ブリッジレポート
(1909) 日本ドライケミカル株式会社

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ブリッジレポート:(1909)日本ドライケミカル vol.1

(1909:東証2部) 日本ドライケミカル 企業HP
遠山 榮一 社長
遠山 榮一 社長

【ブリッジレポート vol.1】2012年3月期業績レポート
取材概要「同社は5月15日に本社および首都圏の全社員を対象とした平成24年度キックオフミーティングを開催した。これは社長はじめ、営業本部、開発製造の各・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年6月26日掲載
企業基本情報
企業名
日本ドライケミカル株式会社
社長
遠山 榮一
所在地
東京都品川区勝島1-5-21
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 23,765 1,041 994 404
2011年3月 21,248 738 729 343
2010年3月 21,409 618 580 1,403
2009年3月 23,624 991 1,000 687
2008年3月 10,232 159 165 445
2007年9月 19,756 -38 4 -69
2006年9月 17,024 -222 -204 -229
2005年9月 17,927 48 66 18
株式情報(6/19現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,660円 1,542,060株 4,102 7.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
150.00円 5.6% 267.49円 9.9倍 3,529.65円 0.8倍
※株価は6/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
2011年6月、東京証券取引所市場第2部に株式を上場した日本ドライケミカル(株)について、ブリッジレポートにてご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「消火・防災のプロフェッショナル」として高い評価を受けている国内最大級の防災メーカーであり防災エンジニアリング企業。
一般建築物やプラント向けの消火設備の設計・施工、船舶用消火設備の製造・販売、消火設備の保守・点検サービス、各種消火器・防災製品、消防自動車の製造・販売など幅広く事業を展開。
長年にわたって培われた経験と実績、高いエンジニアリング能力、独自の製品開発力などが強み。
2000年12月上場廃止となったが、2011年6月に再度東京証券取引所市場第2部へ上場。
【沿革】
1955年4月 粉末消火器、粉末消火設備および自動火災報知設備の製造・販売を主業として設立。
1957年3月 旭硝子が資本参加。子会社となる。
1991年9月 東証2部へ上場。
1995年6月 東証1部へ指定替え。
2000年12月   米国の総合セキュリティー・防災メーカーであるタイコインターナショナル社のTOBにより100%子会社となり、上場廃止。
2008年2月 タイコインターナショナル社の投資ポートフォリオ見直しの過程で、保有全株式を大和証券エスエムビーシープリンシパル・インベストメンツ(大和PI社)が取得。
2010年3月 株式上場を視野に取引先を中心に資本政策を実施。大和PI社の持株比率70%へ。
2011年6月 東証2部へ再上場。
2012年2月 取引先を中心に資本政策を実施、大和PI社の持株比率38%へ。
2012年5月 株式会社初田製作所(非上場)との基本業務提携契約締結。大和PI社の持株比率0%へ。
【社長プロフィール】
遠山 榮一社長は、1950年生まれの62歳。
1972年に三菱商事に入社後、経理、財務部門、海外子会社などを歴任後、2004年1月同社入社。2005年8月に代表取締役就任。
認知度・信用力の拡大を通じた企業価値の向上と企業体質の強化を図るために、再上場を目指し同社を牽引。
従来の発想にとらわれない発想で「消火・防災市場」の創造・開拓を目指す。
 
【企業理念・経営方針】
以下の企業理念と経営方針の下、事業を展開している。
 
<企業理念>
①プロフェッショナル
消火・防災のプロフェッショナルとして、人々に安心と安全を提供する。
②パートナーシップ
関係するすべての会社とともに、お客様に最良の製品・サービスを提供する。
③人財育成
変化を捉えて未来を拓く、人を活かし、人を育てる。
④環境
環境にやさしい製品作りを通じ、社会に貢献する。
 
