ブリッジレポート
(5162) 株式会社朝日ラバー

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ブリッジレポート:(5162)朝日ラバー vol.11

(5162:JASDAQ) 朝日ラバー 企業HP
横山 林吉 社長
横山 林吉 社長

【ブリッジレポート vol.11】2010年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「情報通信関連製品の苦戦が続いているものの、自動車販売の回復に加え、2011年モデル、2012年モデルでの採用も進む等、自動車関連製品は来期の・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年3月9日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社朝日ラバー
社長
横山 林吉
所在地
埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2
決算期
3月 末日
業種
ゴム製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 4,904 46 14 -80
2008年3月 6,284 414 325 211
2007年3月 5,314 399 375 176
2006年3月 4,578 366 353 209
2005年3月 4,057 251 251 147
2004年3月 3,449 233 211 112
2003年3月 3,154 172 159 75
2002年3月 2,907 98 85 10
2001年3月 3,582 315 336 189
2000年3月 3,140 313 300 141
株式情報(2/26現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
239円 4,550,840株 1,088百万円 - 500株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
3.00円 1.3% 3.74円 63.9倍 618.76円 0.4倍
※株価は2/26終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
朝日ラバーの2010年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートについてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明の他、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、文房具用・スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン材料の配合技術と調色技術に強みを有し、例えば、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、1万色以上の光を出す事やLEDの光のばらつきを均一化する事ができる。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かした製品である。
グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)ファインラバー研究所、米国の販売会社ARI International Corp.、及び中国・東莞市に工場(来料加工工場)を持つ朝日橡膠(香港)有限公司の連結子会社3社からなる。
 
<事業内容と主要製品>
事業は、自動車の内装照明の光源向けや各種センサ向け、或いは液晶表示装置のバックライトで使われる冷陰極蛍光管(CCFL)ホルダー、Oリング、電池用ゴム等に使われる工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓等の医療・衛生用ゴム事業に分かれる。 09/3期の売上構成比は、それぞれ、83.9%、16.1%。
工業用ゴム事業は、更に自動車の内装照明の光源向けが中心の彩色用ゴム製品(売上構成比49.1%)、情報通信向けが多い弱電用高精密ゴム製品(同 15.4%)、卓球のラケット用ラバー等のスポーツ用ゴム製品(同 8.0%)、その他工業用ゴム製品(同 11.4%)に分かれる。
 
 
2010年3月期第3四半期決算
 
 
自動車関連製品を中心に受注が回復
自動車関連製品を中心に受注が回復、売上高が前年同期比11.6%増加した。増収にもかかわらず、営業利益が減少したのは、資産健全化の一環として滞留在庫の処分を進めたため。売上総利益がほぼ前年同期並みにとどまり、2009 年10 月より従業員の賃金カット等の経営合理化策を解除した事に伴う人件費の増加を吸収できなかった。ただ、為替差損が無くなり経常増益。
 
 
前年同期比18.4%の減収、同74.7%の経常減益
経営合理化策の実施により生産性改善やコスト削減が進んでいるものの、未だ売上の水準が低い事と滞留在庫の処分を進めた事等が減収・減益の要因だが、自動車関連製品を中心にした受注の回復により、四半期ベースでは業績改善が進んでいる。
 
 
工業用ゴム事業
売上高は前年同期比22.3%減の2,750百万円、営業利益は同58.3%減の90百万円。
主力の彩色用ゴム製品の売上高は同26.5%減の1,573百万円。豊富なカラーバリエーションとLEDの光のばらつきを均一化できる「ASA COLOR LED」が自動車の減産を受けて1,192百万円と同26.9%減少した他、光透過率94%以上の特性を持つ透明シリコーン製品も、高輝度LEDと組み合わせた情報通信・自動車・各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」の既存取引が縮小した事や携帯ゲーム機向けの応用製品の受注減少により177百万円と同18.5%減少した。
また、弱電用高精密ゴム製品は、液晶テレビのバックライト用ホルダー製品の受注が無くなった事に加え、競争激化や顧客の海外生産シフトにより売上高が391百万円と同40.2%減少した。この他では、卓球ラケット用の新製品の好調でスポーツ用ゴム製品が324百万円と同15.8%増加したものの、その他の工業用ゴム製品の売上高が459百万円と同1.0%減少した。
 
医療・衛生用ゴム事業
売上高は同6.5%増の590百万円、営業利益は同47.5%増の77百万円。
顧客の在庫調整の影響等で衛生性、通気性、衝撃吸収性を追及した衛生用ゴム製品の売上高が24百万円と同29.1%減少したものの、独自開発製品の好調で医療用ゴム製品の売上高が566百万円と同8.8%増加した。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は前期末比1,119百万円増の7,649百万円。受注回復に伴い運転資金が増加したため、新たな借り入れを行い現預金を積み増した。CFの面では、売上の増加に伴う運転資金の増加で営業CFの黒字が減少したものの、設備投資の抑制により投資CFのマイナスが減少、前年同期に63百万円だったフリーCFの黒字が105百万円に増加した。
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
 
通期業績予想を上方修正、期末3円の配当を実施
第3四半期決算の発表と同時に通期業績予想を上方修正した。医療用ゴム製品の受注が顧客の在庫調整により減少する見込みだが、自動車関連製品の受注回復やスポーツ用ゴム製品の好調で彩色用ゴム製品の売上が伸びる。利益面では、売上の上振れに加え、歩留り改善など原価低減も進み、滞留在庫処分等の影響を吸収する。
また、無配を予定していた配当についても、前期と同額の1株当たり3円の期末配当を実施する事とした。
 
 
第4四半期は顧客の在庫積み増しが一巡するため第3四半期に比べて売上が減少するものの、滞留在庫の処理が終わるため利益率が改善。第2四半期と同程度の営業利益を出せる体質に回復する見込み。
 
 
取材を終えて
情報通信関連製品の苦戦が続いているものの、自動車販売の回復に加え、2011年モデル、2012年モデルでの採用も進む等、自動車関連製品は来期の見通しも明るい。また、中期的には、自動車や情報通信に次ぐ第3の分野として照明分野での事業展開に期待が高まる。照明分野でのLEDの採用は緒に付いたばかりだが、いずれ蛍光管に置き換わるものと思われる。LEDの利用が広がると関連需要が生まれて来る事は自動車等で実証済みで、同社は、強みを有するLEDとレンズの技術を生かし、LED単体で対応困難な中間色ニーズを捉えて市場を開拓していく考えだ。