ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.28

(6914:東証1部) オプテックス 企業HP
小林 徹 社長
小林 徹 社長

【ブリッジレポート vol.28】2009年12月期第1四半期業績レポート
取材概要「世界の景気停滞の影響を大きく受けた四半期となった。同社の事業は不況の影響を受けやすく、特に国内外の建築需要の低迷は同社の収益に大きな打・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年5月19日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックス株式会社
社長
小林 徹
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
2001年12月 11,507 1,173 1,305 544
2000年12月 11,240 1,081 1,213 620
1999年12月 11,201 1,133 957 861
株式情報(5/12現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
818円 16,552,668株 13,540百万円 6.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
40円 4.9% 60.41円 13.5倍 1,014.99円 0.8倍
※株価は5/12終値。発行済株式数は直近第1四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
オプテックスの2009年12月期第1四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界でもトップクラスのシェアを有する屋外用センサ等の防犯用製品、自動ドアセンサ、環境関連製品等の製造・販売を行なっており、子会社を通して産業機器用センサの分野にも展開している。 1979年に設立され、その翌年には、世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発する等、創業以来、信頼性の高いセンサシステムを提供してきた。98 年にはデジタル監視カメラシステム「Wonder Track」を発売し、画像関連分野に参入した。2004年には、客数情報システム、来場者計数装置、駐車台数管理システム及び警戒管理、防犯システム等を手掛ける技研トラステムを子会社化。更に05年には、交通関連事業にも参入した。
 
<事業内容>
事業は、防犯事業、自動ドア事業、産業機器事業、環境関連事業、交通関連事業、生産受託(EMS)事業・その他に分かれる。
 
防犯関連事業
主な製品は、屋内外で使われる各種センサ、ワイヤレスセキュリティシステム、画像記録システム等。屋外用センサでは、世界でもトップクラスのシェアを有し、近年では、デジタル画像技術・通信技術等を活かした製品開発にも取り込んでいる。
 
自動ドア関連事業
主な製品は、無目付け用センサ、シートシャッター用センサ、ワイヤレスタッチセンサ等。世界で初めて自動ドア用センサを開発した同社だが、近年では、画像センシング技術の活用により、ドアの自動開閉だけでなく、入退室者の管理や来店者数カウントなど人の動きを分析できる製品も供給している。
 
産業機器関連事業
連結子会社 オプテックス・エフエー(株)の事業領域。人体用センサだけでなく、物体検知用各種センサにも注力しており、CCDカメラ・液晶モニタ・操作部が一体となった世界初のカラービジョンセンサ「CVSシリーズ」は現場ニーズに即して開発した製品で独自性が高い。
 
交通関連事業
危険な瞬間を記録する「ドライブトレーナー」が主な製品。画像技術及びセンシング技術を応用し、2005年にこの分野に参入した。「ドライブトレーナー」は、交通事故時の映像を録画するだけでなく、日常的に運転履歴を蓄積できる。
 
2009年12月期第1四半期業績
 
<連結業績>
 
 
(連結売上高)
 
(連結利益推移)
 
当第1四半期間における同社グループの売上高は、36億47百万円(前年同期比32.6%減)となった。
利益は、外部への設計委託費用をはじめとした固定費の削減などに取り組んだが、急激な需要の減退の影響が大きく、営業利益は59百万円(前年同期比93.6%減)、経常利益は95百万円(前年同期比88.8%減)となった。
また、四半期純利益は、投資有価証券の時価下落により特別損失を計上したものの、海外子会社配当金益金負算入制度の導入による繰越税金負債の取り崩しにより9百万円(前年同期比98.0%減)となった。
 
<セグメント別状況>
 
(防犯事業)
 
(自動ドア関連事業)
 
(産業機器関連事業)
 
防犯事業は、国内では官需向けが比較的底堅く推移したものの、警備会社向け受注の減少により前年同期を下回った。海外では欧米の住宅バブル崩壊に伴う需要の減速に加え、海外代理店の在庫調整の影響により大幅な減収となった。

自動ドア関連事業は、国内では建築市況低迷の影響により自動ドア用センサの需要が減少したことに加え、小売業界の投資意欲減退の影響により客数情報システムの売上高が前年同期を大きく下回った。海外では欧米の自動ドア業界の景況が国内以上に落ち込み、その煽りを受け前年同期を下回った。

産業機器関連事業は、国内では三品業界(食品・医薬品・化粧品業界)向けに画像センサが堅調に推移し、前年同期を上回った。海外では欧州企業の設備投資抑制姿勢の影響を強く受け、前年同期を大幅に下回る結果となった。

