ブリッジレポート:(2183)リニカル vol.8
(2183:東証マザーズ) リニカル |
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企業名 |
株式会社リニカル |
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社長 |
秦野 和浩 |
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所在地 |
大阪市淀川区宮原1-6-1 新大阪ブリックビル |
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決算期 |
3月 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2011年3月 | 2,512 | 288 | 278 | 147 |
2010年3月 | 2,404 | 480 | 473 | 273 |
2009年3月 | 2,036 | 549 | 515 | 300 |
2008年3月 | 1,273 | 505 | 494 | 296 |
2007年3月 | 613 | 186 | 195 | 114 |
2006年3月 | 118 | 16 | 19 | 11 |
株式情報(12/14現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
尚、近年、新薬の開発トレンドは生活習慣病から治療満足度が低いCNS領域やがん領域にシフトしているが、がん領域の開発は安全性情報の取り扱いが難しく、CNS領域では有効性評価の標準化が難しいため、これまでは製薬会社の社内で対応していた。しかし、近年、こうした難しい領域でもアウトソーシングされるケースが増えている。 <CRO事業の業務内容>
モニタリング業務
治験が手順通り正確に行われているかを監視(モニタリング)する。この業務を行う者をCRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター)と呼び、治験薬や実施計画書についての説明から治験データの回収までを手掛ける。
品質管理業務
CRAが医療機関から回収したデータについて、定められたチェックリスト等を用いて確認する。
コンサルティング業務
製薬会社に対して、新薬開発のスケジュール作成から治験企画、承認申請に至るまでのコンサルティングを行う業務。新薬開発をスムーズに進めるための技術的なサポートも行なっている。
<中期事業戦略>
①(実績を残しつつあるCNS領域に加え)がん領域を中心にした治験領域の拡大、②日米欧の3極体制の整備による既存事業(CRO)の強化、及び③CSO事業の育成の3点がポイント。がん領域は、国内の大手医薬品会社がM&Aを含めて強化している領域で、世界の主要抗がん剤の売上は右肩上がりで推移している。3極体制の整備では、日本を含むアジア、米国、欧州の3極でCRO事業を展開し、国際共同治験(グローバルスタディ)に対応できる体制を整備する。この一環として、現在、米国法人LINICAL USA, INC.(米国カリフォルニア州、08年7月設立)が、現地でモニタリング・コンサル業務を手掛けている。また、CSO事業を育成しCRO事業とのシナジーを追求する事で、新薬の開発段階から上市後に至る一気通貫のサービスが可能となり、付加価値向上はもとより、製薬会社の利便性も高まる。尚、CSOとはContract Sales Organizationの略で、医薬品の販売において重要な位置を占めるMRの派遣やマーケティング支援等により製薬会社の医療機関向け医薬品販売を支援する。
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2012年3月期上期決算 |
前年同期比9.8%の増収、同19.4%の経常増益
売上高は同9.8%増の1,381百万円。既存プロジェクトの増員と新規案件の寄与で主力のCRO事業が伸びた他、医師主導臨床研究の受託でCSO事業の売上も増加した。営業利益は同20.4%増の267百万円。CRA(臨床開発モニター)の増員で原価率が上昇したものの、前々期、前期の様な受託案件の中止・中断が無くCRAの稼働数が順調に伸びた。
一方、領域別では、同社の強みである納期短縮(症例組み入れ・データ回収の短期化)効果により各案件が順調に進捗した事から、力を入れているがん領域、CNS領域共に受注残高が減少した。ただ、がん領域は実績の蓄積と営業活動の本格化から2年が経過し営業は順調で足元の打診案件は豊富。また、かねてから製薬メーカーの高い評価を得ているCNS領域も新規案件の打診が継続的にきており、下期以降、受注残高が増加する見込み。 |
