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(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.5

(2157:JASDAQ) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.5】2011年8月期上期業績レポート
取材概要「ボウリング事業の取り込みによって、既存業種新業態のポートフォリオ戦略が、また一歩前進した。カラオケ事業、カーブス事業、ボウリング事業に・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年5月17日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
群馬県前橋市大友町1-5-1
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(5/13現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
680,000円 24,000株 16,320百万円 35.3% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10,000.00円 1.5% 97,062.00円 7.0倍 229,521.10円 3.0倍
※株価は5/13終値。
 
コシダカホールディングスの2011年8月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「既存業種新業態」戦略を推進。「カラオケ本舗まねきねこ」のブランドで全国展開するカラオケ事業を基盤に、子会社を通してフィットネス(カーブス)事業及びボウリング事業を展開。カーブス事業では、連結子会社(株)カーブスジャパンが女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」のFC(フランチャイズ)本部の運営と直営店展開を、連結子会社(株)北海道コシダカがフランチャイジーとしてFC展開を、それぞれ行っている。また、10年9月には第3の柱として育成するべくボウリング事業を手掛ける(株)スポルトを子会社化した。
 
<事業セグメント>
事業は、カラオケ事業、カーブス事業、及びボウリング事業に分かれ、売上構成比は11/8期予想ベースで、カラオケ事業63.3%、カーブス事業24.4%、ボウリング事業12.3%。
 
<コシダカ・グループ>
目指すところは、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4つの事業分野において、「既存業種新業態」を展開する“総合余暇サービス提供企業”。そのためには、「各事業により深く特化し競争力を高める事、グループ間のシナジーを追及できる体制にする事、及び第4・第5の事業の創造、取り込みが容易にできる体制にする事が必要」というのが同社の考え。今後、純粋持株会社体制の下、各事業で自律的な経営体制を構築していく。
 
 
 
2011年8月期上期決算
 
 
前年同期比30.3%の増収、同17.1%の経常増益
売上高は前年同期比30.3%増の138.9億円。ボウリング事業を手掛ける(株)スポルトの連結子会社化(10年9月)が15億円弱の増収要因となった事に加え、加盟店舗数の増加や通販の好調でカーブス事業の売上も伸長。主力のカラオケ事業も新規出店やリニューアル効果で堅調に推移した。
利益面では、カーブス事業における通販の増加やボウリング事業の原価率が相対的に高い(販管費率は相対的に低い)事もあり売上総利益率が低下。人件費や広告宣伝費を中心に販管費も増加したが(販管費率は1.6ポイント低下)、増収効果で吸収し営業利益は同21.0%増加した。社債発行費64百万円の計上等で営業外費用が増加した他、減損損失72百万円や資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額60百万円など特別損失1.9億円を計上したものの、(株)スポルトの連結子会社化に伴う負ののれん発生益など特別利益11.9億円を計上したため、当期純利益は19.5億円と同3倍弱に拡大した。
 
 
カラオケ事業
上期末の店舗数は315店舗。8店舗(建築出店2店舗、居抜き出店6店舗、前年同期4店舗)の新規出店を行う一方、賃貸契約が満了した2店舗を閉店した。また、内外装等ハード面の一新と料金等営業施策(ソフト面)の見直しを併せた大規模リニューアルを25店舗で実施すると共に、9月の定例「グランドメニュー」の改定、10月の「Bグルフェア(全国B級グルメフェア)」第2弾、11月の「宴会メニュー」、更には12月の「いちごフェア」、及び2月の「元気出していくわ(198)フェア」(198円、98円メニューの提供)など各種キャンペーンを実施して集客を強化した。この結果、個人消費が低迷する厳しい事業環境の中で既存店売上高が前年同期比97.5%(客数98.6%、客単価98.9%)と健闘。全店ベースの売上高が86.4億円と同5.1%増加した。利益面では、新規出店やリニューアルに伴う経費が増加したものの、売上の増加と食材原価の低減やメニューの工夫等による売上総利益率の改善(22.8%→23.2%)で吸収、ほぼ前年同期並みの営業利益を確保した。
尚、10年9月から11月にかけてリニューアルを実施した店舗は売上及び客数が顕著に増加しており、リニューアル前の3ヶ月間(10年8月~10月)とリニューアル後の3ヶ月間(10年12月~11年2月)を比較すると、売上の前年同期比が4.3ポイント、客数の前年同期比が4.7ポイント、それぞれ上昇した。
 
カーブス事業
上期末の加盟店舗数は74店舗増(前年同期31店舗増)の938店舗。このうち直営店は(株)シュクランの連結子会社化に伴う19店舗を含む22店舗増の36店舗。期末会員数は27千人増の350千人。店舗ネットワークの拡大や通販の好調で売上高が36.1億円と前年同期比48.5%増加。通販の増加で売上総利益率が46.2%と同2.5ポイント低下したものの増収効果で吸収し、セグメント利益は同2.6倍に拡大した。
 
