ブリッジレポート:(8912)エリアクエスト vol.1
(8912:東証マザーズ) エリアクエスト |
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企業名 |
株式会社エリアクエスト |
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社長 |
清原 雅人 |
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所在地 |
東京都目黒区中目黒2-6-20 京急建設イマスビル |
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決算期 |
6月 末日 |
業種 |
不動産業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2011年6月 | 595 | -45 | -43 | -50 |
2010年6月 | 735 | 12 | 14 | 3 |
2009年6月 | 879 | -182 | -179 | -381 |
2008年6月 | 1,015 | -311 | -307 | -556 |
2007年6月 | 1,530 | -95 | -94 | -118 |
2006年6月 | 1,580 | 18 | 18 | -139 |
2005年6月 | 2,091 | 240 | 236 | 189 |
株式情報(11/1現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
<事業内容及びグループ>
事業は、テナント誘致及び店舗・オフィス紹介等の「テナント誘致事業」と、契約更新、契約管理、メンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)等の「ビル管理関連事業」に分かれる。尚、上記事業セグメントは12/6期以降のもので、11/6期はビル所有者・経営者(賃貸人)向けのサービスであるプロパティマネジメント事業と賃借人(法人・個人)向けのサービスであるアウトソーシング事業からなる「不動産ソリューション事業」の単一セグメントで、前者が売上全体の76.6%、後者が23.4%を占めた。また、10/6期までは、未公開企業の価値向上を支援するコンサルティングや自己資金を原資に投資業務等を行う「その他事業」も手掛けていた。 <沿革>
現在代表取締役社長を務める清原雅人氏が野村證券(株)を経て起業。2000年1月にエリアリンク(株)として本格的なスタートを切った(01年3月、現商号に変更)。データベースマーケティングを駆使した営業力を武器にテナント誘致を中心とした成功報酬型ビジネスを急拡大させ03年2月に東証マザーズに株式を上場。その後も順調に業績を拡大させたが、米国での不動産市況の変調が国内にも波及し事業環境が一変。06/6期は前期の収益を押し上げた不動産売買が無くなった事とテナント誘致に伴う仲介手数料収入(成功報酬型収入)の減少で営業利益が急減。繰延税金資産の取り崩しもあり、1.4億円弱の最終赤字に転落した。07/6期以降はグループをあげてのコスト削減に取り組むと共に構造改革に着手。成功報酬型収入に依存する収益構造からストック型収入を中心とし安定成長が可能な収益構造への転換を進めた。ただ、リーマン・ショック後の世界的な不況が企業業績を直撃しオフィス需要の低迷が深刻化、09/6期にかけては成功報酬型収入の減少に歯止めがかからず、3期連続の営業赤字を計上。営業投資有価証券や投資有価証券の評価損・売却損等の計上で最終赤字も膨らんだ。 10/6期も成功報酬型収入の減少が続いたが、コスト削減が進んだ事と契約更新・契約管理・メンテナンス等のストック型収入が下支えとなり4期ぶりに営業損益が黒字転換。投資業務からの撤退も完了した。ただ、11/6期は景気低迷による企業活動の低下に加え、東日本大震災の影響で年度末にかけての契約も進まず成功報酬型収入が落ち込む中、コスト削減効果の顕在化の遅れで再び営業赤字となった。しかし、ストック型収入が着実に増加しており、顕在化が遅れているものの固定費を中心にしたコスト削減も進展、黒字体質定着への道筋が見えてきた。 <財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)>
07/6期以降、収益構造改革と並行して、営業投資有価証券や投資有価証券及び有利子負債の削減が進み財務面でのリスク軽減も進んだ。06/6期から09/6期にかけて4期連続の最終赤字となったため純資産の毀損も進んだが、同じ不動産事業でもマンション開発等を行うデベロッパーと異なり、仲介が中心であった同社は大きな運転資金を必要とせず、また、不動産在庫を保有する必要が無かった事が幸いし資金繰りに窮する事はなかった。CFの面では、未だ水準は低いものの、10/6期には営業CFに底打ち感が出てきた。このため、期末のキャッシュ(現金及び現金同等物)残高も、09/6期を底に安定した推移となっている。 |
