ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.9
(4829:東証2部) 日本エンタープライズ |
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企業名 |
日本エンタープライズ株式会社 |
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社長 |
植田 勝典 |
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所在地 |
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8 |
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決算期 |
5月 末日 |
業種 |
情報・通信 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2009年5月 | 2,475 | 292 | 317 | 175 |
2008年5月 | 3,123 | 572 | 578 | 272 |
2007年5月 | 3,677 | 774 | 783 | 447 |
2006年5月 | 3,416 | 694 | 688 | 418 |
2005年5月 | 3,018 | 587 | 570 | 348 |
2004年5月 | 1,958 | 205 | 168 | 226 |
2003年5月 | 1,752 | 134 | 131 | 58 |
2002年5月 | 1,704 | 51 | 53 | 23 |
2001年5月 | 1,417 | 301 | 262 | 126 |
株式情報(7/17現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
コンテンツサービス事業
携帯電話等のキャリア(移動体通信事業者)が運営するi-mode、EZweb、Yahoo!ケータイ、CLUB AIR-EDGEといったインターネットに接続が可能な携帯電話の公式サイトにコンテンツを提供し、月額課金あるいはダウンロード課金制により、その代金をキャリアから受取っている。主力サイトは次の通りである。
ソリューション事業
コンテンツサービスから派生したビジネス。モバイルサイト構築・運用業務、ユーザーサポート業務、デバッグ業務、サーバ保守管理業務等の企業向けサービス、自社コンテンツの2次利用(以上、ソリューション)、他社コンテンツの制作・運営(ソリューションコンテンツ)、更には、広告、及び物販等を行っており、携帯電話はもちろん、パソコン等のあらゆるメディアに対応したソリューションを提供している。
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2009年5月期決算 |
コンテンツサービス事業で音楽・ゲーム分野の苦戦が続いた他、ソリューション事業も景気悪化による投資・消費マインドの悪化で企業向けソリューションや物販が減少した。外注費の削減や制作過程の見直しによる売上総利益率の改善に加え、経費削減も進んだが、売上の減少による影響をカバーできず営業利益は同48.9%減少した。 尚、減収・減益に終わった09/5期ではあるが、第4四半期に新規大型クライアント向けのソリューション案件がスタートした他、第3世代携帯電話の勃興期にある中国で同社の中国現地法人が中国政府の通信事業の管理部門である中国工業情報化部と共に「VAS2009 第八回通信業務国際フォーラム」の開催準備(6月に無事終了)に取り組む等、国内外で10/5期以降の事業展開に向けた布石を打った。 コンテンツサービス 売上高1,276百万円(前期比27.6%減)
第3四半期に年末年始需要の取り込みに成功したデコレーションメールが第4四半期も好調を維持した事に加え、苦戦が続く音楽・ゲーム分野も第4四半期にかけて下げ止まり感が出てきた。
ソリューション 売上高1,199百万円(前期比11.8%減)
クライアント企業やコンテンツプロバイダからのコンテンツ開発の業務受託やサーバ・ネットワークの運用・監視・
保守等が堅調に推移したものの、CDを中心に物販が減少した他、第4四半期には大口案件の失注(業績悪化による顧客の計画見直し)も響いた。ただ、今後の事業拡大に向けた課題が明確になった事に加え、新規顧客の開拓にも成功する等、方向性は必ずしも悪くない。
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態に大きな変化は無い。無借金で資産の流動性も高い健全な財政状態が維持されている。なお、現預金の減少は長期預金への預け入れ(350百万円)によるもの。また、営業CFは黒字を維持し、フリーCFも定期預金や長期預金への預け入れを考慮すると、実質的には黒字である。
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2010年5月期業績予想 |
音楽・ゲームの下げ止まりと小売など異業種とのタイアップによるデコレーションメールの強化によりコンテンツサービス事業が3期ぶりの増収に転じる見込み。ソリューション事業も企業ニーズの強いモバイルソリューションを中心に伸びる。 利益面では、内製化率の引き上げ(=外注費の削減)によりコスト削減を進める一方、認知度向上のための広告宣伝を強化する他、ソリューション事業を中心に技術者及び営業の増員を図る。このため、販管費の増加が予想されるものの、上記施策の効果が顕在化する下期以降の売上の増加と外注費の削減効果等による売上総利益率の改善で吸収、営業利益は同11.8%増加する見込み。 1株当たり配当は、20円増配の年150円を予定している。 |
2010年5月期の事業戦略 |
(1)コンテンツサービス事業
<経営環境>
