ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

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ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.11

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
荻野 芳朗 社長
荻野 芳朗 社長

【ブリッジレポート vol.11】2011年2月期上期業績レポート
取材概要「「ご飯がススム キムチ」の販売が好調だ。当初は通期で30億円程度の売上を見込んでいたが、上期で約20億円を売上げ、通期では40億円前後にまで・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年11月24日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
荻野 芳朗
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
2001年2月 16,895 302 287 266
株式情報(10/20現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
335円 6,394,774株 2,142百万円 6.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 3.0% 51.36円 6.5倍 862.05円 0.4倍
※株価は10/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ピックルスコーポレーションの2011年2月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・惣菜の製造・販売及び青果物・漬物等の仕入販売を行なっている。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはISO9001、HACCPの取得や5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。

資本関係では、「きゅうりのキューちゃん」でお馴染みの東海漬物(株)が株式の49.6%を保有するが、取引はわずかにふる漬等の仕入があるのみ(10/2期は仕入高全体の4.3%)。むしろ同社を語る上で忘れてならないのが、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、10/2期は同グループ向けの売上が全体の47.1%を占めた。
10/2期の品目別売上構成は、製品売上が56%(浅漬41%、惣菜12%、ふる漬3%)、商品売上が44%(漬物38%、青果物6%)。
 
<新製品 「ご飯がススム 鍋の素」>
10年10月20日に、「ご飯がススム」シリーズの新商品として、野菜がたっぷり入った”鍋の素”を発売した。
市場で販売されているこれまでにある鍋つゆとは違い、スープの中に具となる野菜がたっぷり入っているため、肉を加えるだけで簡単に1~2人前の鍋が出来上がり。
包丁いらずで、調理時間も約5分と、簡単・便利にすぐできる、単身者や二人世帯に最適な商品設計。
希望小売価格はいずれも398円。

(同社資料より)
 
 
2011年2月期上期決算
 
 
前年同期比17.8%の増収、同23.9%の経常減益
売上高は前年同期比17.8%増の11,058百万円。「ご飯がススム キムチ」の好調で量販店・問屋向けに浅漬け・キムチの売上が大きく伸びた他、惣菜やふる漬けも堅調に推移。半期ベースで過去最高の売上高となった。ただ、利益面では、3・4月の天候不順及び8月の猛暑による野菜価格の高騰や(株)ピックルスコーポレーション関西の新工場稼動の影響等で売上総利益率が悪化した。このため、取引先の拡大に伴う物流費の増加や「ご飯がススム」シリーズの広告宣伝費の増加等による販管費の増加をカバーできず、営業利益が同27.3%減少。固定資産除却損37百万円を特別損失に計上した事等で四半期純利益は136百万円と同36.4%減少した。
 
 
全国各地でのテレビCMの放映、電車広告や売場提案による販売促進等、積極的に広告宣伝活動を展開した結果、広告宣伝費が大きく増加した他、量販店等の新規開拓が進んだ事で物流費が増加した。
 
 
上期は大幅な減益となったが、要因は第1四半期の天候不順による原料野菜の価格高騰と子会社の関西新工場の立ち上げ。第2四半期は積極的な広告宣伝効果により「ご飯がススム キムチ」の販売が拡大する中、5~7月にかけての野菜価格の落ち着きと新工場の稼働率の上昇で売上総利益率が改善(8月に再び野菜価格が高騰したがこれを吸収)。
 
 
新製品投入効果で製品売上が6,873百万円と同35.8%する一方、外食向けの青果物の取扱いが減少した事や沢庵や梅干の市場縮小で商品売上が4,184百万円と同3.3%減少した。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比809百万円増の12,801百万円。売上・仕入れの増加に伴い売上債権及び仕入債務が増加した他、新工場関連で固定資産と長期有利子負債が増加した。CFの面では、投資CFは前年同期並みのマイナスにとどまったものの、税負担の増加(△97百万円→△199百万円)で営業CFが減少。一方、借入金の増加で財務CFが黒字となり、現金及び現金同等物の上期末残高は947百万円と前期末比63百万円増加した。
 
 
 
漬物市場は約4,000億円(09年)。浅漬・キムチ等の市場が拡大する一方、梅干や沢庵等のふる漬けの市場が縮小している。また、弁当等も含めた惣菜産業の市場規模は8兆2,154億円(08年)で、販売チャネル別の構成比では、同社の主要取引先である総合スーパーが12%、食料品スーパーが24%を占める。
 
 
2011年2月期業績予想
 
 
前期比18.2%の増収、同14.9%の経常増益予想
売上高は前期比18.2%増の21,550百万円。青果物の取扱いがなくなる外食向けやおでん用の大根(惣菜に含まれる)がなくなるコンビニ向けが減少するものの、「ご飯がススム キムチ」や相次いで投入する新製品をけん引役に量販店・問屋等向けが大きく伸びる。利益面では、下期の野菜価格の落ち着きと新工場の稼働率上昇で、通期の売上総利益率はわずかな低下にとどまる見込み。物流費、人件費、広告宣伝費等を中心に販管費が増加するものの、増収効果で吸収し営業利益は639百万円と同19.2増加する見込み。設備投資は850百万円(前期は878百万円)を計画しており、減価償却費として390百万円(同288百万円)を織り込んだ。配当は1株当たり10円の期末配当を予定している。
 
