ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス vol.34
(9616:東証1部) 共立メンテナンス |
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企業名 |
株式会社共立メンテナンス |
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会長 |
石塚 晴久 |
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社長 |
佐藤 充孝 |
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所在地 |
東京都千代田区外神田 2-18-8 |
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決算期 |
3月 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2012年3月 | 91,170 | 6,017 | 4,602 | 2,376 |
2011年3月 | 84,983 | 4,610 | 3,308 | 1,052 |
2010年3月 | 84,513 | 4,033 | 3,012 | 1,254 |
2009年3月 | 82,303 | 5,349 | 4,510 | 2,133 |
2008年3月 | 75,606 | 4,492 | 4,167 | 2,740 |
2007年3月 | 66,287 | 3,745 | 3,787 | 2,413 |
2006年3月 | 63,084 | 4,611 | 4,823 | 2,010 |
2005年3月 | 58,014 | 4,407 | 4,411 | 2,343 |
2004年3月 | 54,080 | 4,004 | 4,059 | 2,137 |
2003年3月 | 50,108 | 4,148 | 3,884 | 2,039 |
2002年3月 | 50,064 | 3,908 | 3,580 | 1,821 |
2001年3月 | 37,884 | 2,827 | 2,643 | 1,146 |
2000年3月 | 36,787 | 2,368 | 2,281 | 906 |
株式情報(12/12現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
グループは、同社の他、連結子会社7社、非連結子会社3社、持分法を適用していない非連結子会社及び関連会社6社。 事業の種類別セグメントと売上構成(12/3期)は次の通りである。 【沿革】
設立は1979年9月。食の世界に長く携わった創業者 石塚晴久氏が調理人として企業の給食施設の運営受託を開始した。翌80年には千葉県佐倉市に、木造2階建て(四畳半が28室)の民間学生寮「学生会館」第一号棟が誕生。「食」を第一として、「学生の健康と元気こそが親の安心」との考えのもと、提携先の学校名を冠した学生会館事業を展開。東京・神奈川地区、名古屋地区、大阪地区へとエリアを拡大した。85年4月には、「一室から借りる事ができ、朝夕2食付き」を特徴とし、ゆっくり身体を癒せる「大浴場」も重視した社員寮事業を開始。87年5月には、学生寮、社会人寮、給食施設等の受託事業で培った「賄いのノウハウ」を活かし外食事業に展開。93年6月の現住所(東京都千代田)への本社移転を経て、同年7月に長野県でリゾートホテル事業に、8月に埼玉県でビジネスホテル事業に参入した。翌94年9月、現在のJASDAQ市場へ上場(店頭登録)、99年3月の東証二部上場を経て、01年9月に東証一部に指定替えとなった。
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中期経営計画「Kyoritsu Value Up Plan !」 |
(1)コア事業の成長加速
①「寮事業首都圏98プロジェクト」
「寮事業首都圏98プロジェクト」とは、エリア別の定員数のシェアが65%と最も高いものの、期初稼働率(13/3期95.6%)が最も低い首都圏の期初稼働率を98%に引上げようという取り組み。
②ピンポイント開発
