ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス vol.24
(9616:東証1部) 共立メンテナンス |
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企業名 |
株式会社共立メンテナンス |
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会長 |
石塚 晴久 |
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社長 |
佐藤 充孝 |
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所在地 |
東京都千代田区外神田 2-18-8 |
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決算期 |
3月 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2010年3月 | 84,513 | 4,033 | 3,012 | 1,254 |
2009年3月 | 82,303 | 5,349 | 4,510 | 2,133 |
2008年3月 | 75,606 | 4,492 | 4,167 | 2,740 |
2007年3月 | 66,287 | 3,745 | 3,787 | 2,413 |
2006年3月 | 63,084 | 4,611 | 4,823 | 2,010 |
2005年3月 | 58,014 | 4,407 | 4,411 | 2,343 |
2004年3月 | 54,080 | 4,004 | 4,059 | 2,137 |
2003年3月 | 50,108 | 4,148 | 3,884 | 2,039 |
2002年3月 | 50,064 | 3,908 | 3,580 | 1,821 |
2001年3月 | 37,884 | 2,827 | 2,643 | 1,146 |
2000年3月 | 36,787 | 2,368 | 2,281 | 906 |
株式情報(7/2現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
事業の種類別セグメントと売上構成(2010/3月期)は次の通りである。 |
2010年3月期決算 |
前期比2.7%の増収ながら、同33.2%の経常減益
学生寮の3月の入寮者数が予想を下回った他、企業の福利厚生費・研修費の抑制等により社員寮の期中稼働率も低下し主力の寮事業が微増収にとどまった。また、新たにオープンしたビジネスホテルの寄与で売上が増加したホテル事業も、企業の出張費抑制等による稼働率の低下と価格競争の激化で既存のビジネスホテルの売上が伸び悩んだ。利益面では、寮事業においては、期初稼動率の低迷による固定費負担増と自社物件取得に伴う開業費負担増が影響した。ホテル事業においては、リゾートホテルが堅調に推移したものの、既存ビジネスホテルの単価及び稼動率の低迷により苦戦し、全体の利益を圧迫した。さらに総合ビルマネジメント事業におけるビル賃貸事業の大口解約の影響により減益となった。経常利益においては、コミットメントラインに係る手数料及び金利負担増等が影響した。有価証券評価損の計上により当期純利益は1,254百万円と同41.2%減少した。設備投資は13,203百万円(前期は11,118百万円)、減価償却費は4,068百万円(前期は3,695百万円)。 尚、予想との比較では、全社的な経費の削減等による利益押し上げ効果があったものの、寮事業における入寮一時金収入の計画未達(583百万円の営業利益未達要因)やビジネスホテル事業における食材原価や租税公課の見積もり額超過(133百万円)、及びリゾートホテルの単価未達(124百万円)が響いた。 寮事業
売上高は前期比0.1%増の37,564百万円、営業利益は同12.5%減の5,002百万円。一事業所単位でのコスト管理を徹底したものの、年間平均稼働率の低下及び物件取得(ドミール錦糸町Ⅰ・Ⅱ及び江戸堀)にかかる租税公課の発生に加え、入寮一時金収入の伸び悩みも響いた。期末事業所数は408ヶ所(前期末比7ヶ所増・受託除く)、定員数は30,849名(同683名増)。学生寮事業の売上高は同1.2%増の22,414百万円。新たに日本大学(全学部)、東洋大学、江戸川大学、工学院大学等との提携に成功したものの、3月に予定していた入寮者数が予想を下回った。学生寮の利用実績学校数は1,583校(前期1,573校)、期末契約者数は17,360名(前期比3.7%増)。 社員寮も利用実績企業数が前期の1,203社から1,210社へ増加し、期末契約数も7,511名と同1.3%増加したものの、研修等によるマンスリー利用の伸び悩みで売上高は9,330百万円と同1.9%減少した。 また、学生のひとり暮らしの多様化や企業独身寮の個人契約化の流れに対応してワンルームマンションタイプ寮を開発供給するドミール事業の売上も3,389百万円と同2.0%減少した。提携学校・提携企業の入居斡旋に加え、食事付き寮からの住み替え需要や寮利用者からの紹介等相乗効果がみられたものの、企業収益悪化による法人契約の伸び悩みが響き、入居者数が3,775名と同2.9%減少した。 この他、企業・学校が保有している寮を受託請負により管理運営する受託寮事業は、新規受託の拡大により売上高が2,429百万円と同0.9%増加した。 ホテル事業