<経営方針>
・コア事業の発展:市場動向の変化に強い企業となるべく消火・防災に関わる事業に集中し、各事業を継続して強化・整備していく。

・事業連携によるさらなる発展:各事業が相互に協力し、情報を提供することでさらなるビジネス機会を創出する。

・経営基盤の強化:人事制度の整備と人財育成、技術部門の集中による開発力向上及び全社横断的な品質保証体制を構築していく。
 
【市場環境】
◎経済産業省の「平成24年 工業統計調査」(平成24年4月6日公表・掲載)によれば、「消火器・消火装置(消防自動車の艤装品を含む)」と「消火器具・消火装置の部分品・取付具・附属品」の出荷額合計は、2010年で568億円となっている。
国内の設備投資サイクルに応じた上下はあるが、1998年の794億円と比較すると、3割弱低い水準となっており、成熟市場と位置付けられる。
 
 
後述のように参入障壁の高い業界であることから新規参入は少ないが、既存企業間でのシェア争いは激しいものとなっている。
 
 
他3社に比べると同社の事業規模は小さいものの、後述のように、同社では国内の「防災」市場は裾野が広く、奥の深いマーケットであると捉えており、従来の延長線上ではない、新市場の創造・開拓にチャレンジしている。
 
【事業内容】
総合防災企業として「防災設備事業」、「メンテナンス事業」、「商品事業」、「車輌事業」の4事業部門から構成されている。各事業において「火を消す」というニーズ全てに対応し、顧客満足度の最大化を図っている。また、新たな顧客ニーズを開拓し、新しいビジネスの開発に結び付けていくという方針を掲げている。
 
<防災設備事業>
売上高の約半分を占める同社の主力事業。建築防災設備、プラント防災設備、船舶防災設備の3分野がある。
どの分野においても顧客の防災・消火ニーズは多様化、大型化、高度化、複雑化している。
同社は、長年培ってきた豊富な実績・ノウハウと高い技術力によって、顧客に対し最適な防災システムを提供している。
 
「建築防災設備」
50年を超える歴史を持つ同社において最も実績のある分野。 対象建築物は、オフィスビル、高層マンション、大型ショッピングセンター、駐車場、トンネルなど。
 
 
最近でも都内の大型再開発において数多くの施工実績を上げている。

同社はこれら建築物の建築主もしくは建築に携わる大手建設会社や設備工事会社から消火・防災設備の設置を受注している。

一般建築物の消火・防災設備は、消防法によってその設置が義務付けられており、設置基準も詳細に定められている。また、設置後の点検に関しても厳格な基準が設けられている。
消防法の歴史は常に強化の歴史であるが、同社はその強化に迅速且つ適切に対応し、大切な人命と貴重な財産を守るという社会的使命を担い、責任を持って遂行。顧客からの高い信頼を獲得してきた。
 
「プラント防災設備」
原子力、火力、ガス、石油、石炭などさまざまなエネルギープラントから、石油化学、医薬、鉄鋼など広範な産業分野の製造工場および倉庫などが対象。
 
 
顧客は電力会社や重電メーカーなど。

エネルギープラントでは、火災が発生し初期消火に失敗すると油流出を伴う大規模火災に発展する恐れがある。そこで、このような火災には大量の消火薬剤を散布できる粉末、泡、ガスといった消火設備が最適である。
同社は、このように、対象物の危険性、特殊性、形状に最も適した消火・防災設備を選択し構築している。
 
「船舶防災設備」
30年の歴史と実績を持つ。
船舶用の消火・防災設備は船舶安全法、海上人命安全条約、船級協会などの規定により設置・点検が義務付けられている。
 
 
自船消火設備として機関室や貨物艙には二酸化炭素消火設備、ガス運搬船甲板部には粉末消火設備、他船消火設備としてタグボートや消防艇には泡水消火設備や粉末消火設備などがある。
対象船舶は大型タンカー、旅客船・フェリー、消防艇など多岐にわたる。
 