開発面では、個別クライアント(大学、企業)のニーズに応じたエリア開発、言い換えると、エリアを絞り込んだ戦略的開発(ピンポイント開発)に注力する。この一環として、情報間口を広げるべく、金融機関、不動産会社、商社、ゼネコンとの連携を強化しており、また、出口戦略としてセール&リースバックを活用した資産の流動化も進める。尚、11/3期にJ-REITに対して行なった物件売却がアナウンスメント効果を発揮し、その後、物件買取りの引合いが顕著に増加していると言う(11/3期に約140億円、12/3期に約48億円を実施)。
③ドーミーインの海外展開
成長機会の獲得に向け、海外事業にも取り組む考えだ。既にドーミーインの海外展開を進めており、第1弾として14年6月の開業を目指し韓国ソウル市江南区で「(仮称)Dormy Inn Premium Seoul Garosugil St.」の開業準備を進めている。物件の概要は次の通り。
建築規模 :地下5階・地上20階建・285室 運営形態 :賃貸借方式(契約期間20年) ※ 2012年11月27日付で韓国共立メンテナンスを 賃借人とする賃貸借契約を締結済み。
立地特性
江南エリアを南北に走る大動脈「江南大路」より東へ向かう繁華街に位置する。地下鉄3号線「新沙」駅至近。ソウルを代表するトレンドスポット「カロスキル(街路樹通り)」まで徒歩1分と、ビジネスだけでなく観光ニーズの取り込みも期待されるエリアである。 (同社資料より) (2)新規事業の育成
12/3期に新規事業としてPKP(Public Kyoritsu Partnership:自治体向け業務受託)事業を立ち上げた。この事業は地方自治体向けのアウトソーシング事業で行財政改革のコンサルから業務受託まで一貫して引き受ける。行政のノンコア事業部門を受託し、同社のノウハウを活用してコスト削減と地域の雇用の安定や住民サービスの向上を図る事で行財政改革に貢献する。初年度となった12/3期は、北海道・湧別町や和歌山県・日高川町での包括受託等、16の自治体と37件の受託契約を締結し、売上高9.1億円を計上した。13/3期は64自治体との間で104件の契約締結、売上高30.6億円を計画しており、既に約16億円分についての契約が確定している。
(3)数値目標
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2013年3月期上期決算 |
ホテル事業をけん引役に前年同期比8.0%の増収、同18.5%の経常増益
売上高は前期比8.0%増の473億33百万円。3月入寮(契約金等が前の期に売上計上されてしまう)の増加等で寮事業の売上が前年同期並みにとどまったものの、新規事業所(ドーミーイン4棟、リゾート1棟)の寄与及び既存事業所の好調(稼働率・客数・客単価がそろって向上)でホテル事業の売上が同16.4%増と伸びた。営業利益は同8.8%増の36億53百万円。ビジネスホテル、リゾートホテル共に、客数及び単価が前年同期の実績を上回ったホテル事業の利益が同62.2%増加し、3月早期入寮の増加に伴う契約金等の減少や水道光熱費増加等による寮事業の利益の落ち込みをカバーした。有価証券売却益(63百万円)の計上や支払利息の減少(7億47百万→6億42百万円)等で営業外損益が改善した他、固定資産売却益が増加する一方、投資有価証券評価損(2億51百万円→1億98百万円)が減少する等で特別損益も改善し、四半期純利益は16億19百万円と同41.1%増加した。
期初予想との差異
売上高はほぼ期初予想通りの着地となったが、営業利益は期初予想を2億73百万円上回った。ホテル事業において、稼働率、単価が共に予想を上回ったビジネスホテルの利益が2億58百万円、稼働率が予想を上回ったリゾートホテルの利益が1億02百万円、それぞれ上振れ。賃借料の見直しが進んだ事で寮事業の利益も期初予想を93百万円上回った。一方、一部物件の売上が下期に移行したデベロップメント事業(△84百万円)や営業強化に伴い費用が増加したPKP事業(△1億09百万円)等の利益が下振れした。
寮事業 売上高199億89百万円(前年同期比0.4%減)、利益27億97百万円(同7.8%減)
高い期初稼働率(前年同期の95.3%を上回る96.5%)を背景に稼働室数が増加した事で限界利益が3億42百万円増加したものの、3月入寮増による学生入館費の期ズレ(本来新年度入り後の4月に計上される2億79百万円が前期3月に計上された)、大口留学生契約の減少(1億08百万円。契約の関係で1年毎に1億円強変動する)、水道光熱費の増加(1億09百万円)、更には販促費や外部用役費の増加(81百万円)等の影響をカバーできなかった。9月末現在の稼働契約数は前年同期末比779名増の29,481名。尚、減収・減益の要因となった3月入寮増による学生入館費の期ズレだが、期末の3月には来期入寮分の計上があるため通期業績への影響は軽微であり、寮事業は実質的には増収・増益。寮事業の好不調は期初稼働率で計る事ができ、来14/3期は部屋数が約1,200室増加する予定だが、足元の契約状況から97%程度の期初稼働率が見込まれている。
