ブリッジレポート
(4317) 株式会社レイ

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ブリッジレポート:(4317)レイ vol.22

(4317:JASDAQ) レイ 企業HP
分部 日出男 会長
分部 日出男 会長

【ブリッジレポート vol.22】2010年2月期上期業績レポート
取材概要「事業の季節性もあり、下期は営業黒字を確保できる見込みだが、景気の二番底が懸念される中では必ずしも楽観はできない。ただ、年度が替われば・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年10月27日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社レイ
会長
分部 日出男
所在地
東京都港区六本木 6-15-21
決算期
2月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年2月 8,720 334 297 106
2008年2月 9,576 -628 -497 -635
2007年2月 9,861 31 -35 -28
2006年2月 9,533 782 773 416
2005年2月 8,237 386 380 226
2004年2月 7,649 434 429 207
2003年2月 6,761 142 126 34
2002年2月 8,184 800 763 429
2001年2月 7,030 634 599 266
2000年2月 6,169 309 262 73
株式情報(10/21現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
93円 13,049,289株 1,214百万円 6.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - 3.83円 24.3倍 119.02円 0.8倍
※株価は10/21終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
レイの2010年2月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
経営戦略の立案・遂行と各事業会社の管理業務の代行を中心とする(株)レイと、事業体である子会社4社でグループを構成。TVCMやセールスプロモーション等の企画制作を行う広告ソリューション事業と保有する各種映像インフラを活用した実制作やデジタル映像機材のレンタルを行うテクニカルソリューション事業が二本柱。企画制作だけでなく、充実したポストプロダクション機能を備えている事が特徴。
 
<事業セグメント>
広告ソリューション事業
企業のSP(セールスプロモーション)、キャンペーン、展示会、ショールーム等の企画制作、及びTVCMの企画制作を行う。(株)レイのCM事業部、主に電通を顧客とする(株)ウイーズ・ブレーン、及び主に博報堂を顧客とする担当する(株)ティーシー・マックス子会社の3社で事業を展開している。
 
 
テクニカルソリューション事業
デジタル映像編集スタジオを保有し撮影から加工までの一貫した制作体制が整備されており、各種催事に使用するデジタル映像機材のレンタルも手掛ける。広告ソリューション事業を実制作の面から支援する機能も担っている。
 
 
 
2010年2月期上期業績
 
 
前年同期比17.6%の減収、65百万円の経常損失となった。
実績作りを兼ねた政策的な受注活動が奏功しTVCMの企画制作が堅調に推移したものの、広告費削減の影響を受けてSP・イベントの企画制作が減少した他、イベントや展示会の規模縮小で映像機器レンタル部門が苦戦、CM編集業務やDVD・ブルーレイディスク制作業務等も落ち込んだ。
広告費減少による市場の縮小に対応するべく、外注費の削減に加え、コスト管理の徹底と諸経費削減に努めたものの、売上の減少による影響をカバーできず45百万円の営業損失。ただ、想定以上にコスト管理や経費削減が成果を上げ、売上高が下振れする中で予想の範囲内に損失をとどめる事ができた。
 
 
①広告ソリューション事業
SP・イベント部門
売上が前年同期の実績を上回った代理店もあったが、主要取引先である大手広告代理店向け売上の落ち込みをカバーできなかった。
 
TVCM部門
大手広告代理店向け売上が減少したものの、他の代理店から政策的に多くのCM制作を受注した事で売上が増加、コスト管理の徹底等が成果を上げ収益性も改善した。

尚、10月4日の全日本シーエム放送連盟(ACC)主催「2009 49th ACC CMフェスティバル」において、同社グループが制作したCMがブロンズ賞1本、ファイナリスト賞2本を受賞した。
 
 
②テクニカルソリューション事業
映像機器レンタル部門
上期は展示会等の少なく、同社グループにとって閑散期に当たる。加えて、前年同期は大型コンサート案件の寄与があった事、展示会・株主総会の規模縮小、更には売上の落ち込みをカバーするべく取り組んだ学会案件等の受注が想定したほどには伸びず、売上・利益共に低調に推移した。
 
ポストプロダクション部門
CG制作業務が堅調に推移したものの、CM・TV番組編集を中心としたスタジオ編集業務が広告費減少の影響を受けた他、業界全体の落ち込みもありDVD・ブルーレイディスク制作業務も苦戦を強いられた。
 
