ブリッジレポート
(4783) NCD株式会社

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ブリッジレポート:(4783)日本コンピュータ・ダイナミクス vol.22

(4783:JASDAQ) 日本コンピュータ・ダイナミクス 企業HP
伊藤 敬夫 社長
伊藤 敬夫 社長

【ブリッジレポート vol.22】2011年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」(10年7月15日発表)によると、情報サービス産業の売上高は、09年6月以降、マイナス成長が・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年8月10日掲載
企業基本情報
企業名
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社
会長
下條 武男
社長
伊藤 敬夫
所在地
東京都品川区西五反田 4-32-1
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 11,542 56 129 26
2009年3月 12,521 415 460 212
2008年3月 9,539 553 581 315
2007年3月 9,292 261 315 186
2006年3月 8,851 409 424 199
2005年3月 7,607 321 348 228
2004年3月 7,570 340 368 160
2003年3月 6,859 322 283 74
2002年3月 6,168 293 292 152
2001年3月 5,088 247 182 46
2000年3月 4,447 307 339 149
株式情報(7/30現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
274円 8,721,558株 2,390百万円 0.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13.00円 4.7% 11.46円 23.9倍 301.82円 0.9倍
※株価は7/30終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本コンピュータ・ダイナミクスの2011年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
独立系ソフトウェア開発会社のパイオニア。コンサルティングからシステム運用までを手掛けるシステム開発事業、システムの運用管理とテクニカル・サポートを主体としたサポート&サービス事業、及び自転車駐輪場システムの開発・運用を行なうパーキングシステム事業を展開。システム開発事業やサポート&サービス事業は優良顧客との継続的な取引が特徴。また、国内トップシェアを誇るパーキングシステム事業は成長性に富み、収益性も高い。
グループは、同社及び(株)日本システムリサーチ、天津恩馳徳信息系統開発有限公司、及び(株)ゼクシスの連結子会社3社(いずれも出資比率100%)。社名の"日本コンピュータ・ダイナミクス"には、「コンピューターをダイナミックユースして社会に貢献する(Dynamic use of Computer)」と言う創業時の思いが込められている。
 
<長期継続を特徴とする顧客資産が強み>
システム開発事業やサポート&サービス事業では、長期継続を特徴とする優良な顧客資産が同社の強みの一つ。主な取引先として、東京ガス、西部ガス、富士ゼロックス、商船三井、アリコジャパン、高砂熱学工業、三井住友海上火災、角川GHD、日本水産、エスアールエル、福岡県庁等を挙げる事ができる。
 
<顧客業界と同社が手掛けるシステム>
エネルギー業界   料金調停システム、資産管理システム等
保険業界      契約管理システム、クレーム管理システム等
運輸業界      運行管理システム、倉庫管理システム等
出版業界      著作権管理システム等
全業界       財務会計システム、人事システム等
 
<IT企業としては異色のパーキングシステム事業で社会貢献>
駐輪場の設計、ラックや精算機の開発、更には運用までを一貫して手掛けている。時間貸し駐車場の自転車版とも言える事業だが、駐輪場の売上は自転車1台を1日駐輪して100円程度。このため、コンピューターを使うには安過ぎて採算が合わないと言われ、IT業界とは縁の無い世界だった。しかし、自治体等からのシステム開発に対する強い要望に加え、放置自転車問題が深刻化する中で社会貢献の意味もあり参入。先行企業としての優位性と業界No.1の実績に基づく提案力を強みとしており、現在、同社を語る上で欠く事のできない事業となっている。
 
 
2011年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比2.8%の減収、172百万円の経常損失
前期からの持ち越し案件の寄与等でパーキングシステム事業が伸びたものの、IT投資の抑制によるシステム開発事業の落ち込みをカバーできず売上高が減少した。利益面では、技術者の稼働率低下やパーキングシステム事業での先行投資負担等で売上総利益率が悪化。全社的な経費削減が進んだものの(売上高販管費比率が0.8ポイント低下)、売上総利益の減少を吸収できず198百万円の営業損失となった。また、子会社も(株)ゼクシスが既存顧客のIT投資の削減で新規案件が減少した他、継続案件の保守業務も規模縮小を余儀無くされた。IT関連の要員派遣を中心とする(株)日本システムリサーチも需要減少で厳しい事業環境が続いた。
 
 
システム開発事業
IT投資の抑制が続いており、新規案件の受注が進まず売上高が1,137百万円と前年同期比11.8%減少、技術者の稼働率低下で売上総利益は54百万円と同50.2%減少した。ただ、足下、既存顧客のIT投資には底打ち感があり、保守業務での技術者ニーズが増加傾向にある。また、統括営業部による新規顧客獲得の一環として実施したクラウドEXPOへの出展やソリューションセミナー等の効果で新規顧客からの引き合いも増えつつある。
サポート&サービス事業
運用管理での要員減少を最小限に抑える事ができ売上高は557百万円と前年同期比2.3%の減少にとどまったが、限界利益の減少で売上総利益は56百万円と同31.6%減少した。また、24時間365日障害対応やシステム運用・保守まで顧客のITインフラ全体をサポートするマネージドサービスセンター(MSC)も、収益貢献には至らなかったものの、案件情報が増えており認知度は高まりつつある。
パーキングシステム事業
前期からの持ち越し案件の寄与等で売上高が825百万円と前年同期比12.9%増加したものの、新規駐輪場の開設等に時間を要したため新規案件の発掘が想定を下回った。また、新たな取り組みとして進めているエコポート事業関連の先行投資負担もあり、売上総利益が99百万円と同7.8%減少した
 
(2)財政状態
第1四半期末の総資産は前期末比409百万円減の8,555百万円。期末を越えて売上債権の回収が進んだため、余剰資金を有利子負債の削減に充てた事が総資産減少の主な要因。この他の増減としては、パーキングシステム事業の拡大に伴い、リース投資資産及び長期リース債務が増加する一方、配当の支払等で純資産が減少した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
前年同期比3.2%の減収、150百万円の経常損失
第1四半期決算を受けて上期の業益予想を下方修正した。新規受注の苦戦による売上の伸び悩みで技術者稼働率が低下する他、現在、社会実験段階にあるエコポート事業等の先行投資も負担となり損益が悪化する。ただ、「第3四半期以降の受注が見えてきている」として通期業績予想を据え置いた。
 
 
 
取材を終えて
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」(10年7月15日発表)によると、情報サービス産業の売上高は、09年6月以降、マイナス成長が続いている(直近データは10年5月まで)。IT投資の回復は当初の予想よりも遅れており、第1四半期決算において同社の損失が拡大したのも止むを得ないところだ。このため、第2四半期(7-9月)の見通しも慎重なものとなったが、限界利益率の高いビジネスだけに、足下で活発化してきた引合が受注につながれば期初に発表された通期業績予想の達成は可能と考える。先ずは営業損益のほぼ均衡を見込む第2四半期決算に注目したい。