ブリッジレポート
(4783) NCD株式会社

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ブリッジレポート:(4783)日本コンピュータ・ダイナミクス vol.24

(4783:JASDAQ) 日本コンピュータ・ダイナミクス 企業HP
伊藤 敬夫 社長
伊藤 敬夫 社長

【ブリッジレポート vol.24】2011年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「通期業績予想を達成するためのハードルは低くないが、同社の業績は下期偏重型であり、特にIT関連事業は第4四半期に検収が集中する傾向が・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年2月8日掲載
企業基本情報
企業名
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社
会長
下條 武男
社長
伊藤 敬夫
所在地
東京都品川区西五反田 4-32-1
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 11,542 56 129 26
2009年3月 12,521 415 460 212
2008年3月 9,539 553 581 315
2007年3月 9,292 261 315 186
2006年3月 8,851 409 424 199
2005年3月 7,607 321 348 228
2004年3月 7,570 340 368 160
2003年3月 6,859 322 283 74
2002年3月 6,168 293 292 152
2001年3月 5,088 247 182 46
2000年3月 4,447 307 339 149
株式情報(1/27現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
224円 8,721,558株 1,954百万円 0.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 4.5% 1.14円 196.5倍 293.73円 0.8倍
※株価は1/27終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本コンピュータ・ダイナミクスの2011年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
独立系ソフトウェア開発会社のパイオニア。コンサルティングからシステム運用までを手掛けるシステム開発事業、システムの運用管理とテクニカル・サポートを主体としたサポート&サービス事業、及び自転車駐輪場システムの開発・運用を行なうパーキングシステム事業を展開。システム開発事業やサポート&サービス事業は優良顧客との継続的な取引が特徴。また、国内トップシェアを誇るパーキングシステム事業は成長性に富み、収益性も高い。
グループは、同社及び(株)日本システムリサーチ、天津恩馳徳信息系統開発有限公司、及び(株)ゼクシスの連結子会社3社(いずれも出資比率100%)。社名の"日本コンピュータ・ダイナミクス"には、「コンピューターをダイナミックユースして社会に貢献する(Dynamic use of Computer)」と言う創業時の思いが込められている。
 
<長期継続を特徴とする顧客資産が強み>
システム開発事業やサポート&サービス事業では、長期継続を特徴とする優良な顧客資産が同社の強みの一つ。主な取引先として、東京ガス、西部ガス、富士ゼロックス、商船三井、アリコジャパン、高砂熱学工業、三井住友海上火災、角川GHD、日本水産、エスアールエル、福岡県庁等を挙げる事ができる。
 
<顧客業界と同社が手掛けるシステム>
エネルギー業界   料金調停システム、資産管理システム等
保険業界      契約管理システム、クレーム管理システム等
運輸業界      運行管理システム、倉庫管理システム等
出版業界      著作権管理システム等
全業界       財務会計システム、人事システム等
 
<IT企業としては異色のパーキングシステム事業で社会貢献>
駐輪場の設計、ラックや精算機の開発、更には運用までを一貫して手掛けている。時間貸し駐車場の自転車版とも言える事業だが、駐輪場の売上は自転車1台を1日駐輪して100円程度。このため、コンピューターを使うには安過ぎて採算が合わないと言われ、IT業界とは縁の無い世界だった。しかし、自治体等からのシステム開発に対する強い要望に加え、放置自転車問題が深刻化する中で社会貢献の意味もあり参入。先行企業としての優位性と業界No.1の実績に基づく提案力を強みとしており、現在、同社を語る上で欠く事のできない事業となっている。
 