 
ボウリング事業
「居抜き出店方式」(ボウリング場の再生)で2店舗(センター)をオープンし、上期末の店舗数は14店舗。14.6億円の売上を計上したものの、77百万円の損失となったが、客数の増加を背景に事業は順調に推移しており、第2四半期(12-2月)の3ヶ月間では37百万円の利益を計上した。また、不動産管理事業では売上288百万円(内部売上高を含む)、セグメント利益141百万円を計上した。
 
 
また、総ゲーム数及び総ゲーム売上に占める固定客の比率が上昇しており、健康ボウリング教室(LTB:Learn To Bowl)の開催等による固定客創出努力が成果をあげている事がうかがえる。LTBとは、地元の体育協会や行政とのタイアップによる(株)スポルト主催のボウリング教室。社員の半数以上がプロ及びインストラクターの資格を持つ等、充実した指導体制が(株)スポルトの強みだが、LTBはボウリングのレベルアップよりも、健康維持の観点から週一回体を動かす事に主眼を置き、団塊の世代・シニア層を中心に全6週のカリキュラムを実施している。
 
 
※固定客とは、(株)スポルトの会員、定期開催のリーグ戦に参加するリーグボウラー、トーナメント参加者の合計。LTBへの参加がトーナメントへの参加やリーグ戦に参加のきっかけとなっている。
 
上記の他、(株)スポルトの連結子会社化に伴い、今期より報告セグメントとして不動産管理事業を追加しており、上期の売上高は2.8億円、セグメント利益は1.4億円。また、10年10月に群馬県高崎市に温浴娯楽「箕郷温泉まねきの湯」を「居抜き出店方式」により開設しており、その他事業として、売上高77百万円、セグメント損失22百万円を計上した(12-2月の3ヶ月間では、2百万円の利益を計上)。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比57.2億円増の176.9億円。借方では、ボウリング事業を手掛ける(株)スポルトの連結子会社化に伴い土地建物が約43億円増加した他、カラオケ事業やカーブス事業も含めた出店に伴う店舗の増加で敷金及び保証金が増加。一方、貸方では、純資産及び有利子負債が増加した。営業CFは14.5億円の黒字。前年同期の実績を下回ったのは、税負担の増加(5.0億円→8.7億円)による。M&Aに加え、新規出店や店舗リニューアルを積極的に進めた事で投資CFのマイナス幅が拡大したものの、ほぼ営業CFの範囲内にとどまった。
 
 
(4)トピックス
①人材育成
実際のカラオケ店を改修した自社研修センター「まねき塾」において、店舗オペレーションの基礎からマネジメントまで、キャリアに応じた階層別の実践研修を実施している。「まねき塾」では、店舗勤務の経験豊富な社員を配置転換して講師4名体制で継続的な教育・研修制度の充実に取り組んでおり、「意欲に応える完全能力主義」と「公平な評価システムによるキャリアアップ」を基本とする人事システムと共に同社の人材育成の基盤としていきたい考え。また、社員のモチベーション向上と経営者・起業化の育成を目的に社員独立制度を設けており、第1号店となった熊谷バイパス店の運営も順調に推移している。
②海外展開と新業態への挑戦
韓国を手始めに海外展開を進めていく考えで、その第1号店の開設準備が韓国ソウル市内で進められている(6月上旬のオープン予定)。また、総合エンターテインメント事業を展開する(株)アミューズとの提携により、アクティブシニア向けエンターテインメントとして、「浅草まねきねこ」にて昭和歌謡レヴューを開始した(夏にブラッシュアップを予定)。
③(株)シュクランの子会社化と会員向け通販の拡充
カーブスのFC店19店舗を運営する(株)シュクランを子会社化した他、通販事業において、ワークアウトライフに欠かせない商品の品揃えを拡充した。特に年末から年始にかけて販売を開始したプロテインが好調で売上が伸長。定期購入システムを導入した事もあり、足下、安定した売上を維持している。
 
 
2011年8月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更は無く、前期比29.4%の増収、同22.6%の経常増益予想
東日本大震災では、地震当時の利用者も含めて人的被害は無かったが、カラオケ27店舗(うち津波被害を受けた1店舗は閉鎖)、カーブスFC店70店舗、及びボウリング2店舗が営業休止を余儀なくされた。ただ、全店舗数に占める割合はカラオケが10%程度、カーブスが7~8%にとどまり影響は軽微。しかも、店舗の復旧が予想以上に進み、4月18日現在、その大半が営業を再開している(休止中の店舗はカラオケ2店舗、カーブスFC6店舗、及びボウリング1店舗)。しかし、消費マインドの低下や夏場にかけての電力不足の懸念等、今後、間接的な影響を受ける可能性があり、また、その影響の度合いも測り難い事から、上期業績が期初予想を上回ったものの、ひとまず通期の業績予想を据え置いた。配当は1株当たり1,300円増配の年10,000円を予定している(上期末配当5,000円)。
 
