ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

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ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.30

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 会長
山田 勝 会長
安河内 曠文 社長
安河内 曠文 社長
【ブリッジレポート vol.30】2012年9月期業績レポート
取材概要「同社にとって最大のマーケットである欧州経済の先行きとユーロ円相場の動向には目が離せない。9月に入りECB(欧州中央銀行)がOMT(事前に・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年1月22日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
会長
山田 勝
社長
安河内 曠文
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年9月 8,606 97 143 65
2011年9月 9,047 395 371 217
2010年9月 10,078 898 978 638
2009年9月 10,300 1,047 1,335 837
2008年9月 14,995 3,608 3,532 2,214
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(1/4現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
511円 13,772,116株 7,038百万円 1.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 2.0% 20.33円 25.1倍 439.88円 1.16倍
※株価は1/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
SHOEIの2012年9月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
世界ナンバーワンのヘルメットメーカー。オートバイ用を中心に、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造している。販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界50カ国以上を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっている。独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力を持つ。
①「世界一の品質」…Made In Japanのグローバルブランド
②「世界一のコスト競争力」…ヘルメット業界唯一のトヨタ生産方式でコスト管理
③「世界一の楽しい会社」…お客様、株主の皆様、並びに従業員、役職員の満足度を追及
という、3つの世界一を実現する事を経営方針に掲げている。また、「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略も同社の特徴。三位一体の事業戦略を進める事で、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めている。
 
【事業内容】
二輪乗車用ヘルメット(以下、「プレミアムヘルメット」)の売上高が約90%を占めている。なかでも、高品質で高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県一関市)の国内2工場で生産。国内生産にこだわる事で、より高い品質を維持すると共に技術の流出防止にも努めている。また、業界では唯一の「トヨタ生産方式」導入企業として、高い限界利益率と在庫回転率、及び優れた資産効率を誇る。
 
【中長期的安定成長と安定利益の実現に向けた基本方針】
・ 自分の会社は自分で守る
・ Made in Japanと雇用の維持(ものづくりの伝承)
・ 健全な財務内容の堅持
・ 投資の継続(新製品開発,コストダウン,品質向上,より確かな安全)
・ 世界中のプレミアムヘルメット市場でナンバーワンを目指す
・ 新市場開拓と既存市場の深堀り
・ 利益の公平、公正な分配(50%配当性向,従業員への配分、会社への分配
 (内部留保))
 
 
2012年9月期決算
 
 
前期比4.9%の減収、同61.4%の経常減益
売上高は前期比4.9%減の86億円。国内は、今期(2012年9月期)に投入した2モデルの販売寄与に加え、従来モデルも堅調に推移したことから同10.7%の増収。欧州は、顧客満足度の高い商品はやや高めの価格設定でも支持を得られることが確認できたという収穫があったものの、主力市場であるドイツ・フランスを中心にスポーツタイプのヘルメットの販売が急速に低下した影響を受け、同18.7%の減収。北米は、上期市場底打ちから回復傾向で推移していたものの、下期に入り若干の調整が入ったことから微増収。その他地域は、オセアニアの好調に加え、アジア向けの販売が順調に拡大し同28.5%の増収。また、ユーロ円において同社の期中平均レートが前期比10.16円の円高、欧州子会社の期末換算レートが同18.10円の円高となったことも売上高の減少に影響した。

利益面では、売上高の減少、円高の影響、欧州子会社の在庫圧縮に伴う採算悪化、販売減少に伴う生産調整などの悪材料が重なり、売上原価率が大幅に悪化した結果、営業利益が97百万円と同75.4%減少した。但し、為替予約が寄与し、営業外収益に為替差益(45百万円)を計上したことや特別損益に雇用調整助成金(22百万円)を計上したことなどから、経常利益以下の減益率は縮小した。
 
 
 
 
 
 
 
期末の総資産は前期末比4.5億円減の76.3億円。イタリア子会社の設立により売上債権やたな卸資産が増加したことなどで現預金が減少した。総資産の約37%を現預金が、約78%を流動資産が占める等、資産の流動性が高く、しかも無借金。自己資本比率も約79%と、高水準を維持している。
 
 
CFを前期末と比較すると、直販に切り替えた影響による運転資金の増加や税負担の増加等により営業CFのプラス幅が減少。また、設備投資の増加で投資CFのマイナス幅も増加したため、フリーCFのプラス幅も減少。配当金の支払い額の減少により、財務CFのマイナス幅は減少。
 
 
2013年9月期業績予想
 
 
通期業績予想は、前期比+10.4%の増収、同+241.5%の経常増益
欧州は、子会社の在庫が適正水準に低下し、新製品投入に向けた販売体制が整ったことに加え、今期投入予定の新モデルの販売増加を見込み+13.8%の増収計画。また、国内も、防衛省向けにヘルメットの販売増加が見込まれるため+14.4%の増収計画。北米とその他地域は、微増収を見込む。なお、1月までの海外受注は、前年同期比+7.2%増と順調なスタートとなっている。
利益面でも従来から進めている投資対効果と費用対効果の実践や経費の圧縮により売上原価率を低下させるとともに、更なる販売管理費圧縮の取り組みを通じて、利益水準の回復を目指す。また、1株当たり期末配当金も12/9期予定の2円から13/9期は10円に増配予定。
為替相場の前提は、1米ドル80.00円(前期比+1.20円)、1ユーロ100.00円(同△2.59円)。
 
 
2013年9月の重点施策
(販売面)
ツーリング用モデルの強化など需要の変化に対応した新製品の投入
国内・欧州市場での販売増加
(経費削減面)
恒常的な製造原価の低減
P/L保険の見直し
輸出業務の自社への取り込みと直接金融への転換
SNSのグローバルな活用など広告宣伝費の費用対効果見直し
 
 
今後の注目点
同社にとって最大のマーケットである欧州経済の先行きとユーロ円相場の動向には目が離せない。9月に入りECB(欧州中央銀行)がOMT(事前に量的制限を設けない新しい国債購入プログラム)を決定以降、南欧の国債利回りは落ち着きつつある。加えて、金融支援を行うための恒久的な制度としてEMS(欧州安定メカニズム)も発足したことから欧州債務問題は転換点を迎えたとの見方もでてきている。ユーロ円相場は、今年の7月に1ユーロ94円台をつけてから反発に転じ、12月末に114円前後で推移するなど欧州再評価の動きとなっている。円高の修正に加え、今後、欧州経済の底打ちからリーマンショック以降減少傾向にあった大きな市場であるドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スペインなどの国々の2輪車新車販売台数が、回復傾向に回帰するのか注目される。
同社の前期決算(2012年9月期)は、欧州債務問題やユーロ安の影響から苦戦を強いられたが、欧州経済に対する過度な悲観論の後退や北米市場の底打ちなど明るい兆しが出始めている。また、欧州における新製品の評価や同社のブランド調査の評価は高く、販売シェアも高水準を維持している。加えて、オセアニアなどのその他地域の売上も高成長を続けている。前期とは反対に、為替相場が悪影響を与えない中、生産調整が完了し、生産が回復する局面で、販売が増加し始める好循環入りへの変化点に注目したい。