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(4847) 株式会社インテリジェント ウェイブ

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ブリッジレポート:(4847)インテリジェント ウェイブ vol.9

(4847:JASDAQ) インテリジェント ウェイブ 企業HP
山本 祥之 社長
山本 祥之 社長

【ブリッジレポート vol.9】2011年6月期業績レポート
取材概要「厳しい決算となった11/6期ではあるが、「Linux NET+1」の開発、「ACE plus」 の海外展開、他社製品を使った高速情報基盤ソリューション・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年8月23日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インテリジェント ウェイブ
代表取締役社長
山本 祥之
所在地
東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー
決算期
6月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年6月 4,762 321 341 129
2010年6月 4,956 358 387 211
2009年6月 5,527 228 235 187
2008年6月 6,695 417 403 -5
2007年6月 6,367 389 407 -295
2006年6月 7,137 1,482 1,452 947
2005年6月 5,174 678 688 264
2004年6月 5,257 371 365 156
2003年6月 5,891 1,177 1,161 539
2002年6月 5,505 1,854 1,846 1,003
株式情報(8/12現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
19,600円 263,400株 5,163百万円 2.8% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
500.00円 2.6% 835.23円 23.5倍 17,865.65円 1.1倍
※株価は8/12終値。
 
インテリジェント ウェイブの2011年6月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
クレジットカードの決済システムに強みを持つソフトウェア開発会社。リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術、システムを止めないためのノンストップ技術、更には高度なセキュリティ技術を技術基盤としており、証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する他、カード不正利用検知システムや内部情報漏洩対策システム等も手がける。大日本印刷(株)が議決権の50.61%を保有する筆頭株主。子会社は、米国の販売子会社と韓国の開発・販売会社子会社の2社(いずれも連結子会社)。
 
<事業内容>
事業は、カードビジネスのフロント業務、システムソリューション業務、及びセキュリティシステム業務に分かれ、11/6期の売上構成比は、それぞれ58.1%、31.3%、10.6%。
 
カードビジネスのフロント業務
クレジットカード会社、銀行、大手小売業等向けに、「NET+1」をベースにしたカード決済にかかるフロント業務のシステム構築を行っている。フロント業務のシステムとは、カード利用者の信用照会(オーソリゼーション)等、クレジットカード会社が加盟店や信用情報センターとの接続に必要なシステム。「NET+1」はハードと自社開発のパッケージソフトからなり、大手クレジットカード会社向けではシェア70%の実績を有する。
 
システムソリューション業務
証券取引所等から提供される市況データや気配値等を素早く社内の各端末に配信する「市況情報配信システム」、クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」等の自社製品及び他社製品(海外商品)を用いたシステム構築を行っている。
 
セキュリティシステム業務
自社製品である内部情報漏洩対策システム「CWAT」や「EUC Secure」を中心にセキュリティ関連の製品・サービスを提供しており、親会社である大日本印刷(株)と共にセキュリティ関連の新事業(サービス)の開発も進めている。
 
<カードビジネスのフロント業務の特徴>
クレジットカードの利用に際しては、その都度、与信限度額や返済状況の確認作業が行われ、また、キャッシシングの際には口座残高の確認も必要となる。こうした確認作業はネットワークを介してリアルタイムで行われ、特にクレジットカードの場合、世界的なネットワークを介しての作業となる。また、システムが止まるとカードが使えなくなるため、24時間365日システムを止めないための技術やノウハウも必要だ。つまり、「カードビジネスのフロント業務」には、リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術やシステムを止めないためのノンストップ技術、ノウハウ、そして何よりも顧客となる金融機関等からの信頼性が不可欠なため参入障壁は高い。単年度での振れはあるものの、ハードウェアが5年程度で更新を迎える事に加え、技術やネットワークの進歩、或いは様々な社会犯罪等への対応で更新需要が絶えず発生している。
 
 
2011年6月期決算
 
 
前期比3.9%の減収、同11.8%の経常減益
売上高は前年同期比3.9%減の47.6億円。主要顧客であるクレジットカード、証券、金融の各業界各社は、厳しい事業環境に対応するべくシステム投資に対して慎重な姿勢を崩さず厳しい事業環境が続いた。こうした中、同社は、既存顧客の更新需要の取り込みでハードウェアを中心にカードビジネスのフロント業務の売上が伸びたが、期初より商談を進めていた証券業務系の大型案件の決定が先送りとなりシステムソリューション業務の売上が減少。セキュリティシステム業務も、東日本大震災(以下、震災)の影響等で年度末にかけて契約が進まなかった。利益面では、利益率の高い自社パッケージの減少で売上総利益率が低下。全社的な経費の節減で販管費の削減が進んだものの、営業利益は3.2億円と同10.3%減少した。為替差損の計上等で営業外損益が悪化した他、特別損益も悪化し当期純利益は1.2億円と同38.9%減少した。

予想との比較では、システムソリューション業務における大型案件の先送りや、震災の影響もあり、セキュリティシステム業務において年度末にかけて契約が進まかった事等で売上が下振れした。ただ、利益面では、経費節減の進展に加え、第3四半期までに計上していた減価償却費をソフトウェア臨時償却費として特別損失に振替計上する事となり、営業利益以下の各利益が押し上げられた。
 
 
 
カードビジネスのフロント業務
売上高は前年同期比14.9%増の27.6億円、セグメント利益は同14.3%増の11.1億円。自社開発パッケージの売上が減少したものの、既存顧客の更新需要の取り込みでハードウェア販売が大きく伸びた(期初の売上予想定は6億円)。この他では、ソフトウェア開発の売上がわずかに増加した他、ストック型ビジネスである保守が堅調に推移した。
 
