ブリッジレポート
(8860) フジ住宅株式会社

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ブリッジレポート:(8860)フジ住宅 vol.23

(8860:大証1部,東証1部) フジ住宅 企業HP
宮脇 宣綱 社長
宮脇 宣綱 社長

【ブリッジレポート vol.23】2011年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「地価の下落による住宅価格の調整に加え、住宅ローン減税等の政策的な後押しもあり販売は好調だ。「守りから攻めへ」転じたタイミングも良く、同・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年8月17日掲載
企業基本情報
企業名
フジ住宅株式会社
社長
宮脇 宣綱
所在地
大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号
決算期
3月
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 48,614 2,137 2,118 1,237
2009年3月 45,300 2,584 2,388 1,361
2008年3月 48,793 2,723 2,413 2,097
2007年3月 52,221 4,233 4,090 911
2006年3月 41,333 3,229 3,196 1,312
2005年3月 43,954 3,208 2,799 1,661
2004年3月 34,387 2,034 1,891 684
2003年3月 32,905 1,198 1,028 545
2002年3月 33,419 899 692 297
2001年3月 31,433 2,928 2,681 1,503
2000年3月 34,268 1,596 1,117 -2,237
株式情報(7/30現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
308円 31,998,679株 9,856百万円 8.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
14.00円 4.5% 45.31円 6.8倍 476.84円 0.6倍
※株価は7/30終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フジ住宅の2011年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告いたします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
地盤である大阪府下を中心に戸建分譲等、住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。この他、金融機関とタイアップした土地有効活用事業、賃貸・管理事業、個人投資家向けの賃貸マンション販売事業、及び戸建分譲のノウハウを活かした中古住宅の改装販売等も手掛けている。各事業の内容は次の通り(下記の他に「その他の事業」が売上高の約0.1%を占める)。
 
(1)分譲住宅事業
用地仕入・許認可の取得から、宅地造成、設計、建築、販売までの一貫体制を構築しており、「自由設計方式」と「街づくり」が特徴。マンション分譲も事業領域だが、地価上昇に伴う事業リスクの高まりから03年春以降、マンション用地の仕入を停止している。
 
(2)住宅流通事業
「快造くん」のブランド名で展開している中古住宅の再生・販売を中心に廉価な建売住宅の販売を手掛けており、中古住宅に付随した土地を更地売却した際の売上や仲介手数料も含まれる。地域密着営業により交差点単位での地域情報の収集・分析力をベースとした物件の鑑定力や仕入・販売価格の査定の速度と正確性、更にはリフォームのマニュアル化による独自のノウハウ等が強み。
 
(3)土地有効活用事業
賃貸住宅の建築請負と個人投資家向け一棟売賃貸マンションに分かれる。賃貸住宅の建築請負では、遊休地の有効活用を目的とした賃貸マンション・アパート等の建築提案を行なっており、市場調査・企画・設計・建築・竣工引渡後の運営管理までを一貫してサポート。コスト競争力の高い木造アパート「フジパレス」シリーズに08年11月単身高齢者専用賃貸住宅「フジパレスシニア」が加わり、より独自性が強まった。金融機関や既契約者からの紹介案件が多い。また、個人投資家向け一棟売賃貸マンションでは、1棟あたり1億円前後の賃貸アパートを中心に展開。資金運用手段として根強い需要がある。
 
(4)賃貸及び管理事業
100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が手掛けている。安定収益源となるばかりでなく、土地有効活用事業や個人投資家向け賃貸マンションの販売等との相乗効果も高い事業。
 
 
2011年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比24.1%の増収、同13.4%の経常増益
自由設計住宅や中古住宅の引渡しが順調に進んだ事に加え、工事進行基準の適用物件の増加により土地有効活用の売上も大きく伸びた。利益面では、自由設計住宅で前期に販売単価の引き下げを行った影響もあり売上総利益率が低下した他、販売手数料、広告宣伝費、及び人件費の増加で販管費が増加したものの増収効果で吸収、営業利益は同8.0%増加した。受取手数料の増加や金融費用の減少で営業外損益も改善したものの、投資有価証券評価損169百万円など特別損失177百万円を計上したため四半期純利益は同14.0%減少した。
尚、受注高は同46.6%増の14,223百万円、第1四半期末の受注残高は前期末比24.2%増の27,336百万円。
 
