ブリッジレポート
(4783) NCD株式会社

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ブリッジレポート:(4783)日本コンピュータ・ダイナミクス vol.17

(4783:JASDAQ) 日本コンピュータ・ダイナミクス 企業HP
伊藤 敬夫 社長
伊藤 敬夫 社長

【ブリッジレポート vol.17】2009年3月期業績レポート
取材概要「経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」によると、情報サービス産業全体の売上高は、09年9月に前年同月比減少に転じ、その後も減少傾・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年6月2日掲載
企業基本情報
企業名
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社
会長
下條 武男
社長
伊藤 敬夫
所在地
東京都品川区西五反田 4-32-1
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 12,521 415 460 212
2008年3月 9,539 553 581 315
2007年3月 9,292 261 315 186
2006年3月 8,851 409 424 199
2005年3月 7,607 321 348 228
2004年3月 7,570 340 368 160
2003年3月 6,859 322 283 74
2002年3月 6,168 293 292 152
2001年3月 5,088 247 182 46
2000年3月 4,447 307 339 149
株式情報(5/18現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
230円 8,721,602株 2,006百万円 8.1% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13.00円 5.7% 20.63円 11.1倍 330.71円 0.7倍
※株価は5/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本コンピュータ・ダイナミクスの2009年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
独立系ソフトウェア開発会社のパイオニア。コンサルティングからシステム運用までを手掛けるシステム開発事業、システムの運用管理とテクニカル・サポートを主体としたサポート&サービス事業、及び自転車駐輪場システムの開発・運用を行なうパーキング・システム事業を展開。システム開発事業やサポート&サービス事業は優良顧客との継続的な取引を特徴としており、国内トップシェアを有するパーキング・システム事業は成長性に富み、収益性も高い。

同社及び(株)日本システムリサーチ、天津恩馳徳信息系統開発有限公司、(株)ゼクシスの連結子会社3社(いずれも出資比率100%)でグループを形成。社名の"日本コンピュータ・ダイナミクス"には、"コンピューターをダイナミックユースして社会に貢献する(Dynamic use of Computer)"と言う創業時の思いが込められている。
 
<長期継続を特徴とする顧客資産が強み>
長期継続を特徴とする優良な顧客資産が同社の強みの一つ。主な取引先は次の通り。
東京ガス、西部ガス、富士ゼロックス、商船三井、アリコジャパン、高砂熱学工業、三井住友海上火災、角川GHD、日本水産、エスアールエル、福岡県庁等。
 
<顧客業界と同社が手掛けるシステム>
エネルギー業界   料金調停システム、資産管理システム等
保険業界      契約管理システム、クレーム管理システム等
運輸業界      運行管理システム、倉庫管理システム等
出版業界      著作権管理システム等
全業界       財務会計システム、人事システム等
 
<成長を牽引するパーキング・システム>
駐輪場の設計、ラックや精算機の開発、更には運用までを一貫して手掛けている。全国で問題となっている放置自転車問題対策として社会性の高い事業であり、自治体の業務委託制度から指定管理者制度への移行、法改正による路上駐輪場建設の容認や建築基準法での公開空地駐輪場設置合法等により、更なるビジネスチャンスの広がりが期待できる。子会社での展開から代理店方式に切り替えて全国展開を加速し、拠点の拡充を進めている。
 
2009年3月期決算
 
 
前年同期比31.3%の増収ながら、同20.9%の経常減益。

昨秋以降、景気や企業業績の悪化を受けて新規開発の中止や延期、或いは維持経費の削減等の動きが顕在化し、IT投資を取り巻く環境も厳しさを増した。こうした中、同社は(株)ゼクシスの連結効果で売上高を大きく伸ばしたものの、システム開発事業での不採算案件発生等により売上総利益率が15.9%と2.9ポイント悪化。本社事務所の増床費用、のれんの償却、更には(株)ゼクシスの連結に伴う人件費の増加等による販管費の増加を吸収できず、営業利益は同24.8%減少した。受取保険金等が増加する一方、社債発行費がなくなり営業外損益が改善したものの、貸倒引当金戻入額の減少等による特別損益の悪化や税効果会計の影響により当期純利益は同32.6%減少した。
期末配当は、予定通り1株当たり6.5円を実施する考え(中間配当6.5円と合わせて年13円)。

尚、売上高及び利益が予想を下回ったのは、下期の売上伸び悩みと不採算案件の発生による。また、(株)ゼクシスの個別業績は、売上高2,505百万円、営業利益50百万円、経常利益79百万円、当期純利益31百万円。
 
 
システム開発事業   売上高6,884百万円(前期比25.9%増)、売上総利益1,009百万円(同2.6%減)
プロジェクト管理会計テンプレートの開発や業務量増大に対応するための社内システムの拡充等に多くの要員を配したものの、(株)ゼクシスの連結効果に加え、既存客の深耕と新規の顧客開拓が進み、受注・売上共に増加した。ただ、新規システム開発案件において厳しい受注条件や受注時の要件確認の不備等で開発工数が予定以上に増加した案件が複数発生した。
 