新規事業所の寄与で売上高が26,898百万円と前期比7.0%増加したものの、346百万円の営業損失。企業の経費削減による出張抑制等が影響し、既存事業所の売上が想定したほどには伸びず、新規オープンに係る開業準備費用等が負担となった。新たに7棟をオープンし、期末事業所数(ビジネスホテルとリゾートホテルの合計)は53ヶ所、客室数は前期末比1,234室増の7,812室。このうち、ドーミーイン(ビジネスホテル)事業は売上高が同12.0%増の12,092百万円、営業損失247百万円(前期は209百万円の利益)。新たにオープンした6事業所が増収に寄与したものの、新型インフルエンザの流行及び企業の出張抑制等による稼働率の低下と価格競争の激化による影響により、当初の予想ほどには売上が伸びなかった。既存事業所の稼働率は79.6%(▲1.8%)、単価は5,821円(▲262円)。一方、リゾート(リゾートホテル)事業の売上高は同3.2%増の14,806百万円、営業損失100百万円(同106百万円の損失)。新規オープンを「飛騨花里の湯 高山桜庵」の1事業所にとどめ、平日稼働率の向上に向けた商品づくりと販売戦略に取り組んだ結果、既存事業所稼働率は堅調に推移し、増収となったが単価未達により限界利益が減少した。 総合ビルマネジメント事業
ビル賃貸事業における大口解約による稼働率の低下もあり、売上高が11,766百万円と前期比3.4%減少、営業利益も211百万円と同66.4%減少した。ビルメンテナンス業界では、首都圏を中心に管理委託会社の集約化等による値下げ要請・仕様変更等の要求が強まっており、厳しい事業環境が続いている。
その他の事業
フーズ事業は売上高が4,229百万円と前期比11.6%減少したものの、変動原価管理の強化・徹底によるコスト削減で営業損失が前期の80百万円から8百万円に減少。デベロップメント事業は同社グループの不動産開発を抑制した影響もあり、売上高が9,339百万円と同21.8%減少、営業利益も365百万円と同12.9%減少した。その他事業も人材派遣事業の苦戦により売上高が4,521百万円と同2.7%減少、営業利益も151百万円と同27.6%減少した。
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末総資産は前期末比13,415百万円増の139,209百万円。借方では、新規事業所の開設に伴い有形固定資産や投資その他(差入保証金)が増加した他、デベロップメント事業における外部売上の増加等で売上債権が増加。一方、貸方では、コミット型シンジケートローンの実行により長期借入金が増加した。CFの面では、利益の減少等で営業CFの黒字が減少する一方、設備投資の増加等で投資CFのマイナス幅が拡大。この結果、フリーCFは11,153百万円のマイナスとなったが、コミット型シンジケートローンの実行による長期借入金の積み増しで資金を補ったため財務CFが黒字となり、現金及び現金同等物期末残高は前期末比528百万円増加した。
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2011年3月期業績予想 |
前期比6.0%の増収、同19.5%の経常増益予想
期初稼働率の伸び悩みにより寮事業の売上が微増にとどまるものの、新規事業所の寄与と既存事業所の回復(稼働率及び客単価が共に回復傾向にある)でホテル事業の売上が伸びる。利益面でも、ホテル事業の損益が大きく改善する他、コスト構造の見直しを進める寮事業の利益率改善も見込まれ、営業利益が同17.8%増加する見込み。ただ、「資産除去債務(注)に関する会計基準」の適用に伴い、特別損失800百万円の計上を予定しているため、当期純利益は同3.7%の増加にとどまる(営業損益及び経常損益段階でも50百万円の減益要因が発生する)。設備投資は4,900百万円(前期は13,203百万円)、減価償却費は4,542百万円(前期は4,068百万円)。配当は1株あたり38円を予定(上期末19円、期末19円)。 (注)資産除去債務
有形固定資産の解体や売却、廃棄等の際に法令や契約で求められる費用をあらかじめ債務として認識するもの。これまで、電力会社が原子力発電施設の解体費用を計上する等の特殊なケースに限られていたが、2010年4月以降に始まる決算期から、一般事業会社にも適用が義務付けられた。多数の固定資産を保有する重厚・インフラ業界や賃貸借や借地等を多用している企業に影響があると見られている。
寮事業
首都圏を中心に全国で13棟(1,256室)の新規オープン及び3棟(182室)の閉鎖・転用を計画。ただ、学生寮事業において4月の寮事業期初稼働率が92.9%と当初予想を下回り前期同水準でのスタートとなったため、売上高は38,117百万円と前期比1.5%の増加にとどまる見込み。利益面では、定員拡大に伴う賃料等の固定費の増加(200百万円の減益要因)や原油価格高騰に伴う光熱費の増加(120百万円の減益要因)等が見込まれるものの、売上増に伴う限界利益の増加(360百万円の増益要因)や食材費・変動人件費等の変動比率低減効果(346百万円の増益要因)等で吸収。営業利益は同7.7%増加する見込み。四年制大学への営業強化と社会人需要の開拓のための総合営業部新設により需要創造に取り組むと共に、スクラップ及びリニューアルによる既存事業所の収益力強化と開発案件の厳選による供給の選別も進める。また、併せて変動費コントロールの強化と間接コストの抜本的な削減によりコスト構造の見直しを進める。
その他の事業
人材派遣の不振(156百万円の減益)が見込まれるものの、賃貸事業の稼働率上昇やフリーレント期間の終了等による総合ビルマネジメント事業の営業利益の増加(211百万円 → 405百万円、+194百万円)で吸収する。
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