ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.29

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 社長
泉澤 豊 社長

【ブリッジレポート vol.29】2011年2月期上期業績レポート
取材概要「通期の利益予想を上方修正したが、期初予想を上回って推移していると思われる子会社2社の業績予想を据え置いたため、通期業績は更に上振れする可・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年11月2日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
社長
泉澤 豊
所在地
千葉県浦安市美浜1-9-2
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年2月 26,322 416 610 235
2009年2月 25,271 571 334 -78
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
2000年2月 9,840 641 673 306
株式情報(10/13現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
102円 24,683,602株 2,518百万円 6.1% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
4.00円 3.9% 8.14円 12.5倍 163.63円 0.6倍
※株価は10/13終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2011年2月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
(株)サークルKサンクスのエリアフランチャイズ本部として、東京都内9区(新宿区、千代田区、中央区、江東区、江戸川区、港区、葛飾区、足立区、台東区)及び千葉県全域においてコンビニエンス・ストア(コンビニ)「サンクス」を展開すると共に、加盟店の指導や経営ノウハウ等の提供を行なっている。
 
<非コンビニ事業の育成-「便利さの提供」を追求->
「便利さの提供」を企業理念に掲げ、この一環としてコンビニの店舗で「クリーニング取次ぎサービス」や「宝くじ」販売等の独自サービスを提供している他、非コンビニ事業の育成にも注力している。具体的には、09年11月にJR京葉線市川塩浜駅前にビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」(千葉県市川市)を開業した他、連結子会社(株)エフ.エイ.二四がマンションフロントでの「クリーニング取次ぎサービス」(200物件以上でサービスを提供中)や「お掃除サービス」等を手掛けている。また、09年10月にはマンション向けフロント(コンシェルジュ)サービスで業界トップの(株)アスクを子会社化した。
 
ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」
市川市が保有するJR京葉線市川塩浜駅前の遊休地を定期借地で借受け、108室規模(シングル54室、ダブル12室、ツイン41室、バリアフリー1室)のビジネスホテルを運営している。投資額は700百万円(建物650百万円、客室設備50百万円)。
JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から快速で19分。東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅5分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く(朝食付きで1泊5,800円から)、周辺には競合となるビジネスホテルがない状態。
 
連結子会社(株)アスク社
09年10月1日に議決権の58.3%を取得し、マンション向けフロント(コンシェルジュ)サービスで業界トップの(株)アスクを連結子会社化した。(株)アスクは、クリーニングなどの各種取次ぎや各種案内等のコンシェルジュサービス、メンテナンスサポートやハウスクリーニング業者紹介等のレジデンスサポート、ミニショップや売店の運営、更にはカーシェアリング事業(22物件、4,400世帯を対象に30台の車両を提供中)を手掛けており、不動産会社やマンション管理会社等を顧客に持ち、首都圏を中心に約860物件を受託している。「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」サービス等で連結子会社(株)エフ.エイ.二四との相乗効果が期待でき、中期的には物販の取次ぎ等で事業拡大も強めていく考え。
 
 
2011年2月期上期決算
 
 
前年同期比16.4%の増収、同31.3%の経常減益
消費低迷に加え、店舗閉鎖等の影響もあり、主力のコンビニ事業が減収となったものの、昨年10月に子会社化した(株)アスクの寄与や(株)FA24の増収で営業総収入が増加。利益面でも子会社2社が寄与した上、コンビニ事業も、猛暑効果で、飲料、アイスクリーム等の利益率の高い盛夏商品の販売が伸びる一方、店舗運営の効率化や諸経費の節減により販管費の削減が進展。営業利益は392百万円と同20.3%増加した。ただ、有価証券運用損益の悪化(152百万円→△58百万円)で営業外損益が悪化した事に加え、税負担率の上昇もあり四半期純利益は同45.2%減少した。
 
 
①売上高及び利益
上期末の店舗数は前期末比3店舗減の127店舗(直営店113店舗、加盟店14店舗)。量(店舗数)よりも質(1店舗の売上高)を重視し新規出店を見合わせる一方、不採算店3店舗を閉店した。

予想との比較では、春先の天候不順が響き既存店日販が想定したほどには伸びず、全店売上高(12,774百万円)が2.6%、営業総収入が2.4%、それぞれ予想を下回った。ただ、利益面では、夏場の猛暑効果による営業総利益率の改善と経費削減の進展により営業利益は76.1%予想を超過した。

