ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

プライム

ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.18

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 会長
山田 勝 会長
安河内 曠文 社長
安河内 曠文 社長
【ブリッジレポート vol.18】東京モーターサイクルショー見学レポート
取材概要「快適で安全な高速走行に必要な事は、「体はホットに、頭はクールに、そして視界良好」。新製品「X-TWELVE」はこれらの点に更なる改良が・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年4月6日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
会長
山田 勝
社長
安河内 曠文
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年9月 10,300 1,047 1,335 837
2008年9月 14,995 3,608 3,532 2,214
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(3/26現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
965円 13,772,336株 13,290百万円 11.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
34.00円 3.5% 68.25円 14.1倍 459.67円 2.1倍
※株価は3/26終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
 
3月26日(金)から3月28日(日)にかけて、江東区有明の東京ビッグサイトにおいて第37回東京モーターサイクルショーが開催されました。東京モーターサイクルショーは、春のバイクシーズンに先がけて毎年3月下旬に開催されるオートバイ関連の見本市。今回は国内外のオートバイメーカー、パーツメーカー、販売店、出版社等、約140社(団体を含む)が出展しました。高品質・高付加価値の「プレミアヘルメット」が世界の有力ライダーから高い評価を受けている世界No.1のヘルメット・メーカー SHOEI のブースを訪ねてみました。
 
東京モーターサイクルショーは、東京モーターサイクルショー協会の主催によるものです。同協会は、モーターサイクル産業の振興と健全なモーターサイクル文化の育成・普及を通じ、豊かな社会生活の実現と経済の発展に寄与する事を目的に、1993年10月6日に設立されました。
現在、正会員17社、モーターサイクル関連企業等の準会員28社、及びモーターサイクル関連団体10団体によって構成されています。
 
 
同社のブースは、西1ホールの一角にありました。ヘルメット・メーカーのブースとしては、比較的大きな同社ブースで、平野明人取締役管理本部長とスタッフの皆さんにお話を伺いました。
 
 
 
SHOEIフラッグシップの最新モデル 「X-TWELVE」
 
 
1月に販売を開始した新製品「X-TWELVE」は同社フラッグシップの最新モデル。空力、デザイン、快適性、そして安全性を追求したプレミアムレーシングフルフェイスのヘルメット。昨年9月に欧州で、11月には米国において、現地の規格に沿った製品が発売されており、いずれも好評。日本での規格を取得し、今回の発売となった。
 
特徴.1 デザイン&エアロダイナミックス
「X-TWELVE」は、風洞実験やサーキットでの走行テストで収集された膨大な性能データを基にデザインとエアロダイナミックスを追求。繊細なラインが美しく絡み合った流麗なシルエットとディティールまで徹底的に作り込まれたスポイラーやベンチレーションパーツに特徴がある。
 
エアロダイナミックス性の向上上により、シリーズ前作「X-Eleven」との比較で、DRAG(前から後ろに押し付けられる力)を12.6%向上(軽減)させると共に、LIFT(浮き上がる力)も8.2%向上(軽減)させた(いずれも風洞実験による社内参考値比)。
言い換えると、高速走行時の安全性や快適性が更に高められた。
 
特徴.2 空力性能
「X-TWELVE」の革新的フォルムを決定付けているのが、エアロエッジスポイラー2だ。
後頭部からサイドまで回り込む印象的な形状は、1990年代にレース専用のデバイスとしてアイディアが具体化された。以来、同社はレースシーンで実戦開発を進めると共に、風洞実験や走行テストを繰り返して、空力性能に磨きをかけてきた。
「X-TWELVE」は、その優れた空力性能により、高い直進安定性はもちろん、後方確認等の様々な動作においても、安定した走行フィーリングを体感できる。
 
特徴.3 ベンチレーション(風通し、通気)
 
「X-Eleven」との比較で、総吸入量を11.9%、総排出量も10.3%、それぞれ改善(いずれも風洞実験による社内参考値比)。右上の画像は風洞実験において、ベンチレーション効果をカラーグラフ化したもの。色が青になる程、温度が低い事を表している(時速100kmの風を5分間送風した時点での温度変化)。
 
特徴.4 防曇性能
側頭部に設置したサイドエアアウトレットが、「X-Eleven」の2倍以上の排気能力を有し口元から外気を導入するロアエアインテークとの相乗効果がもたらす確実な換気により、シールドの防曇性能を飛躍的に高め、走行中のクリアな視界の確保に効果を発揮する。
この新システムは、数シーズンにわたりMoto GPのレースシーンでテストを繰り返して開発。気温、湿度の違いやライダー個々のライディングスタイル等、様々な状況下でデータを積み重ね、あらゆる環境下で効果的に性能を発揮できる形状とポジションを追求した。
 
 
乗車用ヘルメット技術基準(PSC/SG)の改定
 
4月に国内の乗車用ヘルメットの技術基準(PSC/SG)が改定され、海外用モデルとして開発された製品が、一部の仕様を変更するだけで日本でも販売できるようになる。

これまでは、海外の基準と日本基準が異なるため、海外用と日本用では区別して開発・生産されていた。今後は、新製品の開発効率の向上に加え、金型投資の削減やラインの生産性改善等が期待できるため、今回の基準改訂は同社の業績にはプラスとなる。

左は海外用に開発された製品だが、基準変更を受けて今後は国内販売が可能になる。
 
 
モータージャーナリストの宮城光氏を迎えたトークショー
 
「X-TWELVE」の空力特性、通気性能、防曇性能、更には静かさ(風きり音)等について、絶賛していました。
 
 
取材を終えて
快適で安全な高速走行に必要な事は、「体はホットに、頭はクールに、そして視界良好」。新製品「X-TWELVE」はこれらの点に更なる改良が加えられた。また、経験しないとわからない事だが、高速走行がゆえにライダーが感じる風圧は強く、走行中に首が受ける加重は非常に大きいと言う。このため、デザイン&エアロダイナミックスの改善も、訴求ポイントとして重要だ。これらの優れた機能を有する新製品「X-TWELVE」の販売に期待したい。
新製品の購入需要は春先からゴールデンウィークにかけてピークとなるが、今年の春先は例年に無く雨が多く、寒さも厳しかったため、国内の販売環境は必ずしも良くなかった。今シーズンはこれからゴールデンウィークまでの1ヵ月強が勝負となる。また、欧州も改善傾向にあるものの、景気の回復は力強さに欠ける上、南欧問題等を背景にしたユーロ安も気になるところ。米国景気も同様な事が言え、同社の製品戦略は順調に進んでいるが、天候や景気等のマクロ要因については、いかんともしがたい面がある。