ブリッジレポート
(8275) 株式会社フォーバル

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ブリッジレポート:(8275)フォーバル vol.37

(8275:JASDAQ) フォーバル 企業HP
大久保 秀夫 会長
大久保 秀夫 会長
中島 將典 社長
中島 將典 社長
【ブリッジレポート vol.37】2012年3月期上期業績レポート
取材概要「同社は、“「情報通信コンサルタント」として企業経営を支援する集団となる!”というビジョンの実現に向け、物販からコンサルに軸足を移し・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年1月17日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバル
会長
大久保 秀夫
社長
中島 將典
所在地
東京都渋谷区神宮前 5-52-2 青山オーバルビル
決算期
3月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年3月 32,287 681 665 464
2010年3月 32,206 523 478 449
2009年3月 34,358 112 17 -1,879
2008年3月 34,323 -933 -1,264 -532
2007年3月 26,216 -1,878 -2,012 -1,390
2006年3月 27,500 3 14 1,063
2005年3月 40,089 1,962 1,962 1,174
2004年3月 32,981 1,446 1,360 660
2003年3月 37,402 1,522 1,334 443
2002年3月 44,411 -860 -1,027 -4,756
2001年3月 52,045 1,026 699 86
2000年3月 54,668 1,278 1,281 1,122
株式情報(12/22現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
253円 13,563,368株 3,431百万円 9.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.50円 4.9% 34.28円 7.4倍 384.23円 0.7倍
※株価は12/22終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末の実績。
 
フォーバルの2012年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小・中堅企業を対象とした経営コンサルティングサービスのほか、ITを活用し経営を高度化・効率化する手段として、オフィス向けの光ファイバー対応IP電話サービスやFMCサービス(固定通信と移動体通信を融合したサービス)などの通信・インターネット接続サービス、OA・ネットワーク機器の販売、携帯端末の取次、Web構築やセキュリティ対策などのインターネット関連サービスを提供している。また導入後の利活用等、経営をサポートする「アイコン」サービスを、お客様との接点を強化するサービスと位置付け、その普及に特に注力している。 社名のFORVAL(フォーバル)は、「For Social Value」を語源とし、「社会価値創出企業をめざす」という経営理念が込められている。
 
事業は、(株)フォーバルを中心に、中小法人向けOA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次、コンサルティングサービス等を手掛けるフォーバルビジネスグループ、(株)フォーバルテレコムを中心に、VoIP・モバイル等の通信サービス、インターネット関連サービス、普通印刷・特注文具(ファイル・バインダー等)の製造・販売、及び保険サービス等を手掛けるフォーバルテレコムビジネスグループ、(株)リンクアップを中心にモバイルショップにおいて携帯端末の取次等を手掛けるモバイルショップビジネスグループ、の3セグメントに分かれる。
 
<「情報通信コンサルタント集団」を目指して>
1980年に設立され電話機販売からスタートした同社だが、その後、ナローバンド、ブロードバンド、そしてモバイルと、時代のニーズに即した分野で様々なサービスを開発してきた。そして、今、フォーバルグループは、「情報通信コンサルタント」として企業経営を支援する集団を目指し、ITコンサルティングサービス「アイコン」を育成中である。
 
 
 
2012年3月期上期決算
 
 
前年同期比3.0%の増収、同7.0%の経常減益
売上高は前年同期比3.0%増の165.6億円。通信サービスや普通印刷・特注文具関連企業の苦戦でフォーバルテレコムを中核としたビジネスグループの売上が減少したものの、好調なスマートフォン販売を追い風にモバイルショップビジネスグループの売上が伸びた他、セキュリティ関連商品の寄与等でフォーバルを中核としたビジネスグループの売上も増加した。利益面では、売上の増加に加え、売上総利益率も改善したが、事業拡大に伴う人件費の増加や旅費交通費・地代家賃など一般管理費の増加が負担となり、営業利益が296百万円と同10.1%減少した。ただ、受取配当金の増加や貸倒引当金の戻入等で営業外損益が改善。特別損失が前年同期の1.0億円から0.1億円に減少した事等で四半期純利益は2.3億円と同27.7%増加した。
 
 
 
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比5.1億円減の157.5億円。新商材の販売本格化等でたな卸資産が増加したものの、売上債権の回収が進んだ事及び有利子負債の削減が進んだ事で総資産が減少。自己資本比率は33.9%と前期末の32.0%から1.9ポイント改善した。CFの面では、たな卸資産の増加等による運転資金の増加で営業CFが減少した他、設備投資関連の支出増加等で投資CFのマイナス幅も拡大したが、2.4億円のフリーCFを確保。有利子負債の削減を積極的に進めたため財務CFがマイナスになったものの、現金及び現金同等物の上期末残高は35.0億円と前期末比3.5億円の減少にとどまった。
 
 
 