主なサブセグメントの増減
 
システムソリューション業務
売上高は前年同期比20.5%減の14.8億円、セグメント利益は同40.8%減の2.4億円。証券系事業、カード系・その他事業共に受託開発の苦戦で売上が減少。特に、期初より商談を進めていた証券業務系の大型案件の決定が先送りとなり第4四半期の売上が伸びなかった事が響いた。ソフトウェア開発や自社開発パッケージが減少する一方で、ハードウェア販売が増加したため利益率も悪化した。
 
主なサブセグメントの増減
 
セキュリティシステム業務
売上高は前年同期比24.9%減の5.0億円、セグメント損失1.4億円(前年同期は2.1億円の損失)。東日本大震災の影響で年度末にかけて契約の取り込みが進まなかった事もあり、新規顧客の開拓、既存顧客の深耕共に苦戦。ただ、経費の節減で、前期比減収ながら、損失額が減少した。
 
主なサブセグメントの増減
 
 
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末総資産は前期末比2.6億円増の57.1億円。借方では、売上債権の回収が進んだ事と長期預金(3億円)が満期を迎えた事で現預金が増加。一方、貸方では、仕入債務や純資産が増加した。CFの面では、運転資金の減少で営業CFが増加する中、新規余資運用の減少で投資CFのマイナスが縮小。この結果、前期は1.0億円だったフリーCFが7.3億円に増加した。自己株式の処分による収入(4.3億円)がなくなった事で財務CFがマイナスとなったものの、現金及び現金同等物の期末残高は26.8億円と前期末比5.9億円増加した。
 
 
 
2012年6月期業績予想
 
 
前期比11.3%の増収、同20.2%の経常増益予想
売上高は前期比11.3%増の53億円。ハードウェア販売の減少でカードビジネスのフロント業務の売上が減少するものの、前期に先延ばしとなった案件や大日本印刷との連携による獲得案件の増加でシステムソリューション業務の売上が伸びる他、新規事業として取り組む海外メーカー製品を使ったソリューションも寄与する見込み。利益面では、「Linux NET+1(Linux OS対応の「NET+1」)」のサービス開始で当初の利益率悪化を見込んだカードビジネスのフロント業務が減益となるものの、増収効果でシステムソリューション業務の利益が3割強増加する他、新規顧客の開拓による売上の増加と経費節減でセキュリティシステム業務が黒字転換すると見ている。
配当は1株当たり500円の期末配当を予定している。
 
 
 
 
カードビジネスのフロント業務
クレジットカード会社や銀行で高い実績をもつ「NET+1」のLinux 版「Linux NET+1」のサービスが始まるため、加盟店、決済代行会社等へ顧客層の広がりが期待でき、案件の増加が見込まれる(顧客にとってLinux 版の導入は、初期投資の抑制とライニングコストの低減が期待できる)。ただ、習熟度の差からサービス開始当初は、従来のシステムに比べて利益率が低くなる事を想定している。
 
システムソリューション業務
カード系・その他: 「ACE plus」の海外拡販
クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」の海外展開を進めており、特に韓国では犯罪パターン等の優位性が大手カード会社から評価されている。また、東南アジアでは日系企業を中心に営業活動を行っており、中国では北京で開かれたマスターカード主催カンファレンス(6月28日~7月1日)に出展し、現地での営業を開始した。この他、大日本印刷グループ(NTTドコモとの提携ビジネス)が進めているハイブリッド書店システム(来春リリース予定)の開発に参画する。
証券系: 高速情報基盤ソリューション
前期に先延ばしとなった案件の受注に注力すると共に、自社製の市況情報配信システム「Will-Trade」やミドルウェア「RIX」と他社製品の組み合わせでソリューションの幅を広げ、証券会社(大手、中小、ネット)、地方銀行、信託銀行等への営業を強化する。
 
 
セキュリティシステム業務
「CWAT」と「EUCSecure」を中心に、販売代理店との関係強化を通じて幅広い業種業態の情報セキュリティ対策に係る需要を開拓していく。具体的には、「CWAT」については、リプレースやWindows 7導入等の商談に注力し新規顧客開拓を図り、「EUCSecure」については、現在、Android端末向け案件(現在、ユーザー側で試験導入中)の取り込みを図る。
 
新規事業
海外メーカー製品の取り扱いを拡大し、既存顧客へのソリューションの幅を広げると共に新規顧客の開拓につなげる。新規事業は「セキュリティ強化」と「業務効率化」をコンセプトとしており、「セキュリティ強化」ではイスラエルのCHECKMARK社製ソースコード解析ツール「Cx Suite」を用いたソリューションを展開し、「業務効率化」ではセマンティック・ソリューション(高品質キーワード検索)製品「IN2」、高速メッセージングのミドルウェアをハードウェア化したメッセージングプラットフォーム「Solace System」、互換性のないアプリやシステムの統合と処理の自動化を実現するTIBCO社の「Business Works」を用いたソリューションを展開する。
 
 
大日本印刷とのシナジー
大日本印刷(株)との協力体制を強化し受託開発を中心に共同で営業活動を進めていく考えで、11/6期は1.2億円(うちハードウェア売上が0.1億円)にとどまった売上を12/6期は6億円(うちハードウェア売上が1億円)に引き上げる。尚、大日本印刷とのシナジーにかかる売上は、システムソリューション業務の開発売上として計上される。
 
 
 
今後の注目点
厳しい決算となった11/6期ではあるが、「Linux NET+1」の開発、「ACE plus」 の海外展開、他社製品を使った高速情報基盤ソリューション、「EUCSecure」のAndroid端末向けビジネス、更には海外メーカー製品を用いた新たなソリューションと、12/6期以降の業績拡大につなげる基盤ができた。各案件の進捗に注目したい。