ブリッジレポート
(2435) 株式会社シダー

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ブリッジレポート:(2435)シダー vol.17

(2435:JASDAQ) シダー 企業HP
山崎 嘉忠 社長
山崎 嘉忠 社長

【ブリッジレポート vol.17】2011年3月期上期業績レポート
取材概要「「ラ・ナシカ あきた」の10月末の入居数が9月末に比べて増えていないが、近隣に有料老人ホームが開設されたため、同社施設に入居を希望してい・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年1月11日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シダー
社長
山崎 嘉忠
所在地
北九州市小倉北区大畠 1-7-19
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 8,332 408 419 237
2009年3月 7,075 149 100 46
2008年3月 5,921 56 42 16
2007年3月 4,519 -403 -406 -247
2006年3月 4,251 309 297 166
2005年3月 3,649 352 288 164
2004年3月 3,125 122 97 41
2003年3月 2,352 111 104 30
2002年3月 1,594 17 21 11
2001年3月 281 -20 -21 -14
株式情報(12/24現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
280円 5,738,000株 1,607百万円 23.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 3.6% 35.43円 7.9倍 201.56円 1.4倍
※株価は12/24終値。
 
シダーの2011年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
デイサービス及び有料老人ホームを中心とした介護サービスを、本社のある福岡県を中心に、北海道、首都圏、関西圏、中国・四国地区、山口県で展開。リハビリテーションに重点を置き、より人間らしく生きるための生活支援を行う事を経営方針としている。有料老人ホームでは施設数で業界13位、総居室数で16位のポジションにある(出所:「月刊シニアビジネスマーケット」2010年11月号より)。

事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活のお手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。10/3期の売上構成比は、それぞれ38.1%、53.0%、8.9%。
2010年10月31日現在の拠点数は次の通り。
 
 
 
2011年3月期上期決算
 
 
前年同期比6.8%の増収、同43.5%の経常減益
売上高は前年同期比6.8%増の43.4億円。既存施設の稼働率の改善で施設サービス事業の売上が同9.4%増加した他、登録利用者数の増加でデイサービス事業の売上も同4.3%増加した。新規開設は、新たにデイサービス1施設、有料老人ホーム1施設、訪問看護サービス1施設。利益面では、デイサービス施設3施設でリニューアルを前倒しで実施した事による修繕費の増加、処遇改善交付金の従業員への支払い、更にはサービスの質向上に向けたパート社員の正社員化の影響もあり売上総利益率が減少。一方、新卒採用(30数名入社)等で販管費が増加したため、営業利益は93百万円と同63.6%減少した。処遇改善交付金(助成金収入:4百万円→78百万円)の増加による営業外損益の改善で経常利益は1.2億円と同43.5%の減少にとどまった。尚、受給した処遇改善交付金は営業外収益として計上されるが、間をおかずに社員に支払われ、この際、労務費として売上原価に計上される。
期初予想との比較では、売上高が計画通り推移したものの、福岡西部沖地震の影響を受けた施設のリニューアルを早めた事が利益の下振れ要因となった。
 
 
デイサービス事業
売上高は前年同期比4.3%増の16.4億円、売上総利益は同42.7%減の1.8億円。5月に山梨県甲府市に「あおぞらの里 甲府デイサービスセンター」を新規開設した他、和白、香住ヶ丘、福岡西(いずれも福岡県)の3施設のリニューアルを前倒しで実施すると共にサービスの質の向上に取り組んだ。この結果、登録利用者数の増加で売上が増加したものの、修繕費や新卒採用及びサービスの質向上に向けたパートの正社員化に伴う人件費の増加、更には新施設の立ち上げ費用等が利益を圧迫した。
 
 
施設サービス事業
売上高は前年同期比9.4%増の23.2億円、売上総利益は同5.9%増の1.7億円。秋田県秋田市に「ラ・ナシカ あきた」を新規開設。入居者獲得に注力した結果、既存施設の稼働率が95.6%に上昇。新施設の立ち上げ費用を吸収した。
 
在宅サービス事業
売上高は前年同期比3.3%増の3.7億円、売上総損失20百万円(前年同期は7百万円の損失)。8月に新規開設した「あおぞらの里 水巻訪問看護ステーション」(福岡県遠賀郡)の寄与もあり売上がわずかに増加したものの、同ステーションの開設に伴う人件費や諸経費の増加が負担となった。
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更は無く、通期で前期比5.1%の増収、同13.4%の経常減益予想
前期に開設した施設の寄与や既存施設の稼働率の改善で売上高が同5.1%増加するものの、新規開設に伴う初期費用や処遇改善交付金の受給に係る労務費の増加が負担となり、営業利益は同23.4%減少する見込み。ただ、処遇改善交付金は受け取り時に助成金収入として営業外収益に計上されるため経常利益は同13.4%の減少にとどまる。通期でデイサービス1施設(下期の予定無し)、有料老人ホーム3施設(同2施設)の新規開設を予定。配当は、1株当たり10円の期末配当を予定している。
 
 
デイサービス事業
5月に開設した「甲府デイサービスセンター(定員60名)」の登録利用者数が順調に増加しており、採算分岐ラインまであと一歩の状態。甲府市には、100施設程度のデイサービスセンターがあるが、大型でリハビリ機能を備えた施設が無かった事に加え、既に同社は有料老人ホーム「ラ・ナシカ こうふ」を稼動しており、同施設で培ったネットワーク(病院、ケアマネージャー、老人会等)を活かした事業展開が成果をあげ、早期の黒字化に目処を付けた。今後も有料老人ホームを起点にしたデイサービスセンターの事業展開を進めていく考え。また、11年2月には愛媛県松山市に「森松デイサービスセンター(定員60名)」を開設する予定で、期末登録利用者数4,308人(10/3期末4,168人)、同施設数27施設を計画している。
 
 
施設サービス事業
11年2月に長野県茅野市に「ラ・ナシカ ちの(75室)」」の開設を予定しており、期末入居者数1,190人(10/3期末1,136人)、同総居室数1,326室を計画。また、12/3期の開設になるが、宮城県仙台市(11年6月、51室)と神奈川県横須賀市(11年10月、42室)での開設も決まっており、この他、6施設のプロジェクトが進んでいる。
 
 
 
取材を終えて
「ラ・ナシカ あきた」の10月末の入居数が9月末に比べて増えていないが、近隣に有料老人ホームが開設されたため、同社施設に入居を希望していた人が改めて同社施設と比較検討している事が理由のようだ。当然の事ながら、入居者の充足が早ければ早いほど施設の黒字化も早いが、同社の説明によると、あまり早いと入居後のクレームが多くなる傾向があるため、他の施設と比較する等、じっくり考えたうえで入居してもらった方が良いと言う。また、経済ジャーナリストの財部誠一氏によると、以前に有料老人ホームを取材した際、「介護というのは不思議な世界で、10人介護するには20人のスタッフが必要だが、20人のスタッフがいれば20人を介護することができるんです」と介護のプロが語っていたと言う。つまり、十分検討して納得して入居した場合、クレームや我がままが少ないため、20人のスタッフで20人を介護する事ができると言う事なのだろう。入居者が楽しく生活できれば、スタッフが効率的に働く事ができるため老人ホームの経営も安定する。「入居者の充足は早過ぎず、遅過ぎず」、これが老人ホーム経営の要諦のようだ。また、我々が老人ホームを選ぶ際も、無理に入居を急がせない施設を選ぶ事がポイントとなりそうだ。