ブリッジレポート:(6498)キッツ vol.8
(6498:東証1部) キッツ |
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企業名 |
株式会社キッツ |
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社長 |
堀田 康之 |
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所在地 |
千葉市美浜区中瀬1-10-1 |
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決算期 |
3月末日 |
業種 |
機械(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2011年3月 | 106,059 | 6,341 | 5,929 | 3,063 |
2010年3月 | 96,592 | 6,976 | 6,248 | 3,079 |
2009年3月 | 127,095 | 7,188 | 6,475 | 3,396 |
2008年3月 | 149,274 | 11,615 | 10,525 | 6,290 |
2007年3月 | 149,512 | 11,342 | 10,652 | 9,973 |
2006年3月 | 107,631 | 9,673 | 9,132 | 8,070 |
2005年3月 | 95,705 | 9,627 | 8,513 | 5,804 |
2004年3月 | 73,802 | 4,181 | 2,962 | 1,598 |
株式情報(2/8現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
<事業セグメントの概要>
事業は、バルブ事業、伸銅品事業、及びその他に分かれ、11/3期の売上構成比は、それぞれ72%、19%、9%。
バルブ事業
キッツグループのコア事業であり、上下水道・給湯・ガス・空調等のライフラインや石油・化学・紙パ・半導体等の産業分野において、流体制御機器として重要な役割を担うバルブや継手を中心に、製造・販売している。
伸銅品事業
伸銅品とは、銅に亜鉛を加えた「黄銅」、すず及びりんを加えた「りん青銅」、ニッケル及び亜鉛を加えた「洋白」等の銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造等の熱間または冷間の塑性加工によって、板、条、管、棒、線等の形状に加工した製品の総称。キッツグループの伸銅品事業は、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」を生産販売している。この黄銅棒は、バルブの部材を初め、水栓金具、ガス機器、家電等の部材として使用されている。
その他
総合スポーツクラブの経営(フィットネス事業)、ホテル・レストラン経営(ホテル事業)、及びガラス工芸品の販売を行っている。
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2012年3月期第3四半期決算 |
前年同期比6.2%増収、同19.2%の経常減益
売上高は前年同期比6.2%増の827.6億円。東日本大震災(以下、震災)の影響でホテル事業やフィットネス事業の売上が減少したものの、北米や中国を中心にバルブ事業の売上が増加した他、銅価格の上昇で伸銅品事業の売上も増加した。ただ、利益面では、製品価格が下落する中での銅価格の上昇や不採算の中東向け大型プラント物件の売上計上に加え、価格下落に対応した売価政策もあり、売上総利益が減少。一方、数量増に伴う人件費・物流費の増加等で販管費が増加したため、同19.8%の営業減益。受取配当金の増加と為替差損の減少で営業外損益が改善した他、資産除去債務が無くなり特別損失も減少(4.9億円→1.3億円)したものの、来期以降の法人税引き下げに対応した繰延税金資産の取り崩しで(会計上の)税負担が増加したため、四半期純利益は17.2億円と同27.2%減少した。 尚、為替レートは、1ドル=80.20円(前年同期実績89.02円、前期通期平均実績87.32、12/3期計画81.00円)、1ユーロ=113.56円(同116.63円、同115.06円、同113.00円)。電気銅建値は710,000円/トン(同712,000円、同738,000円/トン、同820,000円/トン)。 バルブ事業