2012年3月期業績予想 |
通期業績予想に変更は無く、前期比15.0%の増収、同61.2%の経常増益
下期は、2011年4月に採用した新卒社員全員がモニター任命を受けアサインされてくる事をベースに、好調な受注と豊富な受注残が売上に反映されてくるため増収ペースが加速する。CRO事業、CSO事業共に更なる増員を予定しているため、上期に比べて若干の利益率低下が予想されるものの、受託案件の一部で中止・中断が発生した前年同期に比べて大幅な増益となる見込み。配当は1株当たり11円の期末配当を予定している。 (2)経営戦略
薬価基準の引き下げ、後発品の普及促進等の薬剤費削減策の強化、更には主力製品の特許切れ問題や開発難易度の上昇もあり、製薬メーカーを取り巻く環境は厳しさを増している。このため、CRO等の外部委託先の選定では経験や実績がこれまで以上に重視される傾向が強まっている。一方、CRO業界は淘汰・再編が進み企業数が減少したため、同社を含めた一部の有力CROは残存者利益を享受できる状態で稼働率が上昇している。受託余力が低下し人材獲得競争が激化している面はあるものの、製薬メーカーと包括契約を締結するケースが増える等、有力CROの事業環境は良好だ。包括契約とは、治験業務のアウトソーシングを優先的に受託するための合意で、CROにとっては受注計画の確度が高まり要員計画が立てやすくなるため効率的な経営が可能になる。同社も国内メーカーとの包括契約締結に向けて協議を進めている。 こうした中、同社は、①CROビジネスにおけるリニカルブランドの確立、②CROビジネスにおける優秀な人材の獲得・教育、及び③顧客ニーズ(がん/中枢、海外、CSO事業)への対応、の3つの課題に取り組む事で中長期の成長を実現していく考え。 ①CROビジネスにおけるリニカルブランドの確立
第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験のモニタリング受託における付加価値(高品質・短納期)を追及する事で、リニカルブランドを確立すると共に適正価格の浸透を図り、高収益体質を維持する。実際、人材の確保・育成と待遇水準の維持に加え、マネジメントの工夫もあり、CRAの知識・技術水準が向上しており、同社が手掛ける案件の逸脱率は非常に低く抑えられている。また、症例の組み入れやデータの回収期間を含め、全案件の2割程度は実施期間の短縮に成功している。
②CROビジネスにおける優秀な人材の獲得・教育
リーマン・ショック以降に落ち込んだ案件数が回復傾向にあり、受注単価が上昇傾向にあるが、その一方でCRAが不足気味。このため、同社は即戦力となるCRA経験者の中途採用を積極的に進めると共に、CRA全体の20%を目途に新卒採用も進め(新卒が全体の20%を超えると品質が低下するリスクがある)、早期に200人・20プロジェクト体制の確立を目指している。そして14/3期には、がん領域90人、CNS領域90人、その他90人の270名体制(リーダーを含めた300人体制)を確立したい考え(規模を拡大する事で、一部の案件で中止・中断が発生した場合の影響も吸収できるようになる)。
③顧客ニーズ(がん/中枢、海外、CSO事業)への対応
がん領域プロジェクトは一般的に重篤な症例が対象となるため、安全性情報報告を中心に慎重かつ迅速な対応が求められる(このため参入障壁が高い)。同社は、がん領域での経験が豊富なマネージャーと経験者を配置しノウハウと実績の蓄積を図ると共に、増加するニーズへの対応を進めている。また、CNS領域プロジェクトは有効性評価の標準化が難しく、CNS領域での経験が豊富なマネージャーとCRAが求められる。同社はCNS領域で豊富な実績を有し、経験豊富なマネージャーとCRAを配置してニーズに応えている。
アジアでは、重要性を増すAsian Studyのモニタリング受託に向けて、アジア人の採用を開始した。 この他、特色あるCSO事業(MR業務アウトソーシング)の確立と経験・実績の蓄積を図り、製造販売後調査や医師主導臨床試験業務の受託をCSO事業でカバーしていく考え。欧米に比べて日本でのMR業務のアウトソーシングは遅れている。製薬メーカーの営業部門の課題である固定費削減を目的とした派遣MRの活用(人件費の変動費化)はコスト削減や業務の効率化に有効であり今後も成長が見込まれる。一方、今後増加していくCNSやがんなど専門性の高い未経験領域での学術的なサポーや市販後データ収集等のニーズに対するアウトソーシング活用は進んでいない。同社はこうした分野にフォーカスして、差別化を図りながらCSO事業を進めていく考え。 |
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