ブリッジレポート
(4290) 株式会社プレステージ・インターナショナル

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ブリッジレポート:(4290)プレステージ・インターナショナル vol.2

(4290:JASDAQ) プレステージ・インターナショナル 企業HP
玉上 進一 社長
玉上 進一 社長

【ブリッジレポート vol.2】2012年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「2012年3月期第1四半期は、為替の影響を考慮すれば概ね計画線での着地だったと言えよう。第3次中期経営計画2期目を静かに船出していったとの印象・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年8月23日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社プレステージ・インターナショナル
社長
玉上 進一
所在地
東京都千代田区麹町1-4
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年3月 19,210 2,291 2,360 1,145
2010年3月 16,174 2,390 2,434 1,587
2009年3月 14,729 2,316 2,311 1,410
2008年3月 13,438 1,806 1,817 1,074
2007年3月 12,829 1,631 1,634 877
2006年3月 10,040 1,298 1,206 655
2005年3月 8,306 1,052 1,055 566
2004年3月 7,101 458 387 353
株式情報(8/2現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
153,000円 74,051株 11,330百万円 15.6% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
3,000.00円 2.0% 21,691.71円 7.0倍 107,109.15円 1.4倍
※株価は8/2終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
プレステージ・インターナショナルの2012年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
世界14カ国16拠点でBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を展開。BPO事業はクライアント企業の既存業務の効率化、コスト抑制を目的とした業務委託事業で、企業側は経営資源をコア事業に集中することが可能になる。1986年に海外における日本語アシスタントプロバイダとして創業して以来、「エンドユーザーの不便さ、困ったこと」に耳を傾け、解決に導くことで、提供サービスを拡大してきた。
マクロ環境の変化、企業間競争の激化などを受け、企業は経営資源を極力本業に投下したいと考えるようになってきている。そのため、コア業務以外を外部委託するBPOに対する注目度が高まってきている。外部委託と言うとコールセンター業務を想像しやすいが、こちらは単純な業務受託に過ぎない。一方、同社が提供するBPO事業は単にパッケージ化されたソリューション事業に留まらず、各専門分野における知識・ノウハウを付加することで、独自性のあるメニューを開発し、企業に提供することを標榜している。その分参入障壁も高く、価格競争にも巻き込まれにくい。主な提供メニューは、CRM&e-CRM Solution(エンドユーザーとの電話応対を企業に代わって担当するBPOの基本メニュー)、Claim Process Solution(エンドユーザーに起こりうる緊急事態や事故・病気に対するサポート、各種クレームへの対応)、Data Process Solution(決済や請求書発行業務とそれに伴う問い合わせへの対応)、Data Mining Solution(各ソリューションで蓄積したデータベースを今後の事業活動に活用しやすい形で設計・構築し、CRM機能を提供)。
 
<事業内容>
BPO事業として、ロードアシスト事業(損害保険会社及び自動車メーカー向けロードアシスタンスなど)、インシュアランス事業(損害保険会社向け海外日本語アシスタンス、海外旅行保険クレームエージェントサービス、海外進出企業向けヘルスケア・プログラム、自動車メーカー及び中古車販売会社向け延長保証メンテナンスプログラム、家賃保証プログラム、介護関連サービスなど)、CRM事業(コンタクトセンターアウトソーシング、損害保険会社向け24時間事故受付業務など)、カード事業(米国、香港、中国で海外通貨建てクレジットカードの発行・運営など)、プロパティアシスト事業(不動産向けサービス、駐車場管理会社向けサービスなど)、を提供。BPO事業以外には、システムやカスタマーコンタクトセンターへのインフラ構築、人材派遣事業なども手掛けている。
 
 
 
2012年3月期第1四半期決算
 
 
営業減益ながら概ね会社計画線での着地
2012年3月期第1四半期は、前年同期比19.0%増収、同3.2%営業減益となった。為替(対米ドル)の影響額は、売上高47百万円減、営業利益13百万円減(11/3期Q1:88.48円、12/3Q1:80.73円73百万円)。為替の影響を排除したベースでは前期比20.1%増収、0.6%営業減益ということになる。
売上面では、インシュアランス事業、ロードアシスト事業、プロパティアシスト事業が成長ドライバーとなった。収益面では、インシュアランス事業、ロードアシスト事業の営業減益をプロパティアシスト事業の営業増益で埋めきることができなかった。
なお、四半期純利益段階では、前期計上されていた資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額がなくなったこともあり、前年同期比プラスを維持して着地した。
 
 
ロードアシスト事業
ロードアシスト事業は、前年同期比6.1%増収、同5.8%営業減益となった。損害保険会社向けサービスの利用者増、既存受託業務の拡大を背景に増収は確保した。しかし、サービス利用増に伴うコスト増を受け売上高営業利益率が前年同期比1.3ポイント減となったため、営業利益段階では前年同期比マイナスに転じてしまった。全体の出動件数は前年同期比8.7%増。
 
インシュアランス事業
インシュアランス事業は、前年同期比74.5%増収、同25.0%営業減益での着地。延長保証メンテナンスプログラムが堅調に推移したほか、家賃保証プログラムの既存受託業務の拡大もあり、大幅な増収となった。しかし、延長保証メンテナンスプログラム増加に伴い原価も増加したこと、家賃保証プログラムの再保証料上昇などを背景に営業経費負担が拡大した。
 
