ブリッジレポート:(4955)アグロ カネショウ vol.22
(4955:東証2部) アグロ カネショウ |
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企業名 |
アグロ カネショウ株式会社 |
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社長 |
櫛引 博敬 |
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所在地 |
東京都港区赤坂 4-2-19 |
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決算期 |
12月 |
業種 |
化学(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2008年12月 | 13,592 | 694 | 652 | -108 |
2007年12月 | 13,391 | 533 | 476 | 258 |
2006年12月 | 12,851 | 576 | 497 | 272 |
2005年12月 | 12,154 | 442 | 385 | 114 |
2004年12月 | 10,742 | 536 | 366 | 186 |
2003年12月 | 7,322 | -220 | -208 | -278 |
2002年12月 | 7,792 | 113 | 150 | 41 |
2001年12月 | 7,733 | 242 | 279 | 63 |
2000年12月 | 8,300 | 662 | 709 | 423 |
1999年12月 | 7,821 | 642 | 656 | 224 |
株式情報(2/18現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
病害・害虫防除剤、除草剤など果樹・野菜向けを主体とし、農家密着型の営業展開により他の農薬メーカーと差別化を図っている。一般の農薬流通は、農薬メーカーを起点として川上から川下に商品を押し込むプッシュ型だが、同社は農家を起点として需要を汲み上げるプル型の流通体制を構築している。 <沿革>
1951年、農業薬品・肥飼料の売買・輸入販売を目的に光洋貿易(株)として設立され、同年、商号を兼商(株)に変更。59年に兼商化学工業(株)を設立し、製造及び研究開発を本格化させた。60年以降は、販売特約店との共同出資による販社を全国展開。80年には大型新剤(土壌消毒剤)を投入、85年に兼商化学工業(株)と兼商(株)が合併し、現商号に変更した。02年に生物農薬を手掛けるセルティス ジャパンを三井物産(株)と合弁で設立(07年に株式を三井物産に売却)。03年には独BASF社より農業用土壌処理剤事業を譲受し、同剤を取り扱うKanesho Soil Treatment(以下、KST。同社出資比率60%)をベルギーに設立。更には、04年には染料、医薬、農薬等の受託製造・販売を行う三和化学工業(株)を子会社化した。また、資本政策では、93年の株式店頭公開を経て、2000年に東証2部に株式を上場した。 <主な製品>
<海外展開>
同社は、韓国、台湾、北米、中・南米、そしてアフリカ・中近東へと、主力のダニ剤「カネマイト」を輸出している。遅れていたEU諸国についても、2006年6月にドイツ、オーストリアで、2007年にはオランダで登録を取得しており、更に09年から11年にかけて、チェコ、スイス、ベルギー、フランス、スペイン、イタリア、ギリシャ、ポルトガル等での登録が取得できる見込み。また、EU以外でも、アルゼンチン、ケニア、UAE、シリア、レバノン、トルコ等で登録が予定されている。
<グループ>
グループは、同社の他、連結子会社2社、非連結子会社1社で構成されており、08/12期の連単倍率は、売上高が1.30倍、経常利益が1.21倍。連結子会社は、03年に独BASF社から事業買収した土壌処理剤を取り扱う、三井物産(株)との合弁会社「Kanesho Soil Treatment(KST)」及び04年に子会社化した染料、医薬、農薬等の受託製造・販売を行う三和化学工業(株)。非連結子会社は、07年 3月に新設したグリーン カネショウ(株)である。
<中期ビジョン>
