ブリッジレポート
(2317) 株式会社システナ

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ブリッジレポート:(2317)システナ vol.17

(2317:東証1部) システナ 企業HP
逸見 愛親 社長
逸見 愛親 社長

【ブリッジレポート vol.17】2013年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「カテナ(株)を吸収合併して3年目に入り、事業部門間の連携強化が進んでおり、ALLシステナとしての総合営業体制が確立されつつある。第2四半期・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年8月21日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社システナ
社長
逸見 愛親
所在地
東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング14階
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 30,630 1,822 1,918 904
2011年3月 39,176 2,579 2,661 2,957
2010年3月 3,636 490 536 340
2009年10月 8,161 1,261 1,258 1,180
2008年10月 9,603 1,816 2,153 1,275
2007年10月 7,930 1,595 1,555 849
2006年10月 5,917 961 967 602
2005年10月 4,180 717 691 561
2004年10月 3,093 677 643 391
2003年10月 2,461 516 511 280
2002年10月 1,940 398 380 196
2001年10月 1,524 180 175 93
株式情報(8/15現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
62,400円 278,444株 17,375百万円 6.6% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
3,000.00円 4.8% 5,977.00円 10.4倍 46,185.41円 1.4倍
※株価は8/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
システナの2013年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
2010年4月1日に(株)システムプロが、持分法適用会社だったカテナ(株)を吸収合併して誕生。旧(株)システムプロのモバイル端末のほぼ全ての工程に係る技術・ノウハウとオープン系技術、旧カテナ(株)の金融分野の業務知識と基盤系技術を融合した事業展開により新たな領域の開拓を進めている。グループは、同社の他、連結子会社4社、持分法適用会社3社。
 
【事業内容】
ソリューションデザイン事業
「モバイル高速データ通信事業本部」と「情報システム事業本部」を統合し、13/3期より新たにセグメントした。スマートデバイスを中心にデジタル製品の開発工程全般に携わるプロダクトソリューション、旧モバイル高速データ通信事業のスマートデバイスソリューション、SI業務と旧情報システム事業のオープン、Web、基盤業務を融合したサービスソリューション、金融系(生損保及び銀行)基幹システムの開発を手掛ける金融ソリューションの3つのソリューションに分かれる。
 
ITサービス事業
システムの保守・運用、データ入力、及びヘルプデスク・ユーザーサポートを手掛ける。主要顧客は電機メーカー、外資系企業、官公庁等。
 
ソリューション営業
ITプロダクト(サーバ、PC、周辺機器、ソフトウェア)の販売やシステムインテグレーションを手掛ける。ITサービス事業と一体となって営業展開を進め、所有から利用(クラウド等)へのニーズの変化に対応する事で事業拡大、高付加価値化を図っている。主要顧客は電機メーカー、外資系企業。
 
クラウド事業
パブリック・クラウドに特化し、代表的なクラウド型グループウエア「Google Apps for Business(以下、Google Apps)」やワープロソフト等のOffice製品やサーバ製品をクラウド型で提供する「Microsoft Office 365」のコンサルティングや導入支援を行うと共に、同社の独自サービス「cloudstep」の提供を行う。「cloudstep」とは、「Google Apps」や「Microsoft Office 365」等のクラウドサービスの使い勝手を向上するための業務アプリケーションや運用者向けの管理ツール等を同社独自のソリューションとして展開するサービス群。
 
コンシューマサービス事業
連結子会社である(株)GaYaが手掛けるスマートフォン向けのBtoB、BtoCビジネス企業向けの開発支援、SNS向けゲームコンテンツの開発・提供に係る収益が主にセグメントされている。
 
 
中期3カ年計画
 
現在、15/3期を最終とする「中期3カ年計画」が進行中である。医療、社会インフラ、エアー・クラウド、SNS、アジアマーケット等の高成長市場への新商材・新サービス・新コンテンツの投入により、3年間で売上高成長率35%以上、営業利益2.5倍以上の達成を目指している。
 