CRM事業
CRM事業は、前年同期比2.4%減収、同3.3%営業減益となった。既存受託業務が終了したほか、東日本大震災以降保険事故受付業務の件数が減少した。但し、既存の国内通販関連サービスは好調に推移したとのこと。
 
カード事業
カード事業は、前年同期比7.2%減収、同7.8%営業減益。東日本大震災以降、海外駐在員の渡航が遅延したことが利用減に直結したことに加え、香港・中国の現地居住者による日系航空会社の利用が減少した影響もあった。カード会員数(前年同期比)については、地域別では米国5.5%増、香港1.9%増、中国20.4%増と堅調な地域も見受けられたが、全体としては微増に留まった。
 
プロパティアシスト事業
プロパティアシスト事業は、前年同期比57.1%増収となった。不動産向けサービスにおいて既存受託業務が堅調に推移したうえ、新規受託業務も順調に獲得が進んだ。駐車場管理会社向けサービスの既存受託業務も堅調だった。収益面ではサービス委託単価の見直し等が功を奏し、営業黒字を実現した。
 
(3)財政状態
2011年6月末の総資産は12,512百万円。売上債権及び立替金の減少を手元流動性の増加が上回ったこともあり、流動資産は前期末比300百万円増となった。固定資産は投資有価証券の減少等により前期末比163百万円減となった。配当支払いというマイナス要因を四半期純利益334百万円で補ったことから、純資産は前期末比180百万円増となった。
 
 
 
2012年3月期業績予想
 
 
経営資源の集中と先行投資継続の方向感に変更なし
2012年3月期は前期比17.1%増収、同15.6%営業増益を計画。戦略的事業に位置付けられたロードアシスト事業、プロパティアシスト事業が成長ドライバーとなる。この2事業にインシュアランス事業を加えた領域に今期も経営資源を集中させ、継続的な先行投資を行なっていく見通しである。そのため、売上高営業利益率は若干低下するだろう。具体的に計画されている投資は、秋田BPOキャンパスサテライト建設(2012年4月操業予定)、各事業の拠点拡大及び車両投資など。システム関連投資については、3期先までに必要となりそうなものに対して前倒しで投資していくとのことである。為替前提は83.15円。
 
 
ロードアシスト事業
ロードアシスト事業は、前期比11.9%増収、同43.1%営業増益を見込む。引き続きロードサービスの認知度を向上させることでサービス利用増を促進させていく計画。そのために、全ての自動車保険にロードアシスタンスが付帯されるべく、フィールドワーク専門子会社は、今期都道府県1拠点化からさらに都心部を中心とした拠点展開に方向転換していく予定。収益面では、2009年に導入した新システムを進化させることで一層の業務効率化を図り、売上高営業利益率12%という目標達成を目指す。
 
インシュアランス事業
インシュアランス事業は、前期比32.5%増収、同40.7%営業減益を計画。自動車メーカー、中古車販売会社向けの延長保証システムプログラムの販促強化に注力する。海外進出企業向けヘルスケア・プログラムでは新規クライアント企業10社の獲得を目指す。但し、先行投資に加え、家賃保証事業において再保険料が上昇することなどを受け、売上高営業利益率は一時的に大きく悪化する見通し。
 
CRM事業
CRM事業は、前期比8.3%増収、同32.5%営業増益を見込む。引き続き国内での通販関連、インターネット関連業務に注力するほか、新規クライアントの獲得、新サービスの利用促進にも取り組んでいく。
 
カード事業
カード事業は、前期比3.9%増収、同8.3%営業減益を見込む。東日本大震災に起因した海外への渡航遅延も下期以降は多少改善してくるだろう。中期的には香港・中国を事業拡大地域に位置付け、営業人員を増強してマーケティング強化に取り組んでいく計画である。そのため、今期は売上と利益のバランスが崩れることになろう。
 
プロパティアシスト事業
プロパティアシスト事業は、前期比45.0%増収、同100.4%営業増益となろう。不動産向けサービスにおける委託単価見直し完了が収益を大幅に改善させる見通し。そのほか、既存クライアントの深掘り、新規クライアントの獲得に注力していく計画である。
 
 
取材を終えて
2012年3月期第1四半期は、為替の影響を考慮すれば概ね計画線での着地だったと言えよう。第3次中期経営計画2期目を静かに船出していったとの印象である。成長要素の高い事業への経営資源集中を根幹とした第3次中期経営計画においては先を見通した投資が先行するため、暫くは利益率の改善が見込みにくいことは従前より分かっていたことである。会社側は第2四半期より売上利益の成長モメンタムが上昇基調に転じるとしていることから、足下の業績動向には注視していきたい。但し、成長分野での売上拡大が将来の利益拡大に繋がることを考えれば、中期的視点では各事業のトップラインがきちんと成長ベクトルを描いているかが重要であることを忘れてはならない。その意味では2012年4月に操業予定の秋田BPOキャンパスに掛かる期待は大きい。