 
2011年3月期第3四半期決算
 
 
① 前年同期比8.7%の減収、1.9億円の経常損失
売上高は前年同期比8.7%減の74.4億円。顧客のIT投資に底打ち感があるものの、上期の苦戦もありシステム開発事業やサポート&サービス事業の売上が減少。受注条件が厳しさを増す中で選別受注に努めたパーキングシステム事業の売上も落ち込んだ。利益面では、経費節減に努めたものの、システム開発事業やサポート&サービス事業の稼働率低下に加え、パーキングシステム事業における新規事業投資等で営業損失が前年同期の1.1億円から2.5億円に拡大。投資有価証券評価損(13百万円)や資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額(18百万円)の計上で特別損益が悪化したものの、法人税の還付もあり最終損失は150百万円にとどまった。尚、営業外収益に補助金収入55百万円(前年同期は32百万円)を計上している。

子会社では、(株)ゼクシスが既存顧客のIT投資予算削減により新規案件の受注で苦戦。(株)日本システムリサーチもIT関連の要員派遣需要が低迷した。ただ、(株)ゼクシスは継続案件である保守業務等が回復傾向にあり、また、(株)日本システムリサーチも、営業範囲を一般派遣等に広げた成果が現われつつある。
 
 
システム開発事業
売上高が36.6億円と同4.2%減少したものの、不採算案件の影響が無くなり売上総利益は4.2億円と同27.7%増加した。ソリューションの展示会出展やセミナー開催等の成果が現われ新規顧客開拓が進展している他、下期に入り既存顧客も凍結していた案件が動き始めた。このため、10-12月の3ヶ月間では前年同期比増収に転じており、稼働率の向上で利益率も改善した。
 
サポート&サービス事業
売上高は前年同期比6.3%減の15.8億円、売上総利益は同21.8%減の2.1億円。運用管理の業務量減少が響いたものの、足下、案件が増加しており全般には持ち直し傾向にある。
 
パーキングシステム事業
売上高は前年同期比15.3%減の21.1億円。ストック収益である管理運営収入が下支えとなったものの、新規事業として育成中のエコポート事業の立ち上げ等に営業力が取られた事や受注競争の激化により受注条件が厳しくなり(選別受注をしたため)新規駐輪場の受注が予定通り進まなかった。売上の減少に加え、エコポート事業関連の先行投資が負担となり、売上総利益は1.5億円と同65.4%減少した。
尚、「エコポート事業」とは、サービス地域を定め自転車の有料貸し出しを行うサービス。自転車の貸し出し・返却の拠点をサービス地域内に複数箇所設置し、利用者は各拠点の自転車を自由に利用・返却でき、利用時間に応じて料金を払う(一般的には「コミュニティサイクル」と呼ばれている)。
 
 
 
第3四半期末の総資産は前期末比2.3億円減の87.3億円。賞与の支払や有利子負債の削減、更には配当の支払い等に伴う現金の流出が総資産減少の要因だが、売上債権の回収が進み現預金は増加した。
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更は無く、前期比9.0%の減収、同46.0%の経常減益予想
競争激化等で引き続きパーキングシステム事業を取り巻く環境は厳しいものの、IT関連事業(システム開発事業及びサポート&サービス事業)は既存顧客に対する提案営業の推進や新規顧客獲得のために行った展示会への出展及びソリューションセミナー等の営業活動の成果で案件情報が増加傾向にある。利益面では、パーキングシステム事業における既存駐輪場の維持業務のコスト増や新規事業関連の先行投資が負担となるものの、IT関連事業における稼働率の改善と全社的な経費節減により利益確保を目指す。配当は1株当たり年10円(上期末5円、期末5円)を予定している。
 
 
 
取材を終えて
通期業績予想を達成するためのハードルは低くないが、同社の業績は下期偏重型であり、特にIT関連事業は第4四半期に検収が集中する傾向があるため期末にかけての追い込みに期待したい。一方、新規事業として育成中のエコポート事業では、名古屋市など幾つかの自治体が実施する社会実験に参加し事業化への準備を進めており、足下、様々な形で引き合いが来ていると言う。社会実験への参加の実績やこれに基づくノウハウの蓄積では競合他社をリードしているものの、各自治体共に未だ実験の域を出ておらず、収益への貢献には今しばらく時間を要するようだ。