ブリッジレポート:(6890)フェローテック vol.35
(6890:JASDAQ) フェローテック |
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企業名 |
株式会社フェローテック |
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社長 |
山村 章 |
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所在地 |
東京都中央区日本橋 2-3-4 日本橋プラザビル |
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決算期 |
3月 |
業種 |
電気機器(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2012年3月 | 60,088 | 4,124 | 3,287 | 1,715 |
2011年3月 | 57,880 | 6,931 | 6,290 | 4,483 |
2010年3月 | 31,541 | 703 | 524 | 156 |
2009年3月 | 36,653 | 2,790 | 2,097 | 743 |
2008年3月 | 36,625 | 3,057 | 2,414 | 1,903 |
2007年3月 | 32,517 | 2,288 | 2,081 | 1,703 |
2006年3月 | 23,946 | 1,210 | 1,040 | 708 |
2005年3月 | 21,105 | 1,762 | 1,456 | 633 |
2004年3月 | 15,000 | 615 | -177 | -645 |
2003年3月 | 12,845 | 111 | -626 | -899 |
2002年3月 | 14,775 | 916 | 984 | -357 |
2001年3月 | 16,435 | 2,665 | 2,561 | 1,644 |
2000年3月 | 7,988 | 892 | 629 | 288 |
株式情報(11/30現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【事業セグメント】
事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の装置関連事業、サーモモジュール応用製品が中心の電子デバイス事業、及びシリコン結晶製造装置や装置に使われる坩堝等の太陽電池関連事業に分かれ、12/3期の売上構成比は、それぞれ41%、9%、46%、その他4%(ソーブレード、装置部品洗浄、工作機械等の報告セグメントに含まれない)。尚、シリコン結晶製造装置には、装置関連事業の主力製品である真空シールが主要部材として使われており、これまで蓄積してきた技術やノウハウが活かされている。
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事業構造改革 |
【事業構造改革プランの概要】
不採算となった太陽電池関連事業を縮小すると共に、人員の削減と緊急対策としての役員報酬の減額及びその他人件費の削減を実施する。
(1)太陽電池関連事業の縮小
シリコン結晶製造装置及び消耗品群の一部製品の生産を縮小する他、太陽電池用シリコン事業において、ウエーハ・セルの製造・販売から撤退し、シリコンインゴッドは自社ブランド品の製造・販売から撤退しリスクの無い受託生産に専念する。
①シリコン結晶製造装置 :一部製品の生産縮小
主な製品は、単結晶引上装置、多結晶製造装置、角切りソー装置等で、いずれも生産性の悪い旧型からの買い替え需要が見込まれるものの、資金繰りの悪化で代金回収が不透明な取引先が多いため現在は積極的な販売を控えている。このため、生産を大幅に縮小すると共に部品・部材在庫の評価減及び除却を実施する。尚、中期的な観点から、省エネ化等の付加価値機能の研究開発投資は継続する。
②消耗品群 :一部製品の生産縮小
主な製品は、石英坩堝、ホットゾーン等で、いずれも単結晶引上装置ユーザー向けの消耗品だが、ユーザーの生産調整に伴い需要が低迷している。このため、大手太陽光パネルメーカーが破たんした米国での坩堝製造から撤退(工場閉鎖)すると共に、中国坩堝工場も坩堝製造装置を削減する(これに伴い製造装置の減損等を実施する)。
③太陽電池用シリコン :自社ブランド品の撤退
主な製品は、シリコンインゴット、シリコンウエーハ、セル等で、いずれも製品価格の下落が続いており、原価を下回る逆ザヤ状態が続いている。このため、自社ブランド品事業から撤退し、委託先が原材料となるポリシリコンを調達し同社が生産を請け負うシリコンインゴットの受託生産に特化する。
【今後の事業方針】
シリコン結晶製造装置や消耗品の生産縮小と太陽電池用シリコンのビジネスモデルの転換により太陽電池関連事業の収益性改善を図ると共に、ニッチ市場で高シェア製品群を有する装置関連事業及び電子デバイス事業で着実に収益を上げる事で14/3期に黒字転換を達成し、15/3期以降の成長軌道への回帰を目指す。
電子デバイス事業
主力のサーモモジュールは、高性能材料を使用した新製品を積極的に投入していく考えで、自動化ラインの増設により安定した製品供給とコスト低減にも取り組む。また、現在、自動車向けが大半を占める米国市場において、通信、医療、バイオなど高機能製品需要を掘り起こすべく、直販体制を強化する(これまでは代理店販売)。この他、需要旺盛なパワー半導体向けDCB(Direct Copper Bonded)基板の品質向上と生産能力増強に取り組み、主要市場である日欧での拡販を図る。尚、DCB基板とは、セラミックス基板に銅回路版をDCB法で接合した放熱用絶縁基板で放熱性に優れる(サーモモジュールで培った接合技術を活かす事ができる)。
