ブリッジレポート
(8097) 三愛オブリ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(8097)三愛石油 vol.5

(8097:東証1部) 三愛石油 企業HP
金田 凖 社長
金田 凖 社長

【ブリッジレポート vol.5】2011年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「資源エネルギー庁の石油統計速報によると、2010年12月の燃料油の国内販売は1,905万klと前年同月の実績を比0.3%下回ったが、この要因はナフ・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年2月22日掲載
企業基本情報
企業名
三愛石油株式会社
社長
金田 凖
所在地
東京都品川区東大井5-22-5 オブリ・ユニビル
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 833,991 6,364 6,675 1,005
2009年3月 981,734 9,353 9,714 4,618
2008年3月 861,914 7,537 7,456 3,298
2007年3月 791,583 7,044 7,354 3,281
2006年3月 726,445 5,713 5,799 4,032
2005年3月 360,046 5,892 6,385 3,814
2004年3月 266,352 3,576 4,088 1,780
2003年3月 261,719 3,051 3,146 692
株式情報(2/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
425円 74,808,817株 31,794百万円 1.9% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
11.00円 2.6% 53.47円 7.9倍 753.63円 0.6倍
※株価は2/10終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
三愛石油の2011年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
石油販売大手。主力の石油関連事業では、グループで約1,400のサービスステーション(以下、SS)に石油製品を供給しており、販売数量を安定的に伸ばしている。また、独自に開発した航空機への給油システム「ハイドラントシステム」により羽田空港の航空燃料供給を支えている他、LPガス(LPG)や天然ガスの販売も手掛けている。傘下に、キグナス石油(株)や國際油化(株)等の有力子会社を有し、子会社31社(うち連結子会社29社)及び関連会社4社(うち持分法適用会社1社)と共にグループを形成している。社名の“三愛”は、リコー三愛グループ(09年11月現在、63社・団体が加盟)各社の創業精神として受け継がれている「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」の「三愛精神」を基とする。
 
<事業内容>
事業は、石油製品の販売や化学品の製造・販売等の石油関連事業、LPGや天然ガスの販売を中心としたガス関連事業、及び航空燃料の給油業務や建設業等の航空関連事業他の3セグメントに分かれ、売上構成比は、それぞれ93%、6%、1%(10/3期)。
 
石油関連事業
SS向けの石油販売や法人向けの産業エネルギー販売と共に、溶剤、工業薬品、防腐・防カビ剤、自動車用ケミカル商品、金属表面処理剤等、様々な化学品の開発・製造・販売も手掛けている。
 
ガス関連事業
LPG、天然ガス、及び関連する機器の販売を行っている。LPG販売では直販子会社による家庭への供給と工業用の高圧ガス販売を手掛けており、天然ガス販売では佐賀県佐賀市で天然ガスを供給すると共に、電気と熱を生むコージェネレーションシステム等、省エネに必要な仕組み作りも提案している。
 
航空燃料事業他
航空燃料の保管及び航空機への給油を行う航空燃料取扱業と子会社三愛プラント工業(株)が手掛ける金属表面処理や建設工事等のその他に分かれ、売上高の約80%をその他が占めるが、営業利益の大半を航空燃料取扱業が稼ぎ出す。航空燃料取扱業では、羽田空港において、油槽船の接岸を含めた埠頭の管理や空港内の貯蔵タンク等の管理、及び地下パイプライン(全長約40km)を通して航空機に直接燃料を圧送するハイドラント式給油システムの運営・管理を独占的に行っている(実際の航空機への給油作業でも同空港の55~60%のシェアを有する)。また、神戸空港、佐賀空港、茨城空港他でも子会社で同様のサービスを提供しており、中部国際空港へは運営社員を派遣。
 
