08/3期以降は、光ファイバー対応IP電話「FTフォン」の販売が一巡する中、リーマンショック、その後の景気悪化、更には東日本大震災と、同社のターゲットである中堅・中小企業を取り巻く環境が厳しさを増した。足元、回線利用にかかる継続収入が下支えとなり一定の利益水準を維持しているものの、閉塞感は否めない状況にある。
この状況を打破し、成長軌道への回帰を図るべく開発したサービスがホワイトビジネスフォンパック(WBP)である。WBPは、固定回線サービス、携帯電話サービス、IP電話サービス、及びブロードバンド接続サービスを一つのパッケージとして商品化し、このサービスの利用に必要な携帯電話(IP電話機)及びゲートウェイ装置も合わせて提供する。固定回線サービスと携帯電話サービスを融合し(FMC)、オフィスの置型電話を整理する事で利便性を損なわずに通信費の削減を実現するサービスであり、必要な機器も同社グループが提供する。
WBPを構成する実際のサービス及び商品が、スマートフォンを利用したFMC(Fixed Mobile Convergence:固定電話と携帯電話の融合)サービス「2way Smart(ツーウェイスマート)」(11/3期販売開始)及び独自開発の携帯電話対応アプリのIP電話機、光ファイバーによる超高速ブロードバンドサービスを介してクラスA(固定電話同等品質)という最高水準による高品質音声(電話)を実現した法人向けIP電話サービス「スマートひかり」(12/3期発売開始)、そして独自開発のゲートウェイ装置「SWIFT BOX」(13/3期発売開始)である。
(1)スマートフォンを利用したFMCサービス「2waySmart(ツーウェイスマート)」
「2waySmart」では、1台のスマートフォンが、社外では携帯電話として、社内では内線電話として利用できる。このため、社内のビジネスフォン(固定の電話機)が不要になり、また、回線を引き回す必要も無いため、オフィスをスマートにする事ができる。
(2)法人人向けIP電話サービス「スマートひかり」
12/3期に販売を開始した「スマートひかり」は光ファイバーによる超高速ブロードバンドサービスを介してクラスA(固定電話同等品質)という最高水準による高品質音声(電話)を実現した法人向けIP電話サービス。全国一律のわかり易い料金プランとスマート(リーズナブル)な通話料金を特長とする。
(社)電気通信事業者協会の「テレコムデータブック2010(TCA編)」によると、固定電話からの発信(国内向け通話)の79%は2分以内。このデータを基に「スマートひかり」の通話料金(税別、以下同じ)は全国一律2分5.5円に設定されている(大手キャリアでは市内3分8.5円、県内市外3分20~40円等)。また、携帯電話向けは全キャリア一律で60秒16円(同20~40円)、国際電話は米本土で60秒2.5円(同60秒60円等)。また、従来であれば個別契約が必要だった、音声通話(基本3通話で追加可能)とプロバイダー一体型の光インターネット接続料(最大で下り100Mbps)が一本化(ワンビリング)されているため事務の負担も軽い。更には、万が一、光回線が障害を起こした場合でも、自動迂回着信機能を備えているため、事前に指定した番号に着信する。
(3)ゲートウェイ装置「SWIFT BOX」
12年4月23日に「SWIFT BOX(スイフトボックス)」の販売を開始した。「SWIFT BOX」はIP電話システム(IP-PBX、IP電話主装置)とオールインワン型ネットワークセキュリティシステム(UTM、総合型脅威管理システム)を融合したハイブリッドな通信&セキュリティ・ソリューション。
投資を抑えてセキュアかつ効率的なIP統合オフィス環境を実現
「SWIFT BOX」は、IPビジネスフォンとネットワークセキュリティという異なる分野の機能を世界で初めて一体化(同社調べ)する事で、IPネットワーク上で制御される端末のほとんどを1台でコントロールできるようにした。価格は従来の総合型脅威管理システムと同程度の価格に設定されているため、従来の総合型脅威管理システムへの投資と同額で、セキュアかつ効率的なIP統合オフィス環境を実現できる。
BYOD(Bring Your Own Device)対応による高い利便性
「SWIFT BOX」は、iPhone やAndroid といったスマートフォンやタブレット等の端末もコントロールできるため、社員が持っているスマートフォンをそのままオフィスの内線電話として使う事ができ(BYOD対応)、スマートフォンから会社の代表番号での発信や会社の代表番号にかかってきた電話をスマートフォンでとる事もできる。このため、オフィス内のビジネスフォンの内線電話が不要となりコスト削減が可能であり、また、配線コードが不要になるためオフィスのレイアウトも自由自在。また、社内で利用しているアプリケーションを、机を離れている時や社外にいる時でもセキュアに利用する事ができるため(クラウド環境下で利用)、業務の大幅な効率化&高度化にも役立つ。
尚、現在「SWIFT BOX」は特許出願中(特願2012-35836号)だが、今後もIP統合環境における更なる機能拡張に取り組んでいく考え。
(4)既存の顧客資産の活用と光通信グループによる新規顧客の開拓で成長軌道へ回帰
「2way Smart」、「スマートひかり」、及び「SWIFT BOX」は、いずれも高い利便性を有する事に加え、コスト面での優位性も顕著なだけに今後の収益貢献が期待される。実際、従来の回線リセールや「FTフォン」で積み上げてきた顧客資産を活用する事で一定量の販売が見込める上、営業力に優れる光通信グループの営業が軌道に乗れば新規顧客の開拓にも弾みが付こう。
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