前年同期との比較では、ホテル事業の売上として85百万円(期初予想86百万円)を計上したものの、消費低迷や店舗閉鎖の影響(前年同期末比5店舗減)等によるコンビニ事業の苦戦で営業総収入が減少(全店売上高は前年同期比8.7%減)。ただ、ホテル事業の寄与や夏場の猛暑効果による営業総利益率の改善と経費削減により営業利益はわずかな減少にとどまった。既存店平均日販は同5.6%減(期初予想:同3.0%減)の545千円。内訳は、平均客数が同3.4%減の997人、客単価が同2.3%減の547円。

ホテル事業は、ディズニーリゾート来園者の取り込みが進んだ3、8月は75%程度の稼働率を確保したが、4~6月の平日の苦戦が響き(幕張メッセでのイベントが無かったことなどが主な要因)、上期の稼働率は61.9%と目標の65%には届かなかった。ただ、16百万円の損失を予想していた経常損益は13百万円の損失にとどまった。通期では、稼働率65%を前提に170百万円の売上を想定。ビジネス需要の取り込みによる平日の稼働率向上が課題である。
 
 
昨年11月のホテル開業に伴いホテル減価償却費が発生したものの、売上の減少に応じた店舗のパート・バイトのシフトや時給単価の見直しに加え、社員の給与・賞与の見直しや諸経費の削減で吸収。販管費は3,065百万円と同4.3%減少した。尚、上期末の社員数は前年同期末比12名減の275名。
 
③営業外損益及び特別損益
有価証券運用損益の悪化(152百万円→△58百万円)や入居率の低下(89.8%→78.9%)による投資不動産利益の減少(69百万円→51百万円)で営業外損益が悪化したものの、店舗閉鎖損失や減損損失の減少等で特別損益は改善した(△50百万円→△28百万円)。
 
ヘアカット事業の売上計上方法を変更した影響でその他事業の収入が64百万円と同41.2%減(売上及び原価の両建て計上からネット収益のみの計上へ変更)したものの、(株)アスクとの連携などによりクリーニング事業の収入が597百万円と同173.9%増加した。クリーニング事業の好調で営業総収入は期初予想を26.9%超過した。
 
フロント受託の契約件数は856物件。事業別収入は、フロント受託事業が1,964百万円、クリーニング事業が230百万円、ショップ事業が236百万円、その他事業が256百万円。新規受託件数が伸び悩み、営業総収入が予想を7.8%下回ったものの、給与単価の見直しやクリーニング取次ぎのグループ集約化など経費削減が進み想定以上に収益性の改善が進展。通期予想に対する進捗率は、営業総収入が47.0%、営業利益が73.9%、経常利益が73.0%。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態に大きな変化は無く、上期末の総資産は前期末比19百万円増の12,759百万円。CFの面では、利益の減少と税負担の増加で営業CFが減少したものの、ビジネスホテル関連の投資一巡で投資CFのマイナス幅も縮小。440百万円のフリーCFを確保した。新規の借り入れを抑制する一方、長期借入金の約定返済が進んだ事で財務CFはマイナスとなったが、現金及び現金同等物の期末残高は2,387百万円と前期末比159百万円増加した。
 
 
 
2011年2月期業績予想
 
 
前期比10.0%の増収、同15.7%の経常減益予想
タバコ増税の影響や長引く個人消費の低迷を踏まえて営業総収入予想を下方修正したものの、上期の利益の上振れを反映して利益予想を上方修正した。1株当たり2円の期末配当を予定(上期末配当2円と合わせて年4円)している。
 
 
コンビニ事業では、加盟店を含む全店売上高を同7.1%減の24,782百万円と予想しており、既存店の前提は前期比6%の減収。特別損失に店舗資産の減損損失を織り込んだ。下期は出店・閉店共に予定していない。(株)FA24の営業総収入の内訳は、クリーニング事業が前期比90.5%増の939百万円、その他事業が同15.6%減の92百万円。(株)アスクの営業総収入の内訳は、フロント受託事業が3,950百万円、クリーニング事業が390百万円、ショップ事業が510百万円、その他事業が870百万円。
 
 
取材を終えて
通期の利益予想を上方修正したが、期初予想を上回って推移していると思われる子会社2社の業績予想を据え置いたため、通期業績は更に上振れする可能性が高い。(株)アスクは新規契約先の開拓が課題だが、収益性の改善が目覚しく、また、(株)FA24については、早くも(株)アスクとのシナジーが現れている事に加え、この10月には電鉄系のビジネスホテル3件の新規開拓に成功。ホテルの利用者向けのクリーニングサービスだけでなく、客室のシーツや従業員ユニフォーム等のクリーニングも依頼されており、下期以降、事業の拡大ペースが加速するものと思われる。また、ビジネスホテル事業の収支改善も見込まれる事から、来期も増益基調が続くものと思われる。