ブリッジレポート
(6465) ホシザキ株式会社

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ブリッジレポート:(6465)ホシザキ電機 vol.2

(6465:東証1部,名証1部) ホシザキ電機 企業HP
鈴木 幸彦 社長
鈴木 幸彦 社長

【ブリッジレポート vol.2】2012年12月期第1四半期業績レポート
取材概要「通期予想の進捗率は、第1四半期終了時点で売上高で25.1%、経常利益で32.9%と大変好調だ。震災の復興需要が予想以上に根強かったことも・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年8月14日掲載
企業基本情報
企業名
ホシザキ電機株式会社
社長
鈴木 幸彦
所在地
愛知県豊明市栄町南館3-16
決算期
12月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年12月 169,297 13,808 13,750 7,220
2010年12月 169,379 13,842 13,058 8,884
2009年12月 160,291 8,738 9,455 4,896
2008年12月 170,281 9,364 7,144 4,209
2007年12月 178,379 9,770 9,768 3,546
2006年12月 86,793 3,861 4,586 1,939
2006年6月 34,106 2,971 3,521 1,629
2005年11月 51,231 4,463 4,854 3,204
株式情報(6/20現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,963円 72,117,811株 141,567百万円 6.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 1.5% 101.22円 19.4倍 1,585.30円 1.2倍
※株価は6/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
ホシザキ電機の2012年12月期第1四半期決算概要などについてブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
外食産業、病院・老人健康施設、学校・保育園、スーパー、コンビニ、オフィスなどを顧客とし、製氷機、業務用冷蔵庫を始めとした業務用厨房機器の研究・開発・製造・販売を行っている。
製氷機、業務用冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサなどの主力製品では国内トップシェア。製氷機に関してはグローバル市場でもトップシェアである。
独自の製品開発力、高品質、強力な営業力、迅速できめ細かなサービス&サポート体制などが強みであり、同業他社に対する大きな優位性となっている。
海外売上高比率は21.9%(2011年12月期)。ホシザキ電機を含まない連結グループ会社は国内17社、北中米13社、欧州・アジア等16社の合計46社。工場は国内9、中国1、北中米4、欧州2とグローバルでの生産体制を構築している。国内営業体制は、北海道から沖縄までの15販売会社及びその431営業所によって日本全国をカバーしている。また海外では北中米、ヨーロッパ、アジア・オセアニアに、100%独資の販売会社を配置し、全世界を幅広くカバーできる体制を整備している。
 
 
 
2012年12月期第1四半期決算概要
 
 
売上高増加及び利益率改善施策が寄与し、増収・増益。
売上高は前年同期比+5.0%の429億円。震災の復興需要が引き続いていることに加え、順調な新規顧客開拓により国内販売が好調だった。利益面では、国内において人件費の増加があったものの、売上高増加及び積極的な売上総利益率改善施策(原価低減、仕入商品の購買管理強化等)にてカバーし、利益率が上昇、大幅増益となった。
 
 
(国内)
東北地方の復興需要が1月以降も引き続いていることに加え、製品別では、縦形冷蔵庫「Zシリーズ」、テーブル形冷蔵庫「Fシリーズ」など省エネタイプの業務用冷蔵庫が好調だった。
顧客先では、同社が「プラス領域」と呼び積極的な開拓を目指している、病院や老人健康施設、コンビニといった飲食店以外の顧客開拓が順調だった。
一方、飲食店マーケットも決して悪い状況ではなく、震災の影響でストップしていた出店が再開されるなど回復基調とみられる。

利益面では、主力製品の売上高増加やコストコントロールが寄与し、国内の営業利益率は2.8ポイント上昇。前年同期比+52.3%の大幅な増益となった。
 
(海外)
国内売上が前年同期比+6.3%であったのに対し、海外売上は同-1.1%の減少だった。(ただし、為替の影響を除くと+3.3%の増収となっている。)
製品別では業務用冷蔵庫が好調だ。同社では、「業務用冷蔵庫世界シェアNo.1」を中期的な目標として掲げ、海外市場での拡販に注力しているが、その成果が出始めている。
また、規模はまだ小さいながらも成長市場として期待するアジア向けの売上は、現地通貨ベースでは3割以上の高い伸びとなっている。
債務危機問題が懸念される欧州市場は、第1四半期の時点では大きな影響は出ていないようだが、第2四半期以降については慎重に見ているとのことだ。
 
