ブリッジレポート
(7590) 株式会社タカショー

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ブリッジレポート:(7590)タカショー vol.13

(7590:JASDAQ) タカショー 企業HP
高岡 伸夫 社長
高岡 伸夫 社長

【ブリッジレポート vol.13】2010年1月期第2四半期業績レポート
取材概要「第2四半期の3ヶ月間(5-7月)に限ると、天候に恵まれた前期の反動と今期の長雨の影響で減収・減益となったが、上期全体では第1四半期の貯金で・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年9月8日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社タカショー
社長
高岡 伸夫
所在地
和歌山県海南市南赤坂20-1
決算期
1月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年1月 13,118 440 393 246
2008年1月 13,437 597 474 289
2007年1月 12,420 424 414 183
2006年1月 11,112 528 541 305
2005年1月 10,895 528 498 270
2004年1月 10,153 466 346 213
2003年1月 10,057 360 257 162
2002年1月 9,457 -17 -83 -89
2001年1月 9,045 523 467 177
2000年1月 8,535 580 575 258
株式情報(8/28現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
396円 8,479,950株 3,358百万円 6.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
14.00円 3.5% 46.63円 8.5倍 505.48円 0.8倍
※株価は8/28終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
タカショーの2010年1月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、人工・天然の竹木製フェンスやガーデンファニチャー、緑化資材等の庭園資材を製造・販売。LED(発光ダイオード)ライト等の照明機器、池・滝・噴水等のウォーターガーデンや坪庭等も手掛けている。商品の企画から製造、販売まで一貫体制をグループで確立しており、製造は国内及び中国、販売は国内のみならず、欧州、アジア、北米、オセアニアへも展開。天候要因で業績が振れやすい面はあるものの、日本においても確立した市場となりつつある「ガーデニング市場」の牽引役として期待がかかる。
 
<販売ルート(営業部門)>
営業部門は、販売ルート別に設計・施工が必要な工務店向け「プロユース」、ホームセンターへの卸売を中心にした一般消費者向け「ホームユース」、「通信販売」、及び「輸出」に分かれる。売上構成比は、10/1期上期実績(個別ベース)で、それぞれ43.5%、50.6%、2.7%、3.2%。
「プロユース」では、プロユーザー向けのカタログ「PROEX(プロエクス)」を業界最大の約20万冊印刷し、造園業者、設計士、エクステリア施工店、商業施設などにダイレクトメールで配布している。カタログには商品を使った庭園イメージの写真が掲載されており、この写真を見ながら実際に施工する場所と庭園の簡単な図面を書いてファックスもしくはWebで発注すると、CAD(コンピュータによる設計支援システム)、CG(コンピュータ映像)を駆使した完成予想図と共に見積書を当日中に返送し、正式な注文があれば商品を1週間以内に届ける。
 
 
2.2010年1月期第2四半期決算
 
 
前年同期比6.3%の減収、同16.6%の経常増益となった。
消費の低迷や長雨等の影響を受ける中、エコ商品や家庭菜園関連の好調でホームユース部門が前期並みの売上を確保したものの、建設・不動産市況の悪化や設備投資の減少でプロユース部門の売上が落ち込んだ他、通販や輸出も減少した。
利益面では、売上総利益率が改善する一方、物流費や支払手数料の削減等、オペレーションの効率化により販管費が同6.5%減少、営業損益は632百万円と同15.6%増加した。尚、四半期純利益が同4.4%の増加にとどまったのは、韓国子会社の整理(支店として再出発)に伴う損失引当金など特別損失36百万円を計上したため。
 
営業利益率改善要因
上期は売上総利益率の改善と販管費の削減により営業利益率が前年同期比1.6ポイント改善した。売上総利益率の改善要因としては、原材料の値下がりによる製造子会社の原価低減、円高による仕入コストの低減や新商品効果による国内販売面の採算改善、更には(有)タカショーヨーロッパにおけるセールスミックス(売上構成)の良化等を挙げる事ができる。また、販管費の増減要因については次の通り。
 
販管費の主な増減要因
増加要因
人材投資に伴う人件費増(人材確保) 50百万円
一部物流施設のオーバーホールによる修繕費増 12百万円
減少要因
外部倉庫返却、在庫削減、運賃削減による物流費減 46百万円
人材派遣料やコンサル料等の減少による支払手数料減 57百万円
この他、テレビ会議システム導入による旅費交通費の減少(5百万円)、IP電話網による通信費の削減(7百万円)等。
 
 
ガーデンフェンスでエバーアートウッド(前年同期比18.6%増)やタンモクウッド(同59.2%増)の売上が伸びた他、庭園資材で日除け商品の売上が同13.1%増、照明機器でソーラーライトの売上が同32.5%増加した。
 
 
第2四半期末の総資産は前期末比1,863百万円増の11,033百万円。売上債権及び仕入債務が増加した他(例年、年央にかけて増加し、期末にかけて減少する。前年同期比では売上の減少で共に減少)、利益の計上により現預金と純資産が増加した。尚、有利子負債は前期末比では若干増加したものの、前年同期比では463百万円減少した。下期以降、有利子負債の削減を進め、今期末までに3,150百万円に圧縮する考え。有利子負債の使途は次の通り。
 
