ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

プライム

ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.17

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 会長
山田 勝 会長
安河内 曠文 社長
安河内 曠文 社長
【ブリッジレポート vol.17】2010年9月期第1四半期業績レポート
取材概要「厳しい事業環境が続いているものの、主力の欧州向けが金融経済危機による落ち込みから持ち直しつつある事が確認できた。また、北米での苦戦や・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年2月9日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
会長
山田 勝
社長
安河内 曠文
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年9月 10,300 1,047 1,335 837
2008年9月 14,995 3,608 3,532 2,214
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(2/2現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
985円 13,772,336株 13,566百万円 11.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
34.00円 3.5% 68.25円 14.4倍 459.67円 2.1倍
※株価は2/2終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
SHOEIの2010年9月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
世界ナンバーワンのヘルメットメーカー。オートバイ用を中心に、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造している。販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界50カ国以上を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっている。独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力により、右の3つの世界一を実現する事を経営方針に掲げている。
また、「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略も同社の特徴。三位一体の事業戦略を進める事で、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めている。
 
<事業内容>
オートバイ用のヘルメット(二輪乗車用ヘルメット)の売上高が約90%を占めている。なかでも、高品質で高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県東磐井郡)の国内2工場で生産。国内生産にこだわる事で、より高い品質を維持すると共に技術の流出防止にも努めている。
また、業界では唯一の「トヨタ生産方式」導入企業として、高い限界利益率と在庫回転率、及び優れた資産効率を誇る。
 
<沿革>
1954年、ポリエステル加工メーカーとして創業。59年3月に昭栄化工(株)として法人化、一般用ヘルメットの生産を開始。翌60年1月、二輪乗車用ヘルメットの生産に着手。68年7月、アメリカに子会社を設立し海外展開を開始、87年7月には子会社設立によりフランスへも進出した。92年5月、会社更生手続開始を申立、同年9月、現山田会長が管財人となり更生手続きを開始。93年12月、更生計画が認可された。更生手続き中の94年3月、子会社を設立し、ドイツに進出。98年3月、会社更生計画認可から4年3ヶ月という短期間で会社更生手続を終結した。同年12月には社名を(株)SHOEIに変更。04年7月、JASDAQに株式を上場し、07年9月には、東証第2部に上場(JASDAQは上場廃止)した。
 
 
2010年9月期第1四半期決算
 
 
前年同期比11.9%の減収、同80.7%の経常減益
前期後半に投入した新製品の寄与で主力の欧州向け販売が大きく伸びた他、国内販売も堅調に推移したものの、旧製品を含む流通在庫の適正化に時間を要した北米等での苦戦が響いた。利益面では、経費圧縮効果があったものの、受注の減少に伴う生産調整の影響(売上原価の増加要因)や新製品投入に伴う広告宣伝費増加等で利益率が低下。売上の減少と相まって、営業利益は同76.5%減少した。為替差益(前年同期は184百万円を計上)がなくなった事で営業外損益が悪化したものの、法人税事業税の還付等で四半期純利益は同72.1%の減少にとどまった。上期の期中平均レートは、1ドル=90.8円(前年同期は93.84円)、1ユーロ=131.83円(同125.56円)。
尚、11月から12月にかけて連結子会社(欧州現地法人)向けのグループ内売上が増加し、第1四半期決算において、多額のグループ間未実現利益調整額が発生し122百万円の利益押し下げ要因となった。これを考慮した実質的な営業利益は、前年同期比52.5%減の240百万円と考える事が出来る。
 
 
前期後半に投入した新製品の寄与で主力の欧州向け販売が大きく伸びた他、国内販売も新製品が下支えとなり堅調に推移した。一方、前年同期にモトクロスモデルの販売が好調に推移した北米及びオーストラリアを含むその他地域は、欧州とほぼ同時期に新製品を投入したものの、前年同期の反動や旧製品を含む流通在庫の適正化に時間を要し新製品効果が十分に得られなかった。
 
 
第1四半期末の総資産は前期末比824百万円増の9,256百万円。欧州子会社の販売増加で売上債権が増加。生産の回復で仕入債務が増加した他、借入れにより短期的な資金需要に対応した。
 
 
2010年9月期業績予想
 
上期及び通期の業績予想に変更は無く、通期で前期比9.5%の増収、同9.3%経常増益予想
上期は好調だった前年同期の反動もあり減収・減益が避けられないが、新製品効果等で販売が回復傾向にある欧州を中心にした売上拡大とコスト削減により通期での増収・増益を目指している。為替の前提は1ドル=90円(△3.84円)、1ユーロ=135円(+5.74円)。配当は、1株当たり4円増配の34円を予定している。
 
 
 
取材を終えて
厳しい事業環境が続いているものの、主力の欧州向けが金融経済危機による落ち込みから持ち直しつつある事が確認できた。また、北米での苦戦やコスト増は当初から予想していた事であり計画の範囲内である。上期の減収・減益から、下期は一転して増収・増益に転じる見込みだが、変化率が大きいのは前年同期が悪過ぎたためであり、同社の実力を考えれば売上・利益の水準に違和感はない。マクロ経済等の外部要因いかんでは、今後、業績回復ピッチが鈍る可能性が無いとは言えないが、業績は最悪期を脱しておりモーメンタムが好転している事は確かだ。