太陽電池関連事業
需要が減少しているシリコン結晶引上装置等の結晶製造製品は、ランニングコストが低い省エネ型製品やリチャージ機能を付加した製品開発に留める。一方、シリコン製品は、自社ブランドから撤退し、シリコンインゴットの受託生産に特化する。この他、消耗品である石英堆塙は、太陽電池向けの他、半導体向け製品の製造も進める。
その他事業(非報告セグメント)
中国市場向け事業として手掛けている加工機の受託生産、表面処理(メッキ・部品洗浄)、ソーブレードなど比較的景気に左右され難い事業の集積により収益基盤を強化する。また、来期投入の新製品として、スマートフォン向けのガラス加工機及び研磨機、サファイヤ用コアドリル及び研磨機の準備を進めている(いずれも、受託加工事業用に内製したNCルーターやNC旋盤等のノウハウが活かされている)。この他、シリコン結晶製造装置で培った結晶炉技術を活かしLED基板用途のサファイヤ炉の開発を進める。
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2013年3月期上期決算 |
前年同期比43.9%の減収、27億11百万円の経常損失
売上高は前年同期比43.9%減の200億48百万円。半導体関連業界及び太陽光関連業界の不振で装置関連事業、太陽電池関連事業、及び電子デバイスの主要3セグメントで売上が大きく落ち込んだ。
尚、上記の通り大幅な営業損失となったものの、金銭的支出を伴わない費用及び評価損が大半を占めたため、営業キャッシュ・フローは1億57百万円の流出にとどまり(前年同期は24億60百万円の流入)、資金面でのダメージは少なかった。 (2)セグメント別動向
装置関連事業
売上高95億09百万円(前年同期比35.3%減)、セグメント利益1億40百万円(同92.5%減)。真空シール(43億52→24億27百万円)、石英製品(32億65百万円→17億43百万円)、EBガン・LED蒸着装置(22億62百万円→12億83百万円)、セラミックス(23億24百万円→21億48百万円)、及びウエーハ加工(24億93百万円→19億09百万円)と全ての製品及びサービスで売上が減少した。ただ、スマートフォン用半導体の微細化設備投資向けの石英製品、セラミックス製品等、製造プロセスに使用されるマテリアル製品や、スマートフォン用通信制御IC向けの電子ビーム装置(米国子会社製品)等、堅調な製品もあった。
太陽電池関連事業
売上高70億22百万円(前年同期比57.8%減)、セグメント損失23億93百万円(前年同期は9億84百万円の利益)。最大の需要地だった欧州で各国政府よる支援等が削減された事と最大の生産国中国での過剰生産で世界的に需給バランスが崩れ、製造装置や消耗品の需要が減少し、シリコン製品の価格下落が続いた。売掛金の回収に懸念のある一部取引先の売掛金に対して貸倒引当金を計上した事、及び販売見合わせとなった装置部材やポリシリコンの在庫評価損を計上した事等で損失が拡大した。
電子デバイス事業
売上高21億95百万円(前年同期比31.8%減)、セグメント利益1億15百万円(同78.1%減)。当セグメントはサーモモジュール応用製品の売上が大半を占める。半導体製造装置向けの減少等で減収・減益となったが、季節商品等がやや軟調だった民生機器向けを除き、想定の範囲内。主力の自動車温調シート向けは増加しており、高級車向けの新規案件も立ち上がりつつある。
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
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2013年3月期業績予想 |
下期は売上高189億51百万円、四半期純損失21億42百万円を見込む
売上高は前年同期比22.2%減の189億51百万円。自動車温調シート向けサーモモジュールを中心に電子デバイス事業の売上が増加するものの、太陽電池関連事業の売上が大きく落ち込む他、半導体市場の回復が見込めず装置関連事業の減収傾向も続く見込み。損益面では、製品販売の伸び悩みを踏まえて、10年7月に取得したピュアシリコン製品の特許権の減損1億64百万円を売上原価に織り込んだ他、日欧米での希望退職募集に係る特別退職金2億22百万円、中国杭州における坩堝事業合理化に伴う旧型設備の廃棄損1億04百万円、米国坩堝工場の追加清算損85百万円等を特別損失に計上する予定。ただ、太陽電池関連事業の構造改革に伴い発生する一時的な損失の大半が上期に計上されているため、下期の最終損失は上期ほどには膨らまない見込み。 通期予想は売上高390億円(前期比35.1%減)、当期純損失83億円(前期は17億15百万円の利益)
期初予想を下回った上期実績及び下期実施分の「事業構造改革プラン」の影響を織り込み、通期業績予想が下方修正された。為替の前提は、米ドルが1ドル=78円(前期79.6円)、元が1元=12.8円(前期12.3円)。配当は1株当たり5円の期末配当を予定している。尚、子会社が12月決算のため、「事業構造改革プラン」の実施に伴う太陽電池関連事業の収益性改善効果は14/3期以降に顕在化する見込み。 |
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