ブリッジレポート:(4955)アグロ カネショウ vol.26
(4955:東証2部) アグロ カネショウ |
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企業名 |
アグロ カネショウ株式会社 |
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社長 |
櫛引 博敬 |
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所在地 |
東京都港区赤坂 4-2-19 |
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決算期 |
12月 |
業種 |
化学(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2009年12月 | 12,556 | 1,079 | 1,021 | 593 |
2008年12月 | 13,592 | 694 | 652 | -108 |
2007年12月 | 13,391 | 533 | 476 | 258 |
2006年12月 | 12,851 | 576 | 497 | 272 |
2005年12月 | 12,154 | 442 | 385 | 114 |
2004年12月 | 10,742 | 536 | 366 | 186 |
2003年12月 | 7,322 | -220 | -208 | -278 |
2002年12月 | 7,792 | 113 | 150 | 41 |
2001年12月 | 7,733 | 242 | 279 | 63 |
2000年12月 | 8,300 | 662 | 709 | 423 |
1999年12月 | 7,821 | 642 | 656 | 224 |
株式情報(2/12現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
グループは、同社の他、ベルギーに本社を置き、D-Dやバスアミドといった農業用土壌処理剤事業を取り扱うKanesho Soil Treatment(同社出資比率60%。以下、KST)、及び染料、医薬、農薬等の受託製造・販売を手掛ける100%子会社の三和化学工業(株)の2社。 <沿革>
1951年、農業薬品・肥飼料の売買・輸入販売を目的に光洋貿易(株)として設立され、同年、商号を兼商(株)に変更。59年に兼商化学工業(株)を設立し、製造及び研究開発を本格化させた。60年以降は、販売特約店との共同出資による販社を全国展開。80年には大型新剤(土壌消毒剤)を投入、85年に兼商化学工業(株)と兼商(株)が合併し、現商号に変更。99年には自社開発のダニ剤「カネマイト」を発売した。2002年に生物農薬を手掛けるセルティス ジャパンを三井物産(株)と合弁で設立(07年に株式を三井物産に売却)。03年には独BASF社より農業用土壌処理剤事業を譲受し、同剤を取り扱うKSTをベルギーに設立。04年には染料、医薬、農薬等の受託製造・販売を行う三和化学工業(株)を子会社化した。資本政策では、93年の株式店頭公開を経て、2000年に東証2部に株式を上場した。
線虫防除剤「ネマキック」の登録取得
2010年1月18日に、土壌処理剤(線虫防除剤)「ネマキック」の農薬登録が完了、2月18日に発売を開始する予定である。「ネマキック」は有機リン系の線虫防除剤で、作付け直前の使用が可能、長期間の残効性、線虫の種類を問わず安定した効果が期待できる等の特徴を有する。初年度5億円、5年内に15億円の売り上げを目指しており、「D-D」や「バスアミド」と共に線虫防除剤の粒剤の分野で早期に30%のシェアを確保したい考え(線虫防除剤には、粒剤と液剤があり、市場規模は前者が約40億円、後者が約45億円)。尚、線虫防除剤は、開発が難しい農薬のため競合剤が少なく、また、これまで線虫剤で抵抗性を示した例が無いため薬剤の寿命が長い。
<農薬の必要性と市場規模>
無農薬栽培や有機栽培といった言葉をよく耳にするが、「農薬による病害虫や雑草の防除対策をしないと、農産物の世界の収穫量の30%以上が失われてしまう」と言われている。例えば、財団法人 日本植物防疫協会によると、農薬を使用しなかった場合の農作物の減収率は、水稲24.0%、小麦35.7%、桃70%、りんごに至っては97.0%との事。また、除草剤が農作業の負担軽減に大きく貢献しており、農薬の使用は過酷な農作業からの開放にもつながり、農業を半世紀で30分の1に省力化しました。ともすると、「農薬=悪」と連想しがちだが、世界的な食糧増産の必要性が叫ばれる中で、環境との調和に配慮しつつ農作物を病気や害虫から守り、食糧増産を進めるために農薬は必要不可欠な存在と言える。 日本の農薬市場は1995年の3,876億円をピークに縮小が続いていたが、2007年の3,193億円を底に2009年は3,400億円にまで回復している。大まかな内訳は、野菜畑作が1,180億円、果樹550億円、水稲1,200億円、その他460億円。国内上位は、住友化学(株)、石原産業(株)、日産化学工業(株)等の総合化学大手で、同社は16位。 |
