ブリッジレポート:(2183)リニカル vol.11
(2183:東証マザーズ) リニカル |
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企業名 |
株式会社リニカル |
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社長 |
秦野 和浩 |
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所在地 |
大阪市淀川区宮原1-6-1 新大阪ブリックビル |
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決算期 |
3月 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2012年3月 | 3,110 | 728 | 723 | 424 |
2011年3月 | 2,512 | 288 | 278 | 147 |
2010年3月 | 2,404 | 480 | 473 | 273 |
2009年3月 | 2,036 | 549 | 515 | 300 |
2008年3月 | 1,273 | 505 | 494 | 296 |
2007年3月 | 613 | 186 | 195 | 114 |
2006年3月 | 118 | 16 | 19 | 11 |
株式情報(6/4現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【CRO事業の業務内容】
事業セグメントは、主力のCRO事業と育成中のCSO事業に分かれ、12/3期の売上構成比は、それぞれ95.6%、4.4%。
モニタリング業務
治験が法令を遵守し計画・手順通り正確に行われているかを監視(モニタリング)する。この業務を行う者をCRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター)と呼び、治験薬や実施計画書についての説明から治験データの回収までを手掛ける。
品質管理業務
CRAが医療機関から回収したデータについて、定められたチェックリスト等を用いて確認する。
コンサルティング業務
製薬会社に対して、新薬開発のスケジュール作成から治験企画、承認申請に至るまでのコンサルティングを行う業務。新薬開発をスムーズに進めるための技術的なサポートも行なっている。
10/3期、11/3期は受託案件の中止で売上が伸び悩む中、CRAやQC(品質管理担当者)等の増員が負担となった。
しかし、12/3期は受注の好調と受託案件の順調な進捗で業績はV字回復。 【強みと市場環境】
難易度が高く競争相手が少ないCNS領域やがん領域のモニタリング業務に強みを有する。例えば、CNS領域の疾患であるアルツハイマー病の場合、問診等による薬の有効性評価が難しく、一方、がん領域の場合であれば、薬の副作用によるものか、がんの進行によるものか、安全性評価が難しいため、モニタリングでは高度な対応が必要とされる。この他、急性疾患や特定疾患(いわゆる難病)と呼ばれる領域も難易度が高い分野で、CNS領域やがん領域と共に新薬開発が活発だ(しかし、対応できるCROは限られる)。一方、生活習慣病の治験は患者の状態が比較的安定しており、有効性評価についても比較的容易であるため、難易度は低い。(1)難易度が高く競争相手が少ないCNS領域やがん領域のモニタリング業務に強み 新薬の開発トレンドは生活習慣病から治療満足度が低いCNS領域やがん領域にシフトしているが、上記の通り、CNS領域では有効性評価の標準化が難しく、がん領域では安全性情報の取り扱いが難しい。このため、これまでは製薬会社が社内で対応していたが、近年、こうした難易度の高い領域でもアウトソーシングされるケースが増えている。同社にとって、CNS領域は会社設立時からの注力分野であり、がん領域は2年前にアストラゼネカのイレッサ開発メンバーを迎え受注活動を本格化した。 CRO業界はリーマン・ショック後の市場縮小で淘汰・再編が進み企業数が減少した。現在、案件数が増加に転じ事業環境が回復基調にあるものの、CNS領域やがん領域等の難易度が高い領域での案件が中心のため残存者利益を享受できるのは同社を含めた一部の有力CROに限られている。受託余力が低下し人材獲得競争が激化している面はあるが、総じて事業環境は良好だ。 (2)高い収益性
有効性確認や安全性確認といった臨床の現場での高い業務遂行力に加え、CRO業務全般での知識・技術水準の高さも同社の強みである。同社が手掛ける案件の逸脱率は非常に低く抑えられており、また、症例の組み入れやデータの回収期間を含め、全案件の2割程度は実施期間の短縮に成功している。同社は難易度の高い分野で高品質・短納期を実現しているため適正価格での受注が可能であり、スケールメリットのハンデを補って大手を凌ぐ利益率を実現している。
【中長期的な成長に向けての課題と取り組み】
中長期的な成長に向けての課題として、(1)CROビジネスにおけるリニカルブランドの確立、(2)CROビジネスにおける優秀な人材の獲得・教育、及び(3)顧客ニーズ(がん/中枢、海外、CSO事業)への対応の3点を挙げている。
