ブリッジレポート:(2317)システムプロ vol.4
(2317:東証1部) システムプロ |
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企業名 |
株式会社システムプロ |
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会長(代表者) |
逸見 愛親 |
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所在地 |
横浜市西区みなとみらい 2-2-1 |
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決算期 |
10月 末日 |
業種 |
情報・通信 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2008年10月 | 9,603 | 1,816 | 2,153 | 1,275 |
2007年10月 | 7,930 | 1,595 | 1,555 | 849 |
2006年10月 | 5,917 | 961 | 967 | 602 |
2005年10月 | 4,180 | 717 | 691 | 561 |
2004年10月 | 3,093 | 677 | 643 | 391 |
2003年10月 | 2,461 | 516 | 511 | 280 |
2002年10月 | 1,940 | 398 | 380 | 196 |
2001年10月 | 1,524 | 180 | 175 | 93 |
株式情報(6/18現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
連結子会社で組み込みソフトの開発・評価を手掛ける(株)ProVisionの他、基幹系システムに強みを持つカテナ(株)、オンラインゲーム・コンテンツ・プロバイダ事業の(株)ジークレスト、外注先としての機能を担う北洋情報システム(株)の持分法適用会社3社でグループを形成している。 <事業内容>
事業は、移動体高速データ通信システム事業と情報システムサービス事業に分かれ、売上構成比は、前者が69%、後者が31%(09/10期上期)。
<沿革>
1983年3月にマイコンのソフト開発を目的としたヘンミエンジニアリング(株)として設立された(84年2月、現商号に変更)。80年代後半にかけて通信分野へ展開し、88年2月に日本初の対戦型オンラインゲーム「麻雀クラブ」を開発。96年4月には、対戦型オンラインゲームで培った通信システムの技術を活かして携帯電話用ソフトの受託開発を開始した。2000年以降、情報システムサービス事業(当時はネットワーク・ソリューション事業)に展開。07年2月には、基幹系のシステムに強みを持つカテナ(株)と資本・業務提携(持分法適用関連会社化、出資比率が35.9%へ上昇)を結び同事業の強化を図った。資本政策では、02年8月、大証ナスダックジャパン市場に上場。04年11月の東証2部上場を経て、05年10月、東証1部に指定替えとなった。
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2009年10月期第2四半期決算 |
端末メーカーやソフトウェア製品開発販売会社からの受注が減少したものの、販売奨励金負担の軽減で業績好調な移動体通信キャリアからの受注が堅調に推移し、ほぼ前期並みの売上高を確保した。利益面では、不採算案件の一巡による情報システムサービス事業の利益率改善やセキュリティ事業からの撤退(前年同期に損失を計上)、更には販管費の削減も進み営業利益は同7.9%増加した。経常利益及び当期純利益が減少したのは、カテナ(株)が投資有価証券評価損を計上した事による持分法投資損益の悪化が主な要因。中間配当は、当初の予定通り1株当たり1,200円を実施する。 移動体高速データ通信システム事業
足下の業績が好調な移動体通信キャリア各社は3.9G(3.9世代)へのインフラ整備を進めており、同社の受注も堅調に推移した。しかし、端末販売の減少等で苦戦が続く端末メーカーやソフトウェア製品開発販売会社はコストの大幅な削減を図っており、同社においても受注の減少と共に値引き要請が強まった。売上総利益が減少したのは、大型の好採算案件が寄与した前年同期は、通常よりも利益率が高かったため。
情報システムサービス事業
企業業績の悪化によりIT投資を抑制する動きが強まっており、業務システムの開発で延期や規模縮小が相次いだ。加えて、広告収入の減少でポータルサイト等の新規コンテンツ開発も減少したため、売上高は前年同期比9.2%減少した。ただ、不採算案件の一巡とプロジェクト管理の徹底により売上総利益が増加した。