 
分譲住宅
引渡しが順調に進み、売上高が5,519百万円と前年同期比39.4%増加。ただ、前期は販売単価の引き下げを行ったため、セグメント利益は219百万円と同12.1%減少した。販売も順調に推移し、受注戸数は270戸と前年同期比ほぼ倍増。受注高は7,777百万円と前年同期比80.0%増加した。尚、今期の販売物件は地価下落後の仕入物件のため、今後は収益性の改善も期待できる。
 
住宅流通
売上高は前年同期比11.6%増の5,170百万円、セグメント利益は同20.8%増の377百万円。フジホームバンク大阪店の仕入・販売エリアの拡大やフジホームバンク泉北店の岸和田市への移転効果等もあり、中古住宅を中心に販売・引渡が増加した。受注高は前年同期比15.5%増の4,857百万円。
 
土地有効活用
賃貸住宅等建築請負における工事進行基準の適用物件の増加により売上高が1,776百万円と前年同期比51.4%増加。セグメント利益も291百万円と同107.8%増加した。受注高は同31.1%増の1,471百万円。
 
賃貸及び管理セグメント
土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び管理物件の取扱い件数の増加により、売上高は1,760百万円と前年同期比4.0%増加したものの、稼働率の低下や諸経費の増加によりセグメント損益が1百万円の損失となった(前年同期は108百万円の利益)。
 
その他
住宅の建替・リフォーム事業のテストマーケティングに係る売上高16百万円(前年同期比2.7%増)を計上、セグメント利益は4百万円と同9.4%減少した。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第1四半期末の総資産は前期末比223百万円減の50,138百万円。借方では、好調な販売や積極的な仕入を反映して完成工事未収入金やたな卸資産が増加する一方、必要なときに必要な額を調達できる資金調達力をアピールするために前期末に短期借入金を利用することで意図的に積み増した余剰の現預金を減らした結果、貸方では、短期借入金を中心に有利子負債が減少した。CFの面では、売上債権やたな卸資産の増加で営業CFがマイナスとなる中、店舗の移転等で投資CFのマイナス幅が拡大したため、前年同期は216百万円の黒字だったフリーCFが1,001百万円マイナスとなった。借入金の返済や配当の支払で財務CFもマイナスとなり、現金及び現金同等物四半期末残高は前期末比1,608百万円減少した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
第1四半期決算を受けて上期業績予想を上方修正。前年同期比20.7%の増収、同3.2%の経常減益を見込む
事業期間の短い中古住宅の販売好調による売上高の増加、工事が順調に進んでいる分譲住宅及び土地有効活用の物件で引渡しの前倒しが見込まれる事、及び工事進行基準適用に伴う売上の増加等で売上が期初予想を8.3%上回る見込み。増収効果で営業利益以下の各利益も上振れする。
ただ、「今後の見通しについては引続き検討を行う」との事で、通期業績予想については据え置いた。
 
(2)上期業績予想の根拠
第1四半期の売上実績(14,243百万円)に、第1四半期末の受注契約残高の内、上半期売上予定の9,111百万円と第1四半期と同等額の賃貸管理売上1,760百万円を加えた25,114百万円(上期売上予想の91.3%)を上期の確実な売上として見込む事ができる。上期予想を達成するためには2,386百万円足りないが、この他、第1四半期に5,170百万円の売上を計上した中古及び建売の第2四半期(7-9月)の受注契約の一部が上期中に売上計上される。
 
 
 
 
取材を終えて
地価の下落による住宅価格の調整に加え、住宅ローン減税等の政策的な後押しもあり販売は好調だ。「守りから攻めへ」転じたタイミングも良く、同社は商機をうまく捉える事ができた。全国的な猛暑だが、好天が続いているため工事の進捗も順調と思われ、豊富な受注残を抱える同社にとって天候の面からも心強い。下期のハードルは決して低くないが、足下の受注状況と豊富な受注残を考えると不安は少ない。通期業績の上振れはほぼ間違いないと考える。