3G契約とパケット定額制の普及が進んでおり、2010年9月以降、3.9G携帯のサービスも順次開始される予定。このため、今後、更にリッチコンテンツ化が進む見込みである。ただ、これまでの市場のけん引役であり、同社収益への影響も大きかった音楽コンテンツ市場は、着うたフル市場の成長が続いているものの、着メロ市場の縮小が続いている他、着うた市場も縮小に転じたようだ。このため、市場全体の伸び率が鈍化しているが、サイト数は増加傾向にあり競争は激化している。
<今後の事業方針>
マチャラ、UIカスタマイズ、Flashメール、着うたフル、ゲーム等、成熟度の低い新興ジャンルや成長性の高いジャンルに投資し市場占有率を向上させる。一方、ある程度の市場占有率を確保したデコレーションメールについては、他のグループサイトとの連携により、シナジーを発揮し魅力を高め顧客を囲い込む。また、成長期を終えた着うたについては、リテンション強化・継続による売上の維持を図る。
<2010年5月期の事業戦略>
主力サイトの選択と集中を進め、サイトのサービス向上とコンテンツの差別化を図ると共に、キャリアメニューに頼らない独自の集客に取り組む。
①サイト:サービス向上
「着うたサイト」の有料会員数の下げ止めを目指し、顧客満足度の向上と効果的な広告を実施する。「@LOUNGE RECORDS」においては、アレンジ楽曲のラインアップ拡大とクオリティ向上を進め、自社アーティストの育成やオリジナル楽曲の創出を目指し、音楽の価値を高める。
②コンテンツ:差別化と新たな商品展開
「デコデコメール」を中心としたデコデコ★シリーズによるサイトのブランディング化を強化すると共に、その中に登場するオリジナルキャラクターの世界観を確立し、漫画、アニメ、PC、楽曲等へマルチ展開を進める事でタッチポイントを増やし知名度及び集客力の向上につなげる。
③集客(独自の施策):タッチポイントの増加
従来のキャリアメニュー依存から脱却して、店舗、企業タイアップ・プロモーション、広告、CGMサイトとの機能連携、PCのブログパーツやウィジェット、PCポータル、更には雑誌等、独自のアクセス導線の確保に努める。
(2)ソリューション事業
<経営環境>
24時間365日「携帯」する携帯電話が1人1台の時代を迎え、企業も携帯電話を活用したビジネス展開に注目している。例えば、インプレスR&Dが実施した「企業におけるモバイルウェブサイトに今後期待する効果」に関する調査によると、最も多かったのが「売上に対する直接効果」(全体の41.6%)で、「宣伝・広報効果及びブランド認知」(同40.2%)がこれに次いだ。 <2010年5月期の事業戦略>
企業ニーズの強いソリューション及びソリューションコンテンツに注力する。
①FeliCa事業の拡大 顧客送客や囲い込み等、ペイメントサービス以外での活用ソリューション
過去2年間の「FeliCaビジネス」のノウハウを活かした営業展開を図る。おサイフケータイ(FeliCa)は「かざす」だけという簡易なユーザビリティーにより、近年、QRコードよりも高いアクセス率が得られるマーケティング・プロモーション手段として注目が高まっている。尚、おサイフケータイ対応携帯電話所有者は2008年9月末で5,300万人(フェリカネットワークス推計)に及ぶ。
②エンタメ系サイトの企画・制作の受注拡大
エンターテインメント会社のキャラクターを中心としたエンタメ系サイトの企画・制作の更なる受注拡大。
③ストック収益の拡大
不安定な新規案件を補完すべく、安定的なストック型ビジネスを拡大させる(スポット案件を受注し、サポート等の継続的なビジネスにつなげていく)。
④業務支援ソリューションの拡大
トヨタ関連、キャリア関連の業務支援ソリューションの拡大
⑤2次利用の拡大(リソースの有効活用)
ポータルサイト、他CPサイト等での配信。具体的には、キャンペーンサイト等、企業ソリューションにおける同社の原盤利用を促進する。着うたフル オリジナル楽曲1,000曲 着うた オリジナル楽曲3,000曲 デコメ素材 20,000点 ⑥サポートセンター強化
ユーザーサポート業務の強化し、クライアント数と案件数の増加を図ると共に、サポートシステムの改善により原価を低減する。
⑦営業体制の強化
既存顧客に対するディレクション力及びクオリティの向上を図ると共に、営業活動量を増やし新規顧客の開拓を進める。
⑧原価率の低減
内製化の促進により更なる原価率の改善を図る。
(3)海外事業
(1)中国事業
1月7日に中国工業情報化部が中国国内通信キャリア3社に第3世代携帯電話(3G)の免許を発行した。現在はインフラ整備の段階であり、本格的な普及は10~11年頃と同社では見ているが、3Gへの投資は総額で2,800億元(約3兆8,000億円)に達するとみられており、また一つ中国に巨大なマーケットが誕生する。こうした中、同社は10/5期を「3Gビジネスの基礎を確立する期」と位置づけており、中国キャリアとより良好な関係を築くべく、「電気通信コンテンツ協力シンポジウム」(2月)や「通信業務国際フォーラム」(6月)を中国の政府・キャリアと共催した他、6月に設立した日中3G応用研究院を通して、中国モバイルコンテンツビジネスの支援にも取り組んでいる。また、コンテンツ配信ではIVR(音声自動応答)、SMS(ショートメッセージサービス)等の安定事業化、コンテンツ制作では日本向け制作(電子書籍、デコメ、きせかえ)、中国向け制作(Flashアニメ、Flashゲーム、電子書籍等)を推進していく。この他、教育事業として、因特瑞思(北京)信息科技有限公司独自の3G教育事業や北京建設大学の3G教育も進行中である。 (2)インド事業
現地コンテンツプロバイダ経由で2本のコンテンツ配信を実施し、インドにおけるモバイルコンテンツビジネスの可能性を探ってきた。この実績を踏まえて、9月を目処に現地法人を設立し、事業展開を本格化させる計画である。
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