ブリッジレポート
(3041) 株式会社ビューティ花壇

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ブリッジレポート:(3041)ビューティ花壇 vol.11

(3041:東証マザーズ) ビューティ花壇 企業HP
三島 美佐夫 社長
三島 美佐夫 社長

【ブリッジレポート vol.11】2010年6月期第2四半期累計業績レポート
取材概要「昨年度の定時株主総会で、創業者の三島氏が代表取締役社長に復帰した。就任以降、上記に述べられているような様々なコスト削減や経費見直しを・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年3月2日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ビューティ花壇
代表取締役社長
三島 美佐夫
所在地
〒105-0003 東京都港区西新橋2-16-2
決算期
6月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年6月 3,724 61 65 -15
2008年6月 3,808 106 106 28
2007年6月 3,188 153 147 71
2006年6月 2,668 170 154 98
2005年6月 2,339 78 60 20
2004年6月 1,888 36 16 5
2003年6月 1,519 13 9 4
2002年6月 1,111 15 15 1
2001年6月 877 -5 -4 -3
株式情報(2/19現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
32,300円 24,372株 787百万円 -3.1% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,213円 3.8% 4,103円 7.87倍 19,654円 1.64倍
※株価は2/19終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ビューティ花壇の2010年6月期第2四半期累計業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
葬儀会社に対し、生花祭壇や供花等の企画・制作・設営サービスを提供する生花祭壇事業と、生花祭壇部門の仕入れ及び葬儀会社や小売店への販売を主体とする生花卸売事業が2本柱。
 
 
生花祭壇事業は、全国7支社を通じて葬儀会社からの発注に応じて祭壇を販売する。また、生花卸売事業は、全国8カ所の中央及び地方卸売市場の買参権(買取り参加者としての資格)を取得している他、全国15カ所の生産者とも連携する等で全国的なネットワークを構築、効率的な仕入を行っている。生花祭壇事業へ商品を提供すると同時に、外部顧客(生花店、葬儀社等)への販売も行っている。

1974年5月創業。97年1月に(有)ビューティ花壇として法人化され、2000年6月株式会社化。06年6月に東証マザーズに株式を上場した。
 
<事業系統図>
 
グループは同社の他、ブライダル装花等を手掛ける(株)クラウンガーデネックス、台湾で生花祭壇事業および生花の仕入れを手掛ける美麗花壇股有限公司(台湾)の連結子会社2社。
 
新経営体制について
 
決算説明に先立ち、代表取締役交代を含めた新経営体制への移行について以下のような説明があった。
 
<代表交代の経緯>
 
2009年9月25日開催の定時株主総会にて、株主提案議案により、三島美佐夫氏、渡邊一功氏が選任され、その後9月28日付けで三島美佐夫氏が代表取締役に就任した。
 
 現在の体制 代表取締役 三島美佐夫
       取締役   舛田正一
       取締役   渡邊一功
       常勤監査役 大山 亨
       監査役   亀井 浩太郎
       監査役   柳本 信一郎
 
株主提案の目的:
(1) 取締役会の機能強化:効率の悪い投資を止め、経営資源を利益創出施策に集中的に投下し、高収益体質を早期に確立する
(2) 花卉事業の成長加速:花卉事業に精通した取締役の就任により、事業成長を加速させる
 
<新しい方針>
 
1.企業理念
  花をより身近なものとし、美しく豊かな世界を創造する。
  (創業以来掲げてきたこの企業理念を再認識、再徹底 ⇒ 最重要施策)

2.経営基本方針

① 収益率の向上と生花祭壇事業・生花卸売事業の更なる強化
  収益構造の抜本的な見直しを進める。また2本柱である生花祭壇事業と生花卸事業について、環境変化に応じた深化を進める。
② 新規事業への取組み・徹底基準の明確化
  新規事業への取組み及び撤退の基準を明確にし、収益に貢献する事業の育成を加速させる
③ コスト削減
  売上に貢献しない経費については基本的にすべてカット。過去に導入し、現在十分に活用されていない資産も厳格な基準で見直しを行い、状況に応じて適切な処理を行う。
④ 社員教育の充実
  コストカットにより捻出できた資金を、積極的に社員教育にも投資する。
 
 
2010年6月期第2四半期累計業績
 
<損益計算書>
 
2010年6月期第2四半期累計の売上高は1,953百万円(前年同期比5.6%増)となったが、増収の要因は、
 
①生花祭壇事業の増収:      +17
②台湾子会社の増収:       +6
③生花卸売事業の減収:      +54
④ブランツスケープ事業の増収:  +5
⑤ブライダル事業の減収:     +21 (単位:百万円)
 
