ブリッジレポート
(6050) イー・ガーディアン株式会社

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ブリッジレポート:(6050)イー・ガーディアン vol.4

(6050:東証マザーズ) イー・ガーディアン 企業HP
高谷 康久 社長
高谷 康久 社長

【ブリッジレポート vol.4】2012年9月期第1四半期業績レポート
取材概要「四半期毎の業績予想は開示されていないが、上期の予想を踏まえると、第1四半期は各業務で期初予想を上回る成果をあげたものと思われる・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年3月6日掲載
企業基本情報
企業名
イー・ガーディアン株式会社
社長
高谷 康久
所在地
東京都港区麻布十番1-2-3
決算期
9月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年9月 1,907 176 161 88
2010年9月 1,340 204 212 119
2009年9月 858 123 123 116
2008年9月 461 0 0 -5
2007年9月 362 15 15 -6
2006年9月 606 -9 -17 0
2005年9月 684 6 3 -133
2005年3月 1,425 79 77 43
株式情報(2/17現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,490円 1,681,600株 2,506百万円 12.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 8.33円 178.9倍 550.63円 2.7倍
※株価は2/17終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
イー・ガーディアンの2012年9月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ブログ、SNS(交流サイト)、インターネット掲示板、ECサイト、オンラインゲーム等のインターネットメディア(以下、サイト)を運営する顧客に対し、これらのサイトに投稿されるコメント等への監視サービスを提供する掲示板投稿監視事業を展開している。ノウハウに基づき厳格に設定された基準の下で厳選されたオペレーターによる高品質な目視監視を行っており、社会通念上不適切と考えられるコメントや犯罪を誘引するようなコメントの掲載を防止する事でインターネットメディアの健全化の促進を担っている。また、24時間365日の稼働を強みとする監視センターの機能を活かし、ヘルプデスクやゲームマスター、サイトの運営支援サービス、ソーシャルメディア関連サービスも手掛けている。監視センターは、東京、大阪、宮崎の3都市5拠点に展開している。
 
<事業内容>
事業は掲示板投稿監視事業の単一セグメントで、「投稿監視業務」(11/9期売上構成比76.4%)、「CS(カスタマーサポート)業務」(同11.8%)、「派遣業務」(同3.2%)、「オンラインゲームサポート業務」(同8.6%)の4業務に分かれる。「投稿監視業務」は、本来、NG(削除対象のコメント等)の検出を目的としたものではなく、サイトの活性化を目的としたものであり、「CS業務」や「オンラインゲームサポート業務」もサイトの活性化という目的は同じ。このため、各業務間のシナジーは高く、サービスの基盤となるナレッジやノウハウの共有が可能だ。また、「CS業務」は、いわゆるコールセンター業務だが、大手コールセンター事業者が電話対応のサービスを中心としているのに対して、同社は(サイトの参加者がより利用しやすい)メール対応中心。メール対応となると、大手コールセンター事業者は既存の経営資源を十分に活かせないしコスト面でも無理がある。一方、中小の事業者は、コンプライアンスに対する意識の高い大手のサイト運営者から見た場合、信用力や組織体制等で課題が多く現状では同社を脅かす存在とはなっていない。
 
 
 
2012年9月期第1四半期決算
 
 
前年同期比12.1%の増収、同74.9%の経常減益
売上高は前年同期比12.1%増の496百万円。サイト利用者へのテクニカルサポート等を行うCS業務の売上がソーシャルゲーム向けを中心に大きく伸びた他、主力の投稿監視業務も、一部大口顧客向けの売上減少を大手企業との取引拡大等で吸収し前年同期並みの売上を確保した。ただ、前期に実施したサービス体制の整備に伴う労務費・人件費の増加が負担となり、営業利益が同80.6%減少した(営業外損益の改善は、株式公開費用16百万円がなくなったため)。
 