(1)CROビジネスにおけるリニカルブランドの確立
手掛ける案件の逸脱率が非常に低く、また、全案件の2割程度で実施期間の短縮に成功する等、同社が高品質・短納期を実現している事は既に説明したとおり。引き続き第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験のモニタリング受託における付加価値(高品質・短納期)を追及する事で、“リニカルブランド”を確立すると共に適正価格の浸透を図り高収益体質を維持していく考え。
(2)CROビジネスにおける優秀な人材の獲得・教育
現在、リーマン・ショック後に落ち込んだ案件数が増加に転じ受注単価も回復傾向にあるが、新薬開発が活発な領域は難易度が高いため、事業環境改善の恩恵を享受できるのは同社を含めた一部の有力CROに限られている。ただ、各社共に受託余力が不足気味で、同社もその例外ではない。このため、同社はCRA全体の20%を目途に新卒採用を進める事で確実に増員を図ると共に(新卒が全体の20%を超えると品質が低下するリスクがあると言う)、採用競争が激化している経験者も新卒と同程度の採用を目指している。12年5月現在、CRA180名体制だが、マネージャー及びQC(品質管理担当者)を含めた300名体制の早期確立を目指している(その他の部門を含めた総勢400名体制)。
(3)顧客ニーズ(CNS領域・がん領域、海外、CSO事業)への対応
①CNS領域及びがん領域への対応
新薬開発が活発なCNS領域及びがん領域への対応を強化しており、着実に成果をあげている。具体的には、有効性評価の標準化が難しいCNS領域は会社設立以来の注力分野であり、経験豊富なマネージャーとCRAを配置してニーズに応えている。また、一般的に重篤な症例が対象となるため、安全性情報報告を中心に慎重かつ迅速な対応が求められるがん領域では、がん領域での経験が豊富なマネージャーと経験者を配置しノウハウと実績の蓄積を図ると共に、増加するニーズへの対応を進めている。
②海外(グローバル開発)への対応
今後の増加が予想される国際共同治験に対応するべく、日+亜・米・欧の3極での事業展開を進めていく。米国には08年7月15日にLINICAL USA, INC.(カリフォルニア州)を設立し、国内中堅製薬メーカーの海外進出支援に関するコンサルティング事業を開始した。米国で実施される治験のモニタリング業務を受託するべく、ワールドワイドで展開する準大手クラスの米国CRO9社と戦略的業務提携に向けてCDA契約(秘密保持契約書)を締結した。また、欧州でも欧州CROに関する情報収集を行っている。3極に拠点を有するパレクセルやクインタイルズ等のグローバルCROは国際共同治験の受託に強みを有し、これらに対抗するために短期的には米国や欧州のCROとの戦略的業務提携が重要となる。一方、アジアでは、顧客ニーズも強いAsian Studyのモニタリング受託に向けて、アジア人の採用を開始した。
③CSO事業への対応
CSO(Contract Sales Organization:医薬品営業受託)事業と言うと一般的にはMRの派遣事業だが、同社は特定の疾患領域にフォーカスすると共にCRO事業で蓄積したノウハウを活用する事で、プロダクトマーケティング業務や市販後データの企画・収集業務の受託を拡大させていく考え(人材派遣サービスではなく、同社が主体となって業務を進める請負サービス)。12/3期は、プロダクトマーケティング業務でCNS領域の新規案件の受注に成功した。
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2012年3月期決算 |
前期比23.8%の増収、同159.7%の経常増益
売上高は前期比23.8%増の3,110百万円。豊富な受注残の消化と新規案件の受注でCRO事業が同23.1%増加。第2の柱として育成中のCSO事業も医師主導臨床研究案件の取り込みが進み同41.5%増加した。利益面では、CRA(臨床開発モニター)の増員で売上原価が増加したものの、受託案件の中止・中断が無くCRA稼働率が上昇し売上総利益率が5.2ポイント改善。経常利益は723百万円と同159.7%増加した。 尚、2月13日に通期の業績予想を上方修正したが、売上高、利益共に修正予想を上回る着地となった。2月の修正予想は、売上高3,072百万円、営業利益706百万円、経常利益701百万円、当期純利益404百万円。 |
2013年3月期業績予想 |
前期比12.0%の増収、同17.3%の経常増益予想
売上高は前期比12.0%増の3,483百万円。豊富な受注残の消化に加え、既存プロジェクトの増員及び新規案件の受注で売上が増加する見込み(中止・中断案件が一定の割合で発生する事を想定し、この影響を織り込んでいる)。利益面では、CRAの増員による売上原価の増加を織り込む一方、特段の増加要因がない販管費は前期並みを想定。増収効果で営業利益は883百万円と同21.3%増加する見込み。 配当は1株当たり11円の期末配当を予定。 |
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