 
 
利益の増加と運転資金の減少による資金効率の改善で営業CFが増加した他、貸付金の回収等により投資CFのマイナス幅も縮小、フリーCFが倍増した。
 
 
プロユース部門
「ひさしのある部屋」をコンセプトとしたポーチガーデンや薬剤を一切使用しない環境配慮型木材のタンモクウッド等の新商品が売上を伸ばしたものの、商業施設等の大型物件や戸建住宅の新設着工戸数減少等で全般に需要が低迷。ユーザー向けエクステリアショップでの価格競争激化のあおりを受けて単価の引き下げも余儀なくされた。
 
ホームユース部門
シェード、ソーラーライトといったエコ商品や家庭菜園関連資材の売上が増加したものの、全般に消費低迷の影響を受けた他、長雨等による梅雨明けの遅れも響いた。
 
この他、通販が取引先の販売低迷の影響を受けた他、タカショーヨーロッパの在庫調整に伴い輸出も減少した。
 
 
前年同期比4.3%の増収、同26.7%の経常増益となった。
上期は輸入代行業務の拡大で売上が増加。閑散期に当たる下期はウインタープロテクションやLEDガーデンの強化によりテコ入れを図る。
 
3.2010年1月期業績予想
 
通期の業績予想に変更はない。下期はラインナップの拡充を進めてきた秋・冬物商品やLED関連商品等の販売を強化すると共に、オペレーションの効率化に努める考え。閑散期に当たる下期は例年収益が悪化するが、今下期は国内外で収益の改善が見込まれる。
通期では、前期比4.6%の増収、同67.0%の経常増益予想。配当は、1株当たり5円増配の14円を予定している。
 
 
 
今後の展開
 
(1)プロユース
住宅・不動産市況の悪化や民間設備投資の減少等でガーデニング業界を取り巻く環境は厳しい。しかし、ガーデニングが温暖化防止、省エネルギーなど環境対応として認識されつつあり、ハウスメーカー等では環境対応として建築物の環境性能を評価し格付けする手法「CASBEE」(建築物総合環境性能評価システム)を意識した商品開発を進めている。
こうした中、同社は「環境」、「エコ」、「緑化」をテーマに、庭は家での暮らしにおける5番目の部屋であるという「5th ROOM」を提案していく考え。具体的には、エコタイプのソーラーライトやLEDライト等によるローボルトライティング、シェード、散水、ガーデン収納庫等により、風と光が入る自然的な暮らしができる環境空間を提案していく。また、ガーデンファニチャーを取り入れたポーチガーデンや、環境性能評価システム「CASBEE」対応のエコガーデンといった新商材の投入や公共・商業施設等での屋上緑化にも取り組む。
販売面では、全国の有力施工店を組織化したタカショーリフォームガーデンクラブ(8月21日現在の有料会員数は611社)の拡大に注力していく。「"もの販売"から"困っている事の解決サービス"」を切り口に、快適な庭の暮らしを提供できる庭のプロフェッショナル集団を目指している。
 
(2)ホームユース
国内では、ブランディングの強化、見て楽しむガーデニングから育てて食べるガーデニングとして需要が拡大している家庭菜園向け商品の拡充、更には、シェード、ソーラーライト、LEDライト等といった環境商品提案等を強化していく。
一方、海外では、新体制で再スタートを切る韓国の他、中国、ヨーロッパ、更には子会社を設立したオーストラリアに注力していく。
 
オーストラリア現法 TAKASHO AUSTRALASIA PTY,.LTD の設立
7月1日、オーストラリア南ビクトリアに子会社を設立した。オーストラリアはアジア域内の国として、ヨーロッパからの高いガーデニング文化レベルを取り入れているという点、また南半球に属するシーズン性を活かし、冬期シーズンにおける売上高を強化する事が目的。
 
中国現法 浙江東陽高秀花園製品有限公司の設立
8月21日、中国浙江省東陽市に子会社を設立する予定である。中国では庭付き一戸建て住宅が5,000 万棟を超え、中国各種企業、公共施設、商業施設等の市場を含めた中国のガーデン、エクステリア市場も100 億元(約1,500 億円)規模に達している。成長著しい中国市場で、ガーデン、エクステリア関連商品の製造及び販売を拡大させる考え。
 
取材を終えて
第2四半期の3ヶ月間(5-7月)に限ると、天候に恵まれた前期の反動と今期の長雨の影響で減収・減益となったが、上期全体では第1四半期の貯金で増益となり、ほぼ期初予想通りの着地となった。通期の業績予想に変更は無いが、上期は売上高が予想を下回ったため、通期の売上予想を達成しようとすると、当初の予想以上の売上を上げなければならず、若干苦しい。しかし、下期の売上総利益率や販管費の予想は保守的であり、利益が下振れする懸念は少ない。逆に売上が予想通りであれば、利益は上振れするのではないか。また、下期に計上される予定の利益はわずかだが、業績が上期偏重型の同社にとって、下期に利益を計上する事は非常に大切な事。下期の業績に注目したい。