(3)グループ企業の状況
(株)ProVision及びカテナ(株)が苦戦する一方、(株)ジークレスト、北洋情報システム(株)が堅調に推移した。
(注)Google Apps(グーグル アプス、またはグーグル アップス)
グーグルによって提供されているサービス。従来のオフィススイート(オフィスソフトの一種)に似た機能を持つ、Gmail、Googleカレンダー、トーク、ドキュメント、サイトといったwebアプリケーション等のグーグル製品を独自ドメインで利用する事ができる。無料で利用可能なStandard Edition、1アカウントにつき年間50USドルのPremier Edition、及びStandard EditionとPremier Editionの機能が組み合わされ、教育機関やNPO向けに無料で提供されているEducation Editionがある。(参考文献:フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」)
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下期の事業戦略 |
(1)足下の状況
情報システムサービス事業は、受託コンペ案件の増加など明るい材料もあるが、全般に厳しい状況が続いている。一方、移動体高速データ通信システム事業は、足下、通期の業績予想を下方修正した4月下旬とは状況が一変しており、夏以降の組み込みのエンジニア不足が懸念されるほどだ。具体的には、次世代のロードマップを見据えた提案が高い評価を受けて、移動体通信キャリアから大型案件の受注に成功、端末メーカーからも新たな戦略案件を受注した(ソフトウェア製品開発販売会社向けが引き続き厳しい状況が続いている)。
(2)各セグメントにおける現状と今後の戦略
移動体高速データ通信システム事業
これまで携帯端末へ経営資源を集中してきたが、今後は来るべきユビキタス社会を視野に入れた経営資源の配分を行なう。次世代端末のノウハウを蓄積する意味もあり、次世代のインフラ(基地局)関連を手掛ける他、航空、衛星通信、海上・鉄道無線、STB(セットトップボックス)、家電、カーエレクトロニクス等の非携帯分野へも参入していく。足下、LTE(Long Term Evolution:3.9世代携帯電話で採用される通信規格)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、Android(OS、ミドルウェア、ユーザーインターフェース、Webブラウザ、電話帳等の標準的なアプリケーションを含むグーグル提供の携帯電話用ソフト)、NGN(次世代ネットワーク)等の案件が好調な他、研究開発(次世代携帯電話の研究、メーカー共通の基盤やソフトウェア開発)、プログラミングを含む設計・開発、品質保証(消費者の手に渡る前に検証し品質を確保する)が回復傾向にある。実際、09/10期通期の予想工程別売上構成比は、研究開発の構成比が11.7%(前期8.2%)と期初予想の4.1%から大きく上方修正されている(その後の工程である、開発、評価の増加につながるものと思われる)。また、キャリア別では、新ブランド「iida(イーダ)」を立ち上げたauの構成比が27.0%から35.2%に上昇する見込み(NTTドコモ:24.3%⇒28.5%、ソフトバンク:37.2%⇒32.4%、その他:11.4%⇒3.9%)。 情報システムサービス事業
足下、大手Sier系やメーカー系(開発・品質検証)の苦戦が続いているものの、カテナの取引先(3,000社超)を利用した企業向けソリューションや好不況の影響を受けにくい基幹系システムの保守・運用業務が堅調に推移している他、エンドユーザー系(ポータル、マッチングサイト、E-コマース、Netビジネス)やモバイル分野での業務系、SNS、ポータル、コンテンツと言ったモバイルソリューションに明るさが見えてきた。同社はローコストオペレーションの強みに加え、サービスの拡充と質的向上により価格競争力を強化する事で受注拡大を図る考えだ。 |
2009年10月期業績予想 |
開発案件の多かった携帯電話やカーエレクトロニクス分野での大幅な需要減少で、組み込み系ソフト開発会社の淘汰が進んでおり、主力の移動体高速データ通信システム事業が残存者利益を享受できる状況になってきた。加えて、移動体通信キャリア向けの大型案件の受注もあり、下期から来期にかけて底打ちから回復に向かう見込み。 来期以降のV時回復を念頭に、この下期は経験豊富なエンジニアを中心に積極的な採用活動を展開する考え。期末配当は、予定通り1株当たり1,200円(年2,400円)を実施する予定。 |
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