ホテル事業 売上高197億52百万円(前年同期比16.4%増)、利益20億65百万円(同62.2%増)
売上高の内訳は、ビジネスホテルが96億33百万円(同15.2%増)、リゾートホテルが101億19百万円(同17.3%増)。ドーミーイン4棟、リゾート1棟を新たにオープンした結果、事業所数はビジネスホテルが49棟・8,149室、リゾートホテルが19棟・1,964室。また、利益が前年同期に比べて7億92百万円増加したが、内訳は、レジャー需要の取り込みが進んだ首都圏事業所の好調等でビジネスホテル事業が4億15百万円の増益(既存事業所の収益改善3億51百万円、開業負担の減少等64百万円)、リゾートホテル事業が3億77百万円(既存事業所の収益改善3億93百万円、開業負担増等 △16百万円)。尚、同社は、サービス産業生産性協議会 2012年度JCSI(日本版顧客満足度指数)によるビジネスホテル部門で顧客満足度第1位を受賞した他、J.D.パワー アジア・パシフィックによる2012年日本ホテル宿泊客満足度調査SMの1泊9,000円未満部門においても宿泊客満足度ランキング 第1位を受賞した。
その他 売上高122億67百万円(前年同期比1.7%増)、損失2億89百万円(前年同期は1億27百万円の損失)
食堂・給食受託部門の収益改善でフーズ事業が増収・損失減、ビル賃貸部門の大口解約で総合ビルマネジメント事業が増収ながら損益悪化(利益→損失)、開発物件の売上計上が下期に移行したデベロップメント事業が減収・損益悪化(利益→損失)。PKP事業は増収ながら先行投資で損失が増加した。
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
CFの面では、税金費用が増加したものの(9億45百万円→15億41百万円)、利益の増加とたな卸資産を中心にした運転資金の減少等で営業CFのマイナス幅が縮小したが、有形固定資産の売却減少と敷金保証金の差入による支出増で投資CFのマイナス幅は拡大した(12/3期上期の財務CFのマイナス幅が大きいのは社債の償還による)。 上期の設備投資は14億92百万円(前年同期25億65百万円)、減価償却費は14億62百万円(同16億69百万円)。通期で約60億円の不動産流動化を予定している(11/3期約140億円、12/3期約48億円)。 ※ 格付の引き上げ
12年10月23日に、(株)日本格付研究所(以下、JCR)が(株)共立メンテナンスの長期発行体格付を「BBB-」から「BBB」に引き上げた。長期発行体格付の引き上げのポイントは次の3点。
②ホテル事業は、集客強化とともにコストコントロールなどマネジメント強化の効果が表れており、収益源として確立したといえること(ホテル事業の収益基盤の確立)。 ③寮及びホテルの新設投資は継続的に行われているものの、従前よりも財務バランスを考慮しつつ実施されており、その効果も顕現していること(財務バランスの改善)。 |
2013年3月期業績予想 |
通期業績予想に変更は無く、前期比9.7%の増収、同5.4%の経常増益
売上高は前期比9.7%増の1,000億円。新規開業事業所の寄与等で寮事業及びホテル事業の売上が増加する他、PKP事業を中心にその他の事業の売上も伸びる。ただ、利益面では、値上げ等による水道光熱費の増加、共立メンテナンスのブランド確立に向けた戦略的な広告宣伝費の投下、システムの償却費増、更には障がい者雇用を目的とした特例子会社の設立に伴う業務委託費用等を織り込んだ結果、営業利益が同1.9%の増加にとどまる見込み。また、上期の営業利益が2億73百万円期初予想を上回ったが、この上振れ分を活用してホテル事業のリニューアルを前倒しで行う考え(ビジネスホテルで約2億円、リゾートホテルで約1億円)。設備投資は36億90百万円(前期39億57百万円)を計画しており、減価償却費は35億69百万円(同34億29百万円)を織り込んだ。
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