 
2012年3月期業績予想
 
 
前期比2.2%の増収、同5.2%の経常増益予想
売上高、営業利益、経常利益の予想に変更はなかったが、税負担の少ない子会社の業績が予想以上に好調な事から当期純利益のみ上方修正した。
普通印刷・特注文具の製造・販売事業の回復や新規事業の寄与でフォーバルテレコムビジネスグループの売上・利益が増加する他、スマートフォンが好調なモバイルショップビジネスグループやITコンサルティングサービス「アイコン」の顧客数の増加等が見込まれるフォーバルビジネスグループの業績も堅調に推移する見込み。配当は1株当たり12.5円の期末配当を予定している。
 
(2)フォーバルグループの成長戦略
ビジョン:『情報通信コンサルタント』として企業経営を支援する集団となる!
アナログからデジタルへの移行に伴いモノの価値が低下したため、従来からのハード販売中心の経営では収益力の低下が避けられない。このため、同社グループでは、販売力の拡充とサポートの充実に加え、情報の提供や経営支援コンサルを強化する事で収益力の強化と他社との差別化を図っていく考え。
 
①経営支援の手段
「アイコン」サービスは、IT技術に不慣れな中堅・中小企業が、IPネットワーク、ユビキタスデバイス、クラウドコンピューティング、セキュリティを経営に取り入れて新しいビジネスモデルを構築するためには不可欠なサービスであり、「アイコン」サービスの核となる総合経営コンサルティングサービスを拡大していく事が、“「情報通信コンサルタント」として企業経営を支援する集団となる!”というビジョンの実現につながる、と言うのが同社の考え また、今後は「アイコン」サービスのネットワーク拡大にも取り組んでいく考えで、従来からのリースを活用した機器販売事業で培った代理店に「アイコン」サービスをOEM供給していく。
 
 
②経営支援の二本柱 中小企業が発展するための方策
現在、「情報通信を活用した経営の高度化」と「海外の成長機会の取り込み」を二本柱として、コンサルティングを推進している。
 
・情報通信を活用した経営の高度化
情報通信を活用した経営の高度化を自ら実践し、効果が実証された成功モデルを顧客にフィードバックする事で、顧客の経営高度化を実現する事を基本方針としている。 例えば、提案案件の一つである「ITを活用したリアルタイムマネジメント」では、実際に、同社社内で、電子ボード、Pad端末、スマートフォン等を活用した商談案件の見える化とコンタクトセンターによる商談案件の一元管理を実現する事で成約率を向上させた(商談案件の効率的な配分によるアイドルタイムの削減やリアルタイムでのプロセス管理が可能になった事で、導入前には1日2.2件だった1人当たりの商談件数が導入3か月後に2.5件に増加し、商談の成約率が19.6%から22.6%に上昇。1日当たりの売上総利益が25.1%増加した)。 また、ペーパレスによる経費削減を念頭に、Pad端末等を活用した会議形態等の革新にも取り組み、紙・トナー代を2か月間で70%弱削減した。
 
・海外の成長機会の取り込み
「同社グループ及び顧客である中堅・中小企業の事業の成長を考える上で、アジア地域の成長を取り込む事が重要」と言うのが同社の考えで、既に、カンボジア(10年4月)、インドネシア(11年7月)、及びベトナム(11年8月)に現地法人を設立している。フォーバルとカンボジア及びベトナムの現地法人が、経済産業大臣を長とした「中小企業海外展開支援会議」の下で東京商工会議所が創設した「中小企業国際展開アドバイザー制度」(支援を希望する中小企業とアドバイザーをマッチングさせる)のアドバイザーとして認定されている。
 
 
また、日系中小企業進出のためのレンタル工場の建設・運営の企画サービスを12年に開始する予定で、インドネシアの現地法人が、11年10月に現地の大手デベロッパー PT Lippo Cikarang Tbkと覚書(MOU)を交わした。この他、海外人材紹介サービスも強化する考えで、優秀なアジアからの留学生を当該国進出企業に紹介するべく、国内において、子会社(株)クリエーティブソリューションズが留学生紹介ビジネスを本格化した他、海外においても、日本語を話せる現地の優秀な人材を進出企業に紹介するべく、日本語とビジネスを学べる学校CJBS(Cambodia Japan Business School)をカンボジアで開校した(公益財団法人CIESF:シーセフの支援による)。 尚、公益財団法人CIESFは、非営利で国際的な民間の教育支援団体。カンボジアをはじめとした途上国の未来を支援している。
 
 
今後の注目点
同社は、“「情報通信コンサルタント」として企業経営を支援する集団となる!”というビジョンの実現に向け、物販からコンサルに軸足を移し、「アイコン」サービスの強化・拡大に取り組んでいく考え。この一環として取り組んでいる「情報通信を活用した経営の高度化支援」では既に実績をあげている。一方、「海外の成長機会の取り込み」については、収益化には今しばらく時間が必要だ。ただ、現地での拠点開設やアライアンスに加え、国内でのアドバイザーの認定取得や子会社クリエーティブソリューションズによる留学生紹介ビジネスの本格化等、サービス体制の整備が着実に進んでいる事から、早期の収益化に期待が高まっている。