サポート&サービス事業  売上高2,590百万円(前期比61.4%増)、売上総利益366百万円(同47.4%増)
コンプライアンス問題による請負から派遣への流れの中で、契約の見直しにより一部顧客向けの要員が減少したものの、これまで要員不足で要望に応えられなかった業務の受注が進展。ITSMSの取得でサービス品質に一定の評価が得られ、マネージドサービスセンター業務(※1)が順調に獲得できた事や(株)ゼクシスの連結効果もあり、売上高が大幅に増加。既存顧客からの単価削減要求が厳しさ増したものの、売上総利益も前期比1.5倍弱に拡大した。
 
(※1)マネージドサービスセンター業務
同社のサービスセンターが、顧客のシステム運用部門に代わり24時間365日、障害対応やシステム運用・保守まで、ITインフラ全体のサポートサービスを提供する。
 
パーキング・システム事業   売上高2,769百万円(前期比21.7%増)、売上総利益612百万円(同22.7%増)
業界No0.1の納入・管理実績に加え、継続的な営業要員の採用や提案力の向上等の営業力強化が奏功、首都圏の鉄道事業者や商業施設での受注が拡大した他、自治体指定管理者としての認定が増加。また、代理店が通期で寄与した中部地区も、新たに名古屋市の新規大型案件の受注に成功する等で売上が増加した。この他、既存の指定管理駐輪場やその他受託管理駐輪場も石油高騰による自転車利用者の増加が追い風となり、機器の入れ替えを積極化、新型ラックと精算機の売上が増加した。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー
主にリース関係の会計処理方法の変更で資産負債が両建てで増加。また、法人税等の支払いが大幅に増加したため営業キャッシュ・フローがマイナスとなり現金等が減少した。
 
 
会計処理方法の変更により、これまでオフバランスされていた(BSに記載義務が無かった)リース債権及び債務を、09/3期より資産及び負債に計上した事等で総資産が増加した。この他では、売上債権やたな卸資産が増加した事に加え、有利子負債が若干減少したため現預金が減少した。尚、リース債権・債務はパーキング・システム事業に係るものである。
 
 
税前利益が減少する中、たな卸資産が増加した事に加え、法人税等の支払いが大幅に増加したため(109百万円→574百万円)、営業CFがマイナスに転じた。定期預金の払い戻しを増やした事で投資CFのマイナスが大幅に縮小したものの、フリーCFは142百万円のマイナス。社債の償還、自己株取得、及び配当の支払い等で財務CFも195百万円のマイナスとなり、現金及び現金同等物期末残高は1,487百万円と338百万円減少した。
 
2010年3月期業績予想
 
 
前期比4.2%の減収、同13.1%の経常減益予想。

足下の受注堅調なパーキング・システム事業の伸びが見込まれるものの、既存顧客の新規システム投資の抑制や中止等でシステム開発事業が落ち込む他、値下げ要求等でサポート&サービス事業も苦戦が続く見込み。販管費を前期並みに抑えるものの、売上の減少が響き同3.8%の営業減益。受取保険金及び配当金や契約解除精算金等が減少する一方、支払利息の増加が見込まれ営業外損益が悪化する。
 
(2)セグメント別見通し
システム開発事業
既存顧客を中心に保守系業務の確保に注力すると共に、提案営業を推進し新規案件の受注を目指す。また、OBCの「奉行V ERPシリーズ」やオラクル社の「JDE」等のパッケージソリューションを切り口に新規顧客の開拓に取り組む。ただ、既存顧客の新規システム投資の抑制や中止等の影響をカバーできない見込み。
 
サポート&サービス事業
マネージドサービスセンター業務が堅調に推移するものの、値下げ要求の強まり等も予想され全般に苦戦が続く見込み。システム運用の効率化を目指す中堅企業等への営業を強化する事で受注拡大を目指す。
 
パーキング・システム事業
500箇所11万台を超える自転車及びバイクの管理体制の整備、利用者サービス向上のためのサポートセンターの充実、更には決済方式としてのパスモやスイカへの対応等が進展。こうした利便性向上を追求する経営姿勢や全国での豊富な実績が自治体や民間企業に評価され、受注競争を優位に進めている。新規駐輪場ニーズや既存駐輪場の機器入れ替えニーズの増加が見込まれる他、道路法施行令の改正等も追い風となり、増収基調を維持する見込み。
 
 
 
取材を終えて
経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」によると、情報サービス産業全体の売上高は、09年9月に前年同月比減少に転じ、その後も減少傾向が続いている。また、4月に発表された日銀短観によると、今年度の金融機関を含めた企業のソフトウェア投資は、計画段階であるが、4年ぶりに減少する見込みである。同社の10/3期も厳しい事業環境が予想されるものの、下期は不採算案件の影響が無くなり、減収ながら営業・経常増益に転じる見込み。下期の受注環境についても不透明感は強く楽観はできないものの、下期に予想通りの売上高・利益を上げる事ができれば、来期の業績には期待が持てる。下期の業績に注目したい。