 
2011年3月期第3四半期決算
 
 
価格転嫁が進みマージンが拡大
猛暑による夏場の需要増等もあり燃料油全体の需要が増加する中、石油製品を中心に販売価格の引き上げが進み売上高が6,616.7億円と前年同期比9.0%増加した。利益面では、原油高により仕入れ価格が上昇したものの、販売価格への価格転嫁が進み売上総利益が416.2億円と同11.4%増加。一方、経費節減により販管費が減少した事で営業利益は87.4億円と同2.3倍に拡大した。金融収支の改善や軽油引取税交付金(2.1億円)の計上等で営業外損益も改善。旧川崎ガスターミナルの土地売却益32.8億円など特別利益33.0億円を計上する一方、羽田空港の航空機給油施設の一部撤去に伴う固定資産除売却損19.7億円など特別損失27.8億円を計上した結果、四半期純利益は48.9億円(前年同期は42百万円)となった。
 
 
石油関連事業
売上高は前年同期比8.5%増の6,140.7億円。猛暑が追い風となり燃料油全体の需要が増加する中、仕入れ価格上昇分の販売価格への転嫁が進んだ他、産業用や化学品の販売も堅調に推移した。利益面では、今期よりセグメント利益の開示が営業外損益を反映した経常利益ベースとなったため、前年同期との単純な比較はできないものの、セグメント利益は前年同期の33.7億円から69.8億円に倍増した。
ガス関連事業
売上高は前年同期比15.9%増の370.5億円。LPガス業界全体で家庭・業務用の需要が前年同期の実績を上回る等、事業環境にも恵まれLPガス販売が伸長。天然ガス販売では佐賀ガス(株)の業績が堅調に推移した。セグメント利益は金融費用等を反映した結果8.5億円となり、前年同期の9.4億円をわずかに下回った。
航空関連事業他
売上高は前年同期比18.4%増の105.4億円。09年10月より国際チャーター便として北京線が就航した事や、10年10月の羽田空港での新滑走路供用開始と国際化効果、更には原油高を反映した値上げもあり売上が増加。羽田空港での新滑走路供用開始及び国際化効に対応した設備投資に伴う減価償却費の増加や今期より金融費用を反映した影響等を吸収してほぼ前年同期(10.9億円)並みのセグメント利益を確保した。
 
 
第3四半期(10-12月)の3ヶ月間では前年同期比4.3%の増収、同122.9%の経常増益。売上総利益の伸びが上期の6ヶ月間を上回っており、石油関連事業を中心に引き続き堅調に推移した模様。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は前期末比59.1億円増の2,027.4億円。借方では、売上債権やたな卸資産が増加する一方、旧川崎ガスターミナルの土地売却や投資有価証券の減少等で固定資産が減少。貸方では、仕入債務や純資産が増加する一方、有利子負債が減少した。CFの面では、運転資金が増加したものの、税負担の減少(33.2億円→17.6億円)で営業CFが増加。羽田空港の拡張に対応した設備投資のピークアウトや有形固定資産売収入(60.9億円)の計上で投資CFも改善し、前年同期は19.6億円のマイナスだったフリーCFが111.9億円の黒字に転じた。有利子負債の削減を進めたため財務CFがマイナスとなったものの、現金及び現金同等物の第3四半期残高は281.5億円と前期末比44.2億円増加した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
前期比7.9%の増収、同34.8%の経常増益予想
上期決算発表時に修正した通期業績予想に変更はない。主力の石油製品販売が伸びる中、価格転嫁が進み売上総利益も増加する。諸経費の節減により販管費の伸びを抑え、営業利益は同33.6%増加する見込み。配当は1株当たり5.5円の期末配当を予定(上期末配当と合わせて年11円)。
 
 
 
取材を終えて
資源エネルギー庁の石油統計速報によると、2010年12月の燃料油の国内販売は1,905万klと前年同月の実績を比0.3%下回ったが、この要因はナフサ、灯油及びA重油で、軽油及びB・C重油と共に、同社の業績と関わりの深いガソリンは0.2%増、ジェット燃料油は7.1%増と堅調に推移した。猛暑の影響を受けた夏場だけでなく、足下の12月においても販売が堅調である事に加え、エジプト情勢で急騰した原油価格も短期間で落ち着きを取り戻しつつある。業績予想を据え置いたため、結果として営業減益予想となった第4四半期(1-3月)の見通しは保守的過ぎるように思われる。通期業績の上振れに期待が高まっている。