需要を直接掘り起こす技術普及販売活動に加え、独創的な新剤を生み出す研究開発によりポートフォリオの拡大を図り、新たな成長モデルを構築していく考え。実際、09/12期から10/12期にかけて、現在登録申請中の新規剤4剤の登録取得が見込まれており、早ければ09/12期から順次業績への寄与が始まる(同社では、最終的な年商目標を4剤合計で20億円としている)。加えて、のれん償却や委託試験費の減少、更には有利子負債の削減に伴う支払利息の減少等も見込める事から、同社は12/12期に個別決算ベースで当期純利益6億円の達成を目指している。尚、この6億円については、2億円を研究開発のための内部留保に、2億円を社員へのために、2億円は株主還元に充てる予定である。 また、中期ビジョンの達成に向けて研究開発体制の強化と生産体制の再構築にも取り組む。同社の研究施設は、埼玉県所沢事業所(工場)内にあるが、施設が老朽化してきた事や周囲の宅地開発が進んでいる事から、生産を福島工場に移転・集約し、同事業所を研究開発中心の施設とする。総投資額は約20億円を予定しており、福島工場への移転及び同工場の増設は08年12月に完了した。所沢事業所は、10年6月にリニューアルが完了する予定。 |
農薬の必要性と農薬市場の動向 |
<農薬の必要性>
農薬に対してネガティブなイメージを持っている消費者が多いと思われるが、「農薬で病害虫や雑草の防除対策をしないと、世界の農産物の収穫量の30%以上が失われてしまう」と言われている。無農薬栽培や有機栽培といった言葉をよく耳にするが、全生産量の0.17%に過ぎず、社団法人 日本植物防疫協会によると、農薬を使用しなかった場合の販売用農作物の減収率は、水稲24.0%、小麦35.7%、レタス77.0%、かき75.0%、りんごにいたっては97.0%と、ほとんど収穫できない状態になってしまうと言う。つまり、農薬がなければ、食生活は成り立たない。また、農薬は農業の生産性改善にも寄与しており、例えば、除草剤は、除草労力を、過去60年間余りで1/30(10アール当たり1945年:50時間→2007年:1.45時間)に省力化したと試算されている(農林水産省統計情報より)。 <農薬市場と同社のポジション>
2008年の日本における農薬の出荷金額は、約3,284億円。農薬メーカーには、総合化学メーカー、医薬品メーカー、外資系化学メーカー等があり、住友化学、石原産業、バイエルクロップサイエンス、日産化学、日本曹達、クミアイ化学等の外資系を含む大手化学メーカー6社が約70%のシェアを有する。こうした中、同社は農薬専業メーカーとして、国内17位のポジションにある。ダニ防除剤の開発・販売を得意としており、99年に自社開発のダニ剤「カネマイト」(マイト:miteとは英語でダニ)の登録を取得し、海外でも実績を有する。加えて、03年には独BASF社から土壌処理剤事業を買収、これらが原動力となり日本国内の農薬出荷金額が漸減傾向にある中で業績拡大が続いている。また、2007年の世界市場は約3兆3,400億円で、内訳は北米:約7,500億円、南米:約6,200億円、欧州:約1兆円、アジア:約4,500億円、日本:約3,200億円、その他:約2,000億円。海外展開により、市場は10倍以上に広がる。 |
2008年12月期決算 |
ダニ剤「カネマイト」など害虫防除剤の売上が減少したものの、土壌処理剤「D-D」が日欧で伸びた他、原材料の供給遅れがあった同「バスアミド」も増収を維持。非農耕地向けの「カソロン」や芝・野菜向け「グラメックス」など除草剤も伸びた。利益面では、原材料高で売上総利益率が1.2ポイント低下したものの、減価償却費(1,148百万円→1,068百万円)や見直しを進めた委託試験費(485百万円→288百万円)の減少等で販管費が減少、営業利益は同30.2%増加した。支払利息の減少で営業外損益も改善したものの、三和化学工業(株)の固定資産にかかる減損処理等で特別損失528百万円を計上したため、当期純損失となった。 |
2009年12月期業績予想 |
バスアミドの販売増等で国内は微増を見込むものの、円高の影響で海外が減収となる見込み。売上が伸び悩む中で、研究開発費(746百万円→1,003百万円)や高水準の減価償却費が利益を圧迫する。ただ、今期中に登録取得が見込まれる土壌処理剤「ネマキック」(土壌を消毒し、線虫を駆除する)の寄与を織り込んでおらず、登録が取得できれば業績の上振れ要因となる。配当は前期と同じ1株当たり20円を予定。 |
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