半期以降に向けた種蒔きの時期であり、利益が振れやすくなる。