ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

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ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.27

(9445:東証マザーズ) フォーバルテレコム 企業HP
谷井 剛 社長
谷井 剛 社長

【ブリッジレポート vol.27】2012年3月期上期業績レポート
取材概要「上期は先行投資が負担となったが、10年3月をピークに減少が続いていた課金回線数がプラスに転じた。このため、下期以降、ストック収益も増加に・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年1月17日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
谷井 剛
所在地
東京都千代田区神田小川町 3-9-2
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年3月 13,560 391 391 155
2010年3月 13,956 347 327 194
2009年3月 15,042 391 388 133
2008年3月 13,466 337 344 192
2007年3月 12,461 845 840 975
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
2002年3月 11,879 -1,732 -1,779 -4,939
2001年3月 18,224 284 134 45
2000年3月 20,503 53 -50 88
株式情報(12/26現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
23,000円 166,932株 3,839百万円 8.0% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,500.00円 6.5% 1,500.00円 15.3倍 10,924.70円 2.1倍
※株価は12/26終値。ROEは前期末実績。
 
フォーバルテレコムの2012年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小・中堅法人向けにOA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次ぎを展開するフォーバル(8275)の連結子会社。フォーバル連結売上高の39.3%(2011年3月期実績)を占めるフォーバルテレコムビジネスグループは、フォーバルテレコム及び連結子会社5社、持分法適用関連会社1社、非連結子会社1社で形成されている。

事業内容は、同社及び連結子会社(株)FISソリューションズによる法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービスの提供と関連機器販売の「IP&Mobileソリューション事業」、連結子会社(株)トライ・エックスを中心に普通印刷・特注文具の製造及び販売を手掛ける「ドキュメント・ソリューション事業」、及び(株)保険ステーションによる保険やプライバシーマーク等に関する各種コンサルティングの「コンサルティング事業」に分かれる。 この他、持分法適用関連会社で、(株)光通信(東証1部9435)グループの(株)アイ・イーグループとの合弁会社である(株)ホワイトビジネスイニシアティブ(出資比率50%)が、FMCサービス「2way Smart」の企画開発及び関連するハードウエア開発を手掛けている。
 
 
 
2012年3月期上期決算
 
 
先行投資負担や震災の影響で同34.3%の経常減益
売上高は前年同期比1.8%減の6,620百万円。コンサルティング事業の売上が増加したものの、主力のIP&Mobileソリューション事業の売上が減少した他、ドキュメント・ソリューション事業も円高や震災による顧客の販促活動抑制の影響を受けた。利益面では、コンサルティング事業の好調による原価率の改善でほぼ前年同期並みの売上総利益を確保したが、新サービス〔FMCサービス「2way Smart」〕にかかる回線や関連機器の販売網拡大に向けた先行投資が負担となり営業利益が同34.2%減少した。
もっとも、(株)ホワイトビジネスイニシアティブの収益改善で持分法投資損益が改善(△2百万円→4百万円)した他、特別損失が減少(69百万円→8百万円)したため、四半期純利益は同7.3%の減少にとどまった(前年同期は投資有価証券売却損42百万円や事務所移転費用12百万円等を計上したが、この上期は前期損益修正損2百万円、データセンター移設費用4百万円等にとどまった)。
 
(2)セグメント別動向
 
IP&Mobileソリューション事業
当事業では、同社及び連結子会社(株)FISソリューションズによる法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービスにかかる収益や関連機器の販売にかかる収益が計上されている。上期の業績は売上高が前年同期比2.3%減の5,113百万円、セグメント利益が同42.4%減の74百万円。売上の大半を占めるVoIPサービスにかかる課金収入が減少する中、新サービス「2way Smart」の拡販に向けた先行投資が負担となった。
 
ドキュメント・ソリューション事業
当事業は、(株)トライ・エックス・(株)新英及びタクトシステム(株)がオンデマンド印刷・特注文具(ファイル・バインダー等)及びDTPの製造、販売等を行っている。上期の業績は売上高が10.8%減の1,005百万円、セグメント利益は同84.8%減の5百万円。円高や震災の影響等で主要顧客であるメーカー各社(自動車、工作機械、半導体製造装置等)の販促活動が停滞し売上が減少。稼働率が低下し、製造部門等の固定費が利益を圧迫した。
 
コンサルティング事業
当事業は、(株)保険ステーションが経営支援コンサルティング、保険サービスを行っており、同社がセキュリティコンサルティング等を行っている。この上期は、売上高が501百万円と前年同期比31.4%増加し、セグメント利益が56百万円と同46.2%増加した。
 
(3)売上総利益
 
個別ベースでは、新サービスの拡販で販売コミッションである一時収益が増加したものの、従前からのサービスにかかる課金収入の減少でストック収益が減少した。尚、ストック収益は、課金収入とその他(ビリングのOEMにかかる収益)に分かれ、この上期は前者の売上が3,915百万円(同5.8%減)、後者が276百万円(同15.0%増)。売上総利益は、前者が410百万円(同8.9%減)、後者が137百万円(同28.5%増)。
一方、子会社は、(株)保険ステーションの寄与等で売上が増加したものの、ドキュメント・ソリューション事業の苦戦が響き売上総利益が減少した。
 
