ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

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ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.28

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 会長
山田 勝 会長
安河内 曠文 社長
安河内 曠文 社長
【ブリッジレポート vol.28】2012年9月期上期業績レポート
取材概要「ギリシャの総選挙では緊縮財政路線に反対する急進左派が躍進して連立与党が議席を減らし、フランスの仏大統領選では、欧州の債務問題対策でドイツ・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年5月15日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
会長
山田 勝
社長
安河内 曠文
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年9月 9,047 395 371 217
2010年9月 10,078 898 978 638
2009年9月 10,300 1,047 1,335 837
2008年9月 14,995 3,608 3,532 2,214
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(5/9現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
578円 13,772,174株 7,960百万円 3.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
11.00円 1.9% 23.23円 24.9倍 445.60円 1.3倍
※株価は5/9終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
SHOEIの2012年9月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
世界ナンバーワンのヘルメットメーカー。オートバイ用を中心に、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造している。販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界50カ国以上を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっている。独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力を持つ。
① 「世界一の品質」…Made In Japanのグローバルブランド
② 「世界一のコスト競争力」…ヘルメット業界唯一のトヨタ生産方式でコスト管理
③ 「世界一の楽しい会社」…お客様、株主の皆様、並びに従業員、役職員の満足度を追及
という、3つの世界一を実現する事を経営方針に掲げている。また、「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略も同社の特徴。三位一体の事業戦略を進める事で、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めている。
 
【事業内容】
二輪乗車用ヘルメット(以下、「プレミアムヘルメット」)の売上高が約90%を占めている。なかでも、高品質で高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県一関市)の国内2工場で生産。国内生産にこだわる事で、より高い品質を維持すると共に技術の流出防止にも努めている。また、業界では唯一の「トヨタ生産方式」導入企業として、高い限界利益率と在庫回転率、及び優れた資産効率を誇る。
 
【中長期的安定成長と安定利益の実現に向けた基本方針】
・自分の会社は自分で守る
・Made in Japanと雇用の維持(ものづくりの伝承)
・健全な財務内容の堅持
・投資の継続(新製品開発,コストダウン,品質向上,より確かな安全)
・世界中のプレミアムヘルメット市場でナンバーワンを目指す
・新市場開拓と既存市場の深堀り
・利益の公平、公正な分配(50%配当性向,従業員への配分、会社への分配(内部留保))
 
【SHOEIシステムヘルメットの最新モデル 「NEOTECH」】
「NEOTEC」は、ある程度の年齢層のモーターサイクルファンを念頭に、ロングツーリングから日常的な市街地走行まで、様々な状況での快適なライディングを想定して開発された。

(同社Webサイトより)
 
 
2012年9月期上期決算
 
 
前年同期比4.3%の減収、同33.8%の経常減益
売上高は前年同期比4.3%減の40.4億円。市場の底打ちと在庫調整の完了で北米やオセアニア向けの売上が増加した他、国内も第2四半期の売上が伸び前年同期並の売上を確保したものの、南欧諸国の債務問題等で主力の欧州が苦戦。また、売上が増加した北米等も含めて、歴史的な円高が逆風となった。

利益面では、円高の影響や金型減価償却費及び燃料費の増加に加え、グループ間取引に伴う会計上の処理である未実現利益の増加もあり(新製品の在庫積み増しを積極的に進めた海外子会社とのグループ間取引の増加に伴うもの)、営業利が144百万円と同53.5%減少した。ただ、為替差益(56百万円)の計上や特別損益の改善で四半期純利益は1.0億円と同19.8%の減少にとどまった。

尚、為替差益は為替予約(1USドル=79.22円、1ユーロ=109.92円)によるもので、また、特別損益は、雇用調整助成金(22百万円)の計上等で特別利益が増加する一方、資産除去債務(31百万円)や災害損失(55百万円)等の計上がなくなり特別損失が減少した。
 
予想との比較
予想を下回った要因として、①歴史的な円高(特に対ユーロ)、②新製品の受注増加に対応するため生産前倒し、③原油高及び厳冬による燃料費及び光熱費の増加、及び④未実現利益の増加、の4点を挙げる事ができる。
①では、対期中平均のドルレートが想定レートを5.24 円、海外子会社換算レート(11 年12 月30 日現在)が想定レートを9.21 円、それぞれ下回った。②では、生産の前倒しに伴い金型の減価償却費が増加し売上原価の増加要因となり、③では、原油高で燃料費が増加し売上原価の増加要因となった他、厳冬で光熱費が増加し売上原価及び販管費の増加要因となった。また、④では、新製品投入に伴う欧州子会社の仕入増で3月末の製品在庫が増加し、第1四半期に実現した未実現利益が減少した。
 
 
 
 
上期末の総資産は前期末比3.5億円減の77.3億円。配当の支払いや新製品の在庫積み増しに伴い現預金が減少した。総資産の36%を現預金が、77%を流動資産が占める等、資産の流動性が高く、しかも無借金。自己資本比率も79.3%と、高水準を維持している。
 
 
2012年9月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更は無く、前期比5.0%の増収、同37.4%の経常増益
為替変動による業績変動リスクが縮小しているものの、「通業績見通しの精度が高まった時点で速やかに開示する」として期初の業績予想を据え置いた。配当は1株当たり3円増配の期末11円を予定している。
 
 
 
 
今後の注目点
ギリシャの総選挙では緊縮財政路線に反対する急進左派が躍進して連立与党が議席を減らし、フランスの仏大統領選では、欧州の債務問題対策でドイツのメルケル首相と共に中心的な役割を果たしてきた現職のサルコジ氏が敗北した。このため、欧州の債務不安が再燃するとの懸念が広がっており、同社にとって最大のマーケットである欧州での不透明感が拭えない。ただ、その欧州でも新製品「NEOTECH」の評価は高く、上期の減益要因の一つとなった未実現利益の増加も、欧州での引き合いの強さを反映したものだ。また、金型減価償却費の増加は新製品の受注増に対応するべく生産を前倒したため。この他、為替も、極端な円高局面はピークアウトした感が強く、販売拡大余地の大きい米国市場が底打ちした事も明るい材料。今期の業績予想を達成するために超えなければならないハードルは低くないが、全般に良い方向に向かっていると考える。