中期事業計画 |
(1)中期事業計画のポイント⇒ストック型収入を基盤とするビジネスモデルへの転換
景気変動による振れが大きいものの、好況時の事業拡大速度が速く収益性も高いテナント誘致を中心とした成功報酬型収入に依存するビジネスモデルから、契約更新、契約管理、メンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)といった安定収益が見込めるストック型収入を基盤とするビジネスモデルへの転換を進めている。これまでは、需要供給共に旺盛だった事もありテナント誘致を中心とした成功報酬型ビジネスに注力していたため、ビルメンテナンス等のストック型ビジネスの積極的な営業はしていなかった。しかし、06/6期以降の事業環境の急変で振れが大きい成功報酬型ビジネスに依存した不安定な収益構造を痛感。加えて、国内経済の低迷が続きオフィス需要の回復にも時間がかかるとの考えが収益構造改革の背景にあり、今後はストック型ビジネスで安定成長を実現すると共に、好況時には成功報酬型ビジネスによる売上高・利益の上積みで成長を加速させる考え。 (2)サービス体系を一新
ストック型ビジネス強化の一環として、メンテナンスのサービス体系も一新した。新サービス体系は、テナント誘致事業を通してビル所有者やビル経営者(以下、ビル所有者等)から寄せられた要望や実際にあったクレーム等を踏まえて、清原社長が中心となってまとめたもので、11/6期上期に新サービス体系の紹介を開始。下期以降、営業を本格化し、第4四半期(4-6月)には徐々に成果が出始めた。清掃、設備保守、警備管理等を手掛けるビル管理会社は多いが、実際のサービスは大半が下請けに任せきりで、サービスの実施状況等を事細かに管理・指導する会社は少ない。このため、ビル所有者等の要望が実際のサービスに反映されず不満を持つケースが多いが、同社のサービスは下請け会社の管理をマニュアル化し徹底している事が特徴。また、エントランス、エレベーターホール、共用階段等の共用部分に関しては消防法に反する利用の制限等は特にビル所有者やビル経営者からの要望が強いが、ビル管理のみを手掛ける会社では対応に限界がある。これに対してテナント誘致も手掛ける同社の場合、テナントに対しても具体的な対応がとりやすい事も強みだ。 新サービス体系の中でも、同社独自のユニークなサービスメニューとして注力しているのが「パノラマクリーニング」と呼ばれる清掃業務の手法だ。 これは、まず建物共有部分のスケッチを作成し清掃箇所を明記して、オーナー・清掃員・同社が清掃のポイントを共通理解したうえで、清掃箇所ごとに作業項目(どこを、いつ清掃するか)を設定し一覧化する。これにより効率の良い作業によって美観を保つことができる。 また、同社社員が不定期に抜き打ちチェックを実施し、チェック箇所を撮影する。これにより清掃員は緊張感を持ち、しっかりと作業することとなる。 加えて月次報告書によりパノラマスケッチ、項目指示書で明確にした清掃箇所の清掃状況をオーナーに報告することにより安心感、信頼感を獲得し、顧客満足度向上を図っている。 (3)コスト削減の進展とスケールメリットで最終の14/6期には売上7.5億円、経常利益1.0億円を目指す
10/6期は56百万円を計上した減価償却費が11/6期は37百万円に減少し、12/6期以降も減少が続く見込みだ。大半が05/6期以前の成功報酬型ビジネスの拡大期に行った投資で、当面は不急の投資を抑制する考え。また、現在、メンテナンスでは外注費が売上の70%を占めているが、スケールメリットと作業の効率化で14/6期には61%に低下する見込みだ。
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2011年6月期決算及び2012年6月期業績予想 |
前期比19.0%の減収、同45百万円の経常損失
売上高は前期比19.0%減の5.9億円。景気低迷による企業活動の低下に加え、東日本大震災の影響で3月の年度末にかけての契約も進まずプロパティマネジメント事業、アウトソーシング事業共に苦戦し、仲介手数料収入や業務受託収入が減少した。利益面では、減価償却費が減少(56百万円→37百万円)した他、エリアクエスト本体での経費削減も進んだが、減収による売上総利益の減少と連結子会社の経費削減の遅れで45百万円の営業損失となった。
収益構造改革が進展し7期ぶりの増収、15百万円の経常利益を見込む
コスト削減施策が当初の予想よりも時間を要している事に加え、ビル管理事業の初期コストが予想を上回るとして、上期及び通期の業績予想を下方修正した。ただ、ストック型ビジネスであるビル管理事業が堅調に推移しており、売上はほぼ期初予想に沿った着地となる見込み。利益面でも、増収効果に加え、下期にかけてコスト削減効果が顕在化し、営業損益が16百万円の黒字に転じる見込み。投資有価証券売却益6百万円、投資有価証券売却損1百万円、会員券評価損3百万円を特別損益に織り込んだ。
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