交通関連事業は、大口受注が売上に貢献し、前年同期を上回った。
 
<所在地別セグメントの状況>
 
(日本)
防犯関連事業は、官公庁向けシステムの受注は底堅く推移したが、国内警備会社向け売上高の減少や、海外向け輸出も代理店の在庫調整の影響を大きく受けた。
自動ドア関連事業は、自動ドア設置台数減少の影響を受けたことに加え、客数情報システムも受注が大きく減少した。
産業機器関連事業は、国内向け画像センサの売上高は前年同期を上回ったが、ヨーロッパ向け輸出が大幅減となった。
この結果、売上高は25億27百万円、営業利益1億76百万円となった。

(北米)
防犯関連事業、自動ドア関連事業ともに、建築市況急落の影響を強く受け、減収となった。
この結果、売上高は3億32百万円、営業損失21百万円となった。

(ヨーロッパ)
防犯関連事業は、建築市況低迷の影響による需要の急減速により大幅な減収となった。
自動ドア関連事業は、シェアの増加は見られるものの、自動ドア業界の景況悪化が著しく、前年同期を下回った。
この結果、売上高は5億11百万円、営業損失62百万円となった。

(アジア)
生産受託関連事業は、世界同時不況の影響もあり、受託製品数量の激減により大幅な減収となった。
防犯関連事業は、韓国ウォン安の影響を大きく受け、前年同期を下回った。
この結果、売上高は2億76百万円、営業損失14百万円となった。

※当会計年度より四半期会計基準等を適用したことにより、前年同期比較に関する情報は参考情報として記載している。
 
<財政状態>
 
(資産)
当第1四半期間末における資産合計は208億57百万円となり、前年度末と比べ5億33百万円減少した。これは主に現金及び預金が3億21百万円増加したものの、売上高の減少により受取手形及び売掛金が6億37百万円減少するとともに、資金運用に伴う増減により投資有価証券が3億43百万円減少したことによるもの。

(負債)
当第1四半期間末における負債合計は29億4百万円となり、前年度末と比べ4億12百万円減少した。これは主に納税に伴い未払法人税等が2億27百万円減少するとともに、税法改正により繰延税金負債が1億43百万円減少したことによるもの。

(純資産)
当第1四半期間末における純資産合計は179億52百万円となり、前年度末と比べ1億21百万円減少した。これは主に配当金支出により利益剰余金が3億21百万円減少したものの、為替換算調整勘定が2億18百万円増加したことによるもの。
自己資本比率は80.5%となり、前年度末と比べて1.5ポイント上昇した。
 
<キャッシュ・フロー>
 
当第1四半期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前年度末と比較して3億21百万円増加し、第1四半期間末残高は60億5百万円となった。当第1四半期間における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおり。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は7億93百万円となった。これは主に法人税等の支払額(3億18百万円)及び仕入債務の減少(1億92百万円)による資金の減少があったものの、売上債権の減少(6億90百万円)及びたな卸資産の減少(2億32百万円)により資金が増加したもの。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3億34百万円となった。これは主に資金運用に伴う有価証券及び投資有価証券の取得及び売却(差引支出1億98百万円)及び有形固定資産の取得による支出(1億15百万円)によるもの。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2億80百万円となった。これは主に、配当金の支払額(2億55百万円)によるもの。

なお、円安進行により外貨等建の預金等に為替評価益が発生していることから、現金及び現金同等物に係る換算差額は1億42百万円となった。
 
2009年12月期業績予想
 
<連結業績>
2月12日に公表した業績予想から修正はない。
 
 
昨年第4四半期から急速に悪化した景気動向に回復の兆しは見られず、また、同社グループを取り巻く市場動向は引き続き不透明であり、依然として厳しい事業運営が続くものと予想される。
今回は09年2月12日に発表した業績予想の変更はせず、見直しが必要であると判断される場合には速やかに公表するとしている。
 
取材を終えて
世界の景気停滞の影響を大きく受けた四半期となった。同社の事業は不況の影響を受けやすく、特に国内外の建築需要の低迷は同社の収益に大きな打撃となった。しかし、一旦景気が底を打ち、住宅や建築市況が好転すれば、同社の収益は好転しやすい。米国の住宅市況は一部底打ちの兆しも見え始めており、同社は現在、最も強い逆風の中を通過中とも言える。
海外セキュリティの製品ラインアップが充実してくる、第2四半期以降の収益を注視したい。