(1)計画の概要
同社は2010年4月のカテナ(株)との合併以降、構造改革を進めてきた。結果として財務体質が改善され、攻めの経営に転じる準備が整った。
初年度の13/3期は「種まきの年」と位置付け、①人材採用強化、②新商材・新サービス・新コンテンツの開発、③業務提携・M&A戦略の強化、④新ビジネスモデルへの挑戦、⑤海外進出と開発拠点強化に取り組む。①人材の採用については、これまでのシステムエンジニア中心の採用に加え、営業職の採用を強化しており、②新商材・新サービスの開発については、ソリューションデザイン事業とソリューション営業の連携強化及びITサービス事業とソリューション営業の統合を進め「ALLシステナ」のシナジーを高めていく。続く14/3期は新商材・新サービス・新コンテンツ・新ビジネスモデルの「芽生えの年」とし、最終の15/3期は、これらが収益の柱に育つ「開花の年」との位置付けで、売上高420.1億円(12/3期比1.4倍)、営業利益50.2億円(同2.8倍)、営業利益率12.0%(同2倍)の達成を目指す。
 
 
(2)新商材・新サービス
ソリューションデザイン事業
注力分野は、医療分野、社会インフラ分野、及びエアー・クラウド分野の3分野。医療分野については、グループ会社の北洋情報システム(株)が持つ電子カルテシステムの投資育成に取り組む。同製品は競合商品と異なり、日本医師会標準レセプトシステム「ORCA」との接続機能を標準搭載しているため、初期投資を抑える事ができる(競合商品の半値以下での提供が可能。前期の導入実績は4件)。社会インフラ分野については、デジタルサイネージ「Totally Vision」と公共向けM2M(Machine-to-Machine)ソリューションに取り組んでいる。「Totally Vision」は既に公共施設での導入実績を有し、M2Mソリューションについても、電子メーカーと共同で被災地向けのシステムを手掛けている。また、旧モバイル高速データ通信事業で培ったノウハウを活かしたエアー・クラウド分野では、プロダクトの提案を通して顧客のシステム開発案件を受注し、導入までの一括請負につなげていく。
 
ITサービス事業
インシデント管理ツールの顧客企業への導入に取り組んでいく。インシデント管理ツールは、ヘルプデスクに寄せられる問合せをデータベース化し、問題解決の円滑化を図るツールであり、単にヘルプデスク業務の請負ではなく、情報や顧客の要望を管理する事で新たな商材を生み出し顧客に提案していく。この他、グローバルサービスとしての顧客が海外に拠点を立ち上げる際のITインフラ環境の構築を支援や広域・リモート支援としてのBCP対策サービスにも注力し、パートナーと共に全国展開を図っていく。
 
ソリューション営業
DC(データセンター)ソリューション、VDI(仮想デスクトップ)ソリューションに取り組んでいく。前者は、DCを安価で借り上げ、顧客のDCを移設するものであり、営業部隊を新設し、積極的に展開していく。また、VDIとはPC環境を仮想化してサーバに集約するもの。VDIソリューションは合併後のシナジー効果が期待できる商材である。この他、オープンソースソリューション、モバイルデバイスソリューション、MSクラウドソリューションにも取り組んでいく。
 
クラウド事業
「Google Apps」のソリューションと同社独自ソリューションの「cloudstep」を融合し、グループウエアのマーケットでシェアアップを図る。
 
 
2013年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比2.4%の減収、同10.9%の経常減益
売上高は前年同期比2.4%減の73.6億円、営業利益は同7.3%減の4.4億円となったが、これは前期実績に子会社・東京都ビジネスサービス(株)における現在係争中の案件の売上高および利益が含まれているためであり、実質は増収増益である。主力のソリューションデザインが堅調に推移した他、BCP対策を軸にサービスメニューを拡充したソリューション営業の売上も増加した。受取賃料の減少による営業外収益の減少や、事業譲渡益(380百万円)が無くなった事による特別利益の減少で四半期純利益は2.5億円と同49.0%減少した。
 
 
ソリューションデザイン事業  売上高32.5億円、セグメント利益3.3億円
3つのソリューションが堅調に推移したものの、先行投資負担が利益を圧迫した。プロダクトソリューション(旧モバイル高速データ通信事業の組込み開発・評価業務)については、通信キャリアにおいて、端末の企画・開発、基地局・端末の品質検証、更にはプラットフォーム開発や性能改善等で受注が伸びており、開発案件が縮小傾向にある端末メーカー向けも、通信キャリアへの品質担保の観点から減らす事ができない品質検証案件が堅調に推移した。また、Androidの非携帯分野では、Androidスマートフォン開発の豊富な実績とノウハウが評価され、家電や車載端末の案件がスタートした。

