ブリッジレポート
(6890) 株式会社フェローテックホールディングス

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ブリッジレポート:(6890)フェローテック vol.24

(6890:JASDAQ) フェローテック 企業HP
山村 章 社長
山村 章 社長

【ブリッジレポート vol.24】2010年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「会社側は通期の業績予想を変更しなかったが、四半期ベースの業績推移を考えると、装置関連事業や電子デバイス事業を中心に上振れする可能性・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年3月9日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フェローテック
社長
山村 章
所在地
東京都中央区京橋 1-4-14
決算期
3月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 36,653 2,790 2,097 743
2008年3月 36,625 3,057 2,414 1,903
2007年3月 32,517 2,288 2,081 1,703
2006年3月 23,946 1,210 1,040 708
2005年3月 21,105 1,762 1,456 633
2004年3月 15,000 615 -177 -645
2003年3月 12,845 111 -626 -899
2002年3月 14,775 916 984 -357
2001年3月 16,435 2,665 2,561 1,644
2000年3月 7,988 892 629 288
株式情報(2/25現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,091円 24,897,022株 27,061百万円 3.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 1.1% 4.27円 255.5倍 860.86円 1.3倍
※株価は2/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フェローテックの2010年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
シリコン単結晶引上装置等の太陽電池関連製品、半導体製造装置やフラット・パネル・ディスプレイ(FPD)製造装置の部品、半導体材料、各種温度調節に使われるサーモモジュール等の製造・販売を行っている。いずれも目に触れる機会はないものの、パソコンや携帯電話、液晶やプラズマ等、身近な分野で同社の技術が活かされている。
もともとは磁性を持つ液体である磁性流体応用製品のメーカー。その代表例が、半導体やFPDの製造装置の部品となる真空シールであり、ハードディスクドライブ等で使われていたコンピュータシールである。磁性流体応用製品に次ぐ主力製品となったサーモモジュールもそうだが、Only Oneの製品であり、超精密部品であるため、金属加工や表面処理等で高い技術が要求される。この技術を中国に持ち込み、現地の安価な労働力と融合させたのが、事業セグメントの一つである受託生産(CMS)事業である。更に、近年、急速な伸びを示しているのが、シリコン結晶製造装置や石英坩堝等の消耗品を手掛ける太陽電池関連事業である。太陽電池の材料となるシリコン結晶製造装置には、同社の製品である真空シールが主要部材として使われており、これまで蓄積してきた技術やノウハウが活かされている。
事業は4セグメントに分かれ、主な製品及びサービスは次の通り(カッコ内は09/3期売上構成比)。
 
装置関連事業     (38.9%)
真空シール、石英製品、半導体用シリコンインゴット、セラミックス、EB-ガン等
太陽電池関連事業   (30.1%)
シリコン(多・単)結晶製造装置、太陽電池用シリコンインゴット、石英坩堝
電子デバイス事業   (11.9%)
サーモモジュール、磁性流体等
受託生産(CMS)事業 (19.3%)
シリコンウェーハ加工、装置部品洗浄、工作機械製造等
 
 
 
2010年3月期第3四半期決算
 
 
四半期ベースで営業損益が黒字転換
前年同期との比較では大幅な減収・減益だが、第2四半期(7-9月)との比較では、全てのセグメントで売上が増加し26.7%の増収。利益面では、最適地生産の観点から製造拠点の見直しを進めた他、材料在庫及び製造コストの低減にも努めた結果、売上総利益率が前四半期比4.0ポイント改善。一方、全社的なコストの削減により販管費は減少し、第2四半期に306百万円の損失だった営業損益が538百万円の利益に転換した。
 
 
装置関連事業
半導体・液晶・LED市場は、台湾、韓国市場での製造装置稼働率が急回復しており、石英製品等の消耗品需要が回復。設備投資も再開され、真空シール等も伸びた。
 
太陽電池関連事業
08年秋以降、減少が続いたシリコン結晶製造装置の引合いが大口需要家を中心に回復傾向にある。売上の面では、受注残の消化が順調に進んだ他、単結晶製造装置用石英坩堝の販売も堅調に推移した。
 
電子デバイス事業
国内外での自動車販売の下げ止まりにより主力の自動車温調シート向けサーモモジュールの売上が増加した他、空気清浄機やエアコン等の民生機器向けやウイルス検査装置等のバイオ関連向けも堅調に推移した。
 
CMS事業
シリコンウェーハ加工、装置部品洗浄及び工作機械製造の受注が緩やかながら回復傾向にあり、未だ水準は低いものの、売上高・利益共に増加した。
 
 
前年同期比30.8%の減収、158百万円の経常損失
上期の苦戦を完全にはカバーできなかったものの、業績は09/3期第4四半期を底に四半期ベースで回復傾向にあり、営業損益がほぼ均衡水準にまで回復。前年同期に230百万円の損失を計上した為替が、27百万円の差益となり営業外損益も改善した。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は前期末比1,304百万円増の48,256百万円。借方では、受注回復で売上債権やたな卸資産が増加した他、新株の発行やフリーCFの改善で現預金が増加。貸方では、新株の発行で純資産が増加する一方、有利子負債が減少した。CFの面では、損失を計上した事や運転資金の増加等で営業CFが減少したものの、定期預金の預入やM&A関連及び設備投資の減少もあり投資CFのマイナスが大幅に縮小。前年同期は4,437百万円のマイナスだったフリーCFが1,160百万円の黒字となった。
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
 
通期の業績予想に変更は無く、前期比15.4%の減収、同85.7%の経常減益予想
通期では大幅な減益が避けられないものの、受注は回復トレンドにあり、四半期ベースでは売上・利益共に回復が続く見込み。配当は1株当たり12円の期末配当を予定している。
 
 
 
取材を終えて
会社側は通期の業績予想を変更しなかったが、四半期ベースの業績推移を考えると、装置関連事業や電子デバイス事業を中心に上振れする可能性が高い。新年度入りする4月以降も両事業の見通しは明るく、半導体等の生産増を受けてCMS事業のシリコンウェーハ加工や装置部品洗浄も堅調な推移が見込まれる。また、太陽電池関連についても、昨年11月にGCLソーラーエナジーホールディングス(香港)及び内蒙古山路煤炭集団有限責任公司(内モンゴル包頭市)の2社からシリコン単結晶引上装置合計90台を受注したのに続き、1月には中国上海のComtec Solar Systems Group Limited(中国)からシリコン単結晶引上装置150台を受注。いずれも来期の業績に寄与する見込みである。同社の来11/3期は、売上高が340~350億円に回復し、20億円程度の営業利益が確保できると考える。