 
投稿監視業務の売上高は前年同期比微減の348百万円。市場が拡大しているソーシャルWebサービス(注1)では健全なサイト運営に対する社会的な要望が強く、投稿監視業務に対するニーズも強い。このため、これまで依存度が高かった一部大口顧客との取引が減少したものの、広告審査業務(注2)や風評調査業務(注3)といった派生業務に対する需要の取り込みも含め、大手企業との取引が拡大。また、ソーシャルメディアやソーシャルゲームといった高成長が見込まれる市場に注力した結果、ほぼ前年同期並みの売上を確保した。

(注1)ソーシャルWebサービスとは、SNSやブログ等のソーシャルメディアや、ソーシャルゲーム、ソーシャルコマース等の個人同士の双方向のコミュニケーションが介在する全てのインターネットメディアの事。
(注2)広告審査業務では、インターネットの広告媒体や複数店舗が出店するサイト・モール等に掲載される広告・サイト上のテキスト・画像情報等に対して、景品表示法、特定商取引法、薬事法等の各種関連法規及び顧客の掲載基準に基づいて、その基準に違反していないかを審査する。
(注3)風評調査業務では、インターネット上で公開されているブログや掲示板等の情報から顧客の企業や製品・サービスに対する風評等を調査する。


CS業務の売上高は前年同期比143.5%増の96百万円。当事業では、サイト利用者からの問い合わせメールに対するテクニカルサポートや入退会の問い合わせ対応(必要な場合には電話による問い合わせも可能)等のヘルプデスクサービスを行っている。ソーシャルゲームプロバイダ向けサービスの獲得に注力したこの第1四半期は、多数のサプライヤーが複数のソーシャルゲームタイトルをリリースする良好な市場環境も後押しとなったことに加え、アクティブサポート(ソーシャルメディア上でエンドユーザーの疑問・不満・悩みなどを自発的・積極的に見つけ、解決する手法)やソーシャルゲーム24時間カスタマーサポート等の積極的な新サービスの展開により、案件の獲得が順調に進んだ。
派遣業務の売上高は前年同期比30.0%減の11百万円。当事業では、インターネットメディアの監視業務を自社内で運営している企業に対して、投稿監視業務の運営が可能な人材を派遣している。この第1四半期は、同社のサービスが評価され、派遣業務から投稿監視業務へ切り替わった契約があったため売上が減少した。

オンラインゲームサポート業務の売上高は前年同期比5.6%増の40百万円。当事業では、オンラインゲームを運営するクライアントに対し、ゲームマスター業務などオンラインゲームの運営に必要な各種サポートサービスを提供している。この第1四半期は、既存顧客の新規タイトル追加に合わせたタイムリーな提案やサービス範囲の拡大に向けた提案営業が成果をあげた。
 
 
第1四半期末の総資産は前期末比45百万円減の1,169百万円。ソーシャルWebサービス向けの次世代型運用システム「E-Trident」の開発等で無形固定資産(ソフトウェア及びソフトウェア仮勘定)が増加する一方、これら開発費の支払いや法人税・消費税等の支払いで現預金が減少した。事業規模や業務内容を踏まえれば、現預金は潤沢である。
 
 
2012年9月期業績予想
 
会社側は上期業績を、前年同期比6.3%の減収、41百万円の経常損失と予想しているが、第1四半期の売上高は上期の予想売上高に対して57.7%と進捗しており(実績ベースの前年同期の進捗率は48.3%)、先行投資負担から41百万円の損失を見込んでいる経常損益では14百万円の利益を確保した。12/9期は上々のスタートを切ったと言える。
 
 
 
 
 
今後の注目点
四半期毎の業績予想は開示されていないが、上期の予想を踏まえると、第1四半期は各業務で期初予想を上回る成果をあげたものと思われる。通期業績を論じるには時期尚早だが、高成長が続くソーシャルWebサービスは、市場の拡大と共に監視サービスに対する社会的な要請も高まっているだけに、同社事業の拡大余地は大きい。生産性を考えると、一定の規模以上の顧客を開拓する必要があるため簡単ではないが、第1四半期に成果をあげた提案営業の継続と次世代型運用システム「E-Trident」の活用によるサービスの拡充で道は開けていくと考える。