<メンテナンス事業>
設置した消火・防災設備もいざというとき確実に作動しなくては何の意味もない。
消火・防災設備の点検は消防関係法令に規定され、最低年間2回の点検が義務付けられている。
同社は消防設備士の資格を持つスタッフによる各種消火・防災設備の保守点検業務およびそこから派生する修繕及び改修工事を行っている。

主要顧客は施主及びビル管理会社など。

同事業については、社会的な要請や防災意識の高まりを背景に成長が見込まれることや収益性の観点から今後とも収益の柱として強化していきたいと考えている。そのためには、幅広く消火・防災の知識を有し、お客様に信頼される人財の育成・強化が必要と認識している。
 
<商品事業>
同社は日本初の粉末消火器を開発したパイオニアであり、以来、研究・開発を重ね、独自の技術で幅広いニーズに応えるさまざまな消火器や防災関連商品を企画・開発している。
 
 
オフィス・工場などに設置される一般的なタイプの消火器のほかに、発電所や石油関連施設などの危険物施設向けの大型消火器、自動車に搭載する消火器、家庭用消火器などさまざまなタイプの消火器の製造・販売を行っている。

1999年には日本で初めてアルミ製容器を市場で最も流通しているABC粉末消火器10型に採用して販売を開始し、その後もアルミ製容器を用いた多くの製品を展開してきている。このアルミ製容器を用いた消火器は、軽くて耐食性に優れ、リサイクル性が高く環境にやさしいという利点がある。現在同社は鉄製以外の容器を用いた消火器においてトップシェアを誇る。

アルミニウム製消火器は、
・鉄製に比べ約20%軽いため、操作性が格段に向上する。
・錆びにくい性質から腐食による破裂を起こしにくい。
・環境にやさしく、ISO14000Sやごみゼロ工場などに適している。
といった特徴がある。

同社はアルミ製消火器の先駆的メーカーであり、アルミ製消火器の国内市場はほぼ独占の状況となっている。
今後は殆どが未だ鉄製である海外市場へ進出していく考えだ。

消火器以外には、火災報知器、避難器具、防災キットなど各種防災用品の仕入・販売を行っている。
 
 
同社は全国14ブロック、計223社の販売代理店で構成されている「エクスチン会」により、全国をカバーする強力な販売体制を構築している。
(「エクスチン」は、消火器の英語「a fire extinguisher」からとっている。)
 
<車輌事業>
消防自動車には、消火栓や河川から水を汲み上げ放水するポンプ自動車、水源のない場所で放水可能な水槽付ポンプ自動車、油火災等の消火を行う化学消防車などさまざまな種類があるが、同社は、消火・防災技術の最先端を結集することで、こうした専門性の高い消防自動車のニーズに対応している。
 
 
同社は、消防ポンプ自動車、水槽付消防ポンプ自動車、化学消防ポンプ自動車の他、支援車、指揮車、小型動力消防ポンプ付水槽車など、各種の消防自動車を製造・販売している。
主要装置の機能の高度化のみならず、自動揚水モニター装置、泡自動混合装置などの電子化、自動制御化も進めることで、操作性・安全性の向上および省力化に貢献している。

車輌メーカーよりトラックシャーシを購入した後、顧客ごとの仕様に合わせた艤装(*室内外の各種装備などを車体に取り付ける工程のこと)を施し消防自動車として納入する。
顧客のほとんどは地方自治体で、交換需要が中心となっている。
競争は厳しいが長年携わってきた中で同社独自のアイデアや技術も具現化してきており、今後も注力していく考えだ。
 
 
強みと特徴
 
同社の事業ドメインである消火・防災業界は、防災設備に関して消防法を始めとする詳細な規定があり、工事・保守点検では消防設備士の資格が必要である。また商品分野においても日本消防検定協会などによる検査の合格が必須であることなどから、参入障壁が高いことが特徴である。

これに加えて同社独自の特徴としては以下の3点があげられる。
 
①長年にわたって培われた経験と実績
同社の創業は1955年4月。今年で57年の歴史を有しており、長年にわたり培ってきた経験と実績に基づく信用力は、今般の再上場によって更に高まっている。
 