 
カラオケ事業
震災の間接的な影響など不確定要素が多いものの、大規模リニューアルを実施し既存店舗売上の維持拡大を図ると共に、人材育成の強化による接客力の向上で差別化を図り、売上・利益予想の達成を目指している。
 
カーブス事業
加盟店の新規出店時の早期会員獲得と既存店の会員増強につなげるべく、直営店運営を通して営業ノウハウの蓄積とブラッシュアップを図ると共に、加盟店の運営支援及び新規開拓を強化する。また、会員向け通信販売の拡大により収益源の多様化も進める。尚、通期の利益予想は5.5億円だが、上期の実績(5.6億円)はこれを超過している。
 
ボウリング事業
「居抜き出店方式」による店舗展開を進めると共に、既存店舗も含めて中高年層を中心に固定客化を推進する事で売上・利益予想の達成を目指している。
 
 
今後の展望
 
総合余暇サービス提供企業を目指して、既存業種新業態を展開していく考え。具体的には、既存事業を通じてアミューズメント分野やスポーツ・フィットネス分野の深堀を進めると共に事業間のシナジーを追及しグループ力の極大化を図る。また、M&Aへの対応も含めて、観光・行楽、趣味・教養といった新たな分野への展開も含めて、第4、第5の事業の育成に取り組む。中期的には、カラオケ事業で400~500店舗、カーブス事業で1,500~2,000店舗、ボウリング事業で45センター程度へのネットワーク拡大を目指しており、第4、第5の事業の育成と合わせて、グループで売上高1,000億円を達成したい考え。

事業を進めていく上でのキーワードは、「アクティブシニア層」と「安近短」。「アクティブシニア層」に対して、手軽で身近な「安近短」の余暇活動の場を提供する事で事業の拡大と高齢化社会への貢献を目指しており、第3の事業として育成中のボウリング事業はこの考えを具現化したもの。また、“未経験者を対象にした顧客開拓よりも、過去に経験し、その楽しみを知っている人を対象に顧客開拓を進める方が需要掘り起こしのハードルが低い(「眠れる経験」へのアプローチは需要を喚起しやすい)”という点で、「アクティブシニア層」と「ボウリング」との結び付けはビジネスとして捉えた場合でも合理性を有する。

第4の事業として育成するべく開始した温浴事業(群馬県高崎市に温浴娯楽「箕郷温泉まねきの湯」をオープン)では、接客や飲食サービスなど既存事業で培ってきた経験とノウハウを活かし、「安近短」の健康創出空間を演出している。「アクティブシニア層」に限らず、幅広い世代から高い評価を得ており、未だ営業開始から半年に満たないが、既に単月黒字を達成している。昨今、国民の時間的なゆとり感が高まりを見せる一方で、金銭的なゆとり感が低下している事も、今後の「安近短」の余暇活動市場拡大の後押しとなろう。
 
<復興支援活動「がんばろう!東日本」>
東日本大震災で被災した仙台は、腰髙社長が学生時代を過ごし、また、総務部長である腰髙取締役の出身地でもある等、同社にとってゆかりの深い土地である。同社は「がんばろう!!東日本」と題して、被災地の一刻も早い復興を願い、カラオケ事業、カーブス事業、ボウリング事業の各事業を通して支援活動を行っている。
 
 
 
取材を終えて
ボウリング事業の取り込みによって、既存業種新業態のポートフォリオ戦略が、また一歩前進した。カラオケ事業、カーブス事業、ボウリング事業に共通する点は、単に余暇活動の場を提供するだけでなく、コミュニティを形成し、その中で利用者の積極的な参加を促す事で収益の拡大と地域の活性化の両立を図っている事。複合アミューズメント施設を運営する企業は他にもあるが、メインターゲットはヤング層で、今後の消費拡大が期待されるシニア層をメインターゲットとしている同社とは事業コンセプトが異なる。同社は地方を中心としたカラオケ事業で収益基盤を確立したが、マーケットの小さい地方での事業は利用者を固定客化し利用頻度を上げる事が事業成否のポイントとなり、同社にとって、そのための戦略がコミュニティの形成であり、戦術が高品質な接客やリーズナブルな飲食サービスだった。
カラオケ事業、フィットネス(カーブス)事業、ボウリング事業、更には温浴事業と、一見すると関連性のない各事業だが、勝ちパターンを共有できる事がポイントで、しかも、ボウリング事業のように、それだけを聞くと目新しさを感じない事業でも、“「眠れる経験」へのアプローチ”と言う概念に示されているように、過去に慣れ親しんだサービスを通して、余暇時間の活用と消費の拡大が期待できるシニア層の需要取り込みを図ろうとする考えは斬新だ。各事業のイメージで理解するのではなく、その背景にある考え方を理解すると、同社の違った姿が見えてくる。