売上高は前年同期比7.6%増の599.6億円。このうち国内売上は同3.3%増の406.0億円。半導体関連市場が減少したものの、水、食品・製紙、ガス等の市場で売上が増加した他、主力の建築設備市場も弱含みの推移ではあったが、震災直後の仮需(代理店の在庫積み増し)による流通の在庫調整もほぼ終わり、前年同期並みの売上を確保した。一方、海外売上は同17.7%増の193.5億円。石油精製・石油化学向けが回復した北米市場や成長が続く中国市場がけん引役となった。ただ、製品市況が下落する中での原材料費上昇が響いた上、不採算の中東向け大型プラント物件の売上計上や円高の影響もあり、セグメント利益が51.4億円と同10.8%減少した。 伸銅品事業
トン数ベースでの需要は前年同期並みにとどまったものの、銅相場の上昇で製品価格も上昇したため売上高は155.4億円と前年同期比7.0%増加した。ただ、9月以降、伸銅品の需要が急減し、銅相場も急落したため(上期は78万円/トンだった電気銅建値が60万円/トン程度に急落)、第3四半期(10-12月)は21百万円の損失を計上。累計のセグメント利益は1.7億円と同62.5%減少した。
その他
震災の影響等で売上高が72.5億円と前年同期比5.0%減少したものの(フィットネス事業が同2.6億円の減収、ホテル事業が同1.1億円の減収)、節電や販促費の削減等でフィットネス事業の利益が増加(44百万円)した他、ホテル事業も小幅な減益(7百万円減)にとどまり、セグメント利益は4.0億円と同8.7%増加した。
(3)会社別動向
主力のバルブ事業については、海外も含めて子会社の業績が総じて堅調に推移したものの、市況の変動や不採算案件の発生で同社個別の利益が落ち込んだ。個別業績は、売上高411.0億円(前年同期比8.8%増)、経常利益13.5億円(同39.8%減)。半導体関連市場が減少したものの、水、食品・製紙、ガス等の市場で売上が増加した他、主力の建築設備市場も前年同期並みの売上を確保した。ただ、原材料の上昇や価格下落の影響で採算の悪化、不採算の中東向け大型プラント物件の売上計上、及び円高影響等で営業利益は8.7億円と同52.5%減少した。 子会社については、建築・水市場において、東洋バルヴ、清水合金製作所の売上が増加した他、日本を含めたアジア地域向けを中心とするキッツタイも円高の影響を吸収して増収。利益面では、稼働率の改善で清水合金製作所の損益が改善した他、キッツタイの利益も増加したものの、価格低下で東洋バルヴの利益が落ち込んだ。 エネルギー市場及びプラント向けを多く手がける海外子会社は、台湾北澤の利益が減少した他、石油関連の鋳鋼バルブを手掛ける北澤閥門も苦戦したが、ステンレスバルブを手掛ける北澤精密機械の売上・利益が増加。独PERRIN社も、北米市場や中国市場において現地のグループ企業を通して特殊バルブの売上が増加し、損益が大幅に改善。石油関連を中心にした需要回復と独PERRIN社製品の取り扱い拡大でキッツアメリカの利益も大幅に増加した。 この他、夏以降の苦戦で半導体関連市場に製品を供給しているキッツエスシーティーが減収・減益。伸銅品事業を手掛けるキッツメタルワークスについては伸銅品事業において、また、フィットネス事業のキッツウェルネス及びホテル事業のホテル紅やについては、その他において説明した通り。 |
2012年3月期業績予想 |
前年同期比6.8%の減収、同24.3%の経常減益予想
前年同期との比較では、製品価格の下落と原材料高でバルブ事業、伸銅品事業共に減収・減益が見込まれる。ただ、第3四半期(10-12月)との比較では、0.6%の減収ながら、経常利益が6.0%増加する見込み。不採算案件の影響一巡でバルブ事業の利益率が改善する他、伸銅品事業の損益改善(セグメント利益:△21百万円→126百万円)も見込まれ、営業利益が20.2%増加する見込み。
通期業績予想に変更はなく、前期比2.8%の増収、同20.7%の経常減益
セグメント別では、バルブ事業が同5.1%の増収ながら、同9.1%の減益見込み。伸銅品事業は同1.1%の減収、同52.5%の減益が見込まれる。1株当たり4円の期末配当を予定している(上期末配当と合わせて年7.5円)。
(3)プロジェクト統括部の新設によるプロジェクト管理の徹底
重点市場である石油精製、石油化学、ガス処理等の大型プロジェクト物件市場での競争力と収益力の強化を図るべく、11年12月に役員直轄によるプロジェクト統括部を新設した。プロジェクト統括部は、営業部門、エンジニアリング部門(設計、技術、品質保証)、及び管理部門(購買・生産管理)の3部門からなる大型プロジェクト物件の専門組織。エンジニアリング部門が関与する事で見積もりの精度をあげると共に、管理部門が採算管理を徹底する。当初は60人体制でスタートするが、状況に応じて、順次、人員を増強していく考え。尚、プロジェクト統括部の新設に伴い、営業本部プロジェクト営業部の業務をプロジェクト統括部に移管し同部を廃止した。
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