②高度なエンジニアリング能力
一般建築物、プラント、船舶など幅広い分野における多数の、そして多様な消火・防災設備の施工実績は、同社の高度なエンジニアリング能力に裏付けられている。
 
③独自の製品開発力
アルミニウム製消火器は同社が業界に先駆けて開発・量産化に成功。現在国内ではほぼ独占状態である。今後も同社オンリーの製品開発を進めていく。

これらに加え、同社の「果敢にチャレンジする姿勢」も見逃せない。
株主の様々な事情はあったものの一度上場を廃止した後、外部の事業環境も、外部監査に耐え得る内部統制・コーポレートガバナンスを要求される社内体制も、最初の上場時(1991年)とは比較にならないほど厳しい中で再度上場を果たしたこと、加えて、資本政策の過程で資本関係を構築した異業種の法人株主とともに、従来の発想に囚われることなく新たな消火・防災マーケットを創造しようという経営戦略は、成熟した防災市場・業界において大いに注目すべきと考える。
 
 
2012年3月期決算概要
 
 
防災意識が高まる中、メンテナンス事業、商品事業が好調で、売上高は前期比11.8%増加の237億円。収益性の高いメンテナンス事業が伸びたことに加え、工場原価の圧縮、経費の削減にも努めた結果、営業利益は同41.1%増加の9.9億円となった。上場費用を営業外費用に計上したものの、経常利益も同36.4%増加した。
ただ、法人税率引下げに関する法律が公布されたことに伴い法人税等調整額が増加したこと等により、当期純利益の増益率は営業利益、経常利益の伸びには及ばず、同18.0%にとどまった。
配当は150円/株を予定。(前期比50円増配。配当性向56.5%)
 
 
・防災設備事業においては、第4Qに大型物件の工事が進捗したことにより増収となったが、粗利が低い案件の進捗により粗利率は低下し、減益となった。
・メンテナンス事業は、改修・補修工事が好調で、利益率も上昇。2ケタの増収・増益であった。
・商品事業は、平成23年4月より、消火器の点検基準が改正され、製造から10年を経過して設置されている消火器の耐圧性能点検(水圧検査)が義務付けられたことによる買い替え需要が発生したこと、東日本大震災に伴う防災意識の高まりによる防災グッズへの需要拡大などで、こちらも2ケタの増収・増益となった。
・車輌事業は、震災関連対応で電力会社に海水送水ポンプ車などを納入。第1Qに機器販売の大型案件があり増収となったが、増益には結びつかなかった。
 
 
売上債権、仕入債務の増加は、3月末が銀行休日だった特殊要因のため。
無形固定資産のうち、のれん*が1,992百万円(2012年3月末)計上されている。のれんの償却期間は20年間で、償却費は年間124百万円。
*のれんは、大和PI社の持株会社を吸収合併したことにより発生。
 
 
 
2013年3月期通期業績予想
 
 
大都市圏の再開発案件、東日本大震災後の復興に伴う工場や建物の新築案件、社会の防災意識の高まりなどプラス部分も期待され、売上高はほぼ横ばいながらも、競争の激化による粗利益率の低下などにより、営業利益、経常利益とも減益を予想している。然しながら、当期純利益では税金費用の減少により増益の予想となっている。
配当は前期同額の150円/株の予想。(配当性向56.1%)
 
 
今後の取組について
 
同社は2012年度のグループ基本戦略を以下のように定めている。
 
 
具体的には、以下のような施策に取り組んでいく。
 
・株式会社初田製作所との包括的業務提携
同社は2012年5月14日、株式会社初田製作所(本社:大阪府枚方市)と基本業務提携契約を締結することを発表した。
初田製作所は同社株式を15%取得し、同社は初田製作所に役員を派遣する。

1947年設立の初田製作所は総合防災企業として長年にわたり事業展開を行っており、特に消火器においては業界シェア第2位の大手。第4位の同社と合わせ、業界トップシェアを目指す。