事業統合のシナジーが最も期待されるサービスソリューション(旧モバイル高速データ通信事業のスマートデバイスソリューション、SI業務及び旧情報システム事業のオープン、Web、基盤業務)においては、従来のSI、オープン、Web、基盤業務が押し並べて堅調に推移。また、デジタルサイネージソリューション「TotallyVision」が、高知競馬場での試験導入及び名古屋競馬場での本導入と順調に進んだ(今後、北海道、兵庫、高知での本格導入も予定されている)。また、スマートデバイスと高速無線通信の急速な普及を追い風に企業(特に金融機関)向けのスマートデバイスソリューションやコンシューマー向けのアプリ・コンテンツサービスも順調だった。

金融ソリューション(旧情報システム事業の金融系ホスト開発・保守)では、保険会社の統合対応等の大型案件が進捗している。

この他、従来からの中国オフショア合弁会社(iSYS)に加え、機密性・保守性の高い領域における開発向けにグループ会社との連携による国内ニアショア開発の提供も開始した。
 
ITサービス事業  売上高10.5億円、セグメント利益55百万円
前述の子会社・東京都ビジネスサービスにおける減少要因により前年同期比で減収・減益となったが、BCP(事業継続計画)対策を念頭に置いたシステム更新提案、リスク管理案件に対する営業強化、更にはソリューション営業本部の顧客に対する機器選定から基盤構築、運用・保守までのALLシステナ体制の収益性の高いサービス提案に注力した結果、OSのアップグレード案件やスマートデバイス端末の導入案件等の取り込みに成功した。
 
ソリューション営業  売上高29.6億円、セグメント利益68百万円
クライアントPC及びサーバの仮想化やバックアップサービスにITサービス事業のリモート保守運用サービスを付加する等、BCP対策を軸にサービスメニューを拡充した。この効果が現れた他、メーカーとの協業により、Windows7へのリプレイスとキッティンサービスをセットにした提案がPCの販売増につながった。
尚、国内パソコン出荷台数が減少する中で、同社のPC販売は前年同期比35%増加。特にレノボ社製品の販売に関しては、レノボ・ジャパン(株)から優秀販売店上位6社(販売台数で国内5位)に選ばれ、「Lenovo Excellent Reseller Award」を受賞した。
 
クラウド事業  売上高82百万円、セグメント損失1百万円
東日本大震災によるBCP対策をきっかけに企業システムのクラウド化が進んだ事や、クラウドサービスそのものの利用メリットを実感した顧客が積極的にクラウド化を推進した事等で引き合いが増加した。主力取扱商品の「Google Apps」(クラウド型での利用に適したメールやカレンダーに代表されるコミュニケーションツール)は既存グループウエアからの全面移行を目的として導入する企業が増えているため、ワークフロー、グループスケジューラーの機能拡張や組織階層型アドレス帳、認証基盤等の新たな機能を追加した同社の独自サービス「cloudstep」シリーズとのセット販売の強化に取り組んでいる。
 
コンシューマサービス事業  売上高10百万円、セグメント損失7百万円
今期はSNSゲームを6タイトルのリリースを計画している。開発は順調に進んでおり、1本目を4月27日にリリースし、2本目を9月中にリリースする予定。
 
 
 
2013年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更は無く、通期で前期比6.5%の増収、同49.5%の経常増益が見込まれる
「ほぼ予想通りに推移している」として、業績予想に変更は無かった。
先行投資が続いていたクラウド事業及びコンシューマサービス事業の売上が大きく伸びる他、スマートフォンやAndroidの非携帯分野が好調なソリューションデザイン事業や物販営業からソリューション営業への体質改善が進むソリューション営業の売上も増加する。一方、ITサービス事業では売上の減少を見込んでいるが、これはキッティング業務をソリューション営業に移管した影響や前期の東京都ビジネスサービス(株)の実績に係争案件の売上約5億円が含まれていたため。係争案件の支払いが行われれば、営業利益を最大で3.4億円押し上げる。
配当は1株当たり100円増配の年3,000円を予定。
 
 
 
今後の注目点
カテナ(株)を吸収合併して3年目に入り、事業部門間の連携強化が進んでおり、ALLシステナとしての総合営業体制が確立されつつある。第2四半期(7-9月)は、第1四半期とほぼ同様の推移となる見込みだが、下期以降、これまでの取り組みの成果が売上高及び利益に本格的に反映されてくる見込み。