(4)販管費
 
(5)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比323百万円減の6,021百万円。借方では、回収が進んだ売上債権が減少した他、のれんの償却で無形固定資産も減少。貸方では、配当の支払いで純資産が減少した他、仕入債務、有利子負債も減少した。尚、フォーバルグループをあげて資金の有効活用を進めており、その一環として同社グループでも有利子負債の削減を進めている。短期有利子負債が増加したのは、1年内に償還期限を迎える社債が流動負債に振り替えられたためで、短期借入金は(株)トライ・エックスを中心に減少した。上期末の自己資本比率は30.3%(前期末比0.3ポイント改善)。
CFの面では、税金費用等の増加で営業CFが減少したものの、貸付金の回収等で投資CFが改善した事もあり、147百万円のフリーCFを確保した。短期借入金の返済と配当の支払いで財務CFがマイナスとなり、現金及び現金同等物の上期末残高は1,671百万円と前期末比51百万円減少した。
 
 
 
 
2012年3月期業績予想
 
 
前期比3.2%の増収、同9.8%の経常増益予想
「2way Smart」にかかる回線や関連商品の販売は順調に推移しており、下期以降、その効果が徐々に表れてくる。ドキュメント・ソリューション事業も第2四半期(7-9月)以降は回復傾向にあり、下期の連結業績は増収・増益に転じ、通期でも3期ぶりの増収・増益が見込まれる。当期純利益の伸びが大きいのは特別損失の減少による(前期はのれん減損損失107百万円、投資有価証券売却損・評価損55百万円など特別損失217百万円を計上した)。 配当は1株当たり800円の期末配当を予定している(上期期末配当と合わせて年1,500円)。
 
(2)12/3期の課題と進捗
同社は12/3期の課題として、①注力サービスの強化、②震災によるマイナスの最小化、及び③販売網の拡充、の3点を掲げている。進捗状況は次の通りである。
 
①注力サービスの強化
スマートフォンを利用した法人向けFMCサービス「2way Smart」にかかる回線「Smart(スマート)ひかり」の販売や持分法適用関連会社(株)ホワイトビジネスイニシアティブが手掛ける同サービス関連機器(WBI商品:IPをベースにしたデータと音声の通信機器)の拡販に取り組んでいる。
尚、「2waySmart」はスマートフォンを利用したFMCサービスで、1台のスマートフォンが、社外では携帯電話として、社内では内線電話として利用できるため社内のビジネスフォン(固定の電話機)が不要になり、通信機器の合理化や業務の効率化が期待できる。また、「Smartひかり」とは、(株)UCOMの光ファイバー網を用いたIP電話及びデータ通信並びに専用のIP電話端末をオールインワンで提供する法人向けブロードバンド通信サービスで、通話料は国内の固定電話向けが「2分間5.5円(税別)」(社団法人電気通信事業者協会の資料によると、国内向け通話の約8割が2分以内と言う)、携帯電話向けもキャリアを問わず「1分間16円(税別)」と割安。

「Smartひかり」については、本年5月のサービス開始以来、1,900ファイバーの受注に成功しており、景気の悪化等で減少傾向にあった光ファイバー利用の顧客数が純増に転じた。現在のサービス提供エリアは、北海道・宮城・東京都下・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪・京都・兵庫・広島及び福岡の一部地域だが、(株)UCOMと連携してエリアを順次拡大している。

また、WBI商品については、従来からの商品に加え、9月から12月にかけて新商品を投入しており、ドキュメント機器(同機能の複写機への搭載)との連動やセキュリティ機器(同機能のセキュリティ機器への搭載)との連動も進めている。
 
 
※ Behind SS2000は、ビジネスフォンの買替え無しに「スマートひかり」の利用を可能にする(レガシーボタン電話に対応)。
 
 
②震災によるマイナスの最小化
東日本大震災の影響でビジネスフォンの主装置が一時期品薄状態となり、この代替えとしてWBI商品(主装置)の販売が伸びた。また、10月に発生したタイの洪水では、ビジネスフォンの置型電話機が品薄状態となりWBI商品(端末)の販売チャンスが広がっている。
 
 
③販売網の拡充
機器やサービスの販売を手掛ける(株)FISソリューションズの規模拡大を進めている。具体的には、自社チャネルによる顧客獲得を強化するべく営業人員を増員している他、 “Smartひかり+WBI主装置”を中心にグループシナジーを追求している。また、(株)ホワイトビジネスイニシアティブの合弁先である(株)アイ・イーグループとの連携強化や 製造コスト見直しによる販売代理店の利益拡大支援にも取り組んでいる。
 
 
今後の注目点
上期は先行投資が負担となったが、10年3月をピークに減少が続いていた課金回線数がプラスに転じた。このため、下期以降、ストック収益も増加に転じる見込みだ。その原動力となった「Smartひかり」は、利用者にとって価格競争力と高品質を両立した魅力的なサービスであり、販売コミッションが従来のサービスを上回るため売る側(代理店)も自ずと力が入る。また、商品ラインナップの拡充が進んでいる(株)ホワイトビジネスイニシアティブの合弁先である(株)アイ・イーグループは通信回線や法人携帯等のオフィスソリューションで豊富な実績を有するが、販売先のIP比率は全体の数%にとどまると言う。こうした顧客は、IP電話の品質向上を受けて、今後、価格面でメリットがあり、かつFMCやデータ通信との相性も良いIPに移行する可能性が高い。
上期決算において、新サービスの提供に向けた体制整備や関連機器のラインナップの拡充が進んでいる事が確認できた。下期の業績が計画通りであれば、来期の業績見通しは更に明るいものとなろう。