また、単にトップシェアを目指すだけでなく、共同仕入れや共同開発を行うほか、最重要課題・目的として、初田製作所2か所、同社1か所の消火器製造工場間の連携を図り、生産の合理化、コスト削減を積極的に推進することと認識している。
加えて、消火器の場合は商品の配送に加え、廃消火器の回収という物流も発生するため、このロジスティックスを両社共同で効率化する。これは顧客に対して大きなメリットを与えることができ、顧客満足度の大幅な向上につながるものと考えている。

提携は消火器に限らず、消火設備、メンテナンス、車両など全ての分野におよび、今回の提携は防災業界再編のきっかけになるものと同社では認識している。

・異業種株主とのコラボレーション
東京証券取引所への再上場に至る資本政策の中で同社には、異業種である多数の取引先企業が株主として参加することとなった。
同社ではこれを、新しいビジネスの基軸や商機を得るチャンスと捉えている。

前述のように、防災業界を従来の観点で眺めると、成長を期待するのは難しい成熟市場であるが、同社では「防災」は極めて裾野が広く、まだまだ奥の深いマーケットであると捉えている。
そこで、「環境対応」、「省エネ対応」を一つのキーワードとして(当然、それのみに囚われることなく)、株主である多数の異業種企業とのコラボレーションによって、今までになかった「防災」マーケットを自ら創造・開拓していくことに挑戦していく考えだ。これは同社のみが手にすることができたチャンスであり、他社には持ち得ないこのチャンスを生かすことが同社自身の責務であるとも考えている。

・海外展開
前述のように、国内市場もまだまだ広がりがあると考えている同社だが、海外市場にも自社の特性を活かし、積極的にチャレンジしていく考えだ。
かつての持分比率が100%の株主であった世界的な総合セキュリティー・防災メーカーであるタイコインターナショナル社との友好関係を強化・発展させ、競合他社に対し優位なポジションを築く。
日本のエンジニアリング会社や重電機メーカーが手掛ける海外案件を積極的に取り込んでいく。
また、日本には無い魅力的な海外製品を発掘し、技術評価し、日本市場に導入、販売する。
逆に、アルミ製消火器など優れた自社商品を海外市場でも展開する。
 
 
今後の注目点
同社は5月15日に本社および首都圏の全社員を対象とした平成24年度キックオフミーティングを開催した。
これは社長はじめ、営業本部、開発製造の各責任者が前期のレビューと今期の目標・施策を全社員にプレゼンテーションするもので、会社として進む道筋や現在の問題点を全員で共有・理解する貴重な機会といえよう。

遠山社長のプレゼンテーションを聞いて、最も印象に残ったのは、「防災業界の地位向上」に向けた熱い想いだ。
遠山社長は、防災市場・業界は、極めて裾野が広く、一方で貴重な人命・財産を保全するという点で社会的意義の大きい業界であるにもかかわらず、それが一般的には広く認知されていない現状から、今回の上場を機に防災業界の存在感を高めることも使命と捉えている。
そのためのアクションの一つが初田製作所とのアライアンスだ。
防災業界は歴史のある企業が多く、変化を自ら望まない風潮があるのかもしれないが、同社はあえて消火器業界大手同士の強固な提携に踏み込んでいった。「変われるものだけが生き残れる。」という進化論を自ら体現しようとしているようだ。

もう一つのアクションである異業種株主とのアライアンス、コラボレーションも大いに注目される。
遠山社長は、プレゼンテーションの中で社員の自発的発想や創意に大いに期待し、リーダーの個人名を冠したプロジェクトの立ち上げや、インセンティブとしてストックオプション制度の導入も検討しているとのことだ。

もちろん、初田製作所との提携も、異業種株主とのコラボレーションもまだスタートラインについたところであり、特に異業種株主とのコラボレーションについては具体的なものが現時点では外部から見られるわけではなく、評価する段階にはないが、これからどんな変化や芽が生まれてくるのかは大いに注目していきたい。