 
「ご飯がススム キムチ」や新製品の寄与で浅漬・キムチが大きく伸びる他、ふる漬けや漬物も堅調に推移する見込み。一方、コンビニ向けおでんの製造・販売をやめる惣菜が減少する他、外食向けの取扱いをやめる青果物も減少する(共に600百万円程度の減収要因となる)。
 
(3)下期の戦略
11月から1ヶ月間、発売1周年を記念して「ご飯がススム キムチ」の20%増量キャンペーンを実施する他、「ご飯がススム」シリーズや「がごめ昆布」を使用した「なまらうまい」シリーズのラインナップの拡充を図る(「なまら」とは「とても」とか「すごく」と言う北海道の方言)。
 
 
「ご飯がススム」シリーズでは、「ご飯がススム キムチ」に加え、既に「いか昆布白菜」や「ピリッ辛ごま白菜」を発売しているが、下期には「ザーサイキャベツ」(10月発売)や「ねぎキムチ」(11月発売予定)に加え、景気悪化に伴う「内食化」による鍋需要を取り込むべく「ご飯がススム 鍋の素」を投入した。「ご飯がススム 鍋の素」は「キムチ鍋の素」と「よせ鍋の素」があり、白菜やにら等の“具となる野菜がたっぷり”、“包丁いらず、調理時間5分”が特徴。手軽さに加え(豚肉や鶏肉を加えて温めるだけ)、398円(希望小売価格)と価格もリーズナブルなため量販店の評価も上場。鍋物だけに季節性はあるものの、「ご飯がススムキムチ」を凌ぐ大型商品として期待が高まっている。
 
 
ちなみに、「キムチ鍋の素」は「ご飯がススム キムチ」をはじめとした、白菜、豆もやし、ねぎ、えのき、にら の5種類の野菜が入ったキムチ鍋の素。鍋に開封し、水100ccを入れ煮立ったところで豚ばら肉を加え火が通ったら出来上がり。アミ塩辛やかつお節、昆布等の魚介のうま味をきかせたコクのあるスープでご飯がススム。また、「よせ鍋の素」は白菜、大根、ねぎ、人参、椎茸の5種類の野菜が入ったよせ鍋の素。「キムチ鍋の素」と同様に、鍋に開封し、水100ccを入れ煮立ったところで鶏もも肉(ぶつ切り)を加えて火が通ったら出来上がり。かつおと昆布を合わせて仕上げたシンプルなスープは上品なあじわいでご飯がススム。

この他、「野菜」をキーワードとした惣菜製品の開発にも力を入れており、既存製品の継続的な改善とラインナップの拡充に取り組んでいる。
 
 
また、営業戦略として、全国ネットワークを活かし営業展開を進め、既存顧客の深耕と新規の顧客開拓に取り組む他、全国の消費者の要望に応えるべく、「ピックルスネットショップ」(http://www.e-pickles.jp/)を開設しインターネット販売にも注力する。今期はネット販売に関する調査・検討を進め、来期以降、本格的な事業展開を開始する。
 
 
(4)関西地区の事業拡大
関西地区の拠点である子会社(株)彩旬館の商号を(株)ピックルスコーポレーション関西に変更すると共に新工場を建設し本社機能を含めた全ての機能を移転した。4月に稼動した新工場はHACCPに対応しており、老朽化が進んでいた旧工場に比べて、生産能力がほぼ倍増する見込み。山崎の豊富な地下水を使用し、排水処理は環境に蛎殻を利用した優しいシステムを導入。また、国道171号線沿いで、名神高速の大山崎インターに近く立地の面でも優れている。11/2期は減価償却費の増加で80百万円の営業損失が見込まれるものの、現在の生産は日産40,000パック(最大生産能力は同50,000パック)を超えており、売上高は2,913百万円と前期比35.9%増加する見込み。
 
 
 
取材を終えて
「ご飯がススム キムチ」の販売が好調だ。当初は通期で30億円程度の売上を見込んでいたが、上期で約20億円を売上げ、通期では40億円前後にまで拡大する見込み。上期は野菜価格の高騰に新工場の立ち上げが重なり増収効果を享受できなかった第1四半期の苦戦が響き減益となったが、第2四半期の業績推移を見る限り、それが一時的な現象である事は明白。期待の新製品「キムチ鍋の素」など新製品の開発も順調で、販売の好調 → 新製品の開発強化 → 新製品のヒット、と好循環が続いている。しかも、今後は同社製品がインターネットで手軽に購入できるようになるため(既に「ご飯がススム キムチ」等の販売が始まっている)、「ご飯がススム」シリーズを中心に同社のファンが拡大しよう。来期以降の更なる業績期待に期待が高まる。