損益面では、生花単価の下落、技術部門の費用削減などにより売上原価が低下、粗利率は23.17%(前年同期19.6%)と2.5ポイント改善した。さらに人件費や広告宣伝費などを削減したことから販売管理費が減少、このため営業利益は57百万円(前年同期は42百万円の赤字)へ大幅改善した。

営業利益の増益要因を分析すると、
 
①売上増に伴う売上総利益増:   +58
②技術部門費削減(売上原価圧縮) +31
③販売管理費の削減        +11
④営業外費用の減少        +3 (単位:百万円)
 
<計画との比較>
 
2010年6月期第2四半期累計の実績を、期初計画(09年8月に発表)と比較すると下表のようになった。
売上高は期初予想を11.8%下回ったが、経費削減などにより営業利益、経常利益は微減に止まった。ただし、前期損益修正損などを特別損失に計上したことから、四半期純利益は計画比で大幅減となった。
 
 
<貸借対照表>
 
 
2010年6月期第2四半期末の貸借対照表は上表のようになった。自社株買いにより株主資本が17百万円減少した。
 
<キャッシュ・フロー>
 
 
2010年6月期第2四半期累計のキャッシュフローは上表のようになった。
 
 
2010年6月期業績予想
 
<業界動向>
 
会社側では最近の業界動向を以下のように分析している。

(生花祭壇事業)
・ 一時の拡大傾向は落ち着き、現在は安定した市場を維持している
・ 葬儀の小型化や葬儀社間の競争により単価は平均下落傾向

(生花卸売事業)
・ 小売、ブライダル、法人の慶弔需要の減退により卸売販売は減少傾向
・ 花単価は安価に推移(低位安定)

(ブライダル装花事業)
・ 少子化により婚礼件数は減少傾向
・ こだわりやオリジナルウェディングの高まりによる単価の上昇傾向
 (差別化が鍵)


要約すると、葬祭市場は拡大しているが単価は下落傾向、ブライダル市場は縮小しているが、単価は上昇傾向と、二つの市場は相反する動き。卸売市場の生花単価下落はマイナス要因だが、葬祭分野での生花祭壇事業にはプラス要因。

以上のような状況から、同社としては、「葬祭分野の生花祭壇事業に経営資源を集中させることで収益の拡大を図る」方針。
 
<業績予想>
 
上記のような戦略に沿って、会社側は2010年6月期の業績を下表のように予想している。
 
 
<主な施策>
 
上記の予想を達成するため、会社側は以下のような施策を実行すると述べている。
 
 
 
<子会社等>
 
・ クラウンガーネックス(ブライダル装花)
本社の渡邊取締役をクラウンガーネックスの取締役として派遣。既存客との関係再強化、新規顧客の拡大などで売上増を図った。加えて、旬の花材(価格安い)の積極的な採用、仕入れルートの多様化などにより原価改善に注力、この結果、収益は改善しつつある。下半期からは造園事業への本格的な取組みを開始し、来期には通年で黒字化を目指す。

・ 美麗花壇(台湾子会社)
生花祭壇事業では、付加価値の高い日本式生花祭壇売上件数の増加により、確実に利益を出せる事業モデルが確立された模様。 また生花卸事業では現地最大の胡蝶蘭生産者との業務提携により、胡蝶蘭の対日輸出を拡大。これにより同社の収益が改善すると同時に、ビューティ花壇の商品差別化戦略にも寄与している。

収益面では既に昨年度から黒字化しているが、今期は約3倍(約18百万円)の営業利益を予想している。次の目標は累損の解消。
 
 
取材を終えて
昨年度の定時株主総会で、創業者の三島氏が代表取締役社長に復帰した。就任以降、上記に述べられているような様々なコスト削減や経費見直しを行ったようだが、その効果が早速現れた決算と言えよう。景気の影響もあり、第2四半期累計の売上高は期初予想を下回ったが、新経営陣によるコスト削減施策等により営業利益、経常利益は予想を上回った。通期予想も、売上高は下方修正したが、営業利益は上方修正したが、この点は評価出来るだろう。コスト削減・利益率改善の余地はまだあるようで、今後の数字は多いに注目出来る。
また、成長戦略としてあげているのが、①新ビジネスモデルの構築と②海外事業展開である。
今後これらの施策の進捗状況を期待を持って注視していきたい。