ブリッジレポート
(9616) 株式会社共立メンテナンス

プライム

ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス vol.22

(9616:東証1部) 共立メンテナンス 企業HP
石塚 晴久 会長
石塚 晴久 会長
佐藤 充孝 社長
佐藤 充孝 社長
【ブリッジレポート vol.22】2010年3月期上期業績レポート
取材概要「景気の影響を受けやすいと思われたホテル事業が健闘しているものの、全般に景気低迷の影響を受けている。しかし、寮事業を中心に収益基盤は磐石・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年12月29日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社共立メンテナンス
会長
石塚 晴久
社長
佐藤 充孝
所在地
東京都千代田区外神田 2-18-8
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 82,303 5,349 4,510 2,133
2008年3月 75,606 4,492 4,167 2,740
2007年3月 66,287 3,745 3,787 2,413
2006年3月 63,084 4,611 4,823 2,010
2005年3月 58,014 4,407 4,411 2,343
2004年3月 54,080 4,004 4,059 2,137
2003年3月 50,108 4,148 3,884 2,039
2002年3月 50,064 3,908 3,580 1,821
2001年3月 37,884 2,827 2,643 1,146
2000年3月 36,787 2,368 2,281 906
株式情報(12/11現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,285円 14,365,641株 18,460百万円 7.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
38.00円 3.0% 164.97円 7.8倍 2,070.87円 0.6倍
※株価は12/11終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
共立メンテナンスの2010年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
"ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する"と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、ホテル事業、総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。

事業の種類別セグメントと売上構成(2010/3月期上期)は次の通りである。
 
 
2010年3月期上期決算
 
 
新寮生の入寮を3月に早めた影響で、主力の寮事業が減収・減益
売上高は前年同期比3.1%増の43,319百万円。従来4月だった新寮生の入寮を3月に早めた影響(売上の一部が3月に前倒し計上された)等で寮事業の売上が減少した他、景気の低迷で全般に厳しい事業環境となったものの、新規事業所の寄与と既存事業所が好調のホテル事業の売上が伸びた。営業利益は同9.2%減の3,154百万円。上記理由による入寮生の減少で入寮時の一時金収入である契約金売上の減少が響いた。コミットメントラインの手数料及び金利負担増で営業外費用も増加したため、経常利益も同16.9%減少した。
 
(2)セグメント別動向
寮事業
寮事業全体での9月末現在の稼働契約数は前年同期末比134名減の26,959名、売上高は前年同期比0.5%減の19,619百万円、営業利益は同11.1%減の3,143百万円。学生寮事業は、新規提携大学が増加した他、各施設の稼働も概ね堅調な推移となったが、既に説明している通り、早期入寮による4月の入寮生の減少が響いた(影響額は売上高で167百万円)。また、社員寮事業も、企業業績の悪化による研修目的のマンスリー契約の減少等で苦戦を強いられた。
 
ホテル事業
売上高は前年同期比7.8%増の14,068百万円、営業利益は同14.2%増の386百万円。新規オープンは、ドーミーイン(ビジネスホテル)5事業所(高崎、博多祇園、郡山、小樽、津)、及びリゾートホテル1事業所(高山)の計6事業所。新型インフルエンザの流行による出張・旅行のキャンセル及び企業の経費削減に伴う出張抑制等のマイナス要因があったものの、上記新事業所が寄与した他、既存ホテルも、夏のリゾートシーズンの高稼働に加え、秋の大型連休も好調に推移した。利益面では、販路の拡大及びコスト管理の徹底等、1事業所毎に着実に改善が進み、新規事業所のオープンに伴う開業準備費用等を吸収した。
 
総合ビルマネジメント事業
売上高は前年同期比2.3%減の5,653百万円、営業利益は同28.8%減の202百万円。前期に引き続き原価管理を徹底したものの、値引き要請が強まった他、仕様変更等によるコスト増も響いた。
 
フーズ事業
売上高は前年同期比13.4%減の2,229百万円、営業損失27百万円(前年同期は26百万円の利益)。個人消費の低迷や大手チェーンとの価格競争の激化等で売上が減少。変動原価管理の強化・徹底など収益構造の見直しを進めたものの、外食店舗のリニューアル等の影響もあり、営業損失となった。
 
デベロップメント事業
売上高は前年同期比3.0%増の4,073百万円、営業利益162百万円(前年同期は14百万円の損失)。寮・ホテル等の開発で売上が増加。原材料価格の低下とコスト管理の徹底により営業損益が黒字転換した。
 
