ブリッジレポート
(5162) 株式会社朝日ラバー

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ブリッジレポート:(5162)朝日ラバー vol.15

(5162:JASDAQ) 朝日ラバー 企業HP
横山 林吉 社長
横山 林吉 社長

【ブリッジレポート vol.15】2011年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「利益予想を上方修正したものの、第4四半期(1-3月)は12.4億円の売上予想を前提にすると、利益予想が若干保守的なように思われる。もっ・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年3月1日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社朝日ラバー
社長
横山 林吉
所在地
埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2
決算期
3月 末日
業種
ゴム製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 4,667 125 91 41
2009年3月 4,904 46 14 -80
2008年3月 6,284 414 325 211
2007年3月 5,314 399 375 176
2006年3月 4,578 366 353 209
2005年3月 4,057 251 251 147
2004年3月 3,449 233 211 112
2003年3月 3,154 172 159 75
2002年3月 2,907 98 85 10
2001年3月 3,582 315 336 189
2000年3月 3,140 313 300 141
株式情報(2/18現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
301円 4,549,916株 1,370百万円 1.5% 500株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
8.00円 2.7% 15.38円 19.6倍 630.41円 0.5倍
※株価は2/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
朝日ラバーの2011年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明の他、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、文房具用・スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン材料の配合技術と調色技術に強みを有し、例えば、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、1万色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事ができる。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かしてそれぞれの用途にあったゴム質を実現している。
グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)ファインラバー研究所、米国の販売会社ARI International Corp.、及び中国・東莞市の工場(来料加工工場)の管理と貿易業務を行う朝日橡膠(香港)有限公司、また今年7月に中国・東莞市に設立した東莞朝日精密橡膠制品有限公司の連結子会社4社からなる。
 
<事業内容と主要製品>
事業は、自動車の内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓等の医療・衛生用ゴム事業に分かれる。10/3期の売上構成比は、それぞれ、83.4%、16.6%。
 
<成長投資>
既存・基盤製品を原資に成長投資を行っており、薬剤を使わずゴムと素材を接着する表面改質技術によるRFID向けの半導体保護用シリコーンゴム製品やプリント配線基板に塗布する事で基板に実装されている白色LEDの光取り出し効率(95%の反射率)を高める事ができるレジスト材料「ASA COLOR RESIST INK」等の製品化に成功している。
 
 
 
2011年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比7.8%の増収、経常利益95百万円(前年同期は経常利益22百万円)
売上高は前年同期比7.8%増の36.0億円。自動車向けや情報通信機器向けに彩色用ゴム製品や弱電用高精密ゴム製品が伸びた工業用ゴム事業の売上が増加した他、医療用ゴム製品を中心に医療用・衛生用ゴム事業の売上も伸びた。利益面では、昨年7 月に設立した中国工場への生産移管に伴い悪化していた一部製品の歩留り改善や受注の増加に伴う工場稼働率の向上で売上総利益率が3.6ポイント上昇。抑制していた人件費の正常化等による販管費の増加を吸収して、営業利益は1.3億円と同2.7倍に拡大した。為替差損20百万円の計上で営業外損益が悪化したものの、株主割当益など16百万円を特別利益に計上した事や税負担率の低下で四半期純利益は前年同期の4百から68百万円に増加した。
 
 
工業用ゴム事業
顧客の販売戦略変更の影響でスポーツ用ゴム製品の苦戦が続いたものの、彩色用ゴム製品や弱電用高精密ゴム製品といった自動車関連や情報通信関連の好調で売上高が29.4億円と前年同期比6.9%増加。売上の増加と生産性の向上でセグメント利益は2.3億円と同1.6倍に拡大した。尚、第3四半期(10-12月)はエコカー補助金の廃止に伴う受注量の減少や販売単価の下落で国内向けの自動車関連製品の受注・売上が減少した。
 
医療用・衛生用ゴム事業
自社開発の医療用ゴム製品をけん引役に売上高が6.6億円と前年同四半期比12.0%増加したものの、新たな開発製品の量産販売に向けた(既に販売が開始されている)先行投資が負担となりセグメント利益は0.7億円と同3.8%減少した。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は前期末比1.0億円増の75.9億円。第二福島工場の増築に伴い、有形固定資産及び有利子負債が増加した。CFの面では、運転資金及び税負担の増加で営業CFが減少する一方、第二福島工場の増築に伴い投資CFのマイナス幅が拡大したため、フリーCFが5.9億円のマイナスとなった。長期借入金で必要資金を賄ったため財務CFが黒字となり、現金及び現金同等物の第3四半期末残高は8.4億円と前期末比1.8億円の減少にとどまった。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
前期比3.9%の増収、同25.4%の経常増益予想
売上予想を据え置いたものの、費用の削減や生産性改善の効果が見込まれるとして利益予想を上方修正した。配当は1株当たり期末5円を予定。上期末配当と合わせて年8円となり、3円の増配となる。
 
 
 
取材を終えて
利益予想を上方修正したものの、第4四半期(1-3月)は12.4億円の売上予想を前提にすると、利益予想が若干保守的なように思われる。もっとも、多少上振れしたとしても、未だ業績の回復は道半ばで、来期以降の更なる業績拡大が期待される。来期については、中国での本格展開に加え、LED関連事業における部材分野の強化や標準化等を梃子に業績の底打ちから成長軌道への回帰に向けて歩を進めていく事になるが、今後、先行投資も増えてくるものと思われる事から、当面は利益の増減よりも売上の拡大とその中身に注目したい。