 
経費削減に努めた結果、全ての科目で金額が減少した。主のものでは、役員報酬の減額等で経費の過半を占める人件費が減少した他、コンテンツ事業からの撤退の影響もあり広告宣伝費が大きく減少、事務所家賃の見直しにより賃借料も減少した。
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第2四半期末の総資産は前期末比614百万円減の4,204百万円。売上債権の回収が進み資金効率が改善、有利子負債を削減すると共に現預金を積み増した。CFの面から見ると、営業損失となったものの、売上債権の回収が進んだ事等で資金効率が改善し営業CFが黒字を維持。前期に設備投資が一巡したため、投資CFのマイナスも小幅にとどまり、フリーCFも黒字を維持した。
 
 
 
2010年2月期業績予想
 
(1)グループ再編と新体制
①グループ再編
業務の効率化、事業の採算性向上、及びシナジーの発揮による強固な収益基盤の確立を目的とし、2009年9月1日付で(株)ティーシー・マックス及びマックレイ(株)を存続会社とする吸収合併方式により、(株)プレイズ、(株)プレント(いずれも100%出資の連結子会社)をそれぞれ解散した。
 
 
②新体制
下記目的を達成するべく、役職の変更及び執行役員制度を導入し、2009年9月1日付で経営の新体制を発足させた。

・経営の世代交代を円滑に実施し、承継を果たす事により企業の活性化を図り、企業価値の更なる向上を目指す。
・経営環境の変化に迅速かつ適切に対応するため、取締役会の意思決定機能を高めると共に経営の効率化、意思決定の迅速化、業務執行区分の明確化を行う。

尚、連結子会社の代表者は(株)レイの執行役員を兼ね、グループ経営の視点を持って子会社の経営に当たる。
 
 
業績予想に変更は無く、前期比6.0%の減収、同49.5%の経常減益予想。
展示会等の開催が秋に集中する傾向がある上、TV番組の改編期にも当たるため、第3四半期を中心に同社の業績は下期偏重型である。このため、下期は上期比で損益の改善が見込まれるものの、足下、大手広告代理店の月次売上が低調な推移を続けており、また、経済産業省発表の特定サービス産業動態統計調査においても広告売上の減少が続いている。実際、展示会の規模が縮小している事やCM制作や編集業務においても新規案件が少ない事等から、引き続き厳しい事業環境が続くと見ている。
 
(3)セグメント別見通し
①広告ソリューション事業
SP・イベント部門
秋は同社グループにとって繁忙期に当たり、下期の売上高は上期比で増加する見込み。ただ、展示会の規模縮小等の影響で受注採算の悪化は避けられず、コスト管理の徹底等で利益確保を図る。
 
TVCM部門
レギュラー案件の維持を優先しながらも、新規案件の獲得に注力し利益の上積みを図る。
 
<新生ティーシー・マックスについて>
(株)プレイズとの合併効果を活かすべく、SP・イベント部門とTVCM部門の連携を加速させており、SP・イベント部門の事業領域であるイベントに関連した映像制作やCM制作、或いは携帯サイトやキャンペーンサイトの制作を受注する等、一定の成果も出始めている。ただ、元来、SP・イベント分野とTVCM分野では制作の方法が違う面もあり、未だ両部門連携による事業モデルはブラッシュアップが必要。本格的に合併効果が現れてくるのは、来期以降になる見込み。
 
 
②テクニカルソリューション事業
映像機器レンタル部門
秋の繁忙期を迎えているが、SP・イベント部門と同様に展示会の規模縮小等の影響で従来のような利益確保が難しい状況。新規顧客の獲得やコンサート案件の受注に加え、人材と機材の効率アップに努めて利益確保を図る。
 
ポストプロダクション部門
上期にアニメ(テレビの深夜アニメ)製作委員会3案件に出資した。下期以降、DVDやブルーレイディスク制作の受注等で、この成果が期待できる見込み。また、編集室のスケジュールの精度を更に高めてキャンセル案件等を減らし、利益の確保を図る。
 
<新生マックレイについて>
映像機器レンタルの(株)プレントとの合併によって、機器映像レンタル部門とポストプロダクション部門が連携しやすい環境が整った。それぞれの取引先に合同営業を行った結果、映像機器レンタル部門では、代理店、制作会社以外にもレンタル、ショーテクニカルの需要があり、また、ポストプロダクション部門では、イベント、VP、Web等の非マスメディア映像へ業務範囲拡大の可能性がある事が確認されている。ただ、取引先の拡大には一定の時間を要するため、その成果が表れるのは来期以降になる見込み。
 
 
 
取材を終えて
事業の季節性もあり、下期は営業黒字を確保できる見込みだが、景気の二番底が懸念される中では必ずしも楽観はできない。ただ、年度が替われば、広告予算も新たに組み直される。実際、来期以降の案件については、引き合いが徐々に増加してきており、実施にいたるかどうか不透明な部分はあるものの、明るい兆しが見えてきていると言う。グループ再編や経営刷新の効果も期待できる来期以降の業績に期待したい。