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(8097) 三愛オブリ株式会社

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ブリッジレポート:(8097)三愛石油 vol.2

(8097:東証1部) 三愛石油 企業HP
金田 凖 社長
金田 凖 社長

【ブリッジレポート vol.2】2010年3月期業績レポート
取材概要「10/3期は利幅の確保には成功したものの、全体のボリュームが縮小したため相対的に固定費負担が増加した。11/3期は原油価格の上昇に加え、需要・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年6月1日掲載
企業基本情報
企業名
三愛石油株式会社
社長
金田 凖
所在地
東京都品川区東大井5-22-5 オブリ・ユニビル
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 833,991 6,364 6,675 1,005
2009年3月 981,734 9,353 9,714 4,618
2008年3月 861,914 7,537 7,456 3,298
2007年3月 791,583 7,044 7,354 3,281
2006年3月 726,445 5,713 5,799 4,032
2005年3月 360,046 5,892 6,385 3,814
2004年3月 266,352 3,576 4,088 1,780
2003年3月 261,719 3,051 3,146 692
株式情報(5/25現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
353円 74,811,616株 26,409百万円 1.9% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
11.00円 3.1% 26.73円 13.2倍 708.33円 0.5倍
※株価は5/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
三愛石油の2010年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
石油販売大手。主力の石油関連事業では、グループで約1,400のサービスステーション(以下、SS)に石油製品を供給しており、販売数量を安定的に伸ばしている。また、独自に開発した航空機への給油システム「ハイドラントシステム」により羽田空港の航空燃料供給を支えている他、LPガス(LPG)や天然ガスの販売も手掛けている。傘下に、キグナス石油(株)や國際油化(株)等の有力子会社を有し、子会社31社(うち連結子会社29社)及び関連会社4社(うち持分法適用会社1社)と共にグループを形成している。社名の“三愛”は、リコー三愛グループ(09年11月現在、63社・団体が加盟)各社の創業精神として受け継がれている「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」の「三愛精神」を基とする。
 
<事業内容>
事業は、石油製品の販売や化学品の製造・販売等の石油関連事業、LPGや天然ガスの販売を中心としたガス関連事業、及び航空燃料の給油業務や建設業等の航空関連事業他の3セグメントに分かれ、売上構成比は、それぞれ93%、6%、1%(10/3期)。
 
石油関連事業
SS向けの石油販売や法人向けの産業エネルギー販売と共に、溶剤、工業薬品、防腐・防カビ剤、自動車用ケミカル商品、金属表面処理剤等、様々な化学品の開発・製造・販売も手掛けている。
 
ガス関連事業
LPG、天然ガス、及び関連する機器の販売を行っている。LPG販売では直販子会社による家庭への供給と工業用の高圧ガス販売を手掛けており、天然ガス販売では佐賀県佐賀市で天然ガスを供給すると共に、電気と熱を生むコージェネレーションシステム等、省エネに必要な仕組み作りも提案している。
 
航空燃料事業他
航空燃料の保管及び航空機への給油を行う航空燃料取扱業と子会社三愛プラント工業(株)が手掛ける金属表面処理や建設工事等のその他に分かれ、売上高の約80%をその他が占めるが、営業利益の大半を航空燃料取扱業が稼ぎ出す。航空燃料取扱業では、羽田空港において、油槽船の接岸を含めた埠頭の管理や空港内の貯蔵タンク等の管理、及び地下パイプライン(全長約40km)を通して航空機に直接燃料を圧送するハイドラント式給油システムの運営・管理を独占的に行っている(実際の航空機への給油作業でも同空港の55~60%のシェアを有する)。また、神戸空港、佐賀空港、茨城空港他でも子会社で同様のサービスを提供しており、中部国際空港へは運営社員を派遣。
 
