ブリッジレポート
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ブリッジレポート:(4783)日本コンピュータ・ダイナミクス vol.19

(4783:JASDAQ) 日本コンピュータ・ダイナミクス 企業HP
伊藤 敬夫 社長
伊藤 敬夫 社長

【ブリッジレポート vol.19】2010年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「システム開発などIT関連事業の苦戦は同社に限った事ではなく、回復には今しばらく時間が必要だ。一方、パーキングシステム事業は事業環境にも・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年11月10日掲載
企業基本情報
企業名
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社
会長
下條 武男
社長
伊藤 敬夫
所在地
東京都品川区西五反田 4-32-1
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 12,521 415 460 212
2008年3月 9,539 553 581 315
2007年3月 9,292 261 315 186
2006年3月 8,851 409 424 199
2005年3月 7,607 321 348 228
2004年3月 7,570 340 368 160
2003年3月 6,859 322 283 74
2002年3月 6,168 293 292 152
2001年3月 5,088 247 182 46
2000年3月 4,447 307 339 149
株式情報(10/30現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
280円 8,721,602株 2,442百万円 8.1% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13.00円 4.6% -2.29円 -122.3倍 317.44円 0.9倍
※株価は10/30終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本コンピュータ・ダイナミクスの2010年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
独立系ソフトウェア開発会社のパイオニア。コンサルティングからシステム運用までを手掛けるシステム開発事業、システムの運用管理とテクニカル・サポートを主体としたサポート&サービス事業、及び自転車駐輪場システムの開発・運用を行なうパーキングシステム事業を展開。システム開発事業やサポート&サービス事業は優良顧客との継続的な取引が特徴。また、国内トップシェアを誇るパーキングシステム事業は成長性に富み、収益性も高い。
グループは、同社及び(株)日本システムリサーチ、天津恩馳徳信息系統開発有限公司、及び(株)ゼクシスの連結子会社3社(いずれも出資比率100%)。社名の"日本コンピュータ・ダイナミクス"には、「コンピューターをダイナミックユースして社会に貢献する(Dynamic use of Computer)」と言う創業時の思いが込められている。
 
<長期継続を特徴とする顧客資産が強み>
システム開発事業やサポート&サービス事業では、長期継続を特徴とする優良な顧客資産が同社の強みの一つ。主な取引先として、東京ガス、西部ガス、富士ゼロックス、商船三井、アリコジャパン、高砂熱学工業、三井住友海上火災、角川GHD、日本水産、エスアールエル、福岡県庁等を挙げる事ができる。
 
<顧客業界と同社が手掛けるシステム>
エネルギー業界   料金調停システム、資産管理システム等
保険業界      契約管理システム、クレーム管理システム等
運輸業界      運行管理システム、倉庫管理システム等
出版業界      著作権管理システム等
全業界       財務会計システム、人事システム等
 
<IT企業としては異色のパーキングシステム事業で社会貢献>
駐輪場の設計、ラックや精算機の開発、更には運用までを一貫して手掛けている。時間貸し駐車場の自転車版とも言える事業だが、駐輪場の売上は自転車1台を1日駐輪して100円程度。このため、コンピューターを使うには安過ぎて採算が合わないと言われ、IT業界とは縁の無い世界だった。しかし、自治体等からのシステム開発に対する強い要望に加え、放置自転車問題が深刻化する中で社会貢献の意味もあり参入。先行企業としての優位性と業界No.1の実績に基づく提案力を強みとしており、現在、同社を語る上で欠く事のできない事業となっている。
 
2010年3月期上期決算
 
 
IT関連事業の苦戦が響き、65百万円の経常損失となった。
売上高は前年同期比3.4%減の5,680百万円。自社営業の強化と代理店との協力体制強化によりパーキングシステム事業が伸びたものの、新規開発案件の凍結や保守業務の縮小、更には顧客からの価格要請の強まり等でIT関連事業が落ち込んだ。
営業損益は90百万円の損失。受注の減少による稼働率の低下に加え、前期から手掛けている大規模プロジェクトの工数増による採算悪化、更には価格要請の強まり等もあり、売上総利益率が4.6ポイント悪化。経費削減に努めたものの、自社製Suica対応精算機の開発関連費用等で販管費もわずかに増加した。営業外損益の改善は受取保険金・配当金及び補助金収入の計上等による。
予想との比較では、売上高が予想を上回ったものの、システム開発事業における稼働率の低下や大規模案件の採算悪化等による売上利益率の悪化が響いた。ただ、予定通り、1株当たり6.5円の上期末配当を実施する予定。
 
