ブリッジレポート
(4955) アグロ カネショウ株式会社

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ブリッジレポート:(4955)アグロ カネショウ vol.28

(4955:東証2部) アグロ カネショウ 企業HP
櫛引 博敬 社長
櫛引 博敬 社長

【ブリッジレポート vol.28】2010年12月期上期業績レポート
取材概要「同社の業績は上期偏重型であり、国内外で景気の先行き不透明感が高まっている事も確かだが、特に利益面で下期の見通しは慎重過ぎるようにも思・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年9月14日掲載
企業基本情報
企業名
アグロ カネショウ株式会社
社長
櫛引 博敬
所在地
東京都港区赤坂 4-2-19
決算期
12月
業種
化学(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年12月 12,556 1,079 1,021 593
2008年12月 13,592 694 652 -108
2007年12月 13,391 533 476 258
2006年12月 12,851 576 497 272
2005年12月 12,154 442 385 114
2004年12月 10,742 536 366 186
2003年12月 7,322 -220 -208 -278
2002年12月 7,792 113 150 41
2001年12月 7,733 242 279 63
2000年12月 8,300 662 709 423
1999年12月 7,821 642 656 224
株式情報(8/27現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
820円 6,056,523株 4,966百万円 5.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 2.4% 89.70円 9.1倍 1,633.01円 0.5倍
※株価は8/27終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
アグロ カネショウの2010年12月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
人と自然と環境にやさしい農薬づくりに取り組む農薬専業メーカー。売上の約96%を農薬の製造・販売が占め、国内の売上が全体の82.5%。病害・害虫防除剤、除草剤など果樹・野菜・花卉向けを主体とし、農家密着型の営業展開により他の農薬メーカーと差別化を図っている。一般の農薬流通は、農薬メーカーを起点として川上から川下に商品を押し込むプッシュ型だが、同社は農家を起点として需要を汲み上げるプル型の流通体制を構築している。
グループは、同社の他、ベルギーに、D-Dやバスアミドといった農業用土壌処理剤事業を取り扱う子会社 Kanesho Soil Treatment SPRL/BVBA(同社出資比率60%。以下、KST)、及び染料、医薬、農薬等の受託製造・販売を手掛ける100%子会社の三和化学工業(株)の2社。
 
 
 
国内で農薬の製造・販売を行なうためには、薬効試験、薬害試験、人畜・環境への安全性試験など約200項目にわたる試験を経た後、農林水産省、厚生労働省、環境省、消費者庁、食品安全委員会の審査を受ける必要がある。一般的には、開発から登録まで1剤当たり約10年間、15億円の直接費用を要すると言われている。
 
 
2010年12月期上期決算
 
 
前年同期比5.2%の増収、同30.2%の経常増益
春先からの天候不順による作物の生育の遅れ等の影響で荷動きの鈍い状況が続いたものの、果樹を中心にした農作物の価格低迷による病害虫防除費用の削減で前年同期に大きく落ち込んだ反動や値上げ効果の浸透で売上高が7,412百万円と同5.2%増加した。利益面では、増収効果に加え、委託試験費の下期へのずれ込み等による販管費の減少で営業利益が1,038百万円と同17.8%増加。為替差損の減少(110百万円→38百万円)等で営業外損益も改善した。
 
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比566百万円増の18,593百万円。売上の増加に伴う運転資金の増加に対して、手元資金で対応すると共に所沢事業所再構築に伴い有利子負債を積み増した。CFの面では、売上の増加で営業CFのマイナス幅が拡大したものの、定期預金の預け入れを減らした事で投資CFが黒字に転じ、368百万円のフリーCFを確保した。自社株買いや配当の支払いで財務CFがマイナスとなった他、為替の換算差額△230百万円の発生があったものの、現金及び現金同等物の四半期末残高はほぼ前期末並みの水準(9百万円増)を維持した。
 
 
 
2010年12月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更は無く、前期比7.0%の増収、同6.0%の経常減益予想
委託試験費の増加(200百万円)、「ネマキック」の広告・販促費負担、更には増改築を終えた所沢事業所の減価償却費等が負担となり、営業利益が同13.9%減少する見込み。設備投資は358百万円(09/12期は1,102百万円)を計画しており、減価償却費は1,003百万円(同 790百万円)を織り込んだ。配当は、創立60周年記念配を落とし1株当たり期末20円を予定している。
 
 
取材を終えて
同社の業績は上期偏重型であり、国内外で景気の先行き不透明感が高まっている事も確かだが、特に利益面で下期の見通しは慎重過ぎるようにも思われる。このため、通期業績には上振れの余地があると考えるが、今期は、年初に登録を取得した線虫防除剤「ネマキック」の本格的な販売に向けた準備の期でもある。目先の利益の増減以上に、来期の需要期に向けた体制の整備が需要だ。