ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.24

(4767:東証1部) テー・オー・ダブリュー 企業HP
川村 治 会長兼社長
川村 治 会長兼社長

【ブリッジレポート vol.24】2011年6月期上期業績レポート
取材概要「上期業績が上振れしたものの、厳しい事業環境を踏まえると、通期業績を達成するためのハードルは低くない。ただ、電通の業績が回復傾向にあり・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年3月15日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社テー・オー・ダブリュー
会長兼社長
川村 治
所在地
東京都港区虎ノ門 4-3-13 神谷町セントラルプレイス
決算期
6月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年6月 12,575 671 670 357
2009年6月 14,210 1,401 1,392 876
2008年6月 14,397 1,362 1,343 729
2007年6月 13,070 1,051 1,041 551
2006年6月 12,341 781 784 423
2005年6月 10,705 771 782 465
2004年6月 9,638 781 765 466
2003年6月 9,441 1,103 1,073 537
2002年6月 8,600 940 920 462
2001年6月 7,555 756 730 371
2000年6月 5,995 556 537 238
株式情報(2/18現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
505円 11,447,305株 5,780百万円 6.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
32.00円 6.3% 33.83円 14.9倍 446.32円 1.1倍
※株価は2/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
テー・オー・ダブリューの2011年6月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
イベント・プロモーション業界のトップカンパニー。イベント及びセールスプロモーション(SP)の「企画」・「制作」・「運営」・「演出」を手掛けており、SPに関するグッズ・印刷物の企画・制作も行っている。約8,000社がしのぎを削る業界にあって、同社は頭1つ抜け出た存在。競合他社が限られた大手広告代理店とだけ取引しているのに対して、同社は国内外の大手広告代理店10社以上と取引しており、東京ドーム、幕張メッセ、国際フォーラム、東京ビッグサイト等、大型会場でのイベントを1社で受注できる制作力と資本力を有する。2000年7月に株式を店頭登録。07年6月の東証2部上場を経て、08年6月25日に東証1部指定替えとなった。
 
 
 
2011年6月期上期決算
 
 
前年同期比16.8%の減収、同12.1%の経常減益
広告需要の低迷が続く中、自動車メーカーの広告費削減の影響を大きく受けた他、海のエジプト展や横浜開港150周年記念イベント(Y150)の反動減もあり、売上高が57.9億円と前年同期比16.8%減少した。コスト削減など収益力の強化に努めたものの、減収の影響をカバーできず営業利益が同11.1%減少。役員報酬返納額(6百万円)が無くなり営業外損益が悪化した他、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額の計上等で特別損益も悪化。更には税効果会計の影響もあり、四半期純利益は1.4億円と同32.4%減少した。

ただ、制作管理の強化とコスト意識の徹底を図った成果が現れており、売上総利益率が13.0%と同0.8ポイント改善すると共に、固定費が中心の販管費も同11.6%減少し営業利益率が6.1%と0.4ポイント改善。四半期ベースでの推移を見ると、収益性の改善がより顕著だ。
 
 
上期末の総資産は前期末比49百万円増の85.0億円。借方では、売上債権や未収入金(ファクタリング債権=電通向け売上債権)が増加する一方、現預金が減少。貸方では、仕入債務が増加した。CFの面では、ファクタリング債権が増加(前年同期比6.2億円増)で営業CFがマイナスとなった。電通が支払代行としてファクタリング業者を利用しているため、電通向けの売上債権は未収入金として計上される。割引料を払う事で支払期日前に現金化する事も可能だが(この場合、営業CFの見栄えは良くなる)、現在、現預金に不足感が無いため現金化を急がなかった。
 
(3)上期の傾向
海のエジプト展や横浜開港150周年記念イベント(Y150)の反動や自動車メーカーの大型プロモーションが無かったため大型案件が減少したものの、質を重視した提案営業による需要の掘り起こしで小・中案件の取り込みが進んだ。
 