 
2010年3月期決算
 
 
製品価格の低下、
売上高は前期比15.0%減の8,338億91百万円。原油価格の下落により燃料油やガス等の製品価格が低下した他、景気悪化による需要の低迷も響いた。利益面では、SS販売会社5社の合併等により販売網の整備と経営の効率化が進んだ事や利幅の確保でも一定の成果をあげた事で売上総利益率が改善したものの、減収の影響をカバーできず売上総利益が減少。販管費の大半を占める固定費が負担となり営業利益は同32.0%減少した。当期純利益の減少幅が大きいのは、日本航空グループの経営破綻に伴う投資有価証券評価損など特別損失40億35百万円を計上したため。
 
特別損失の主な科目
固定資産除却損   1,036百万円  減損損失   1,226百万円
投資有価証券評価損 1,509百万円  環境対策費   239百万円
 
 
石油関連事業
石油製品販売業、化学品製造販売業共に売上が減少した。石油製品販売業では、三愛石油(株)、キグナス石油(株)、及び國際油化(株)の主要3社の単純合計で、石油類(ガソリン、灯油、軽油、重油、潤滑油)の販売数量が前期比2.7%増加したものの、金額ベースでは14.6%減少した。また、化学品製造販売業も景気悪化で需要が低迷した。
 
ガス関連事業
LPG、天然ガス共に原油価格の下落による製品価格の低下が響いた。主要3社の単純合計ではLPGが数量ベースで前期比2.3%の減少にとどまったものの、価格が11.6%低下。天然ガスは数量ベースで前期と同水準を維持したものの、製品価格が5.4%減少した。ただ、利幅の確保に努めた結果、営業利益は増加した。
 
航空関連事業他
航空機の燃料搭載数量の減少で航空燃料取扱業の売上が減少した他、景気の影響を受けやすい三愛プラント工業(株)の苦戦も響いた。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末総資産は前期末比6億74百万円減の1,968億26百万円。借方では、期末にかけての緩やかな売上の回復で売上債権やたな卸資産が増加した他、羽田関連の設備投資等で固定資産が増加。一方、社債の償還もあり、現預金が減少した。貸方では、仕入債務や純資産が増加する一方、有利子負債が減少した。CFの面では、利益の減少で営業CFの黒字が減少する一方、羽田関連の投資で投資CFのマイナスが拡大したため、前期は11,346百万円だったフリーCFが301百万円に減少。社債の償還により財務CFもマイナスとなり、現金及び現金同等物期末残高は前期末比8,249百万円減少した。尚、設備投資は羽田関連を中心に103億円38百万円を実施した(前期は61億10百万円)。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
増収予想ながら、在庫評価益を見込まず5.7%の営業減益
売上高は前期比1.9%増の8,500億円。原油価格が上昇に転じており製品全般で価格の上昇が見込まれる上、景気の緩やかな回復で数量ベースでも堅調な推移が見込まれる。増収にもかかわらず営業利益が減少するのは、前期に9億円を計上したキグナス石油(株)の在庫評価益を見込んでいないため。これを考慮した実質ベースでは、同9.8%の営業増益。社債の償還による金融費用の減少で営業外損益が改善する他、特別損失の減少も見込まれ当期純利益は同98.9%増加する見込み。配当は1株当たり11円を予定(上期末配当5.5円を含む)。
 
 
取材を終えて
10/3期は利幅の確保には成功したものの、全体のボリュームが縮小したため相対的に固定費負担が増加した。11/3期は原油価格の上昇に加え、需要の回復も見込まれるが、国内外で先行きの不透明感が強く同社の業績予想も慎重なものとなった。こうした中、明るい話題を挙げるとすれば、本年10月に予定されている羽田空港の再拡張(4本目の滑走路の稼動)だ。路線等が決まっていない段階では業績に織り込む事ができないが、離発着する航空機が増えれば燃料油の搬出量も当然増える。このため、同社では燃料油の貯蔵タンクを増設し、貯蔵可能容量を約40%引き上げた。また、「羽田空港のハブ化、24時間化を目指したい」として、前原誠司国土交通相が羽田空港を国際的な拠点空港となるハブ空港として優先整備する考えを示しており、実現すれば同社が受ける恩恵は大きい。