 
総資産は前期末比58億円増加した。内訳としては、流動資産は、現預金38億円減少の一方、売上債権48億円増加等で45億円の増加。固定資産は、有形固定資産9億円の増加などで、13億円増加した。
負債は、仕入債務30億円の増加、賞与引当金 23億円の増加などで41億円増加した。純資産は、利益剰余金や為替換算調整勘定の増加等により16億円増加した。
 
(4)トピックス
◎中国において持株会社を設立
2012年3月5日に営業許可証を取得し、中国における持株会社設立手続きが完了した。
 
 
同社グループは、中国において上海、香港(共に販売会社)及び蘇州(生産会社)に子会社を設けており、上海、北京、広州、瀋陽、武漢、蘇州、福州、杭州、成都、香港、大連、深圳、青島、厦門、重慶、の15ヶ所に営業拠点を展開している。
中国国内の売上高は、まだ規模は小さいものの急速に成長しており、蘇州の生産子会社では、2014年12月期の生産能力を2010年12月期実績比で約4倍まで増強するための設備投資を計画している。

こうした状況の下、今後も成長が見込める中国において、ビジネスリスクの低減を図りながら更なる事業の拡大を推進するためには中国国内に持株会社を設立することが適切と判断し、昨年より準備を進めてきた。

今後は、この持株会社を中心に、中国国内のグループ会社の事業統括、提携・買収の推進、ファイナンス、ガバナンス等を戦略的に強化することにより、事業戦略の整合性を確保し、シナジー効果を最大限に発揮することで、中国におけるより一層の事業拡大を目指していく考えだ。
 
◎業務用冷蔵庫の断熱材をノンフロン化へ
2012年3月より、本社工場において、縦形の業務用冷蔵庫の断熱材に使用する発泡剤を、代替フロンからシクロペンタンに変更した。
(*シクロペンタンは、炭化水素系の化合物で、代替フロンに比べ、地球温暖化に対する影響が極めて少ないと言われている。)

冷蔵庫本体には庫内を保冷するための断熱材が充填されている。断熱材には、地球温暖化に影響を及ぼすとされる代替フロンがこれまで多く使用されてきたが、同社では「社会・環境活動基本方針」に掲げているように、環境に配慮したモノ作りを推進しており、地球温暖化問題解決に向けてノンフロン化を進めるための設備投資を行っている。
2007年に島根県の製造拠点でテーブル形冷蔵庫、冷蔵ショーケースをノンフロンの断熱材に変更したのに続き、今回の本社工場における変更と合わせ、国内製造拠点では主力製品である冷蔵庫の断熱材のノンフロン化を実現している。

同社では今後も自然環境保護への継続的な取り組みを企業の社会的責任と認識し、環境に配慮した製品提供等、事業を通じた社会貢献を果たしていく考えだ。
 
 
2012年12月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更なし
好調なスタートとなった2012年12月期だが、現時点では期初に発表した業績予想に変更はない。

国内売上は、飲食店以外の顧客開拓、下取り強化などにより微増を見込む。
海外売上は、品揃えの強化や商圏の拡大を進め、こちらも微増を想定している。

利益面では、国内においては前期に引き続き原価率低減策を推進するが、人材不足補充を目的とした経費支出が上回る。
海外でも業務用冷蔵庫の初期立ち上げ及び商圏拡大のための先行投資費用を見込んでおり、営業利益、経常利益とも減益を予想している。

為替は、1米ドル=77円、1ユーロ=100円の前提。
期末の為替相場を正確に予測することは困難であるため、為替差損益は見込んでいない。
 
 
今後の注目点
通期予想の進捗率は、第1四半期終了時点で売上高で25.1%、経常利益で32.9%と大変好調だ。
震災の復興需要が予想以上に根強かったこともあるようだが、顧客開拓が順調に進んだのに加え、節電意識の高まりの中で、省エネタイプ冷蔵庫に対するニーズを確実に掘り起こしていることが好決算の主要因のようだ。

同社は、夏場にかかる第2、第3四半期売上高の通期売上高に占めるウェイトが大きいために(2011年12月期では約53%)、会社側は2012年12月期業績予想の見直しは行っていないが、外部環境に大きな変化が無ければ、上振れの可能性が高まっていると言えそうだ。