 
動きが鈍かった大型案件が減少したものの、動き出した小・中案件の取り込みが進み、件数ベースでは前年同期及び前四半期を上回った。
 
 
クライアントの広告費削減に伴い競合案件が減少したものの、広告代理店やクライアントからの高い評価を反映して指定案件が増加した他、自主提案による潜在需要の掘り起こしにより提案案件も増加した。また、質重視により企画本数が減少傾向にあるが、制作移行案件獲得数は増加しており、勝率も26%後半に回復した。
 
 
厳しい事業環境の中で小・中案件の取り込みにより食品・飲料・嗜好品や化粧品・トイレタリーが増加したものの、大型案件が無かった自動車が落ち込んだ他、海のエジプト展や横浜開港150周年イベント(Y150)の反動で官公庁・団体も減少した。
 
 
カテゴリー別では、海のエジプト展や横浜開港150周年記念イベント(Y150)の反動で博展や文化・スポーツが減少する一方、提案営業の強化による潜在需要の掘り起こしで販促をわずかな減少にとどめた。得意先別では、大手自動車メーカーの大型案件が無かったため中堅代理店(自動車メーカーのハウスエージェンシー)が大きく落ち込んだ。
 
 
2011年6月期業績予想
 
 
前期比1.4%の減収、同20.1%の経常増益予想
12月15日に上期及び通期の業績予想を修正しており、上期は売上の上振れや販管費の予算未消化等で修正値を上回ったが、不透明な要素もあるとして通期予想を据え置いた。各種アライアンスによるワンストップ体制と提案力の強化で潜在需要の掘り起こしに努める考え。
配当は1株当たり16円の期末配当を予定(上期末配当と合わせて年32円)。
 
 
 
(2)今後の対策
業績回復に向け成長基盤の再整備に取り組む考えで、各種アライアンスによりワンストップ体制と提案力を強化する。具体的には、ノベルティ領域を強化するべく(株)トランザクションと業務提携をした他、Webをハブにしたプロモーションの増加を踏まえ、Web部門を強化するべく数社と業務提携について話し合いを進めている。また店頭でのプロモーション強化に向け前期に資本・業務提携を行ったジェイコムホールディングス(株)とは既に携帯電話のキャンペーンが進行中である。
 
 
①ノベルティ強化
ノベルティ強化に向け、独創性の高い力スタムメイド製品やオリジナル製品の企画から販売までを手掛ける(株)トランザクション(JASDAQ:7818)と業務提携を行った。今後、ノベルティグッズを中心とした懸賞キャンペーンの共同営業に加え、販促商品の開発や共同営業にも取り組んでいく。
 
 
②Web強化
Web強化に向け、企画、プロデュース、制作・運用力といった分野でそれぞれ強みを有する数社と、現在、業務提携について話し合いを進めている。3月から4月には案件がまとまる見込みだ。
 
③店頭強化
店頭強化に向け、前期に店頭・営業支援に強みを持つジェイコムホールディングス(株)(東証1部:2462)と資本・業務提携しており、既に携帯電話のキャンペーンが進行中である。
 
 
取材を終えて
上期業績が上振れしたものの、厳しい事業環境を踏まえると、通期業績を達成するためのハードルは低くない。ただ、電通の業績が回復傾向にあり、博報堂の業績にも底打ち感が出てきたように、厳しいながらも事業環境は最悪期を脱したようだ。実際、大手自動車メーカーの大規模な試乗会が復活する等(同社は受注に成功)、4マス媒体の低迷が続く一方でプロモーションでは大型案件も徐々に動き出している。ただ、こうした動きを取り込むためには、ニーズを捉えた的確な提案に加え、Web及びリアル両面での対応力が必要となる。通期業績予想の達成を考えた場合、足下の受注残及び受注確度50%以上の案件だけでは心もとないが、今後の対策として示されたように各種アライアンス戦略が進捗しており、下期の追い込みや来期の業績V字回復に向けた体制の整備が着実に進みつつある。