前期比7.2%の増収、同14.9%の経常増益予想
青果物販売を中心に引き続き商品売上が減少するものの、「ご飯がススム」シリーズ(「ご飯がススムキムチ」、「ご飯がススム辛口」、「ご飯がススムカクテキ」の3部作)の売上が大幅に拡大する他、コンビ二向け新商品の寄与で浅漬の売上も増加する。製・商品別では、製品売上高が同20.6%増の12,258百万円、商品売上高が同9.6%減の7,296百万円。利益面では、物流費の増加やテレビCM及び店頭での販促の積極化で販管費が増加するものの、増収効果と製品の売上構成比上昇による売上総利益率の改善により吸収、営業利益は同16.1%増加する見込み。設備投資は1,051百万円(前期は878百万円)を計画しており、減価償却費として375百万円(同288百万円)を織り込んだ。配当は1株あたり10円の期末配当を予定している。
通商産業省の工業統計(10年2月発表)によると、野菜漬物製造業出荷額は4,209億円。また、食品新聞の漬物品目別推定出荷額(09年8月発表)によると、08年の出荷額は全体で3,800億円だった。これらの統計から、漬物業界の市場規模は約4,000億円と推定される。また、食の欧米化や志向の多様化等で趨勢的に市場の縮小が続いてきたが、ここにきて和食の見直しや健康志向の高まり等を背景に浅漬や惣菜を中心に底打ち感が出てきた。
一方、企業規模で見ると、中小が乱立している状態で、売上高(年商)が100億円を超えているのは5社にとどまり、これら上位5社の売上高合計も700億円にとどまる。しかし、全漬連の会員企業数は減少を続けており(ピーク時の約2,000社から現在は約1,200社)、今後、大手のシェアアップによる寡占化が徐々に進んでいくものと見られている。同社は現在4%程度のシェアを早期に10%程度に引き上げたい考えで、新製品開発と生産能力の増強により新規取引先の開拓と既存取引先の深耕に取り組んでいる。
(3)今後の施策
消費の低迷から量販店は新規出店を抑制する一方、少量化や低価格PB商品の拡充を進めており、また、中国産食品への不安感も減退しつつある。消費者も低価格商品へのニーズや少量化商品ニーズが強いが、その一方で、安心、安全、健康に対する意識も高い。こうした中、同社は消費者ニーズに合わせた商品開発の促進、量販店に対する他社との差別化商品の投入や提案力の向上、更には惣菜製品の販売先拡大により更なる業容拡大を図る考え。
①商品開発
「ご飯がススム」シリーズ
“ご飯によく合い、ご飯が進む”をコンセプトにした「ご飯がススム」シリーズ(主原料は国産を使い、保存料・着色料不使用)の販売を強化する。
昨年10月に発売した「ご飯がススムキムチ」は、りんごをふんだんに使用した甘味とアミ塩辛等の魚介の旨味が、具沢山ヤンニョムによってご飯とよく絡み、ついついおかわりしたくなるこってりとした味わいが特徴。受けて、子供からシルバー層まで幅広い消費者層から高い評価を得ている。ただ、その一方で、「辛味が足らない」と言うキムチ党からの評価もあり、10年2月22日に「ご飯がススム こうちゃんのキムチ!!辛口」を投入。更に3月1日には、りんごのフルーティーな甘味、アミ塩辛等の魚介の旨味はそのままに、程よい酸味をきかせた大根のキムチ(カクテキ)「ご飯がススム こうちゃんのカクテキ!!」を発売した。
4月15日(木)から5月6日にかけて、関東地区(日本テレビ)、関西地区(朝日放送)、中部地区(中京テレビ)、北海道地区(札幌テレビ)、東北地区(宮城テレビ)でテレビCMの放送を予定している他、量販店とのタイアップによる店頭での販促も強化する。
「ご飯」をキーワードにした“ご飯がススム”の第2弾を3月1日に投入した。パッケージを開けて温かいご飯にかけるだけでおいしく食べる事ができる(一食完結、希望小売価格158円)。
地域ブランド活用の一環であり、北海道発(北海道子会社開発)の商品。健康面からも注目を浴びる「がごめ昆布」を使用しており、魚介類のうま味と甘味、そして辛味のバランスが絶妙な逸品。敢えて説明するまでもなく、材料は国産で、保存料や合成着色料は不使用。首都圏等での北海道フェア等で販売していく。
野菜をキーワード惣菜製品の積極的な開発と市場投入
既存商品の継続的な改善に加え、惣菜商品ラインナップの強化を図る。
全国の消費者の要望に応えるためネット販売を開始した。今期はネット販売に関する調査・検討が中心となり、この結果を踏まえて、来期以降、本格的な取り組み開始する。
関西地区の拠点である子会社(株)彩旬館の商号を(株)ピックルスコーポレーション関西に変更すると共に新工場を建設し本社機能を含めた全ての機能を移転した。4月に稼動した新工場はHACCPに対応しており、老朽化が進んでいた旧工場に比べて、生産能力がほぼ倍増する見込み。山崎の豊富な地下水を使用し、排水処理は環境に蛎殻を利用した優しいシステムを導入。また、国道171号線沿いで、名神高速の大山崎インターに近く立地の面でも優れている。
11/2期は減価償却費の増加で営業損失が見込まれるものの、売上高は20.8%増加する。
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