ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

プライム

ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.20

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
荻野 芳朗 社長
荻野 芳朗 社長

【ブリッジレポート vol.20】2013年2月期第3四半期業績レポート
取材概要「最近の低温や降雪の影響で白菜やキュウリの生育が遅れ、足元、価格が前年を上回っているようだ。主要原料野菜である白菜を100%契約栽培で調・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年1月29日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
荻野 芳朗
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年2月 21,587 982 1,066 591
2011年2月 20,824 577 624 365
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
2001年2月 16,895 302 287 266
株式情報(1/15現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
534円 6,394,585株 3,415百万円 9.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 2.2% 93.05円 5.7倍 982.00円 0.5倍
※株価は1/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
ピックルスコーポレーションの2013年2月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行なっており、連結子会社7社及び持分法適用会社4社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培(放射性物質の測定も実施)によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはISO9001、HACCPの取得や5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。

12/2期の品目別売上構成は、製品売上が63%(浅漬・キムチ48%、惣菜12%、ふる漬3%)、商品(漬物)売上が37%。資本関係では、東海漬物(株)が株式の49.6%を保有するが、取引はわずかにふる漬等の仕入があるのみ(12/2期は仕入高全体の2.1%)。主要な販売先は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、12/2期は同グループ向けの売上が全体の37.9%(11/2期は39.3%)を占めた。
 
【沿革】
1977年2月、(株)東海デイリーとして愛知県で設立。同年12月にはセブンイレブンとの取引が始まり、その後、取引はイトーヨーカ堂、デニーズジャパン等、セブン&アイ・ホールディングスの主要企業へと拡大。93年9月、商号を(株)ピックルスコーポレーションに変更。2001年12月に株式を店頭登録(JASDAQ上場)した。
 
 
【強み】
大ヒットしている「ご飯がススムキムチシリーズ」や各種惣菜等、切れ目無く新商品を投入できる商品開発力と、全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。キムチの製法や味付け手法は多種多様。同社は強みである商品開発力を活かしてキムチのラインナップを強化する事で継続的に需要を生み出しており、この商品開発力が第3の柱として育成中の惣菜事業にも活かされている。また、もう一つの強みである全国ネットワークについて言えば、漬物業界・惣菜業界において、全国ネットワークを有するのは同社のみである。
 
 
【冬の浅漬新製品】
冬の浅漬新製品として、「ぽかぽか生姜と糀で漬けた白菜漬」、「塩糀入りかぶの浅漬」、「4種の野菜酒粕ミックス」の3品を12年12月に発売した(いずれも関東地区)。
 
 
「ぽかぽか生姜と糀で漬けた白菜漬」は、糀の甘味と塩の辛味が混ざった、ほんのり甘辛い味の塩糀をふんだんに使用。いつもの白菜の漬物とは一味違った逸品。「塩糀入りかぶの浅漬」は、食べやすく一口サイズのくし切りにしたかぶを彩りの良い野沢菜、人参と一緒に塩糀と混ぜ込んだ。かぶの辛みと塩糀のほんのりした甘辛さが絶妙のハーモニー。また、「4種の野菜酒粕ミックス」は、甘味のある味付けに仕上げた白菜、大根、胡瓜、人参が酒粕の上品な味とベストマッチング。お子様にもお勧め!
 
 
2013年2月期第3四半期決算
 
 
前年同期比12.9%の増収、同2.1%の経常減益
イタリア料理シェフ川越達也氏とのタイアップ製品(「川越達也オススメキムチ」、「川越達也オススメ辛口キムチ」)や、ピザ宅配大手ピザーラとのコラボレーション製品「ご飯がススムイタリアンキムチ」等の新製品を投入した他、「ご飯がススムキムチ」や「なまらうまいキムチ」のリニューアルを行い製品力を強化。販売面では、全国の製造・販売拠点を活用した営業活動やCM等の広告宣伝活動に加え、売場提案等の販売促進活動を積極的に展開。また、12年4月に福岡営業所を開設し、九州地区の営業活動を強化した。

上記の結果、既存得意先の深耕及び新規取引先の開拓が進み、浅漬・キムチや惣菜を中心に売上高が183億27百万円と前年同期比12.9%増加した。ただ、第1四半期の利益率悪化(春先の天候不順による原料野菜の仕入価格高騰が原因)が響き、売上総利益率が23.5%と同1.6ポイント低下。物流費(新規取引先の増加を反映したもの)や人件費を中心にした販管費の増加が負担となり、営業利益は8億18百万円と同1.2%減少した。

尚、原料野菜の仕入価格が安定した第2四半期(6-8月)及び第3四半期(9-11月)は、売上の増加が利益に反映され対前年同期比増収・増益。
 
 
 
第3四半期末の総資産は前期末比6億04百万円増の138億92百万円。生産・販売の拡大を受けて売上債権と仕入債務が両建てで増加した他、現預金や純資産も増加。増産投資に伴い有形固定資産も増加した。自己資本比率は同0.9ポイント改善の48.2%。
 
 
2013年2月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比10.7%の増収、同0.2%の経常減益予想
第2四半期(6-8月)決算発表時に上方修正した通期業績予想に変更はなかった。第3四半期(9-11月)の売上・利益が順調に伸びたため、結果として、第4四半期(12-2月)の予想は慎重なものとなった。通期では新製品の投入と積極的な広告宣伝により浅漬・キムチや惣菜を中心に売上が伸び、連結売上高が過去最高を更新する見込み。第1四半期の苦戦が響きわずかに減少する営業利益も、9億80百万円と過去最高(12/2期の9億82百万円)水準を維持する。1株当たり配当金は上場10周年記念配5円を落とし、普通配を2円増配の期末12円を予定している。
 
 
 
今後の注目点
最近の低温や降雪の影響で白菜やキュウリの生育が遅れ、足元、価格が前年を上回っているようだ。主要原料野菜である白菜を100%契約栽培で調達する等、従前から手だては講じているものの、事態が深刻化すれば数量と価格の両面で影響を受けるため13/2期業績を考える上での不透明要因として頭に入れておきたい。もっとも、原料野菜価格の高騰で利益率が悪化した第1四半期並みの利益率を確保できれば、第4四半期の利益計画は達成できる。また、寒波の影響等で外出を控えて自宅で食事をとる機会が増えれば、売上の面ではプラスになろう。仮に今期の着地が下振れしたとしても、中長期的な成長力に影響するものでもない。