2009年12月期決算 |
値上げ効果と委託試験費の減少で55.4%の営業増益
カネマイトなど病害虫防除剤の値上げを実施したものの、値上げ前の駆け込み需要の反動減と対円でのユーロ安(152.0円→130.2円)の影響等で売上高は前期比7.6%減少した。ただ、値上げ効果による売上総利益率の改善に加え、円高ユーロ安で委託試験費を含めた海外子会社の円ベースの経費が減少したため、同55.4%の営業増益。営業外に為替差損104百万円を計上したものの、受取ロイヤリティーの計上や金融費用の減少でほぼ相殺、経常利益は同56.7%増加した。尚、前期の当期純損益が108百万円の損失となったのは、減損損失528百万円など特別損失619百万円を計上したため。設備投資は研究開発拠点である所沢事業所や福島工場の再構築を中心に1,102百万円(前期は884百万円)、減価償却費は790百万円(同746百万円)。配当は、1株当たり期末普通配当20 円に、創立60 周年記念配当20円を加えた40 円を予定。 (3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末総資産は前期末比10百万円減の18,027百万円。借方では、CFの改善で現預金が増加した他、生産及び開発体制の整備に伴い有形固定資産が増加。一方、償却によりのれんが減少。貸方では、仕入債務や海外子会社の借入金減少で有利子負債が減少する一方、純資産が増加した。CFの面では、利益の増加と売上債権の回収が進んだ事で営業CFの黒字が大幅に増加(1,167百万円→1,932百万円)する一方、定期預金を解約し設備投資資金を確保したため、投資CFのマイナスが減少(△1,958百万円→△808百万円)。フリーCFは1,123百万円の黒字となった(前期は△790百万円)。
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2010年12月期業績予想 |
前期比7.0%の増収、同6.0%の経常減益予想
「ネマキック」の寄与に加え、駆け込み需要の反動減の一巡、更には為替も若干の円安ユーロ高が見込まれ売上高が増加する。ただ、委託試験費の増加(200百万円)、「ネマキック」の広告・販促費負担、6月に増改築の終わる所沢事業所の減価償却費増(減価償却費全体で213百万円増)、更には円安ユーロ高による円ベースの海外子会社の販管費増(30百万円)等もあり、営業利益が同13.9%減少する見込み。営業外損益の改善は、為替差損を見込んでいないため。設備投資は358百万円を計画しており、減価償却費は1,003百万円を織り込んだ。為替の前提は1ユーロ=133.5円。配当は、記念配を落とし1株当たり期末20円を予定。
(3)中期ビジョン -創立60周年、農家と共に100年企業を目指して-
同社は2010年に創立60周年を迎える。この記念すべき年に、「ネマキック」の登録を取得し、所沢事業所のリニューアルも完了する(10年6月予定)。今後は独創的な新剤を生み出す研究開発により更なるポートフォリオの拡大を図ると共に、農家密着型営業により需要を直接掘り起こす技術普及販売活動を推進していく事で新たな成長モデルを構築していく考え。また、「ネマキック」や「カネマイト」を中心に海外展開も積極的に進めていく考え。「ネマキック」は既に韓国での農薬登録申請を済ませており、台湾や米国での展開も検討中である。また、「カネマイト」は、現在、世界16カ国で販売されているが、2011年~2012年には32カ国に拡大する見込み。こうした自社開発製品の拡大に加え、のれん償却や委託試験費の減少、更には有利子負債の削減に伴う支払利息の減少等も見込める事から、同社は中期ビジョンとして、12/12期に個別決算ベースで当期純利益6億円の達成を掲げている(2010年12月期予想340百万円)。2億円を研究開発のための内部留保に、2億円を社員へのために、そして2億円は株主還元に充てる考えだ。 |
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