主な子会社の状況
(株)ゼクシスは既存顧客のIT投資の絞込みで新規の受注が伸び悩んだものの、継続案件の確保により売上、利益共にほぼ期初予想通りの着地。一方、(株)日本システムリサーチは、IT業界の要員派遣需要の低迷により売上が減少したものの、販管費の削減等により利益を確保する事ができた。
 
 
システム開発事業
IT投資の落ち込みで、既存顧客からの新規案件受注が進まなかった事に加え、保守業務も縮小。新規の顧客開拓も進まなかった。また、パッケージソリューションも、引き合いは多くソリューションに対する評価は高いものの、受注までには至らなかった。利益面では、稼働率の低下に加え、前期からの継続案件である大規模プロジェクトの手戻りの発生等による工数の大幅増が響き利益率が悪化した。
 
サポート&サービス事業
契約の見直しや経費削減要求による価格調整を余儀なくされた他、マネージドサービスセンター業務(※1)も、引き合いや見学希望は多いものの受注には至らず伸び悩んだ。
 
(※1)マネージドサービスセンター
顧客のシステム運用部門に代わり、24時間365日体制で障害対応やシステム運用・保守等のサービスを提供する。
 
パーキングシステム事業
今までの実績をベースにした提案活動が成果を上げ、自治体の指定管理者等首都圏での受注が伸びた他、大阪、名古屋を含めた都市部での代理店売上も大幅に増加した。尚、パーキングシステム事業における駐輪場工事の効率化やサービス向上のために、東京都の特定建設業認可を取得した。また、自社製Suica対応精算機が検査に合格し、6月に完成。首都圏での駐輪場利用者の利便性向上に向け、当該精算機の導入を進めていく。
 
 
上期末の総資産は8,270百万円と前期末比176百万円増加、自己資本比率は33.5%となった。パーキングシステム事業の拡大に伴いリース投資資産(286百万円増)及びリース債務(315百万円増)が増加した他、必要資金の一部を有利子負債の調達で賄った事が総資産増加の要因。
 
2010年3月期業績予想
 
 
下期もIT関連事業は厳しい事業環境が続くと見ており、売上・利益共に業績予想を下方修正した。ただ、パーキングシステム事業の拡大と収益悪化の一因であった大規模プロジェクトの終息により営業損益が改善、90百万円の営業黒字を確保できる見込み。
 
 
前期比8.2%の減収、40百万円の経常利益予想。
下期は損益の改善が見込まれるものの、上期の落ち込みをカバーするまでには至らず通期の営業損益は均衡にとどまる見込み。配当は予定通り1株当たり6.5円の期末配当を実施する予定。
 
(3)通期セグメント別予想
IT関連事業
採算が悪化した大規模プロジェクトが終息するものの、上期の受注不振の影響やプロジェクトの立ち上がりの遅れ等で低稼働率が続く見込み。このため、プロジェクト管理の徹底により利益確保に努める。
 
パーキングシステム事業
自社製Suica対応精算機の導入効果や環境意識の高まりによる自転車利用の増加で既存駐輪場の稼働率向上が見込まれる。また、新規駐輪場建設に対する要望も多く、案件は豊富で中期的な見通しも明るい。
 
取材を終えて
システム開発などIT関連事業の苦戦は同社に限った事ではなく、回復には今しばらく時間が必要だ。一方、パーキングシステム事業は事業環境にも恵まれ、事業拡大が続いている。低炭素社会に向けた社会的な意識の高まりから自転車を取り巻く都市環境の整備が進んでおり、駐輪場整備への要求やコミュニティサイクルの関心等も高まりをみせている。こうした中、利用者の利便性を追求する経営姿勢やこれまでの実績が評価され、自社で展開している首都圏での受注が順調なようだ。システム開発で発生した不採算案件も一巡するため、緩やかではあるが、業績は上期を底に回復に向かう見込み。