その他事業
売上高は前年同期比2.9%減の2,266百万円、営業利益は同11.7%減の97百万円となった。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比880百万円増の126,674百万円。借方では、現預金が減少する一方、販売用不動産(424百万円→1,538百万円)、無形固定資産、新規事業所開発に伴う差入保証金(7,370百万円→8,325百万円)及び敷金(6,986百万円→7,475百万円)等が増加。貸方では、前受金等が減少する一方、未払法人税(530百万円→1,293百万円)や有利子負債が増加した。
フリーCFはマイナス幅が拡大した。設備投資が減少したものの、利益が減少する中、新事業所のオープンで運転資金が増加したため営業CFが悪化した。財務CFの黒字が減少したのは、前年の9月までに長期の事業資金の手当てを済ませていたため。尚、上期の設備投資は前年同期比27.5%減の2,717百万円、減価償却費は同9.2%増の1,944百万円。
 
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
 
通期の業績予想に変更は無く、前期比8.4%の増収、同4.0%の経常増益予想
通期業績予想を達成するための下期のハードルは高いが、寮事業及びホテル事業の強化で巻き返しを図る考え。具体的には、寮事業においては、来期入寮者への積極営業や関西地区のてこ入れに加え、法人営業の強化による社会人の入寮生促進や留学生の需要取り込みに注力すると共に、管理コストの適正化と本部費配賦負担の削減を進める。また、ホテル事業においては、TVCMによるプロモーション強化に加え、ホテスパネットの活性化や湯めぐり手形の発行で需要喚起に努める。設備投資は同3.2%減の10,756百万円を計画しており、減価償却費4,183百万円は同13.2%増加する見込み。配当は、1株当たり19円の期末配当を予定(上期末に同19円の配当を実施)。
 
 
寮事業
①管理コストの適正化と本部費配賦負担の削減、②来期入寮者への積極営業、③法人契約の積極推進による社会人の入寮促進、及び④留学生をターゲットとした販売促進、の4項目を下期の施策として挙げている。尚、この3月は、早期入寮に伴い契約金売上120百万円が前倒しで計上されると見ている。
 
①管理コストの適正化と本部費配賦負担の削減
水道光熱費のコントロールの適正化
人員配置の適正化
スモールガバメントの推進による本部費配布負担の削減
②来期入寮者への積極営業
来期4大新入生との契約が順調に推移(大学との提携強化が寄与)
関西地区の梃入れを中心とした満室プロジェクトの積極推進
③法人契約に積極推進による社会人の入寮促進
④留学生をターゲットとした販売促進
 
ホテル事業
①リゾートホテル事業
・既存事業所(17事業所)
那須、伊豆山、伊東、米屋、秀峰閣、軽井沢、安比、函館、沖縄、菊屋、
水の音、きらの里、雪月花、銀花、大雪山、深山桜庵、海舟
・既存事業所(17事業所)  高山
 
 
既存事業所が堅調に推移しており、事業全体で黒字基調が定着。各種ネットランキングにおいても、高評価を得ている。
 
 
 
上期は景気悪化でビジネス需要が低迷する中、新規事業所の立ち上げが負担となった。ただ、下期は、客数が回復傾向にある既存事業所の収益改善が見込まれる上、新規事業所が売上の面でフルに寄与すると共に損益も改善、更にはコスト削減効果も見込まれ、増収・増益に転じる見込み。
 
 
 
今後の事業展開
 
 
主幹の学生寮事業の再強化策として、既存顧客の基盤固めを図ると共に、4年制大学の学生の取り込みや留学生をターゲットとした販促を強化する。また、長屋プロジェクトとして、管理業務をスリム化すると共に自炊を前提とした食堂を備えた月額料金5万円未満の寮を10年4月にオープンする予定。当初は全国5棟280室でスタートし、本社費負担前営業利益率15%が目標。
 
②ホテル事業
プロモーション強化策として、マスメディアの活用、北海道エリアの地域強化、インバウンド強化を挙げている。具体的な施策は次の通り。
 
 
また、商品開発では、新商品「ドーミーインPremium(上質なスタイリシュ系)」及び「デイユース(Refresh Express)」の開発と、競争力のある首都圏モデルの確立に向けて首都圏開発プロジェクトを推進する。
 
③スモールガバメントの実現
グループ会社間の異動を含めた再配置による人員の適正配置とあらゆる経費の見直しと削減に努める。
 
 
 
取材を終えて
景気の影響を受けやすいと思われたホテル事業が健闘しているものの、全般に景気低迷の影響を受けている。しかし、寮事業を中心に収益基盤は磐石であり、急激に業績が悪化するような会社ではない。このため、目先の業績に一喜一憂せず、中期的な成長を見据えた施策の進捗に注目したい。具体的には、学生寮事業における4年制大学の学生の取り込みと留学生をターゲットとした販促、ホテル事業における、北海道エリアの強化と外国人旅行者の取り込み、更にはスモールガバメントの実現に向けた人員の適正配置と経費の見直し・削減等で、いずれも来期以降の業績拡大につながる施策だ。