ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

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ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.19

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 会長
山田 勝 会長
安河内 曠文 社長
安河内 曠文 社長
【ブリッジレポート vol.19】2010年9月期上期業績レポート
取材概要「上期は前年同期比43%の営業減益となったが、第2四半期(1-3月)の3ヶ月間に限ると、前年同期と同水準の営業利益を確保した。新製品効果と経費削減・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年5月18日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
会長
山田 勝
社長
安河内 曠文
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年9月 10,300 1,047 1,335 837
2008年9月 14,995 3,608 3,532 2,214
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(4/30現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
985円 13,772,336株 13,566百万円 11.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
34.00円 3.5% 68.25円 14.4倍 478.67円 2.1倍
※株価は4/30終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
SHOEIの2010年9月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
世界ナンバーワンのヘルメットメーカー。オートバイ用を中心に、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造している。販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界50カ国以上を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっている。独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力により、右の3つの世界一を実現する事を経営方針に掲げている。
また、「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略も同社の特徴。三位一体の事業戦略を進める事で、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めている。
 
<事業内容>
オートバイ用のヘルメット(二輪乗車用ヘルメット)の売上高が約90%を占めている。なかでも、高品質で高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県東磐井郡)の国内2工場で生産。国内生産にこだわる事で、より高い品質を維持すると共に技術の流出防止にも努めている。また、業界では唯一の「トヨタ生産方式」導入企業として、高い限界利益率と在庫回転率、及び優れた資産効率を誇る。
 
<SHOEIフラッグシップの最新モデル 「X-TWELVE」>
 
1月に販売を開始した新製品「X-TWELVE」は同社フラッグシップの最新モデル。空力、デザイン、快適性、そして安全性を追求したプレミアムレーシングフルフェイスのヘルメット。昨年9月に欧州で、11月には米国において、現地の規格に沿った製品が発売されており、いずれも好評。日本規格にも適合させ、今回の発売となった。
 
 
2010年9月期上期決算
 
 
前年同期比9.5%の減収、同52.7%の経常減益
前期後半に投入した新製品の寄与や為替の影響で主力の欧州での販売が増加したものの、前下期から続く在庫調整の長期化で北米での販売が大きく落ち込んだ他、天候不順による販売の伸び悩みとそれに伴う代理店の在庫調整により国内販売も減少した。利益面では、受注の減少に伴う生産調整の影響や新製品投入に伴う広告宣伝費の増加等で利益率が低下。売上の減少と相まって、営業利益は同43.2%減少した。為替差益の減少(252百万円→51百万円)等で営業外損益も悪化したものの、法人税事業税の還付や税効果会計の影響等で当期純利益は同48.6%の減少にとどまった。上期の期中平均レートは、1ドル=90.76円(前年同期は93.90円)、1ユーロ=128.08円(同123.90円)。予想との比較では、北米が予想を上回ったものの、天候不順と在庫調整で国内が予想を下回った他、欧州も新製品が予想したほどには伸びなかった。
 
 
前年同期比7.3%の減収、同8.3%の経常減益
欧州での販売が伸び悩んだ他、国内販売も天候不順や在庫調整で落ち込んだものの、在庫調整が進んだ北米で減収率が縮小した他、その他地域での販売が増加に転じた。生産性の改善と経費削減も進み、営業利益は前年同期とほぼ同額の384百万円を確保した。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比510百万円増の8,941百万円。上期末にかけての北米やその他地域での販売の持ち直しにより、売上債権及び仕入債務が両建てで増加した。
 
 
 
2010年9月期業績予想
 
 
前期比9.5%の増収、同9.3%の経常増益予想
下期は国内外で新製品投入効果が期待できる上、経費削減も一段と進む見込みだが、来期以降を見据えて期末保有在庫を圧縮するため原価率が大幅に上昇する見込みだ。加えて、国内外での景気回復の遅れや欧米での新金融規制の動向とその影響、更にはギリシャの債務問題等で乱高下するユーロ相場等、現状では精度の高い業績予想が難しいとして期初の業績予想を据え置いた。下期の想定レートはUSドル=93.00円、ユーロ=126.00円。
 
 
取材を終えて
上期は前年同期比43%の営業減益となったが、第2四半期(1-3月)の3ヶ月間に限ると、前年同期と同水準の営業利益を確保した。新製品効果と経費削減効果が顕在化しつつあり、業績は最悪期を脱した感がある。ただ、スタートでの予想以上の苦戦に加え、回復感はあるものの力強さに欠ける現状を考えると、期初に発表した通期の業績予想の達成は難しいと言える。こうしたケースでは経験の浅い企業ほど無理をする傾向が強いが、逆に深みにはまってしまう事が多い。このため、下期に思い切って在庫の圧縮を進め、来期のV字回復を目指す同社の判断は妥当であると考える。暫くは「忍」の一字で、ほふく前進を続ける方が懸命。苦しい時ほど慌てず騒がず、「失意泰然」と言ったところだ