ブリッジレポート
(2317) 株式会社システナ

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ブリッジレポート:(2317)システムプロ vol.5

(2317:東証1部) システムプロ 企業HP
逸見 愛親 会長
逸見 愛親 会長

【ブリッジレポート vol.5】2009年10月期第3四半期業績レポート
取材概要「昨秋以降の厳しい事業環境にもかかわらず第2四半期まではほぼ前年同期並の売上高・営業利益を維持していたが、新年度入り直後の受注環境の急速・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年9月15日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社システムプロ
会長(代表者)
逸見 愛親
所在地
横浜市西区みなとみらい 2-2-1
決算期
10月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年10月 9,603 1,816 2,153 1,275
2007年10月 7,930 1,595 1,555 849
2006年10月 5,917 961 967 602
2005年10月 4,180 717 691 561
2004年10月 3,093 677 643 391
2003年10月 2,461 516 511 280
2002年10月 1,940 398 380 196
2001年10月 1,524 180 175 93
株式情報(9/4現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
45,000円 223,266株 10,047百万円 25.2% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,400円 5.3% 3,786.87円 11.9倍 24,905.17円 1.8倍
※株価は9/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
システムプロの2009年10月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
データ通信系のファームウェア(組み込みソフト)」開発に強みを持ち、情報システム構築等のシステムインテグレーション事業を育成中。組み込みソフトとは、携帯電話やデジタル家電等に搭載されるマイクロコンピュータ(マイコン)を作動させるためのソフトで、マイコンと共に機器に組み込まれるソフトである。連結子会社で組み込みソフトの開発・評価を手掛ける(株)ProVisionの他、基幹系システムに強みを持つカテナ(株)、オンラインゲーム・コンテンツ・プロバイダ事業の(株)ジークレスト、外注先としての機能を担う北洋情報システム(株)の持分法適用会社3社でグループを形成している。
 
<事業内容>
事業は、移動体高速データ通信システム事業と情報システムサービス事業に分かれ、売上構成比は、前者が69%、後者が31%(09/10期上期)。
 
移動体高速データ通信システム事業
移動体通信キャリア、端末メーカー、端末メーカーにライセンスしているソフトウェア製品開発販売会社等を顧客としており、携帯電話端末の仕様策定、新機能の設計・開発及び評価を行っている。この場合の機能とは、機能を実現させるための組み込みソフトの事で、メール機能やブラウザ機能で豊富な実績を有する他、マルチメディアプレーヤー機能、デジタルテレビ機能、GPS機能等にも強みを有する。
 
情報システムサービス事業
ネットショッピングや人材派遣等、インターネットを使ったビジネス(ポータルサイト等)を展開している企業向けのオープン系システム(大規模データベース連動型Webサイト開発等)を得意としているが、基幹系に強みを持つカテナ(株)との協業により、情報システム全般のソリューションを提供できるSIer(システムインテグレーター)機能を強化中である。
 
<沿革>
1983年3月にマイコンのソフト開発を目的としたヘンミエンジニアリング(株)として設立された(84年2月、現商号に変更)。80年代後半にかけて通信分野へ展開し、88年2月に日本初の対戦型オンラインゲーム「麻雀クラブ」を開発。96年4月には、対戦型オンラインゲームで培った通信システムの技術を活かして携帯電話用ソフトの受託開発を開始した。2000年以降、情報システムサービス事業(当時はネットワーク・ソリューション事業)に展開。07年2月には、基幹系のシステムに強みを持つカテナ(株)と資本・業務提携(持分法適用関連会社化、出資比率が35.9%へ上昇)を結び同事業の強化を図った。資本政策では、02年8月、大証ナスダックジャパン市場に上場。04年11月の東証2部上場を経て、05年10月、東証1部に指定替えとなった。
 
2009年10月期第3四半期決算
 
 
前年同期比12.6%の減収、同35.0%の経常減益となった。
新年度が始まった4月から5月にかけて多くの顧客で新規案件の先送りや見直しが発生したため、第3四半期(5-7月)の売上が急減。業務の外部委託を縮小し内製化を進めるなどコストの圧縮を進めたものの、営業利益は950百万円と同24.7%減少した。
 
 
移動体高速データ通信システム事業
4月から5月にかけて端末メーカーからの受注が急減したが、6月に入り秋冬モデルの開発が動き始め、7月以降はほぼ計画通りの進捗。移動体通信キャリアは既存通信方式の基地局等のインフラ整備の拡充や次世代通信方式への移行に向けた研究開発等を継続して進めており、また、移動体通信端末メーカーにおいてもGoogleが開発した新しいOSであるAndroidを搭載した携帯電話端末の開発を始める等、移動体通信関連はキャリア、端末メーカー共に次世代通信端末を視野に入れた注力分野がある。こうした分野での営業強化が7月に入り現れてきた。
 
情報システムサービス事業
ポータルサイトを中心としたエンドユーザ向けコンテンツ開発は、個人向けのインターネットコンテンツサービスが拡大している事もあり比較的堅調に推移したものの、新年度入りした4月から5月にかけて企業がIT投資を凍結する動きを強めたため、システム開発支援サービスの受注が減少した。ただ、5月を底にIT投資が回復傾向にあり、6月、7月とシステム開発支援サービスも明るさを増してきた。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は7,831百万円と前期末比552百万円減少したものの、現預金は増加した。売上の減少で運転資金が減少したため、資金効率が改善。余剰資金で有利子負債の削減も進めた。
CFの面から見ると、運転資金と税負担の減少により営業CFの黒字が増加。一方、投資有価証券の取得の減少(前年同期はカテナへの投資があった)で投資CFのマイナスが縮小したため、フリーCFが大幅に増加した。
 
 
 
 
4月から5月にかけて多くの顧客で新規案件の先送りや見直しが発生したため、第3四半期は大幅な減収・減益となったが、主力の移動体高速データ通信システム事業は5月を底に回復傾向にある。
 
2009年10月期業績予想
 
通期業績予想に変更はなく、前期比9.9%の減収、同32.6%の経常減益。しかし、第4四半期(8-10月)は、売上高及び営業利益がほぼ前年同期並に回復する見込み。経常利益の減少幅が大きいのは、持分法投資損益の悪化(投資有価証券評価の計上によるカテナ(株)の業績悪化)が主な要因。当初の予定通り1株当たり1,200円の期末配当を実施する(第2四半期末の1,200円と合わせて年2,400円)。
 
 
 
取材を終えて
昨秋以降の厳しい事業環境にもかかわらず第2四半期まではほぼ前年同期並の売上高・営業利益を維持していたが、新年度入り直後の受注環境の急速な悪化で4月28日に業績予想の下方修正を余儀なくされた。実際、新年度入り後の受注の落ち込みで第3四半期(5-7月)は売上・利益が急減したが、5月には早くも底打ちの兆しがみられ、6月、7月と尻上がりに回復。事業環境の好転に加え、次世代のロードマップを見据えた提案が移動体通信キャリアや端末メーカーから高い評価を受けているようだ。売上・利益に反映されるのは第4四半期以降だが、引き合いや受注面では4月下旬とは状況が一変しており、組み込みエンジニアの不足が懸念されるほどだ。